12月4日〜10日のオーストリアのニュース



12月4日(月)

     国外ニュース

核をめぐる対立でイラン制裁について新たな協議

国連で拒否権を持つ5大国とドイツは、パリで、国連のイランに対
する制裁を行なうかどうかについて協議する。フランス外務省での
会談には、外務省の政治局長が出席するほか、EU主席外交官のハ
ヴィエル ソラナも参加する。フランス外務大臣フィリップ ドゥ
スト・ブラジは、ブリュッセルでロシア外務大臣セルゲイ ラフロ
フと会談した後、6カ国は数週間にわたる議論の末合意点を見いだ
す用意ができたようだ、との見通しを語った。制裁を含む決議を求
めた欧州側からの最初の提案は、ロシアと中国が拒否していた。8
月にはイランは国連安保理の定めた期限を越えて、ウラン濃縮の活
動を続行していた。

     国内ニュース

国民党内部からはグラサーを「個人株式会社の特殊な形態」と批判

国民党内部では、大蔵大臣カール・ハインツ グラサーに対する批
判が起きている。グラサーは最近、政府内部で迎撃戦闘機オイロフ
ァイター購入に反対しているのは自分一人である、と述べていた。
国民党所属の国会議員でライフファイゼンの事務長を務めるフェル
ディナント がいあーは、これは「すべての閣僚に対する攻撃であ
る。グラサーが自らが指示した政府の決定から一線を画するやり方
は、人間的に劣っている」と「シュタンダルト」紙に述べた。彼が
見るところグラサーは「新たな形態の個人企業カール・ハインツ 
グラサーAG社だ。AGとはなんでもありという意味だ」と国民党ウ
ィーン選出の議員である彼は述べた。ウィーン国民党党首ヨハネス
 ハーンは、「プロフィル」紙に「政治が見世物であるなら、彼は
理想的な出演者だ」と述べていた。




12月5日(火)

     国外ニュース

ラムズフェルドの後任「米国はイラクで勝利しないだろう」

米国次期国防大臣ロバート ゲイツの見通しによれば、米国はイラ
クでの戦争に勝利しないだろう。ゲイツは火曜日に行なわれた上院
の軍委員会の公聴会で、米国はイラクで勝利を得られるかどうかと
質問されて、はっきり否定の答えをした。米国大統領ジョージ W.
ブッシュが退任する国防大臣ドナルド ラムズフェルドの後任に指
名した候補者に関して米国上院が決定を下す公聴会の中心議題は、
イラク戦略に関する対立であった。ラムズフェルドはイラク戦争の
計画を立てた人物の1人と見られており、11月上旬の議会選挙後、
ブッシュによって解任されていた。政権の座にある共和党は、上下
院両方で過半数を民主党に奪われていた。民主党は、ブッシュのイ
ラク政策を厳しく批判していた。

     国内ニュース

オイロファイター委員会では国民党と緑の党が激しいやりとり

現在の国民党と緑の党は迎撃戦闘機オイロファイター調査委員会を
めぐって対立しているが、これに関連して火曜日のテレヴィ番組で
は、国民党の会派長マリーア フェクターと緑の党の国会議員ウェ
ルナー コークラーが激しいやりとりを行なった。フェクターは、
この委員会では「実際には何ら進展がない」のは、委員長ペーター
 ピルツ(緑の党)の責任であって、前進があるように見せかけて
いるだけだ、と述べた。コークラーはこれは「とんでもない言いが
かり」である、と述べた。その他フェクターは事実の解明と今まで
のやり方を修正することに関心がある、と語った。これに対しコー
クラーは、フェクターがこの究明では、納税者の側に立っているの
か、それとも製造社側に立っているのか、と問い返した。




12月6日(水)

     国外ニュース

英国警視庁「リトヴィネンコは暗殺された」

英国警察は、ロシアの元スパイアレクサンデル リトヴィネンコの
毒死を、初めて暗殺であったと述べた。ただし捜査はまだ極めて早
期の段階である、と警視庁は水曜午後に発表した。捜査陣はロシア
と英国で証拠を調査し、一連の目撃者から既に事情を聞いている、
とのことである。リトヴィネンコは死の床で、ロシア大統領プーチ
ンによる犯行であると述べたが、ロシア政府がこの毒殺事件の背後
にはいなかったことを示す証拠が増えている、とのことである。彼
と最後に接触した男であるイタリア人のマリオ スカラメラは、
「秘密組織」と繋がりを持つ、年金を受けている秘密情報部員から
の脅迫があった、と述べている。リトヴィネンコの信頼が厚い人物
は、リトヴィネンコはプーチンに対する秘密情報部の陰謀の犠牲者
になった、との意見を述べた。

     国内ニュース

シュッセルは「中央集権的」基本的保障に反対

国民党党首ウォルフガング シュッセルは、基本的保障のあり方と
して「中央集権的」な者を、はっきり拒否した。「各州による生活
保護が実際に連邦全体で一律のものとして、うまく機能させなけれ
ばならないかどうかを決めるのは、州の側である。しかし、住居費
や生活を維持するための費用が異なるブルゲンラント州とフォアア
ルルベルク州で、同じ生活保護が支払われなければならない理由は
何であろうか。我々は中央集権的なやり方を取るつもりはない」と
「オーバーエスターライヒ通信」紙とのインタヴューで述べた。




12月7日(木)

     国外ニュース

リトヴィネンコ事件のロシア人目撃者が昏睡状態に

アレクサンダー リトヴィネンコ事件の重要な目撃者が、ポロニウ
ムを盛られて昏睡状態に陥った、とインターファクス通信が非公式
な情報源からのものとして報じた。ディミトリ コフトゥンは、リ
トヴィネンコと同様の症状を呈し、危篤状態であり、この少し前に
はロシアと英国の捜査を受けていた、とのことである。彼はロシア
政府を批判するもとスパイであるリトヴィネンコが、毒を盛られた
と見られる日に、ロンドンで会っていた。リトヴィネンコは11月
23日にロンドンで放射性物質を盛られて、死亡したが、死の床で
ロシア大統領ウラジミール プーチンが、自分の暗殺を依頼したの
だと述べていた。ロシア政府はこれを強く否定している。コフトゥ
ンの事情聴取前に、ロシア検察は、彼は放射性物質に由来する病気
の兆候を持っていた、と発表していた。これより前には彼の病気に
関する情報は発表されていなかった。

     国内ニュース

銀行調査委員会はウィンクラーの「全面的な忘却」を批判

大蔵大臣カール・ハインツ グラサーの内閣室長マティアス ウィ
ンクラーは、木曜日午後に銀行調査委員会で、国家行政委員の業務
および活動状況に関する質問を受けたが、緑の党、社会民主党、自
由党の見方によれば、彼の記憶には多くの欠損があった。調査委員
会議長マルティン グラーフ(自由党)は会議後、ウィンクラーは
「全面的な忘却」に見舞われており、全く何も思い出すことができ
ない、と述べた。社会民主党会派長クリストフ マツネッターは、
国家行政委員の業務に関して「黒い欠損」がある、と述べた。ウィ
ンクラーは7年にわたりグラサーの官房で活動してきたが、国会議
員の質問に対して、国家行政委員の仕事に関する具体的な質問や、
官房の同僚に有利になるように介入が行なわれたかどうかについ
て、「覚えていない」と答えていた。




12月8日(金)

     国外ニュース

EUはトルコのキプロスに関する提案は十分でないと見る

トルコはEUにキプロスをめぐる対立で提案を行なったが、加盟交
渉に関する制裁計画を撤回させることはできなかった。「トルコの
発言は十分ではない」とフィンランド首相でEU評議会議長マッテ
ィ ヴァンハネンは昨日ヘルシンキで述べた。トルコは年末まで
に、EUとトルコの間の関税同盟にキプロスを完全に参加させるこ
と、という条件をまだ満たしていないので、EUは月曜日にはおそ
らく加盟交渉の一部を中止することになる、とも彼は述べた。EU
委員会も交渉の部分的中断を当面は堅持する方針である。

     国内ニュース

社会民主党は高額年金受給者の連帯的加入料を導入する方針

ザルツブルク州社会福祉大臣エルウィン ブヒンガー(社会民主
党)は、連立交渉の中で、高額年金受給者に連帯的な払込金制度を
つくるように持ちかけている。「プレッセ」紙のなかで彼は、一般
社会保健法で定められた最高年金を越える年金を受け取っている人
は、1割を連帯基金に払い込むことに賛成である、と述べた。これ
による徴収額は年間5億オイロであ、これを新たな重労働に関する
規定と児童預かり所の改善の財源とする、と彼は述べた。さらに彼
は連立協議の中で、社会福祉問題について経済大臣マルティン バ
ルテンシュタイン(国民党)と議論し、45年以上社会保険に加入
している場合には、割引を中止する、とも語った。




12月9日(土)

     国外ニュース

イランはハマースがイスラエルとの戦いを続けるように鼓舞

パレスチナ首相イスマイル ハニヤとテヘランで会談したイラン大
統領マハムード アフマディネジャドは、急進派イスラーム教のハ
マース運動に、イスラエルとの戦いを継続するように呼びかけた。
「パレスチナ国民政府は決してイスラエルを承認すべきではない
し、パレスチナ問題が最終的に解決するまで正当な抵抗活動を続け
るべきである」と述べた、とISNA通信が報じている。イラン政府
はこの言葉で、イスラエル国家の壊滅のことを表わしている。アフ
マディネジャドはパレスチナは、イスラーム諸国の決して分離でき
ない一部であると述べ、イランはエルサレム解放まであらゆる点で
パレスチナを躊躇せず援助する、と約束した。ハニヤは、ハマース
はイスラエルを主権国家として承認することはない、と強調し、イ
ランの支援に感謝した。彼はテヘランを4日間の予定で訪問し、既
に政府高官数人と会談していた。

     国内ニュース

連立問題でディンクハオサーは基本的保障に理解を求める

ティロール州労働者会議議長フリッツ ディンクハオサーは、国民
党の路線から再びはずれて、社会民主党が求めている基本的保障に
理解を示すよう、積極的に訴えている。「基本的保障に賛成するの
は共産党員だから、とか社会民主党員だからとかに関係ない。キリ
スト教徒であれば十分だ」と「エスターライヒ」紙に述べた。国民
党党首ウォルフガング シュッセルは、「(欲しいものが何でも出
てくる)魔法の食卓」をもてあそんではならない、との異議を唱え
ているが、被雇用者の代表であるディンクハオサーは、使用者側の
同盟に強く反論し、「農民や経営者側には魔法の食卓が存在してい
る」と述べた。彼は国民党の連立問題の交渉団を批判し、「使用中
止したものを将来の計画として扱うのは、馬鹿げている」と述べ
た。




12月10日(日)

     国外ニュース

レバノンではナスララがアラブ連盟の計画を受け入れる

シーア派のヒズブッラーの事務長ハッサン ナスララは、レバノン
紛争を解決するためのアラブ連盟の計画に賛成した。ナスララは
「同連盟側の交渉役に前向きの返答をした」とヒズブッラーに属す
る国会議員ハッサン ファドラッラーは昨夜ベイルートで述べた。
これより前にアラブ連合の使節ムスタファ イスマイルは、ダマス
カスでアラブの放送局アル アラビアに、ナスララが自分にこの提
案に「原則的な合意」を示した、と述べていた。レバノンの内政上
の危機を克服するためのこの計画の詳細は、まだ発表されていな
い。一方日曜日にはベイルートでは、親シリアの野党勢力数十万人
が、レバノン首相フアド セニオラの辞任と選挙の実施を求めた。
ナスララの代理シャイク ナイム カシムは、利益重視の米国の政
策にレバノンをさらした、と非難した。野党は、政府の建物の周辺
での抗議活動を12月1日から続けている。

     国内ニュース

オイロファイター委員会に新たな火種

大蔵省に対する書簡が、迎撃戦闘機オイロファイター購入問題の新
たな火種を内包している。日刊紙「エスターライヒ」の報道によれ
ば、大蔵省は既に2002年8月の洪水の前に、同機購入数の削減に
取り組んでいた。大蔵省幹部がこのような態度表明を行なっていた
とのことである。この報道によれば、大蔵省は既に2002年6月
に、オイロファイター購入数の減少に関連する態度を表明するよう
に要求していた。




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