10月2日〜8日のオーストリアのニュース



10月2日(月)

     国外ニュース

ファタハとハマース間で新たな争い

急進派イスラーム教徒のハマース政権の支持者と、パレスチナ大統
領マハムード アッバスの支持者が、ガザ帯状地帯で改めて激しい
戦闘を行なった。昨晩にはラファで少なくとも1人が死亡、15人が
負傷した。週末にはパレスチナ人内部の暴力で、8人が死亡し、百
人ほどが負傷した自治区の情勢は、一日中緊迫し続けた。西ヨルダ
ンランドでも衝突は起きた。ファタハは、全面的なストライキを実
施しようとしたが、ハマース民兵の抵抗にあった。政府の建物に対
する攻撃が行なわれたことに、ファタハは抗議して、ラマラにある
すべての官庁を閉鎖させた。

     国内ニュース

政府は辞職を決定

火曜日には連邦首相府と大統領府の間で、激しい動きがあることが
が予想される。午前中には、選挙で敗れた政府が閣議を行ない、辞
任を決定し、引き続き連邦大統領ハインツ フィッシャーに辞任を
申しでる予定である。手続きは、大統領は大臣と次官の辞表を受け
取り、直後に暫定的に改めて宣誓を行なわせ、新政府ができるまで
今までの仕事を続けるように委託を行なう、というものである。一
方今日中に、大統領フィッシャーは社会民主党党首アルフレート 
グーセンバオアーと国民党党首ウォルフガング シュッセルと面会
する。フィッシャーは、それに続いて組閣を委託することは、理論
上は可能であるが、実際にはそうはならない見通しである。彼は来
週月曜日の、国民評議会選挙の正式な開票結果を待つものとみられ
る。また未来同盟と緑の党は、ウィーンで幹部会議を行ない、選挙
後の対策を話し合う。水曜日には緑の党、自由党、未来同盟の党首
が大統領府に呼ばれている。




10月3日(火)

     国外ニュース

米国は北朝鮮に核実験を行なわないように警告

米国外務大臣コンドリーザ ライスは昨日午後、北朝鮮が初めて核
実験を行なうと予告したことに、懸念を表明した。そのような行為
を行なうなら、それは「挑発的な行動」であり、東南アジアにとっ
て脅威である、とエジプトの首都カイロ滞在中のライスは述べた。
核実験は、この地域の諸国を対立させかねない深刻な事案になりか
ねない、とも語った。この発言より前に北朝鮮は、核実験の準備を
進めている、と発表していた。米国での報道によれば、米国秘密情
報部は北朝鮮の実験施設と見られる場所で、活動が活発になってい
ることを確認していた、とのことである。

     国内ニュース

社民党と国民党はお互いを疑問視

連立交渉を開始する前の時点でもう、社会民主党と国民党はお互い
を、相手が対案を出すのを待っている、と非難している。ザルツブ
ルク州首相ガービ ブルクシュタラー(社会民主党)は「プレッ
セ」紙で、国民党は多能は政党と連合するのが現実的な選択肢であ
る、と述べた。ニーダーエスターライヒ州首相エルウィン プレル
(国民党)は「クリール」紙と「シュタンダルト」紙に、社会民主
党と緑の党による少数政権が、未来同盟を容認した上で、成立しそ
うである、と述べた。両者とも再選挙は否定している。現在のとこ
ろ、国民党には今後どうするか方針が決まっていない、と述べた。
グーセンバオアーはどれぐらいの長期政権を築けるか、との質問に
対し、ブルクシュタラーは「10年続く可能性もある。彼が機会を
うまく実現することができれば、彼は私たちみなを驚かせるだろ
う、と思う」と答えた。




10月4日(水)

     国外ニュース

連邦大統領は教皇およびプローディとローマで会談

連邦大統領ハインツ フィッシャーは木曜日、教皇ベネディクト
16世およびイタリア首相ロマーノ プローディとローマで会談す
る。お昼にはヴァティカンを正式に訪問し、教皇に謁見する。午後
にはフィッシャーの代表団15人は、ヴァティカン博物館、聖ピエ
トロ大聖堂、およびヴァティカン教皇庁図書館を見学する。1971
年のフランツ ヨーナス、1987年のクルト ワルトハイムに続
き、第二共和国成立後3人目の大統領のヴァティカン公式訪問であ
る。また夕方に予定されているプローディとの会談の後、外務大臣
マッシモ ダレーマとも会談する。この会談では、今後の憲法の中
での南ティロールに対するオーストリアの保護の役割を決める国民
評議会の決定が、議題になるものとみられる。イタリアの中道右派
の野党は、オーストリア国会の生命を厳しく批判していた。金曜日
にはフィッシャーは、イタリア大統領ジョルジョ ナポレターノを
訪問し、マルタ騎士団の宗会長アンドリュー ベルティと会談した
後、ウィーンに戻る。

     国内ニュース

国民党経済陣営は大連立を迫る

国民党内部には、大連立を疑問視する声があるだけではない。経済
陣営は、社会民主党との協力を迫っている。「我々にはオーストリ
アに対する責任がある」と経済同盟および経済会議会長クリストフ
 ライトルは「シュタンダルト」紙に述べた。国民党の経済の専門
家である経済会議事務長ラインホルト ミッターレーナーは、大連
立以外の選択肢は今はないと述べた。「現在の勢力では、両党とも
相手に頼らざるをえない。人々は、切迫している大きな問題の解決
に期待している。確かに問題によっては両党の立場はかけ離れてい
るが、妥協点は見いだせる」とライトルは述べた。




10月5日(木)

     国外ニュース

イランとの核対立をめぐる6ヶ国協議

イランとの各対立で交渉を行なう国々の高官は金曜日、ロンドンで
協議を行なう。ロンドンの外国間筋の情報では、6カ国の会議は午
後遅くに始まり、夜まで続くことになっている。ロシア外相広報に
よれば、ドイツおよび国連で拒否権を持つ仏、英、米、中、露の外
相は、妥協の可能性について話し合う意向である。イランはあいか
わらず、ウラン濃縮中止を拒否している。米国政府はイランに対
し、週末までさらに次官を与え、意見を変えるように求めていた。
イランは、制裁決議を行なう権限を持つ国連安保理に、この件を委
託する、と威嚇されている。

     国内ニュース

世論調査では68%が大連立に賛成

国民党内部には若干の疑いを持つ人もいるが、オーストリア人は社
会民主党と国民党が共同で政権を担当することを望んでいるよう
だ。日刊紙「オーストリア」が委託したギャラップ社の世論調査に
よれば、68%が大連立に賛成している。国民党、自由党、未来同盟
の連立政府を支持するのは、わずか9%であり、社会民主党と緑の
党の政権に未来同盟が容認する連立が成立した場合に、支持するの
は10%であった。社会民主党が選挙で勝利をしたことで、首相就任
を望む声は社会民主党のアルフレート グーセンバオアーに有利に
なっている。世論調査では、彼は60%の支持、現首相のウォルフガ
ング シュッセル(国民党)はわずか27%の支持であった。選挙前
には、首相問題に関しては逆で、グーセンバオアーは25%、シュッ
セルは37%の支持であった。




10月6日(金)

     国外ニュース

ハンガリーでは過去最大の反首相デモ

いわゆる「虚言事件」で圧力を受けているハンガリー首相ジュルチ
ャーニ フェレンツは昨日午後、過去最大の抗議活動を受けた。ブ
ダペストでは数十万人がデモを行なった。ハンガリーの通信社MTI
によれば、十万人のデモ隊が国会議事堂の前に集まり、ジュルチャ
ーニに辞任を求めた。主催者の情報によれば、35万人が抗議集会
に参加した。これより前に社会党所属のジュルチャーニは国会で、
信任投票を行ない、207対165で予想通り、首相職に留まることが
確認されていた。国会での投票を前に彼は、選挙戦で有権者に国家
財政の状況が芳しくないことを有権者に黙っていたことを謝罪し
た。一方野党の指導者オルバン ヴィクトルは初めてデモ隊に向け
て発言し、国を一つにまとめ上げるための、専門家からなる移行政
府を作るよう求めた。彼は「ハンガリー憲章」という題での文書を
発表した。これは5項目からなるもので「国有財産の保護に賛成」
し、暴力を使わない抗議活動を支持しており、「道徳的な秩序」の
再建を主張している。

     国内ニュース

カリタスは新政府に貧困との戦いを要請

カリタス会長ミヒャエル ランダオは、金曜日にウィーンで開かれ
たカリタスの住所不定者支援20周年記念式で、次期政府は貧困と
の戦いと貧困に陥ることを回避することに力をそそがなければなら
ないと述べた、と報じられている。政治は事実から目を離してはな
らない、貧困と富裕の溝は次第に大きくなっている、と述べた。特
にランダオは、賃貸居住者保護条項の撤廃と、家賃の上限の事実上
の撤廃という住居政策の自由化が、際限なく進んでいることを批判
した。彼は望ましい連立がどのようなものかは述べなかった。




10月7日(土)

     国外ニュース

北朝鮮は核兵器実験を行なうと威嚇し続ける

国連安全保障理事会の警告にも関らず、北朝鮮首脳部は、核兵器の
実験を行なうと脅迫し続けている。米国の国連大使ジョン ボルト
ンは、国連安保理は北朝鮮に夜この脅迫をきわめて真剣に受け止め
ている、と述べた。米国は国連安保理で、諸国が北朝鮮政府に対す
る経済制裁を強化することを求めていた。「彼らが実験を実施する
なら、明日の世界は別のものになる。つまり核保有国が一つ誕生す
る」とのボルトンは述べた。ロシア国連大使ヴィタリ チュルキン
は、「北朝鮮を含めて、核兵器の試験を予告し、さらには実施して
も、誰の役にも立たない、との意見を持って」おり、ロシア政府は
緊張が緩和し、6者会談に戻るように期待している、と述べた。

     国内ニュース

ケルンテン州元首相ハンス スィーマが死去

元ケルンテン州首相ハンス スィーマ(社会民主党)が昨日89歳
で、クラーゲンフルト州立病院で死去した、と同州社会民主党が発
表した。スィーマは1965年4月12日から1974年4月12日まで、
ちょうど9年間、オーストリア最南の州の首相を務めた。彼の州首
相時代の1972年秋には、いわゆる「村落名標の嵐」が起き、彼は
その間接的な影響を受け、辞任に至った。




10月8日(日)

     国外ニュース

デンマークでまたムハンマドを嘲笑する行為が抗議を招く

ムハンマドの風刺画12枚をめぐる対立から9カ月、預言者ムハンマ
ドを意図的にあざけったデンマークのヴィデオが、イスラーム世界
で新たな抗議を呼び、コペンハーゲンでも対立を招いている。イン
ドネシアのイスラーム組織およびエジプトのイスラーム教徒兄弟団
は、抗議行動や不買運動は「よく考えて行なうように」と呼びかけ
た。イラン大統領マハムード アフマディネジャドは、これはイス
ラーム教に対する侮辱であり、新たな抗議の波が起きる、と警告し
た。デンマークの放送局は金曜日に、デンマーク国民党の青年組織
の「競争」に関する隠し撮り映像を放送した。その中では、誰がム
ハンマドの絵を最も「ひどく」描けるかが写っていた。ムハンマド
は排尿するラクダや、酔っぱらった爆弾犯として描かれていた。デ
ンマークでは右派自由主義の首相アナス フォー ラスムセンが、
国会内では国民党と協力関係にあり、過半数を得るためには同党が
必要である。国民党の広報は、「我々は、ムハンマドであれ、イエ
スであれ、ブッダであれ、党首であれ、笑い物にしたい人を、笑い
物にすることができる」と述べた。ラスムセンは国民党の対応とは
一線を画し、若者のこの行動は、容認できないし、品がない、と述
べた。

     国内ニュース

最終投票結果が発表

10月1日に実際に終了した国民評議会選挙の選挙は、郵送による投
票の集計が終わり、月曜午後に最終結果が発表される。ただし遅れ
ることもあり得る。外国からの投票やオーストリア国内で本来の選
挙区以外での投票で、票の5%に達する可能性があるからである。
緑の党は、自由党を抜いて第三党になるのではないかと期待してい
る。未来同盟の1議席が緑の党のものになるのは確実と見られてい
る。当初、未来同盟は国会議員を出せなくなるとの予測もあった。
期限の水曜日までに届いた国外からの投票は1万9千票あまりであ
った。




今日のニュースへ

過去のニュース(目次)へ inserted by FC2 system