12月11日〜17日のドイツのニュース



12月11日(月)

トルコのEU加盟交渉は部分的に中止

(ブリュッセル)EU加盟国の外務大臣は、トルコとの加盟交渉の一部中止で合意
した。EU評議会議長国フィンランドは、交渉項目35のうち8つを凍結する、これ
はEUとの通貨連合をキプロスにも拡大することを、トルコが拒否したことに呼応
する措置である、と発表した。オーストリア外務大臣ウルスラ プラスニクは、各
国の大臣はこのほか、2009年まで加盟交渉を毎年検討することでも合意した、こ
れはEU委員会が定期的に提出する事態の進展に関する報告書と連動するものにな
るはずだ、と述べた。この点に関する最終的な決定は、木曜日夜にブリュッセルで
始まるEU首脳会談で下され予定である。

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人権擁護派はピノチェトの死を司法に対する「目覚まし」と見る

(サンティアゴ)チリの元独裁者ピノチェトの死を受け人権擁護派
は、世界各地での人権に関する犯罪により厳しい懲罰を行なうよう
求めた。世界各地の政府は、彼の死を「目覚まし」と捉えるべきで
ある、との声明を「アムネスティ インターナショナル」は出し
た。この組織はチリ当局に対して、元権力者の死後もこれ以外の軍
事政権の代表者に対して、捜査を続行するように呼びかけた。ピノ
チェトは日曜日にはサンティアゴで、心筋梗塞のため死亡してい
た。生存中には彼は独裁時代のは軽微な犯罪で訴えられていた。
91歳の彼は火曜日には、国葬の形を取らず埋葬されることになっ
ている。ピノチェトに反対する勢力は、サンティアゴで警察と衝突
し、警官42人が負傷した。

24年ぶりにシリア大使館がイラクに開設

(ダマスカス)国境を接するシリアとイラクは、24年ぶりに大使
館を開設した。バグダードとダマスカスの新たな代表部の建物で
は、それぞれの旗が掲げられた。両国は間もなく大使を任命する方
針である。シリア政府は1982年に、イラクはシリアで活動を禁止
されているイスラーム教徒の兄弟団の騒乱を支持している、と非難
して外交的な関係を破棄していた。1980年から88年にかけてのイ
ラン・イラク戦争中には、シリアはイランの側についていた。外交
関係の再開が合意に達したのは、11月にシリア外相アル ムアレ
ムがバグダードを訪問した際のことであった。

ガザ攻撃を受け怒りが高ぶる

(ガザ市)パレスチナ秘密情報部の高官の子供たちが攻撃を受け、
ガザの国会前の広場に怒ったパレスチナ人が押し寄せた。この攻撃
ではバルシェフの子供3人とその他に大人1人が死亡していた。武
装した者たちが、子供たちを学校に運ぼうとしていた車を銃撃し
た。バルシェフは大統領アッバスのファタハの従者で、政権を持つ
ハマースに反対している。ハマースはこの犯行とは一線を画してい
る。




12月12日(火)

メルケルとオルメルトはイランによる脅威に警告

(ベルリン)ドイツ首相アンゲラ メルケルは、イランによる脅威が拡大してい
る、と警告した。イスラエル首相エフド オルメルトとの会談を行なったメルケル
は、イラン政府の態度からは懸念が増大しているのがうかがわれる、と述べた。具
体的な事例として、イランが核計画の中止を拒否していることと、同国が現在開催
しているユダヤ人大量虐殺をめぐる会議を挙げた。メルケルは、間もなくドイツが
引き受けるEU評議会議長を務める際には、ドイツとイスラエルとの関係を拡大す
るつもりである、と述べた。オルメルトは、ドイツ政府が近東和平実現のために、
貢献することを歓迎した。彼は、パレスチナ人との直接対話にとくに努力をする、
と約束した。

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バグダードで襲撃 死者多数

(バグダード)バグダード中心部では自殺攻撃が発生し、少なくと
も60人が死亡、150人ほどが負傷した。イラク警察の情報によれ
ば、犯人は爆発物を積んだ自動車を、臨時雇いの仕事を求める人々
の近くで爆発させた。主にシーア派が日払いの仕事を求めるために
集まってくるこの広場では、今年4度目の攻撃である。首相アル 
マリキは、これは恐るべき大量殺戮であって、スンニー派の急進派
と失脚した権力者サッダーム フセインの支持者がこの犯行を引き
起こした、と述べた。

EUはイランのテロ容疑組織への資金封鎖を解かねばならない

(ルクセンブルク)テロ組織との戦いを進める中で、EUは疑わし
い組織と個人に、さらに大きな権限を認めざるをえない。疑わしい
者たちに対して資金を凍結していた今までの措置は、彼らの基本的
権利と手続き法を侵害している、との判断をEU法廷はルクセンブ
ルクで開かれた第一審で下した。具体的にはこの法廷は、イランの
国外に追放された野党組織「民族ムジャーヒディーン(ジハードを
行なう者たち)」を、EUがテロ組織と判断しているのは無効であ
る、と述べたことになる。この組織への資金封鎖をEUは解除しな
ければならない。2001年9月11日の米国攻撃後、国連安保理は加
盟各国に対し、テロ組織やそれに近い立場の個人の資金を凍結する
ように求めていた。EUはそれ以来、その一覧表を作成している。

ポロニウム事件でさらなる捜査

(ハンブルク)ポロニウムによる毒殺事件に関連して、放射線の犠
牲となった可能性のある4人の健康状態は、あいかわらずはっきり
しない。尿検査を行なえば、ロシアの実業家コフトゥンの元妻と彼
女の子供2人および現在の配偶者が、放射性物質を盛られたかどう
か、はっきりする、と病院は発表した。コフトゥンがハンブルクに
滞在した時、彼らはポロニウムに触れたと見られていた。もとスパ
イであるコフトゥンは元妻を訪問した後、政府に批判的なリトヴィ
ネンコと面会するためにロンドンに発っていた。彼はその際にポロ
ニウムを携帯した可能性がある。リトヴィネンコはポロニウムによ
る毒殺の犠牲者となっていた。




12月13日(水)

ハニーヤはパレスチナ人同士の権力争いを解決する方針

(ハルトゥーム)パレスチナ首相イスマイル ハニーヤは大統領マハムード アッ
バスに対して、ハマース政権を尊重するように要請した。ハマースとアッバス率い
るファタハ運動の間の権力争いは解決されねばならない、模しそうでなければ今後
パレスチナ人相互で暴力が続く可能性がある、とスーダンの首都ハルトゥーム訪問
中のハニーヤは述べた。ハマース政権の首相である彼は、2週間前から近東および
アフリカ北部の諸国を訪問し、支援の資金を獲得しようとしている。報道によれ
ば、彼は既に3億5千万ドルの支援金を集めた。間もなく退任する国連事務総長コ
フィ アナンは、近東での緊張は極限状態に近づいていると警告し、その責任はイ
スラエル人とパレスチナ人の双方にある、と述べた。

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イスラエル首相イタリア到着

(ローマ)イスラエル首相オルメルトはドイツ訪問から1日、イタ
リアでもイランの核政策に反対して足並みを揃えた措置を取るよう
に訴えた。イタリア首相プローディはオルメルトとの会談後、イラ
ンが核保有国となることは許されないということで合意した、と述
べた。プローディとの会談前に、オルメルトは教皇ベネディクト
16世と会談した。オルメルトは教皇に、ナチ体制下でのユダヤ人
虐殺を否定しようとする試みにははっきりした態度を取りように、
要請した。イランでは現在、ユダヤ人虐殺がなかったと宣伝するこ
とを狙った会議が行なわれている。

イラクでは暴力で再び死者多数

(バグダード)イラクでは新たに棒威力行為が行なわれ、新たに多
くの人が死亡した。バグダード東部では自動車爆弾による攻撃で、
15人が死亡した。首都の北にあるリヤドでは、自殺攻撃犯が兵士7
人を巻き添えに死亡した。バグダード南部の村では武装した者たち
が、シーア派の家族の9人全員を殺害した。イラクの治安に対する
責任をできるだけ早期にイラクの治安部隊に委ねる方針の米国は、
警官の育成を早める、と予告した。また米国大統領ブッシュは、イ
ラクに関する新たな戦略を発表するのは2007年早々になる、まだ
協議をする必要がある、と強調した。

国連人権評議会はダルフールに専門家集団を派遣

(ジュネーヴ)国連人権評議会は2日間の協議を行ない、専門家集
団をスーダンの紛争地区ダルフールに派遣することを、全会一致で
決定した。専門家は同地での人権侵害を調査することになってい
る。ただしスーダン政府を厳しく批判しようというEUの意向に
は、同評議会は従わなず、ただダルフール地区の情勢に対する懸念
を表明したに留まった。現地ではここ数十年で、約20万人が殺害
されている。





12月14日(木)

ブリュッセルでのEU首脳会談では拡大とトルコに関して協議

(ブリュッセル)EU加盟国の首脳はブリュッセルに集まり、今後のEU拡大を進め
る速度について協議した。首脳会談では、トルコとの加盟交渉を一部中止するかど
うか、という問題についても議論が行なわれている。その背景には、トルコがEU
加盟国であるキプロスを承認することを拒否していることがある。その他の議題と
しては、犯罪対策とアフリカからの大量の難民の問題であった。
ドイツ首相アンゲラ メルケルは、ドイツがEU評議会議長を務める期間の力点
を、ヨーロッパの経済および社会福祉政策の今後とする、と予告した。その他に
は、彼女はヨーロッパ憲法を成立させる努力を前に進めるつもりである、と連邦議
会での政府声明で述べた。

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欧州議会は2007年予算を承認

(ストラスブール)欧州議会は2007年のEU予算を承認した。ブル
ガリアとルーマニアがEUに加盟するのが間近に迫っているため、
予算は初めて27カ国体制となった。来年の支出は総額1,150億オ
イロ強が予定されている。この半額は、農業分野に使われることに
なっている。ドイツはEU予算の5分の1ほどを支出し、最大の支出
国である。

イスラエルはハニーヤにガザ帯状地帯入りを許可せず

(ガザ市)イスラエルはパレスチナ首相ハニーヤに、当面はガザ帯
状地帯への立ち入りを認めない。イスラエル国防相ペレツは、ハニ
ーヤがエジプトから数百万ドルの資金を、ガザ帯状地帯の急進派ハ
マース政権へと密かに持ち込むつもりである、として、国境通過地
点のラファを閉鎖するように命じた。武装したハマースの数人の戦
闘員が、その後ラファの通過地点へ押し寄せ、勢力下においた。ハ
ニーヤは2週間前からイランとその他のアラブ諸国を訪問し、財政
的な支援を得ようとしていた。

潘は新国連事務総長としての宣誓を行なう

(ニュー ヨーク)韓国元外相潘は、国連の新事務総長として宣誓
を行なった。62歳の彼は年が変わると、10年間にわたって国連の
最高の地位にいた事務総長アナンの後任となる。ニュー ヨークで
の国連総会で潘は、国連の利益になるために後見し、政府や他の組
織の支持には屈しない、と約束した。潘は10月にアジア人として
は35年ぶりの事務総長に選ばれていた。




12月15日(金)と12月16日(土)

お休みです。



12月17日(日)

アッバスの選挙実施の呼びかけがパレスチナ人居住区で混乱を招く

(ガザ市)パレスチナ大統領マハムード アッバスが新たに選挙を行なうよう呼び
かけた後、彼が率いるファタハ運動と急進派イスラーム教のハマースの間での、権
力争いが一層激化した。両者の支持者同士がガザ帯状地帯で戦い、少なくとも2人
が死亡した。ハマースの支持者がアッバスの大統領護衛隊に属する1人を殺害し
た。ガザの中心部では19歳の女性が射殺された。一方ハマースは、ファタハが外
務大臣マハムード アル・サハルの暗殺を図った、と非難した。何者かが外務省の
車団を銃撃していた。
イスラーム教徒は、アッバスが国会および大統領選挙を早期に行なうと宣言したの
はクーデタであり、パレスチナ人に大規模な抗議活動を行なうように呼びかけた。

     その他のニュース

イランの選挙では改革はと穏健な保守派が勝利

(テヘラン)イランの選挙では、大統領アフマディネジャド周辺の
超保守的な勢力が、敗北を喫せざるをえなかった。金曜日には各地
方の代表者とイランの宗教面での最高権威者アヤトッラー アリ 
ハメネイの活動を監視する専門家評議会の選挙が行なわれた。選挙
の一部に関する当初の公式発表によれば、改革派と協力関係にある
元大統領ラフサンジャニを中心とする穏健な保守派が、はっきり優
位に発っている。ラフサンジャニ自身は、専門家評議会選挙で、極
端に保守的な対立候補に対して圧倒的に優勢である。首都テヘラン
の地方選挙では、穏健な保守派と改革派があわせて11議席、強硬
派は3議席を獲得している。正式の最終結果は数日後に発表される
予定である。

英国首相ブレアはイラクに到着

(バグダード)英国首相ブレアは、襲撃を受けたイラク首相マリキ
に、国際的な支援を行なうと約束した。急遽行なわれたバグダード
訪問でブレアは、マリキが対立する各派閥と民族組織の間で和解を
実現しようと努力していることを、高く評価した。ブレアは、英国
の戦略は原則的には全く変化しない、と強調した。マリキとともに
彼は今一度、できるだけ早期により多くの地域の軍事的な指揮権
を、現地の勢力に委ねることに理解を求めた。マリキは土曜日に
は、サッダーム フセイン時代の元将校も軍に迎え入れ、サッダー
ムの政党バース党の党員も公勤務に再び就けるつもりである、と予
告していた。

ベック「健康保険改革の骨子を崩してはならない」

(ベルリン)バイエルン州に続いて、キリスト教民主同盟が政権を
持つバーデン・ヴュルテンベルク州とヘッセン州も、健康保険改革
計画を拒否する、と威嚇している。このような無計画な改革にヘッ
セン州が賛成することはない、と州首相コッホは述べた。社会民主
党党首ベックは、改革の骨格的な部分が州に拒否されることになっ
て、連立相手であるキリスト教民主、社会同盟の信頼性を高めるよ
うに求めた。彼は社会民主党幹部の会議を前にベルリンで、この改
革法案の本質的な問題では決して後戻りすることはないという点
で、首相メルケルとも合意しており、この構想を再び根底からくつ
がえしてはならない、と述べた。




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