5月8日〜14日のオーストリアのニュース



5月8日(月)

     国外ニュース

ムサウィは犯行の告白を取り消す方針

2001年9月11日の米国攻撃で役割を果たしたため、非難されてい
るフランス人ザカリアス ムサウイは、犯行の告白を取り消す方針
である。37歳のモロッコ系の彼は昨日、法廷に提出する宣誓口供
書のなかでこれを申請した。その中でかれは、米国攻撃に関連して
陰謀に荷担した責任があるとの告白は虚偽であった、と述べた。彼
は昨年春、国選弁護人の助言に反して、有罪であることを表明した
のは、米国の法制度について精確な知識を持っていなかったためで
あるが、今では自分は公正な裁判を受ける可能性を持ち、この攻撃
には無関係であったことを証明する可能性があることを知ってい
る、と述べた。この攻撃に関連する被告の中で彼はただ一人、先週
無期懲役の判決を受けていた。彼は攻撃の3週間前に逮捕されてい
た。

     国内ニュース

金属産業労組では世代交代

金属産業労働組合はより大きくなり、そして新たな会長を持つ。ウ
ィーンのオーストリア センターで開かれたろう同組合大会で、伝
説的な会長ルードルフ ニュルンベルガーが、18年の任期を終え
辞任し、今まで中央事務長を務めていたエーリヒ フォークラーに
席を譲った。また金属産業労働組合と、農業・食料・飲食業労働組
合との合併が、出席者によって承認された。この合併で金属産業労
組は組合員23万5千人となり、公勤務労働組合を追い抜いて、自営
業労働組合に続いて、オーストリア労働組合連合のなかで2番目に
大きな労働組合となる。新たな名称は金属・繊維・食料労働組合、
略称GMTNとなる。今後も拠点はウィーン4区のプレスルガッセに
置かれる。




5月9日(火)

     国外ニュース

米国にはハマースに対する譲歩の用意がある

近東四極によるパレスチナ人に対する財政支援をめぐる交渉では、
米国には譲歩する準備がある。西側外交筋によれば、米国は急進的
なハマースに率いられた政府を財政的な破綻から救うための対策を
取ることに賛成する可能性がある、とのことである。ニュー ヨー
クでは、たとえば官庁で働くものの給料支払いを可能にするために
期限つきで国際的な組織を作ることに、米国も賛成する可能性があ
る、と見られている。ハマース政府で働く者たちは2カ月前から賃
金を受け取っていない。「米国は譲歩の姿勢を示している。アラブ
の外相は、パレスチナ政府が崩壊することがあれば、内戦が起きる
可能性があると明言し」交渉はまだ静かな段階にある、と匿名のあ
る外交官は述べた。

     国内ニュース

ローパトカは国民評議会選挙の早期実施に反対

未来同盟党首イエルク ハイダーは、国民評議会選挙を9月へ前倒
しして行なうように求めているが、国民党事務長ラインホルト ロ
ーパトカは、これを拒否した。「我々は11月26日の法律で定めら
れた期日に行なう」と述べた。ハイダーが9月実施を求めたのは好
天を期待してのことで、いずれにせよ夏には選挙戦を行なわないこ
とは決定ずみである、とローパトカは述べた。また彼は労働と経済
銀行BAWAG疑惑に関連して、緑の党を批判し、緑の党党首アレク
サンダー ファン デア ベレンの首相ウォルフガング シュッセ
ルに対する攻撃は「全く事実に基づかない」と述べた。またこの事
件をきっかけに、国民党が社会民主党に対する戦略を変更する必要
はない、とも述べた。国民党は次回の任期中には、被雇用者と経済
界の負担を目に見えて軽減する方針である、とも語った。




5月10日(水)

     国外ニュース

ブッシュは弟ジェブを後継者に推薦

米大統領ジョージ W. ブッシュは、弟ジェブ ブッシュを後継大統
領に推薦した。昨日フロリダを訪問したブッシュは、現在フロリダ
州知事を務めるジェブは「優れた知事」であり「ずば抜けた指導力
を持つ人物」で、「すばらしい大統領」になる、と述べたと「セン
ト ピータースバーグ新聞」は伝えている。同紙によれば、ブッシ
ュ(59歳)は、弟(53歳)の意向を粘り強く聞こうとしたが、は
っきりした答えは得られていないが、彼自身決定を下していないの
だと思う、とも述べた。彼の任期は2009年の始めで切れるため、
後継候補は2008年11月に選ばれる。ジェブ ブッシュのフロリダ
州知事の任期は2007年1月で終わるが、彼自身は何度も大統領に
なるつもりはない、と述べていた。彼らの父元大統領ジョージ ブ
ッシュは、ジェブが大統領選挙戦にでることに賛成である、とすで
に表明している。

     国内ニュース

グラサーは未来同盟筆頭候補になるとの報道を否定

「クライネ新聞」は連邦首相ウォルフガング シュッセル(国民
党)が、大蔵大臣カール・ハインツ グラサーを、未来同盟党首イ
エルク ハイダーに、国民評議会議員選挙の筆頭候補として「貸し
出す」と推測したが、これが昨日午後混乱を巻き起こした。グラサ
ーはこの報道を即座に否定させた。「全く意味がないし、単なるこ
じつけであり、考えることもできない」とグラサー事務所の所長マ
ティアス ウィンクラーはAPA通信に述べた。ハイダーも現在は政
党に所属していないグラサーを筆頭候補にすることを否定した。
「まったく馬鹿げたことだ。彼は未来同盟の筆頭候補では断じてな
い」と彼の広報は述べた。




5月11日(木)

     国外ニュース

米国の電話通話はすべて盗聴の対象になる模様

新聞報道によれば、米国内で行なわれるすべての電話通話の通話情
報が、米国秘密情報部である国内安全保障局NSAの盗聴の対象にな
る。同局は、国内の多くの電話通話を記録し、三大電話会社と協力
して数十億回の通話を保存する情報保管庫を作った、と「USAトゥ
デイ」紙が報じた。これは同紙が直接この計画について知り得た情
報に基づいているが、それ以上の詳細については挙げられていな
い。大統領ジョージ W. ブッシュは、この盗聴計画によって圧力を
受けているが、政府はこの計画を擁護している。一方法務省は、こ
の盗聴計画について調査を開始した。

     国内ニュース

EU・ラテンアメリカ首脳会議始まる

EUとラテンアメリカ、カリブ海諸国の首脳が、ウィーンで今日か
ら会議を行なう。あわせて62の参加国は、経済および政治問題
で、より密接な協力を行なうことで合意した。外務大臣の間ではす
でに、声明の文言で合意が成り立っている。この声明は首脳会談で
決定されることになっている。EU評議会議長で外務大臣のウルスラ
 プラスニク(国民党)は午後の記者会見で、「私たちが航海して
行く上で望ましい新鮮な風を呼び込むのに役立つような兆し」が現
れた声明で、これに関して「完全な合意」が成立している、と評価
した。メキシコ外務大臣ルイス エルネスト デルベスは、国連改
革や麻薬問題等の微妙な問題も、議論に取り上げられた、と述べ
た。EU外務委員ベニータ フェレーロ・ワルトナーは、区域内の
連携問題に関連して、「二ヶ国間交渉の手法」を選択肢として利用
することに反対した。




5月12日(金)

     国外ニュース

世論調査ではブッシュの支持は新たな最低を記録

米国大統領ジョージ W. ブッシュの職務遂行に対する賛成の声は、
最低を更新した。質問を受けた米国人の29%だけが、ブッシュは職
務をうまくあるいは極めてうまく遂行している、との意見を持って
いる、とネット版「ウォール ストリート ジャーナル」が昨日報
じた。4月にはまだ35%がブッシュに対して肯定的な意見を述べて
いた。不満を持つ人は増えており、この世論調査によれば、調査を
受けた1千人のうち71%が、ブッシュの仕事ぶりをほどほど、ある
いは拙劣である、と判断した。4月にはこの数字は63%であった。

     国内ニュース

BAWAG事件で労組は身を削らない方針

オーストリア労働組合連合は、打撃を受けた労働と経済銀行
BAWAGを存続させるために、犠牲を払うつもりはない、と同労組
会長ルードルフ フンツトルファーは「クリール」紙のインタヴュ
ーで述べた。「私たちは、銀行が米国から受けた損失に対して犠牲
を払うことはない。この問題に関係はないし、この種の賠償責任義
務を果たすとなると、労組連合はただちに破産する」と彼は述べ
た。同銀行元頭取ヘルムート エルスナーは銀行の問題に対する批
判を向ける相手が間違っている、と発言していたが、これについて
フンツトルファーは、間違う余地はない、「誰が銀行の経営をして
いたのかを問うだけで十分だ」と述べた。




5月13日(土)

     国外ニュース

フランスでは市民権獲得条件改正に対する抗議

昨日フランスでは数千人の人々が、市民権獲得の条件の強化に反対
するデモを行なった。パリでは、主催者の発表で3万5千人、警察
の発表では1万1,200人が、マルセイユでは約1千人がデモを行な
った。左派の野党は、内務大臣ニコラス サルコジは、大統領選挙
1年前に外国人の権利を制約することで、急進右派の票を獲得しよ
うとしている、と批判した。国民会議派一部はすでに承認されてい
るこの法律を、火曜日に採決することになっていりう。この法案
は、アフリカからの特殊技能を持たない移民の入国を抑え込み、同
時に専門家と能力ある人にフランスへの扉を開くものである。新規
定は、技能を持つ人向けの一種の労働許可書と、外国人学生に対す
る入国簡素化措置を含んでいる。違法滞在であっても10年間フラ
ンスに滞在すると、自動的に市民権が獲得できるとの条項は廃止さ
れる。フランス人と結婚した外国人は、今後は結婚後3年過ぎてよ
うやく10年間の滞在権が得られることになる。

     国内ニュース

「融和の意志を持つイスラーム教徒」はプロコプ

内務大臣プロコプ(国民党)の発言が高波を巻き起こしている。オ
ーストリアで暮らすイスラーム教徒の45%は、社会に溶け込む意志
がない、と彼女は内務省の未公開の調査結果を引用して述べた。彼
女は、対話の道を探り、融和基金を上積みするつもりであるが、同
時に彼女はこれは「時限爆弾」である、とも述べた。野党は彼女
を、イスラーム教徒を一つにまとめて侮辱している、と非難した。
イスラーム教徒の代表は、この言葉の選択に驚いた、と述べた。




5月14日(日)

     国外ニュース

EU外相会議でイランとの核対立で態度を協議

イランとの核をめぐる対立とパレスチナ人支援に関して、EUがど
のような態度を取るかが、月曜日にブリュッセルで行なわれるEU
外相会談の主容議題となる。イラン政府に対して、EUは今後も断
固原発は平和的利用にのみ限定し、これに関する計画に関してはイ
ランを支援する方針である。ハマースが主導するパレスチナ政府に
対する資金が停止したため、EUは貧窮に陥っている住民を直接支
援する方針である。これと並行して行なわれているEU国防相会議
では、コンゴに対する軍派遣も話し合われているが、まだその規模
は確定していない。

     国内ニュース

プロコプのイスラーム教徒に対する発言の波紋

内務大臣リーゼ プロコプ(国民党)は、オーストリアに溶け込ん
でいない人々は、オーストリアに何も期待していない、と述べた
が、イスラーム教信仰共同体会長アナス シャクフェフはこの発言
を批判して「まったく役に立たない」と述べた。このような要職に
ある政治家は、もっと慎重に行動すべきであって、このような意見
を自分に都合よく利用するさまざまな組織がある、とシャクフェフ
は「プレッセ」紙のインタヴューで述べた。また彼は、オーストリ
アのイスラーム教徒の45%は社会に溶け込む気がない、と発言した
ことに関して、納得できない、この調査を行なった人がどのような
基準を立てていたのか、疑問に思う、と述べた。プロコプの発言は
無責任で、専門家的ではない、とも語った。




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