6月5日〜11日のオーストリアのニュース



6月5日(月)

     国外ニュース

メルケルはシラクとEU首脳会談の準備

ドイツ首相アンゲラ メルケル(キリスト教民主同盟)は火曜日、
フランス大統領ジャック シラクとベルリンの北にあるラインスベ
ルクで、来週ブリュッセルで行なわれるEU首脳会談の準備を行な
う。今回の非公式独仏協議では、イランの核をめぐる対立、間近に
迫ったコンゴへのEU軍の派遣、EU憲法の今後の取り扱いを中津に
話し合いが行なわれることになっている。この会談には両国の外務
大臣フランク・ヴァルター シュタインマイアーとフィリップ ド
ゥスト・ブラジーも出席する。オーストリアが議長を務めるEU首
脳会談は、6月15日に行なわれる。独仏政府は密接な意見調整を行
なって、EU加盟25カ国の出席する首脳会談の準備を行なうのが恒
例となっている。

     国内ニュース

緑の党は選挙後の計画を協議

緑の党は火曜と水曜にウィーンで連邦同党の会議を行ない、経済お
よび税金に関する政策、平等の取り扱い、食糧問題、農業、芸術、
報道に関する「将来の計画」を協議し、発表する。彼らが見すえて
いるのは、選挙戦と秋に行なわれる国民評議会選挙の先である。こ
の計画は、次の任期に関するものである、と連邦同党代表アレクサ
ンダー ファン デア ベレンは述べた。「未来のための緑」はリ
ンツ通りのオイローパハウスでの会議の標語でもある。参加者は、
緑の党所属の国会議員、EU議会議員、各州議会議員、および州と
教育関連の代表者である。火曜日にはファン デア ベレンが基調
演説を行ない、午後には「誰をも除外しない」「すべてが生態系」
「緑の成長」「干渉ではなく自由」という計画について議論が行な
われる。水曜日にはこれらについて発表が行なわれることになって
いる。




6月6日(火)

     国外ニュース

カナダ首相ハーパー暗殺は未然に阻止か?

カナダで逮捕された17人のテロの容疑者の1人は、カナダ首相ステ
ィーヴン ハーパーの暗殺を計画していた、とのことである。25
歳のチャンドの弁護士はトロント郊外のブランプトンで容疑者と初
めて面会し、彼はカナダ首相の区部を切り落とすつもりであったと
述べた、と発表した。また検察は彼の依頼人とその他の容疑者は、
イスラーム教徒の逮捕者を釈放し、カナダ軍をアフガニスタンから
撤退させるために、国会で人質を取る計画を立てていたほか、爆弾
攻撃を計画していた容疑を持っている、とも弁護士は述べた。週末
に逮捕された17人は、2001年9月11日以降で最大の反テロの動員
で逮捕された。うち5人が少数民族である。若者に対する容疑に関
しては、年齢を考慮して何も公表されていない。成人12人はテロ
組織に直接間接に協力した、との容疑を持たれている。うち6人が
爆弾攻撃を計画していた、とされる。

     国内ニュース

2000年のPISA調査ではオーストリア生徒の学力を過大評価か?

教育省は経済開発協力機構OECDの教育比較調査PISAの結果を、
さらに綿密に検討するように委託していたが、統計の専門家は、オ
ーストリアの生徒たちは読解力と数学の分野では2000年と2003
年の間で、はなはだしく成績が下降したわけではない、と発表し
た。この原因は、2000年の成績は過大評価されており、この時点
で既に予想より悪い成績であった、とオーストリア統計局は昨日の
記者向け発表で述べた。これに対して自然科学分野では、おそらく
予想していたほどではないにせよ、成績の下降が起きていたようで
ある、とのことである。読解力では当初の10位ではなく18位
(2003年は19位)、数学では11位ではなく15位(同15位)とな
る。




6月7日(水)

     国外ニュース

米国と国連の間で激しいやりとり

米国政府と国連首脳部の間で激しいやりとりが行なわれた。米国の
国連大使ジョン ボルトンは国連事務総長コフィ アナンに対し昨
日、事務総長代理マーク ブラウンに規則を守るように命じるよう
に要請した。アナンはこれを拒否した。アナンの広報は、「事務総
長は彼の代理の声明を支持しており、積極的な方針でも意見が一致
している。何らかの対策を代理に対してとることは、そもそも話題
にも上っていない」と述べた。ブラウンは英国人で、米国政府は国
連をずっと自国の目標実現の手段として利用してきたし、批判に答
えることもなかったが、これは不正なことである、と非難した。ま
た彼は、フォックス ニューズ等の米国の保守的な報道社の国連に
関する報道も批判した。

     国内ニュース

社民党は入籍しない生活共同体を高く評価する意向

社会民主党は、入籍しない生活共同体を高く評価する方針である。
入籍しないまま生活共同体に入ると公言する人は、お互いの遺産相
続の際に税の軽減措置が受けられるが、ただし離別する時には、扶
養の義務が課される可能性も出てくる。社会民主党の法務計画第3
部にはこのような内容が含まれている、と同党の司法の専門家ハネ
ス ヤロリムが要約して「プレッセ」紙に述べた。彼は次期政権に
社会民主党が参加することになった場合に、第一歩として、既に議
会に持ち込まれている同性愛者向けの同居人制度を実施に移す方針
である。これは、結婚と同等の権限を認める、という内容である。
次の段階では、結婚証明書を持たない異性同居人が、お互いの権利
と義務を規定する可能性を持つことになる。




6月8日(木)

     国外ニュース

パレスチナ人民兵の指揮官が死亡した模様

パレスチナ側の情報によれば、パレスチナ人急進派ジャマル アブ
 サムハダナは、昨日のイスラエル軍の空爆で死亡した。サムハダ
ナは、イスラエルが重点的に行方を追求しているパレスチナ人急進
派の一覧表の第2位で、イスラエルに対する多くのミサイル攻撃の
黒幕である、と目されている。彼は4月にパレスチナ内務省の総責
任者に指名されていた。彼はこれによって、ハマース政府が設置し
た武装組織の隊員からなる治安部局を創設したことになる。イスラ
エルはサムハダナに対して断固たる措置を取る、と予告していた。
一方パレスチナ大統領マハムード アッバスは、パレスチナ人に対
して、近東で2つの国家を認めることによる解決をめぐる国民投票
を7月31日に行なう方針である。また彼はハマースに対する回答期
限を再び延期して、週末までとし、ハマースがイスラエルを承認す
る最後の機会を与えることにした。

     国内ニュース

ハイダーの尾行問題で未来同盟は自由党を訴える方針

ケルンテン州首相イエルク ハイダー(未来同盟)に対するスパイ
活動疑惑で、未来同盟党首代理マルティン シュトルツは昨日、法
的手段を取るように検討させる、と予告し、自由党党首カール・ハ
インツ クレメントは辞任すべきである、と述べた。この事件は、
自由党がハイダーの弁護士を尾行するように依頼していた、とされ
るものである。このスパイ活動疑惑では矛盾する証言が出ている。
偽造署名と自由党内部の対立の可能性が問題となっている。私立探
偵を依頼した両者のうち一方は、自由党によって事件に関与させら
れなかった。「ニューズ」誌によれば、自由党幹部は私立探偵にハ
イダーを尾行するように依頼していた。自由党幹部のクレメントは
別の私立探偵に依頼していたことを認めた。




6月9日(金)

     国外ニュース

ポーランドの同性愛者は権利を求めてデモ

ポーランドの同性愛者は、ワルシャワの中心部で土曜日に、権利と
さらなる寛容な姿勢を求めてデモを行なう。彼らは既にわずかでは
あるが成果を上げた。「平等を求める行進」は今年から適法なもの
となったからである。過去には当時のワルシャワ市長で大統領であ
ったレフ カチンスキが許可を与えなかった。西ヨーロッパの政治
家も、ワルシャワを訪問する、と予告していた。中でも緑の党党首
のクラオディア ロートと同僚フォルカー ベックはデモに参加す
る意向である。ベックは5月末に、モスクワでの同性愛者の無許可
デモに参加し投石を受け、右翼急進派と見られる男に殴られて負傷
していた。

     国内ニュース

社民党ポシュは党がプロコプに「取り入ろうとしている」と非難

社会民主党の人権問題の専門家ワルター ポシュは、同党が内務大
臣リーゼ プロコプ(国民党)に取り入ろうとしている、と非難し
た。彼は外交政策に関して、自分には理解できない方針転換が行な
われている、と述べた。トルコに関する議論は、社会民主党内部で
は「公然と人種差別的に」行なわれている、と彼は「シュタンダル
ト」紙で述べた。この方針転換は、社会民主党が移民法に賛成した
時点で最高潮に達したが、この方針転換は、言語能力に関する今後
の方針の修正を理由として行なわれたが、これは媒体上で優位に立
ち、政治の中道勢力を取り込むために行なわれたもので、社会民主
党は大衆迎合の方向に色気を出している、とポシュは述べた。また
トルコのEU加盟に関する議論は、理性や思慮深さの出番がほとんど
なく、公然と人種差別的に行なわれた、と語った。




6月10日(土)

     国外ニュース

チェコの組閣をめぐる交渉は暗礁に乗り上げる

チェコの現首相イジー パロウベク率いる社会民主党CSSDは、保
守的な民主国民党ODS、キリスト教民主党KDU-CSLおよび緑の党
が行なおうとしている連立政府樹立で、信任投票で敗北に追い込む
決意を固めた。パロウベクは昨日社会民主党の中央委員会のプラハ
での会議後、同党員は連立政府を支持しないように、そして決して
寛大な態度を取らないように義務づける文書に署名した、と述べ
た。また同党副党首ボフスラフ ソボトカは、これは民主国民党の
トポラネクが、組閣をする時に何らかの支援を得られるとの幻想を
抱かないようにするためのものである、と述べた。トポラネクが組
閣した内閣は200議席の下院の内、わずか100議席しか持っておら
ず、社会民主党の支持が必要である。トポラネクは共産党からの支
持を期待していない。社会民主党と共産党が下院ではその他の100
議席を有している。

     国内ニュース

オーストリア労組連合はBAWAGの負債15億オイロを引き受ける

労働と経済銀行事件は、オーストリア労働組合連合にとって、底の
ない樽のようなものとなった。木曜日に同労組連合元財政部長ウェ
ーニンガーは、労働と経済銀行の負債数億オイロを昨年秋に労組連
合に付け替えたと発表したが、それよりはるかに大きな借金のや間
があることが判明した。労働とと経済銀行と郵便貯蓄金庫P.S.K.が
合併し、同労組は労働と経済銀行の以前の負債総額15億オイロを
引き受けた。現在労組連合は、負債をできるだけ減らすために、銀
行そのものの売却で十分な金額が確保できるかどうかで揺れてい
る。




6月11日(日)

     国外ニュース

ハマースは住民投票計画を採決する方針

ハマースは月曜日の国会の特別会議で、大統領マハムード アッバ
スが計画している、パレスチナ人居住地区での住民投票を阻止する
方針である。アッバスは7月26日に、イスラエルを間接的に承認す
る住民投票を行なう意向である。この住民投票では、イスラエルの
収容所にいるパレスチナ人によって起草された宣言について投票が
行なわれることになっている。この宣言の中では、西ヨルダンラン
ドとガザ帯状地帯にパレスチナ人固有の国家を設立することが含ま
れている。右派急進派は、国会が大統領の命令を無効であると宣言
できるかどうかで、対立している。いずれにせよアッバス案に対す
る反対で、事態は複雑化する。1月の選挙でハマースは国会の多数
派を握っているが、イスラエルの存在権を否定している。アッバス
のファタハ運動は、これよりはるかに穏健である。またイスラエル
軍は日曜午後に改めてガザ帯状地帯を空爆した。ガザでは2人が乗
っていた自動車が破壊された。目撃者によれば、乗っていた人は負
傷せずに逃れた。

     国内ニュース

IAEA管区評議会はイランとの核対立を協議

イランとの核対立を調停する努力が行なわれる最中に、国際原発機
構の管区評議会が月曜日に数日間の会期で行なわれる。同機構の会
議に出席する外交官たちは、イランん問題に関する活発な議論を非
公開で行なうが、公式の決定には至らない、と見ている。また具体
的な対策を取る前に、核対立を平和的に解決するための提案に関し
て、イラン側からの公式の態度表明が出されることが待たれてい
る、とのことである。2月には管区評議会は、イランが秘密裡に核
燃料を保有し、国連安保理にイラン政府が抵抗している、と述べ
て、紛争を激化させていた。イランは、技術的な理由から、数週間
前ウラン濃縮の再開を決定したが、これは挑発ではない、と同機構
のイラン大使アリ アスグハル ソルタニエフは述べた。




今日のニュースへ

過去のニュース(目次)へ inserted by FC2 system