7月10日〜16日のオーストリアのニュース



7月10日(月)

     国外ニュース

EUとイランは核計画をめぐって対話

EUとイランは火曜日、核をめぐる対立を解決する可能性を探っ
て、話し合いを行なう。EU特使ハヴィエル ソラナとイランの主
席交渉役アリ ラリジャニは午前中ブリュッセルで、正式の協議を
行なう。中心となるのは、国連安保理の5ヶ国とドイツが最近申し
入れた提案である。これはイランに経済的および政治的な特典を与
え、ウラン濃縮を断念させようというものである。過去数週間、ソ
ラナとラリジャニは既に個人的に夕食をとって面会していた。EU
はこの非公式会談を、前向きの雰囲気で行なわれたよい出発点であ
る、と評価した。

     国内ニュース

未来同盟は国民党と対立して家族法を修正せず提案

国民党は木曜日の会議でさらに縮小した家族法を閣議に提出すると
いう提案を行なっているが、法務省はこれを受け入れない方針であ
る。国民党会派長ウィルヘルム モルテラーは昨日、この法律で
は、生活共同体の定義を性別と無関係にするための一般条項に至る
まで規定することができる、と私見を述べていた。法務大臣カーリ
ン ガスティンガー(未来同盟)の事務所は、この法律から一般条
項を取り除くことを拒否している。彼女の広報は、家族法を木曜日
の閣議にこれ以上切り詰めることなく提出する、と述べた。閣議で
は全員一致が必要なため、この議題は通らない可能性がある。広報
はそれに対して、後には国民党の理解も得られるだろう、と述べ
た。




7月11日(火)

     国外ニュース

リヒテンシュタインは主権獲得2百年を祝う

首都ファドゥーツの市役所広場での式典で、リヒテンシュタイン侯
国は、主権獲得2百年のお祝いを開始する。午前中には皇太子アロ
イスと国会議長クラオス ヴァンガーが最初の演説を行なうことに
なっている。この式典にはオーストリアから連邦大統領ハインツ 
フィッシャー、スイスから連邦大統領モーリツ ロイエンベルガ
ー、ドイツから参議院議長ペーター ハリー カルステンセンが出
席することになっている。引き続き同国の各地方自治体から、千人
を越える参加者が記念日を祝うことになっている。波乱に富んだ同
国の歴史が、映像の形で示される。ファドゥーツではあわせて2百
メートルのテーブルが設置され、内外の賓客が出席する宴会が行な
われる。リヒテンシュタインは2百年前に、ライン同盟に加盟して
いた。今日では3万5千人近くの住民を抱える立憲侯国となってい
る。

     国内ニュース

村落名標問題でスロヴェニア人は新たな条項を拒否

昨夜、村落名標をめぐる話し合いに一撃が加えられた。ケルンテン
州スロヴェニア人組織中央連合は昨夜、連邦政府が作った公開のた
めの条項案を拒否した。同連合会長マリヤム シュトルムは、これ
をAPA通信に語った。ケルンテン州スロヴェニア陣評議会は、午後
の時点で既にこの提案を非難していた。社会民主党は憲法委員会が
始まる前の今日午前中に、スロヴェニア人が村落名標問題で拒否の
姿勢を示したことを受け、協議を行なう。この成り行きに対する態
度表明は社会民主党からは昨日中には出されなかった。同委員会で
話し合いが行なわれる、との指摘もある。この問題に決着がつくの
は、秋の国民議会選挙後になるだろう、と民族組織諮問委員会議長
のシュトルムは述べた。




7月12日(水)

     国外ニュース

拒否権を持つ大国はイラン問題を安保理に送る

イランの核計画をめぐる対立は、再び国連安全保障理事会に持ち込
まれる。拒否権を持つ五大国とドイツの外相が水曜日、パリで会合
を開き、その後フランス外務大臣フィリップ ドゥスト・ブラジー
は述べた。この会議にはEU外務委員のハヴィエル ソラナも出席し
ていた。ソラナは前日ブリュッセルでイランの主席交渉人アリ ラ
リジャニと会談していた。ソラナの広報によれば、この会談の成り
行きは失望させるものであった。

     国内ニュース

社民党は村落名標問題での妥協を拒否

ケルンテン州で2ヶ国語による村落名標を設置することをめぐって
対立が起きているが、国民評議会選挙以前には、これ以上の妥協は
行なわれない。連邦社会民主党は水曜日、ケルンテン州の党員が抵
抗するにもかかわらず、政府の提案に賛成しない、との決定を下し
た。野党である同党はこれにより、とくに公開規定に対して不満を
抱いているケルンテン州在住のスロヴェニア人の立場を支持したこ
とになる。




7月13日(木)

     国外ニュース

イスラエルはベイルート・ダマスカス間の長距離道路を爆撃

イスラエルの戦闘爆撃機は昨夜、ベイルートとシリアの首都ダマス
カスを結ぶ長距離道路を爆破した。これはレバノンの安全保障担当
筋の情報である。犠牲者が発生したかどうかはまだ発表されていな
い。イラン大統領マハムード アフマディネジャドはイスラエルに
対し、シリアを攻撃しないように警告し、これはイスラーム世界全
体に対する攻撃とみなされ、激しい対抗措置が取られることにな
る、と述べた、とイランのテレヴィ局は伝えている。

     国内ニュース

村落名標問題で話し合いによる解決に向け新たな進展

連立与党、野党社会民主党およびスロヴェニア人代表は木曜日午
後、ケルンテン州の村落名標問題を話し合いで解決するための試み
を開始した。合意に達することができれば、まさに最後の最後に来
て解決できることになる。この問題は金曜日の午前中にも国民評議
会で取り上げられることになっている。信頼できる筋の情報によれ
ば、連立与党が新たな提案をすでに持っている、とのことである。
議論になっているのは主として、公開条項のあり方である。この公
開条項によれば、2010年から既に協定を結んでいる141箇所に加
えて、2カ国語の村落名標を設置することになっている。




7月14日(金)

     国外ニュース

ロシアで初めてのG8首脳会談

世界の大国がロシアの客となる。サンクト ペテルスブルクでの
G8首脳会談は、今日の各国首脳とその配偶者との食事会で始ま
る。主要工業国7カ国とロシアの会談が、ロシア政府によって催さ
れるのは初めてである。その他にEU委員会議長ジョゼ マヌエル
 バローゾも招待されている。この首脳会談は月曜日まで行なわれ
る。本来の作業会議は土曜日から行なわれる。中心となるのは、エ
ネルギーの安定の他、近東情勢、イランおよび北朝鮮の核計画問題
である。G8に出席するのはロシアの他、米国、日本、カナダ、ド
イツ、イタリア、フランス、英国である。月曜日には経済的に成長
を続けている中国、インド、ブラジル、メキシコ、南アフリカも首
脳会談に加わる。

     国内ニュース

BAWAG問題 グラサーはフレットルとヨット航海?

大蔵大臣カール・ハインツ グラサーは投資銀行のウォルフガング
 フレットルと一緒に、ヨットで航海をした、と「シュタンダル
ト」紙は報じている。それによれば、グラサーとフレットルは
2005年8月に休暇の一部をユリウス マインルのヨットで、北ア
ドリア海の沿岸で過ごした、とのことである。またその場には、後
にグラサーと結婚するフィオナ スワロフスキもいた、とのことで
ある。マインルと労働と経済銀行問題に巻き込まれているフレット
ルは80年代初めからの知り合いである。当初否定していた大蔵省
も、会っていたことを確認したが、グラサーはフレットルと友人で
もなければ知り合いでもない、と述べている。社会民主党はグラサ
ーの辞任を要求している。




7月15日(土)

     国外ニュース

ウクライナ大統領ユシュチェンコは選挙実施を否定

ウクライナでは政治的な危機が続いているにもかかわらず、大統領
ヴィクトル ユシュチェンコは、国会議員選挙を前倒しで行なう可
能性を否定した。「国の情勢は選挙を行なうというぜいたくを許さ
ない、」選挙を行なえば「国内の麻痺がさらに悪化し、世界貿易機
関への加入が遅れる」と彼は土曜日のラジオ演説で述べた。ユシュ
チェンコは、対立している政党勢力に対して、7月25日までに権力
争いからの脱出口を見い出すように呼びかけた。この期間後が過ぎ
れば大統領は憲法に基づいて、3月に選ばれた国会を解散し、選挙
を公示することできる。彼の演説は、選挙を行なって現在の政治の
行き詰まりを打破するつもりだろう、との見方を打ち消すものであ
る。ただし彼の政党「私たちのウクライナ」は、選挙の早期実施に
備えている、と発表していた。親西側のユシュチェンコ陣営は、選
挙が行なわれれば票を失う可能性が高い。6月末には「私たちのウ
クライナ」元首相のユリア ティモシェンコの陣営、社会党が連立
政権樹立で合意していたが、その後社会党はユシュチェンコの対立
候補ヤヌーコヴィッチと連立政権で合意した。

     国内ニュース

政府は2000年以降顧問に対して5千万オイロを支出

政府は2000年以降、外部の顧問に対して約5千万オイロを支出し
た、と「ザルツブルク通信」紙が報じた。それによれば最も多くの
顧問料を支払ったのは大蔵大臣カール・ハインツ グラサーで、そ
の額は1,729万オイロである。次に多いのは経済大臣マルティン 
バルテンシュタイン(国民党)の808万オイロ、ついで首相ウォル
フガング シュッセル(国民党)の746万オイロである。最も少な
いのは教育大臣エリサベト ゲーラーの13万5千オイロである。先
に話題になったオーストリア鉄道個人輸送監査役のフレートムント
 マリクのサンクト ガレン経営本部も、基盤整備大臣フーバート
 ゴルバッハ(未来同盟)およびバルテンシュタインと総額12万
5,950オイロの契約を結んでいる。




7月16日(日)

     国外ニュース

イラク北部で自殺攻撃 死者25人

日曜日にはイラク北部ではシーア派を狙った自殺攻撃が発生し、少
なくとも25人が死亡した。警察の情報によれば、トゥス コルマ
ツの喫茶店で、犯人が爆死したのにまきこまれて26人が負傷し
た。犯人はまずこの喫茶店で水を一杯頼んだ後、客のまん中で爆発
物に点火した、とのことである。爆発の圧力で、店舗も崩壊した。
これはシーア派のモスクの近くであった。警察の情報によれば、日
曜日にはこれより前、数回の攻撃があり、少なくとも35人が死亡
した。

     国内ニュース

グラサーはフレットルとのヨットでの休暇で批判を浴びる

労働と経済銀行事件の中心人物である投資銀行家のウォルフガング
 フレットル2世と共に、地中海のヨットで休暇を過ごしたため、
大蔵大臣カール・ハインツ グラサーは圧力にさらされている。野
党は、グラサーはフレットルと労働と経済銀行事件に関連して、友
人として便宜を図ったのではないか、と推測している。社会民主党
と自由党は、グラサーの辞任を求めている。緑の党は重大な懸念を
持っている。国民党は、これは社会民主党が汚い印象を与えようと
しているものだ、と見ている。




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