2月19日〜2月26日のオーストリアのニュース



2月19日(日)

     国外ニュース

イスラエルはパレスチナ人への送金を停止

ハマースが主導するパレスチナ議会が組織を決定する会議を開いた
後、近東の和平過程は重大な試練に立たされている。イスラエル内
閣は日曜日にこれに対する初めての反応として、パレスチナ自治当
局への税収および関税の振り込み、総額5千万ドルを停止した。ま
たイスラエルは世界各国に対して、政権にハマースが参加している
間は、自治当局にこれ以上資金を支払わないように呼びかける方針
である。また現首相エフド オルメルトは、ハマースとの一切の接
触を断った。パレスチナ大統領マハムード アッバスはハマースに
対して、議会の組織を決める会議で、組閣を正式に委託した。急進
的なイスラーム運動ハマースは、日曜日に議員イスマイル ハニヤ
をパレスチナ首相に指名した。彼はハマースの中では、現実的な派
閥に属しているものと見られている。ただし彼は、議会の多数派は
大統領と意見を異にしているが、アッバスとの対話を模索してもい
る、と述べた。ハマースは綱領の中で、イスラエルの破壊を目標と
して記載し、1月25日の選挙では、132議席のうち74議席を得て
いた。

     国内ニュース

シュッセルはオリンピックの不正薬物使用疑惑に動揺

国民党所属の連邦首相ウォルフガング シュッセルは、オリンピッ
クのオーストリア選手団の中に、不正薬物使用疑惑に関して発言の
意志を示した。オーストリア放送のオリンピック放送の中で彼は、
「ワルター マイヤーのような人物が2010年までオリンピックか
ら締め出されたことには当惑しており、選手団の立場を危うくする
ものだ。このような行為は運動選手にはふさわしくない」と述べ
た。いずれにせよオーストリアはスポーツの先進国として、「健全
な試合」を行なう意志を持っている、と述べた。また彼は、不正薬
物使用と許可されている練習をはっきり線引きできるようにするよ
うに求めた。




2月20日(月)

     国外ニュース

ロシアとイランは核をめぐる協議を続ける方針

インターファクス通信によれば、ロシアとイランは月曜日に始まっ
た核をめぐる話し合いを続ける方針である。この会談はイランの核
計画をめぐる対立を解決するために行なわれた。同時にブリュッセ
ルで開かれたイラン外務大臣マヌーチェフル モッタキは、EU首
脳穀の政治家と会談を行なった。その席上特に核をめぐる対立で、
立場の接近が行なわれる兆しはなかった。モッタキは、同国がウラ
ン濃縮をする権利を持っており、断固核研究は続ける、と述べた。
一方EU外務委員ベニータ フェレーロ・ワルトナーは「イランが
みずから孤立するのを望んでいないのであれば、我々はイランを孤
立させるつもりはない」と述べた。EU外務特使ハヴィエル ソラ
ナはイランに対し、イラン向けのウラン濃縮をロシアで行なう、と
いうロシアの提案を受け入れるように述べた。

     国内ニュース

精鋭向け大学問題でヘリンガーも計画委員を辞任

精鋭向け大学で学者側の発案者に続いて、長い間大学局長を務めた
シーグルト ヘリンガーも、内閣側の「オーストリア技術大学」の
計画委員会を去った、と「プレッセ」紙は報じた。ヘリンガーは昨
年10月から教育省の大学部会の部長となり、精鋭向け大学の準備作
業を先導していた。「彼は公然と、この大学をマリア グギングに
設置することに反対していた」と同紙は報じている。学者側のアン
トン ツァイリンガー、ペーター シュスター、アルノルト シュ
ミットが辞任してから2週間、政治主導で設置場所が決められたた
め、ヘリンガーもこのような行動にでた。




2月21日(火)

     国外ニュース

欧州会議はCIAの秘密監獄に関する報告書を提出

CIAの秘密監獄と拘禁者を秘密裡に輸送した事件に関連して、欧州
会議は水曜日に質問に対する回答を加盟国に公表する。事務長テリ
ー デイヴィスがストラスブールで、46ヶ国すべてが実際に回答
を行なったかどうかに関する情報を発表することになっている。英
国人である彼は3カ月前に、加盟国の領土上で米国の秘密情報部に
よって、人権侵害が行なわれたかどうかに関する詳細な質問を行な
っていた。回答期限は火曜日深夜である。デイヴィスが政府の報告
に対して内容面で態度を表明するかどうかは、はっきりしていな
い。ドイツを含めいくつかの欧州の政府は、米国の秘密情報部によ
るテロ容疑者の拉致とは無関係である、と述べていた。

     国内ニュース

政府は共同で運送部門を維持

政府は7月にEU評議会議長国の任期が切れた後も、共同の運輸部門
を維持する計画である。それによれば、現在配属されている車両お
よび運転手は、今後も必要に応じてその他の大臣も利用できるよう
になる。この計画を実施するためには、運営本部を置かねばならな
い、と大蔵政務次官アルフレート フィンツ(国民党)は、国民党
に近い立場の「新国民新聞」で述べた。ただしこの一本化により
580万オイロが節約できる、とも彼は約束している。




2月22日(水)

     国外ニュース

イラク人はバスラのテロ容疑者に私刑を加える

イラク南部の都市バスラでは水曜日に刑務所が襲われ、警察の発表
によれば、スンニー派のイスラーム教徒で武装蜂起を行なった疑い
が持たれていた11人が死亡した。襲撃した者たちは警官の制服を
着ていた、とのことである。この襲撃は、水曜日午前中にサマラの
シーア派の巡礼所が攻撃を受けたことに対する報復行為であろう、
と警察筋は見ている。死亡者のうち2人はエジプト人、9人はイラ
ク人であったとのことである。これより前、サマラにあるシーア派
の最も重要な聖域の1つである金のモスクが爆破されていた。数万
人の信徒が全土でテロに反対する抗議活動を起こし、少なくとも
90カ所のスンニー派のモスクを襲撃した。スンニー派のイスラー
ム党は聖職者3人を含む7人が抗議活動中に死亡した、と発表し
た。イラク大統領ジャアラル タラバニは、同国に内戦が起きる可
能性がある、と警告した。

     国内ニュース

違法労働問題でライトルは規則を変更する方針

違法労働者に関する規則に対する批判があいかわらず続いている。
経済会議議長クリストフ ライトル(国民党)は、閣議を通過した
この法律を完全に修正するように求めた。違法労働が「抽象的な」
基準で判定されることが妨げになっている、と彼は見ている。また
彼は、早期年金受給を加入者の健康状態にあわせて行なうことを求
めており、これは「より人間的な解決」である、と述べた。社会民
主党はライトルの批判を正当だと認める見込みであるが、社会福祉
大臣ウルスラ ハオプナー(未来同盟)はこれ以上の議論は問題に
ならない、と見ている。




2月23日(木)

     国外ニュース

ムラジッチに関するオランダの発言が混乱を引き起こす

オランダ外務大臣ベン ボットは木曜午後に、混乱が起きるのでは
ないか、と懸念している。報道機関は、セルビア当局が戦争犯罪者
とされるラトコ ムラジッチの行為に関して彼と話し合いを行な
う、とのボットの発言を引用している。しかし外務省広報はその
後、ボットが述べたのは、ムラジッチは深刻な病気であるというこ
とだ、と発表した。ボットはベオグラードの訪問から帰国してお
り、オランダ国会に対して今回の訪問についての報告を行なってい
た。セルビアの報道機関は木曜日、ムラジッチの逮捕に関する報道
を行ない、混乱を招いていた。デン ハーグの国連法廷の主席告訴
人カルラ デル ポンテとセルビア当局は、ムラジッチはあいかわ
らず自由の身である、と発表していた。ムラジッチおよびボスニア
のセルビア人元指導者ラドヴァン カラジッチは1995年以来地下
に潜伏していた。彼らは民族虐殺と人間性に対する犯罪で訴えられ
ている。ムラジッチはスレブレニッツァの大量虐殺の命令を下した
責任が問われている。この事件ではほぼ8千人のイスラーム教徒が
殺された。

     国内ニュース

会計検査院は病理学研究所を批判

ウィーン総合病院に併設されている病理学研究所に関する会計検査
院の報告書は、混乱を招く可能性がある。この報告書の中では、こ
の研究所の副収入を激しく非難している。批判されているのは同研
究所の私的診療である。具体的には国際的に著名な病理学者ドンチ
ョ ケルヤスキと彼の研究所が、主として専門医の私的診療を行な
ったことが、批判の中心となっている。この診療で一年で150万オ
イロ以上の収入をあげていた、とされている。この診療には、多く
の総合病院の研究所の専門医が従事した、と述べている。またケル
ヤスキはこの私的診療の診療を病院の研究所に任せていた、とも指
摘されている。




2月24日(金)

     国外ニュース

イラクのシーア派の聖人の墓地にミサイル攻撃

何者かが昨日午後イラクで、シーア派の聖人の墓所に向けて、ミサ
イル2発を撃ち込んだ。シーア派の広報によれば、物的損害だけ
で、負傷者はでなかった。サルマン パクの墓地は、バグダードの
南東約30キロの彼にちなんで名づけられた村落にある。サルマン 
パクあるいはサルマン エル ファリシとも呼ばれる人物は、7世
紀にイスラーム教に改修し、預言者ムハンマドに理髪師として使え
た。サマラの金のモスクに対する攻撃が行なわれてから、イラクで
はシーア派とスンニー派の対立が強まっていた。イラク政府は、土
曜午後までの外出禁止令を課して、治安対策を強化し、内戦に発展
する危険を抑え込もうとしていた。また金曜日にはシーア派とスン
ニー派の聖職者が集まって、情勢の沈静化に向けて話し合いを行な
った。

     国内ニュース

シュトラーヒェはアーヴィング判決を批判

自由党党首ハインツ・クリスティアン シュトラーヒェは、ホロコ
ーストはなかったと主張する英国人デイヴィッド アーヴィングに
対する有罪判決を批判した。「意見の表明の自由を制限する法律に
は疑問を持たなければならない。たとえ表明された意見がどうしよ
うもないものであってもである」とシュトラーヒェは「プレッセ」
紙に述べた。彼はナチ禁止法の廃止に賛成であるかどうかについて
は、シュトラーヒェは直接答えなかったが、表明された意見が禁固
刑を受けるということはあってはならない、アーヴィングは彼の発
言のために刑務所に容れられることは「絶対」あってはならない、
と述べた。また行政に関する苦情を扱う国民弁護士エーワルト シ
ュタットラーは、国民評議会選挙後に党首になろうともくろんでい
るが、シュトラーヒェはこれを拒否した。




2月25日(土)

     国外ニュース

イラクではシーア派とスンニー派間で初めて合意が成立

イラクのシーア派とスンニー派の間では、内戦に似た緊張を仲裁す
る努力が行なわれているが、両者の聖職者が初めて合意に達した。
土曜日両者は、相互の殺害およびモスク襲撃を禁止することで合意
した。急進派シーア派の説教師モクタダ エル・サドルの代表者
と、もっとも影響力の大きいスンニー派組織のイスラーム法学者で
あるシーア派の聖職者ヤワド エル クハリシの間で、この合意が
成立した。この声明の中では、今回の暴力に責任があるのは同国に
いる外国軍である、とされている。一方米国大統領ジョージ W. ブ
ッシュは、危機対策に協力するように国内の主要な政治家と電話で
呼びかけた、と大統領府は発表した。

     国内ニュース

「人質の費用は自己負担」を定める法律を緑の党は批判

現在オーストリア人がイラクなどの外国で誘拐された場合、規則で
は国が救助する。計画されている法律改正後は、被害者はこれに関
してかかる渡航、調査、救出などの費用を自分で支払うことになっ
ている。緑の党は、支援組織の職員もこれに該当することを批判し
ている。




2月26日(日)

     国外ニュース

平静を呼びかける声にもかかわらずイランでは新たな攻撃

政府と宗教界の指導者が平静を呼びかける緊急の訴えを行なってい
るにもかかわらず、イラクでは暴力の波が週末も引き続き吹き荒れ
た。いくつかの都市では襲撃事件が起き、10人以上の人が死亡し
た。首都バグダードだけが比較的平静であった。テヘランでは数日
前から外出禁止令が出されている。イラク政府は、緊急の場合に
は、内戦に発展しないように、戦車を投入する、と予告している。
先週シーア派のイスラーム教徒にとって最も重要な聖域が攻撃を受
けたことで生じた今回の暴力事件での死亡者は、200人を越えた。
週末には南部のバスラ、バグダードの南のヒラ、ケルベラで死傷者
が発生した。

     国内ニュース

支援者組織は「人質解放の経費の自己負担」に反対

支援者組織は、現在計画されている領事館の費用法修正を批判して
いる。この修正案によれば、将来重大な過失がもとで危険に陥った
旅行者は、自分で救出措置の費用を支払わなければならないことに
なっている。現在の案によれば、支援組織の職員もその例外とはさ
れていない。40人を越えるオーストリア人が「国境なき医師団」
として、ハイチ、ブルンジ、コロンビア等の国で活動しており、外
務省がこれらの国々への渡航に警告を発しているため、今後彼らは
救出費用をみずから負担しなければならなくなる、と同組織の広報
は述べた。赤十字も同様のことを述べている。野党社会民主党と緑
の党もこの法改正を批判している。また与党内部からも、この批判
に理解を示す者もいる。




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