9月11日〜17日のオーストリアのニュース



9月11日(月)

     国外ニュース

ハマースとファタハは共同で政治を行なう方針

一部の支持者が衝突を起こすなど、数ヶ月にわたる権力争いを経
て、急進派パレスチナ人のハマースと穏健派のファタハが、ようや
く連立政府の結成で合意した。「我々は数日中に、国を一つにまと
める連立政府の結成に取り掛かる」と大統領マハムード アッバス
は月曜日に予告した。ハマース所属の首相イスマイル ハニヤは、
この発表を確認した。おそらく彼は今後の連立政権でも首相に留ま
る。

     国内ニュース

国民評議会特別会議は「教育の荒廃」を議題に

選挙戦の最中、国民評議会は火曜日に特別会議を行なう。社会民主
党が提案した「教育の緊急事態」を話し合うためである。同党は教
育大臣エリサベト ゲーラー(国民党)に対する質問を行ない、一
学級あたりの生徒数の上限の引き下げと、大学の授業料の撤廃を議
題とする方針である。緑の党は、ゲーラーに対して不信任動議を出
す、と予告している。未来同盟は、国民党が却下した同党の社会福
祉包括計画を国会に持ち込むために、この会議を利用する方針であ
る。この会議では、新たな多数が成立する可能性がある。未来同盟
と社会民主党は、場合によっては相手の党の要求に、たとえば未来
同盟が社会民主党の一学級あたりの生徒数の上限引き下げ要求に賛
成する可能性がある、としている。ただしゲーラーの不信任案は、
未来同盟が反対するため、確実と見られている。




9月12日(火)

     国外ニュース

トルコで爆弾攻撃 死者7人

トルコでは爆弾攻撃が続いている。主としてクルド人が住む町ディ
ヤルバキルで、火曜日夜に爆弾が破裂し、7人が死亡、17人が負傷
した。負傷者のうち2人は危篤である、とトルコ南東の都市である
ディヤルバキルの治安当局は発表した。死亡者のうち5人は子供で
ある、トルコの報道機関は一致して伝えている。爆発は、同市の貧
困層の住む一角の公園に面したバス停で起きた。8月下旬には観光
客が多く訪れる南西部で連続爆弾攻撃が行なわれ、3人が死亡し、
百人ほどが負傷していた。地中海に面したアンタルヤとエーゲ海の
マルマリスでの攻撃については、クルド人急進派が犯行声明を出し
ていた。

     国内ニュース

国民評議会の特別会議では教育政策に関して厳しい攻撃

教育政策を話し合う国民評議会の特別会議では、激しい論戦が起き
た。社会民主党党首アルフレート グーセンバオアーは、教育大臣
エリサベト ゲーラー(国民党)は若者を軽蔑している、と非難し
た。ゲーラーは社会民主党の学校政策には基本となる指針が欠けて
いる、と批判した。彼女に対する不信任動議は過半数に達しなかっ
た。国民党と未来同盟によってい採択されたのは、拘束力を持たな
い一学級あたりの生徒の最高数を25人に定め、社会的弱者に対す
る一種の入学手当の導入であった。経済協力開発機構OECDの新た
な調査は、高い能力を持つ人材の育成で、よい成果をあげているこ
とを示している、とゲーラーは述べた。同機構はオーストリアを大
学教育ではほぼ最後尾を走っている、と評価したが、トルコの方が
オーストリアよりも少ない研究者しか養成していない。同機構は大
学教育が、未来の社会の幸福の鍵を握っている、と見ている。ゲー
ラーはこの調査を一般的には評価したが、数字の集め方を批判した。




9月13日(水)

     国外ニュース

スロヴェニアではクロアチアとの国境での突発事態で混乱

スロヴェニアはクロアチア政府に、問題となっている国境地帯ムラ
川で、数人の記者が逮捕されたことに抗議した。スロヴェニアはこ
の突発事態に関する情報をEUにも伝える、と外務大臣ディミトリ
 ルーペルはリュブリャナで述べた。昨日午後少なくとも50人の
特殊警察部隊の隊員が、国境の川の北側の岸を占拠し、これによっ
てスロヴェニアの領土を守った、とスロヴェニアでは報じられてい
る。国境をめぐる関係はこのところ悪化しているが、それはクロア
チア政府がムラ川の北側の岸辺に、洪水対策の堤防を建設すること
を決めたためである。スロヴェニアの解釈では、この地域はスロヴ
ェニアに属しているが、クロアチアの土地台帳では、国境は川を越
えた場所にある。スロヴェニアは国境の情勢を激化させるつもりは
ないが、関係悪化の危険性を過小評価してはならない、とスロヴェ
ニア首相ヤネツ ヤンサは昨日国会の全ての政党の党首との緊急会
議で述べた。

     国内ニュース

ノイゲバオアー「労組同盟の報告書は完成 ただし不愉快なもの」

長い間待たれていたオーストリア労働組合同盟の2005年の報告書
は、既に準備ができており、「不愉快」なものである、と公勤務労
働組合会長フリッツ ノイゲバオアー(国民党)は述べた。そのた
め主要キリスト教労働組合は昨夜会議を開き、労組幹部に対してこ
の報告書を公表するように求め、3日以内に労組同盟幹部を招い
て、行動を決めることが可能である、と述べた。ノイゲバオアーは
会長および財政の専門官の仕事だとして、数字を述べようとはしな
かったものの、「破産はしていない」と述べた。早期に意見の一致
に達しなければ、公勤務労組は次回12月4日から7日の労組会議
で、上部組織に対して組合の加盟料の支払いを行なわない決定を下
すことになる。ただしこの資金で人件費が支払われているわけでは
ない。




9月14日(木)

     国外ニュース

イスラエルはレバノンの国連の拠点攻撃は失敗であった

イスラエル軍は7月末に起きた、レバノンの国連の監視拠点を攻撃
し、死者を出していた事件は、内部の情報が間違っていたために起
きたもので、「悲劇的な事故であった」と述べた。カナダの放送局
CBCは昨日、イスラエルの責任者の言葉として、攻撃隊は手書きの
指示書をこのとき利用していたが、これには、国連のチヤムの拠点
は、急進派イスラームのヒズブッラーの拠点と間違って記載されて
いた。この拠点は空爆を受け、国連のレバノン監視団の非武装の兵
士4人、中国人、フィンランド人、カナダ人、オーストリア少佐ハ
ンス・ペーター ラングが死亡していた。オーストリア外務省広報
は、この問題に関して態度表明を行なう前に、報告書を詳しく分析
しなければならない、と述べた。国連事務総長コフィ アナンは、
この攻撃に異例の強い批判を行なっていた。

     国内ニュース

フンツトルファーは労組の決算報告の発表が遅れたことを擁護

オーストリア労働組合連合会長ルードルフ フンツトルファーは木
曜午後、同労組連合の決算が選挙のあとにずれ込んだことを擁護し
た。これは国民評議会選挙とは無関係で、情勢全体は「十分知られ
ている」と彼はテレヴィ番組の中で述べた。不正な支払い関心を呼
ぶような決算ではない、というこは誰でも知っている、とも彼は語
った。また彼はこの決算は「不愉快な」ものではないだろう、と述
べ、公務員労組会長フリッツ ノイゲバオアーとは異なる発言をし
た。逆に同労組連合の続投を確実なものとするような決算であり、
大規模な支出削減計画を満足しなければならない、とも述べた。




9月15日(金)

     国外ニュース

G7諸国の大臣は世界の不均衡について協議

G7諸国の大蔵大臣は、今日シンガポールで、拡大しつつある世界
の不均衡について話し合う。7大工業国の大臣と発券銀行の総裁
は、国際通貨基金および世界銀行の年次総会と並行して、会合を行
なっている。同基金は、米国の経常収支の赤字の削減とアジアおよ
び石油輸出国の過大な黒字に、早急に対策が取られなければ、財政
危機が起きる可能性がますます高まる、と警告した。ドルの交換比
率が落ち込み、米国が高い基準金利を強行し、景気後退に陥る可能
性がある、と暗い予想が出ている。国際通貨基金の会議そのものの
議題は、投票権配分の改革である。これにより中国やインド等の発
展途上国に、1944年に結成されたこの組織内でより大きな力が認
められることになる。その他アフリカなどのより貧しい発展途上国
の、投票権をさらに各際する方針である。経済的な問題を抱える国
々に対する融資は、厳しい条件のもとに行なっている。

     国内ニュース

労組連合財政責任者シュナイダー「決算書は10月11日に公表」

オーストリア労働組合連合の財政責任者クレメンス シュナイダー
は、「シュタンダルト」紙で、「聖杯のようないくらでもお金が出
てくるストの基金はなかった」と述べた。また同連合の決算書は、
10月11日に提出し、いずれにせよ労組連合の支払不能は、現時点
では回避されている、と述べた。ストの基金は労働と経済銀行の株
式からできていて、今まで変わることはなかったが、銀行を保有す
るよりも、銀行の金庫の中に多くの有価証券を持つほうがよい、と
も語った。同労組連合が給与の支払いのために借金をしなければな
らなくなる、との噂を彼は否定したが、支出削減は必要であり、年
金受給者を見すえ、安定的な積立金を持ちたい、とも語った。




9月16日(土)

     国外ニュース

インドとパキスタンの間で新たな和平交渉

インドとパキスタンは、正式な和平会談を再開する。ハヴァナで開
かれた非同盟諸国会議の間、昨日発表された共同声明には、これに
関する指示が両外相に与えられた、と記されている。「ジャムとカ
シミールに関する話し合いは有益であった」し、和平交渉を続けな
ければならない、ということで合意した、とこの声明では述べられ
てている。ジャムとカシミールは、インドの州で、インドとパキス
タンの間ではカシミール地域の一部が問題となっている。非同盟諸
国首脳会議の間、インド首相マンモハン シンとパキスタン大統領
ペルヴェズ ムシャラフは1時間にわたって話し合った。2004年
に始まった和平交渉は7月のボンベイの列車攻撃後、中断してい
た。インドは、186人の死者を出したこの攻撃を、パキスタンに拠
点を持つある組織の犯行である、としている。両国は1947年の英
国からの独立以来、3度にわたって戦争を行なってきた。現在では
この両国は核兵器を保有している。

     国内ニュース

シュッセルは選挙で勝利した場合には社民党と交渉する

連邦首相ウォルフガング シュッセル(国民党)は、選挙で勝利し
た場合には、まず社会民主党と話し合いを行なう、と「ザルツブル
ク通信」紙がハラインで昨日主催した公開討論会で述べた。「もち
ろん社会民主党と最初に、連立を行なう可能性に関して話し合いを
行なう」つもりだ、とシュッセルは述べた。その次に緑の党と、そ
して数字面でうまくいけば、未来同盟とも話し合いを行なうが、自
由党およびハンス・ペーター マルティンの市民候補者名簿とは、
協力の可能性はない、と述べた。緑の党は既に連立の条件として、
迎撃戦闘機オイロファイター購入の中止と、教育大臣エリサベト 
ゲーラー(国民党)の解任という条件を呈示しているが、これにつ
いては「私たちと交渉するよう強いられている人はいない」と述べ
た。またシュッセルは、社会民主党の選挙戦を批判し、党首アルフ
レート グーセンバオアーは党員に対し秩序ある戦いを呼びかけな
ければならない、と述べた。また未来同盟は、外国人30万人を国
外退去にするように求めているが、これ関しては、穏やかなもので
あったが、批判した。




9月17日(日)

     国外ニュース

ドニエストル共和国はロシアと合併の方針

モルドヴァから分離したドニエストル共和国では、世論調査によれ
ば、住民の過半数が独立し、今後ロシアとの合併に賛成である。選
挙後の調査によれば、92ないし94%が賛成する見通しである、と
ロシアの通信社インターファクスが昨日ドニエストルの主要都市テ
ィラスポルから報じた。モルドヴァ共和国への復帰に賛成している
のは、有権者のわずか2%であった。ドニエストル共和国は国際的
には承認されていない共和国である。EUはこの国民投票を承認す
るつもりはない。正式の結果は今日発表されることになっている。

     国内ニュース

政治家は事実に基づかない選挙戦が行なわれていると訴える

現在行なわれている選挙戦では、事実をめぐる論戦が少ない。これ
が昨夜のテレヴィの政治番組「はっきりいえば」の基調音であっ
た。緑の党党首代理エーファ グラウィシュニヒは、選挙民よりも
政党が重視されており、どのような未来を目指すのかの議論が欠け
ている、とのべた。大蔵大臣カール・ハインツ グラサーは、この
意見を否定し、国民党の選挙戦の標語は、「問題を見つけ、不安を
取り去る」である、と述べた。社会民主党の予算の専門家クリスト
フ マツネッターは、これに別の見解をもっており、労働と経済銀
行BAWAG問題をめぐって、国民党は人々が本当に関心を寄せてい
る問題について語らないですむように、あらゆることを進めようと
しており、国民党は「ほこりをまきちらす作戦」をとっている、と
述べた。




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