4月24日〜30日のドイツのニュース



4月24日(月)

SPDとCDUは今後の基本的な方針をめぐる議論を開始

(ベルリン)二大国民政党である社会民主党とキリスト教民主同盟は、今後の基本
方針をめぐる新計画で、お互いに自らの立場ををよりはっきりさせる方針である。
次期社民党党首クルト ベックはベルリンで、議論の叩き台となる基本方針に関す
る文書を提出した。その中でベックは、自分は連帯感のある国家を支持している
が、国民が自らの責任をより多く果たすことにも賛成している、と述べた。これに
関連してかれは、国家の税収増を求める、と強調した。キリスト教民主同盟の側
も、新たな計画を準備している。それに向けて、事務長ローナルト ポーファラが
議長を務める委員会を設置した。ポーファラは政治のいくつかの部門から、国が手
を引くことに賛成である、と述べた。

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ガブリエルは世界各地の原発を廃止するよう求める

(ベルリン)連邦環境大臣ガブリエルは、チェルノブイリの大事故
20周年をきっかけにして、世界各地の原子力発電所を廃止するよ
うに求めた。原発廃止こそが、チェルノブイリの大事故から学ぶ教
訓でなければならない、とベルリンで開かれたチェルノブイリ会議
で述べた。一方キリスト教民主同盟所属のヘッセン州首相コッホは
この発言を批判した。この議題をめぐる会議がキエフでも開かれた
が、その席上ウクライナ大統領ユシュチェンコは、放射能を浴びた
地域の再建のために、財政的な支援を行なうように世界各国に求め
た。ウクライナの原発チェルノブイリでは1986年4月26日に、反
応炉のある一画が爆発し、その際放出された放射能の雲が、ヨーロ
ッパの広い地域を汚染した。死者の数は、9千人から10万人近くま
で、集計によってさまざまである。

メルケルはインドへの投資を呼びかける

(ハノーファー)連邦首相メルケルは、ドイツの企業に対して、イ
ンドへの投資を増やすように呼びかけた。インドは大きな可能性を
持つ国である、と開幕したばかりのハノーファー見本市を見て回っ
た後に述べた。これより前にインド首相シンは、ドイツ企業をイン
ドへの投資を行なうように呼びかけていた。インドは今年、世界最
大の工業見本市であるこの催しの共同主催国となっている。ハノー
ファーでは金曜日までに66カ国の約5千2百の出展者が、製品や業
績の展示を行なう。シンはその間、ベルリンで連邦大統領ケーラー
と会談を行なった。

ヴィークツォレック・ツォイルはボリヴィア訪問に肯定的な評価

(ベルリン)発展支援大臣ヴィークツォレック・ツォイルは、ボリ
ヴィア政府が同国の貧困と堅い決意をもって戦っていることに、楽
観的な姿勢を示した。彼女はボリヴィア訪問お最後にドイッチェ・
ヴェレに対して、貧困撲滅の政策は、ドイツ政府から支持を受け
る、と述べた。彼女はボリヴィア政府に対して、同国の地下資源を
貧困との戦いのためにより積極的に投入するように求めた。豊かな
天然資源、特に天然ガスは、貧しい人のために今までよりも積極的
に活用しなければならない、とも述べた。




4月25日(火)

エジプトでの襲撃事件で10件の逮捕

(カイロ)シナイ半島南部にあるエジプトの海水浴場ダハブでのテロ攻撃から1
日、警察は10人を逮捕した、と発表した。犯行を裏づける有力な手がかりはな
く、今までのところ犯行を行なったと発表したものはいない、と通信員は伝えてき
ている。
ダハブへの通行は遮断された。警察はすべてのエジプトの港および空港での安全確
保の対策を強化している。月曜日夜に起きた3件の爆弾攻撃で、少なくとも23人が
死亡した。中には10歳のドイツ人の少年も含まれている。約百人の負傷者の中に
は、この子の母親と、彼女と生活を共にしている人も含まれている。

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エジプト攻撃以前に警告

(ベルリン)エジプトの保養地ダハブで爆弾攻撃が行なわれてか
ら、外務省は同国へ旅行する際にはより注意をするように呼びかけ
た。カイロのドイツ大使館は、現地に留まっているドイツ人の世話
をするために、7人からなる対策班をダハブに派遣した。大きな旅
行企画会社は無料で予約の変更を行なっており、当面シナイ半島へ
の旅行全体を中止した。攻撃が行なわれた時、約3百人のドイツ人
が現地にいた。ベルリンでは連邦首相メルケルと外相シュタインマ
イアーが、この攻撃は人間を軽視している、と非難した。

EU委員会はEON社のエンデサ社への価格呈示を承認

(ブリュッセル)EU委員会はドイツの大企業Eon社からのスペイ
ンの電力供給会社エンデサ社買収の巨額の提案を、付帯条件なしで
承認した。Eon社による市場独占の危険はない、と承認の理由を同
委員会は発表した。Eon社は約300億オイロをエンデサ社に呈示
し、世界規模で活動する電力会社買収に名乗りを上げる意向を示し
ていた。スペイン政府はEon社の買収計画を適切でない、と拒否し
ている。

EUは鳥インフルエンザで支援

(ルクセンブルク)EUは、鳥インフルエンザで損害を受けたEU内
の鳥飼育業者を財政的に支援する。ルクセンブルクで開かれたEU
農相会談で決定された。それによれば、鳥肉と卵の販売量の減少と
値下がりを穴埋めするために、各国が行なっている支援の半分を、
EUの財源から支援することになっている。連邦政府の情報によれ
ば、ドイツでは鳥インフルエンザ発生後、鳥肉市場は約2割落ち込
んだ、とのことである。




4月26日(水)

メルケルはトムスク到着 プーチンは西側のエネルギー政策に不満

(トムスク)ドイツ首相アンゲラ メルケルとロシア大統領ウラジミール プーチ
ンは、シベリアのトムスクで会談し、問題となっているエネルギー輸出問題につい
ても話し合った。ただし8回目となる独露首脳協議の最初会談後には、両首脳は詳
細については語ろうとしなかった。プーチンは「極めて中身の濃い会談であった」
とだけ述べた。これより前に彼は、ロシアの巨大企業がヨーロッパのエネルギー市
場で「不公平な」取り扱いを受け、軽視されている、との不満を述べていた。
エネルギー供給の他、イランとの核をめぐる対立、急進派ハマースによるパレスチ
ナ新政府の問題が、今回のメルケルとプーチンの会談の中心議題に含まれている可
能性が高い。

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数万人がチェルノブイリ事故の記憶を新たに

(キエフ)旧ソ連の各地だけでなく他の多くの国々でも、20年前
に起きたチェルノブイリの原子炉事故を数万人の人々が思い出し
た。ウクライナ大統領ユシュチェンコは、チェルノブイリを訪問
し、数え消えれないほどの放射線の被害者のその後の命運について
思い起こさせた。また彼は国民に対して、大事件後の20年を前向
きに考えるように呼びかけた。ベラルーシの首都ミンスクでは、約
1万人がチェルノブイリデモを行ない、独裁的な大統領ルカシェン
コの政治にも批判を行なっている。1986年4月26日に起きたチェ
ルノブイリの原子炉部分の爆発は、原子力発電の歴史の中で最大の
事故であった。

エジプトの海水浴場攻撃事件で新たな逮捕者

(カイロ)エジプトの海水浴場ダハブが攻撃を受けてから2日、治
安部隊はさらに30人を逮捕した。この多くはシナイ半島のベドウ
ィンである、と内務省は発表していた。火曜日には既に容疑者10
人が逮捕されていた。月曜日夜に発生し、18人が死亡したとされ
るこの爆弾攻撃を行なった、と発表したものは今のところいない。
政府の新聞「エル アハラム」は、3件の攻撃すべてが自殺攻撃で
あった、と報じられている。シナイ半島では2件の自殺攻撃が行な
われたが、犯人以外に死傷者は発生しなかった。

国連はコンゴのEU和平作戦を承認

(ニュー ヨーク)国連安保理は、コンゴ民主共和国へのEU和平
部隊投入を委託した。10ヶ国の1千5百人の兵士がドイツの指揮下
で、中央アフリカのの同国で初めて行なわれる自由選挙の安全確保
を手助けすることになっている。独国防相ユングによれば、ドイツ
兵5百人の派遣先は、首都キンシャサに限定される。自由党会派の
安保問題の専門家ホムベルガーは、今回の作戦に基本計画が欠けて
いることから「悲惨」なものになると批判し、コンゴの治安情勢が
選挙後に悪化する場合には、何が起こるのか全く不明である、と述
べた。内閣と連邦議会は5月にこの派兵について投票を行なうこと
になっている。




4月27日(木)

独露政府間協議は終了

(モスクワ)ドイツとロシアは、経済協力をさらに拡大していく方針である。シベ
リアの都市トムスクで2日間にわたって行なわれた政府協議の最後に、ドイツ首相
アンゲラ メルケルとロシア大統領ウラジミール プーチンが出席して、いくつか
の経済協定に署名が行なわれた。これにより、ロシアの巨大ガス会社ガスプロム社
は、ドイツのBASF社を西シベリアのガス田開発に参加させることになっている。
代わりにガスプロム社はドイツのガス販売会社ヴィンガス社への出資を増額する。
首相メルケルは会談終了時点で、エネルギー供給問題を中心として、意見の相違が
あったことを認めたが、ドイツとロシアが信頼できる協力関係を築いていると強調
もした。

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ドイツは1.8%の成長をするとの予想

(ベルリン)ドイツ経済は、輸出が好調であるため、過去数年には
なかったほどの成長を遂げる。主要経済研究所6カ所がベルリンで
発表した春の所見からは、このようなことが明らかになっている。
専門家は今年は1.8%の経済成長を予想している。秋の時点では経
済研究所はわずか1.2%の成長を予想していた。経済学者の予想に
よれば、ドイツは4年ぶりにEUのオイロ安定法案の基準を守ること
ができる。

4月の失業者の数は大幅に減少

(ニュルンベルク)今月のドイツの失業者数は再び減少した。連邦
労働仲介所は、4月には479万人が失業していた、と発表した。求
職者の数は、3月と比べると18万7千人、昨年4月と比べると26万
2千人減少した。連邦労働仲介所役員会長ヴァイゼは、春の景気活
性化は、冬が長引いたために遅れており、経済性弔意が上向きであ
るにもかかわらず、景気の傾向が変化した、とはまだ言えない、と
述べた。

ベラルーシ野党の指導者は15日間の拘留

(ミンスク)無許可の集会に参加したとの理由で、ベラルーシの野
党の指導者ミリンケヴィッチは、15日間の拘留の有罪判決を受け
た。首都ミンスクの法廷でミリンケヴィッチは、この判決は政治的
な事件であって、独裁体制ではよくあることだ、取り上げられた水
曜日夜のデモは、完全に許可されていた、と述べた。EUおよびEU
委員会ならびにドイツの各政党の代表は、ミリンケヴィッチとその
他のや党指導者の逮捕を非難し、ベラルーシ政府に対して、逮捕さ
れた野党指導者を即時釈放するように求めていた。




4月28日(金)

IAEAの報告書「イランは安保理の要請を無視」

(ウィーン)イランは、国連安全保障理事会が設定したウラン濃縮中止期限を無視
し、逆に核をめぐる活動を加速さえした。国連事務総長コフィ アナンに提出され
た国際原発機構の報告書には、このような見方が記されている。国連安全保障理事
会はイランに対し、クラン濃縮を中止し、核計画が純粋に民事目的に限定されてい
ることを示すために、金曜日までの時間を設定していた。イラン大統領マハムード
 アフマディネジャドはこの直前に、いかなる譲歩も拒否していた。米国大統領ジ
ョージ W. ブッシュは、イランのこの頑固な態度は受け入れられないと述べたが、
今後外交的な解決を目指して努力する方針である。ドイツ外務大臣フランク・ヴァ
ルター シュタインマイアーは、イラン政府に対して改めて妥協するように求め
た。

     その他のニュース

連邦政府は景気予想を上方修正

(ベルリン)連邦政府は、輸出が好調で、引き続き国内需要が楽観
視できるため、経済成長を年頭の時点よりも楽観視している。連邦
政府は今年の経済成長予想を1.4%から1.6%に引き上げた。経済研
究所同様連邦政府も、不景気の局面は過ぎたと見ている、と経済大
臣グロースは述べた。失業者の数が多い点があいかわらず不安の種
である。労働市場の状況改善は期待していたほどはっきりしたもの
ではない、とグロースは語った。また彼は、2007年の成長は、付
加価値税増税計画によって、ふたたびはっきりと減速する、と認め
た。

シラクはパレスチナ人支援のために世界銀行基金を提案

(パリ)パレスチナ政府に対する財政支援を停止していることをめ
ぐる対立で、フランス大統領シラクは妥協案を提案した。シラクは
パレスチナ大統領アッバスとパリで会談した後、世界銀行の特別基
金を作れば、自治区の職員16万人の給与の支払いが確保できる、
と述べた。EU委員会は、現在自らがとっている態度とこのような
解決策は矛盾しない、と述べた。アッバスも賛成した。急進派イス
ラームのハマースが政権を引き継いでから、EUと米国は自治区当
局に対する支払いを凍結した。

米国政府は反テロの戦いでのドイツの協力を賞賛

(ワシントン)米国政府は反テロの戦いでの協同作業で、ドイツを
賞賛した。ドイツの法律による制約が生じる事例もあるとはいえ、
この協力は極めて密接なものである、と米外務省は世界各地のテロ
組織に関する新たな年次報告書で述べている。これによれば、昨年
世界各地で約1万1千の攻撃があり、1万4千6百人が死亡した。攻
撃の約3分の1はイラクで起きている。イランは国際テロ組織へ最
大の資金提供者である、と名指されている。この要注意組織一覧表
には、あいかわらずキューバ、リビア、北朝鮮、スーダン、シリア
が載っている。




4月30日(日)

ユダヤ人評議会議長シュピーゲルは68歳で死亡

(ベルリン)ドイツユダヤ人中央評議会議長パオル シュピーゲルは、68歳で死
亡した。彼はデュッセルドルフの病院で心筋梗塞の後遺症で死亡した。学識ある記
者である彼は、6年以上にわたりユダヤ人中央評議会の最高位にあった。連邦首相
アンゲラ メルケルは、この報道に衝撃を受け、シュピーゲルはドイツのユダヤ人
社会の未来のために、全力で取り組んでいた、とベルリンで述べた。各政党、教
会、その他の組織の代表も、ホロコーストの生存者である彼のずばぬけた人格を賞
賛した。
シュピーゲルを失うことで、ユダヤ教とドイツの民主主義は重要な柱を失った、と
多くの声明が一致して述べている。

     その他のニュース

WASGの州連合は今後も左派党に反対する方針

(ルートヴィヒスハーフェン)「労働と社会的公正を求めるもう一
つの投票の選択」WASGの内部では、2007年に予定されている左
派党との合併をめぐる対立が続いている。WASGのベルリン連合と
メクレンブルク・フォアポメルン連合は、土曜日に発表された連邦
同党の合併の決定に、反対し続ける方針である。ルートヴィヒスハ
ーフェンで行なわれたWASGの連邦党大会で、これら連合の代表者
がこのように強調した。さらにWASGの幹部3人が、党は緊急の際
には離反したベルリン連合に対する管理的な手段をも行使するつも
りであるとして、辞任を発表した。左派党は既にハレで開かれた党
大会で、WASGとの合併に一致して賛成している。連邦議会の左派
党の会派長ギーズィは、WASGに対して対等合併である、と約束し
た。

EUは企業移転に対する補助金をこれ以上支払わない方針

(ベルリン)EUは、これ以上組織基金から補助金を支払って、EU
内部へ大企業の移転を促進するのを止める方針である。水曜日にブ
リュッセルで開かれる会議で、これに関する決定を下すことになっ
ている、と経済省がベルリンで「ヴェルト アム ゾンターク」紙
に認めた。これによりEU内部へ大きな事業と多数の雇用をもたら
す企業は、2007年1月1日から、EUから資金を受け取ることがで
きなくなる。これはEUが経済大臣グロースの提案に従ったことに
なる。この制度がきっかけとなって、スウェーデンのエレクトロル
クス社が、ニュルンベルクのAEG社の期間工場を閉鎖し、洗濯機と
食器洗い機の製造を国外に移す、との発表を行なっていた。

EUが設定したムラジッチの逮捕期限が過ぎる

(ベオグラード)戦争犯罪者として行方が追求されているムラジッ
チを近々引き渡すとの兆候もなく、EUがセルビア政府に課した期
限が過ぎた。EUはセルビアに対して4月末までに、ムラジッチを引
き渡すようにとの猶予を与えていた。これが守られない場合には、
EU加盟協定に関する話し合いを中止することになっている。EUと
の話し合い中止が短期間で終わることを望んでいる、とセルビア政
府代表は述べた。次回の話し合いは5月11日に計画されている。話
し合いが行なわれるかどうかは、EU拡大委員レーンが国連戦争犯
罪者法廷主席訴訟人デル ポンテと会談を行なった後に決定する方
針である。




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