3月13日〜18日のドイツのニュース



3月13日(火)

ケーラーは企業の社会福祉面での責任を強調

(ボゴタ)コロンビアを訪問している連邦大統領ホルスト ケーラーは、企業は社
会に対して社会福祉面での責任を持っている、と強調した。ボゴタで企業の経営者
と会合を行なった彼は、南アメリカの各地で収入の格差が大きくなっていること
が、経済的な繁栄を持続することができなくなる主要な原因である、と述べた。
大統領アルヴァロ ウリベが主催した公式晩餐会でケーラーは、コロンビアが同国
の派政府組織を和平実現の過程に組み込むべく努力していることを評価した。

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メルケル「ヨーロッパ的な社会福祉を宣伝しなければならない」

(ベルリン)ドイツ首相メルケルはEU加盟各国に向けて、ヨーロッ
パ的な社会福祉のあり方を、世界で一致して積極的に広めるように
訴えた。中国、インド、米国など競争に基づく体制に対して、市場
経済を社会福祉に重きを置いたあり方が勝れていることを、社会福
祉的な最低限度の基準を訴えることで主張することが重要だ、とベ
ルリンで開かれたドイツ労働組合連合の総会で述べた。労組連合の
会長ゾマーは、社会福祉を重視するヨーロッパからますます世界が
離れて行っている、と指摘した

数万人の外国人に滞在権を得られる可能性がある

(ベルリン)今まで待ち続けていた数万人の外国人が、ドイツの滞
在権を確実に手に入れる可能性を得た。永い間対立していたキリス
ト教民主、社会同盟と、社会民主党は妥協案に合意し、6年以上ド
イツに暮らし、滞在権を待ち続けていた外国人は、仕事を得るため
に2009年末までの時間的な猶予を得られることになった。彼らが仕
事を見つけられれば、継続して滞在する権利を得られる。職探しに
失敗した場合には、国外退去を覚悟しなければならない。現在ドイ
ツには、滞在権を求めているが、規則上は滞在権を認められず、人
道的な理由から国外追放を免れている外国人が合わせて約18万人い
る。彼らは就職を認められていない。彼らのうち十万人ほどがドイ
ツに6年以上滞在している。

電力取引所は非難を退ける

(フランクフルト アム マイン)ライプツィヒの電力取引所EEX
は、価格のつり上げを行なっているとの非難を否定した。電力市場
で起きていることは、合意法的なことである、と同所長メンツェル
はフランクフルト アム マインで述べた。報道によれば、大企業
は供給がなくなったことで、電力価格をつり上げた疑いが生じてい
る。ライプツィヒ検察は、捜査を開始した。政界内部では、同電力
取引所の改革を求める声が強まっている。




3月14日(水)

ケーラーはイラクの誘拐犯にあて映像による親書を送る

(ベルリン)連邦政府の要請に応え、連邦大統領ホルスト ケーラーは、イラクで
ドイツ人2人を誘拐した犯人に直接、ヴィデオによる親書で呼びかけた。彼は犯人
たちに対し、人質を即時釈放するように訴えた。どんな政治的な目標も、無実の人
間を誘拐したり、殺害したりすることを正当化することはできないし、どんな宗教
もそれを認めることはない、とケーラーはドイツとアラブ系のテレヴィ局で放送さ
れたこの映像の中で述べた。犯人たちは先週土曜日に初めて正式に発表を行ない、
国防軍が10日以内にアフガニスタンから撤退しないのであれば、61歳のドイツ人
女性と20歳のその息子を殺害する、と脅迫していた。

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内閣は法人税改革を採択

(ベルリン)連邦内閣は、異論も出ている法人税改革を採択した。
蔵相シュタインブリュックの提案通りに、来年の資本会社の負担は
はっきりと軽減される。税負担の割合は現在のほぼ39%から30%以
下に軽減される。一方税を支払わずにすます抜け穴の多くが閉ざさ
れる。シュタインブリュックはベルリンで、この法律によってドイ
ツは経済活動の拠点としての力を増す、と述べた。社会民主党の左
派は、この減税は企業に対する「巨額の贈り物」である、と批判し
た。ドイツ労働組合連合は、この計画は社会的に不公正である、と
述べた。一方ドイツ工業および手工業連邦連合会は、これに賛成し
た。

ジンバブエの野党指導者ツヴァンギライは頭蓋骨骨折の疑い

(ハラレ)ジンバブエの野党の指導者ツヴァンギライは、ほぼ3日
間にわたって警察の拘留を受けた後、釈放された。首都ハラレの裁
判所は、これ以上の拘束を正当化する点を見つけることができなか
った、とツヴァンギライの弁護士は述べた。同国最大の野党の党首
である彼は日曜日に、反政府デモをハラレで行なった後に逮捕され
たが、ある情報によれば、収容所でひどい虐待を受けた、とのこと
である。55歳の彼は頭蓋骨に骨折を負ったと見られている。ツヴ
ァンギライはハラレの病院で手当を受ける。彼は独裁的に支配を行
なう大統領ムガベの、最も有力な対立相手と目されている。

エル バラダイ「北朝鮮訪問には意味があった」

(北京)国際原発機構代表のエル バラダイは、北朝鮮での対話を
肯定的に評価した。平壌での交渉のおかげで、北朝鮮と国際原発機
構の関係を正常化する糸口が見つかった、と北京到着後に彼は述べ
た。北朝鮮には2002年に中断した同機構との協力関係を再開する
意向があり、同国共産党政権は核計画を終了することを約束すると
ころまで来ている、と述べた。エル バラダイが平壌を早期に出発
したため、いらだちを持つ向きもある。核計画の撤廃に関する6カ
国協議で北朝鮮の交渉役を務める金は、国連の管理を受ける国際原
発機構の代表との話し合いを、直前になって病気を理由に中止し、
代理人を派遣していた。




3月15日(木)

米国はテロの黒幕の告白を公表

(ワシントン)9月11日の攻撃から5年半、米国政府は黒幕と見られる人物の告白
を公表した。その中でパキスタン人ハリド シャイク モハメドは、攻撃を組織し
た、と告白している。さらに彼は、それ以外の30の攻撃あるいは襲撃計画に関
与、ないしはそれに関して自分にも責任がある、と述べている。それらのなかに
は、失敗に終わった米国大統領ジミー カーター、ビル クリントン、教皇ヨハネ
 パウロ2世に対する攻撃も含まれている。社会民主党および緑の党の政治家の中
には、この自白は拷問によって強制されたもので、疑問視する人もいる。シャイク
 モハメドはグアンタナモの米軍委員会でここ数日間で、これらの発言を行なっ
た、とのことである。中立の監視役は同席する許可を受けていなかった。

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イスラエルはパレスチナ新政府を承認しない

(エルサレム)イスラエルは現在提案されているパレスチナ内閣を
承認しない方針である。イスラエル政府の広報は、ハマースとファ
タハによって組織される内閣の予定は、イスラエルを承認し、テロ
との関係を建つとの基本方針を含んでいない、と述べた。ハマース
とファタハの間で意見が異なっているのは、大きな権限を持つ治安
部隊を配下に置く内務大臣の人事をめぐってである。内相に就任す
るといわれているのは、中立の行政の専門家アル カワスミであ
る。外相アブ アムルもファタハ、ハマースのいずれにも属してい
ない。

5大国とドイツはイラン新制裁で合意

(ニュー ヨーク)イランとの核をめぐる対立で、国連安保理で常
時議席を持つ5カ国とドイツは、制裁強化で合意した。英国の国連
大使パリーはニュー ヨークで、これに関する決議案を安保理に提
出する、と述べた。この決議案には特に、武器の輸出禁止と、イラ
ンの核計画に関連する個人および企業の預金をさらに凍結すること
を含んでいる。この制裁は、イランにウラン濃縮を断念させるため
のものである。

ムガベは国際的な批判を激しく否認

(ハラレ)ジンバブエ大統領ムガベは、野党に対して流血の措置を
取ったことで世界各国から批判されているが、この批判を退けた。
西側の人間は「地獄へ」行くことになる、とムガベは述べた。自分
の政権は暴力を阻止しなければならず、暴力を行使しているのは、
野党の指導者ツヴァンギライの政党側である、とも述べた。ツヴァ
ンギライは日曜日にハラレで逮捕され、警察の拘留中にかなり激し
い虐待を受け、まだ病院から退院できていない。




3月16日(金)

メルケルはポーランドで欧州憲法が廃案にされることがないように警告

(ワルシャワ)ドイツ首相アンゲラ メルケルは、ポーランド訪問中に、ヨーロッ
パ憲法が不首尾に終わることがないように、と警告した。そのようなことになれ
ば、歴史的な怠慢になる、と彼女はワルシャワ大学で行なった演説の中で述べた。
またメルケルは、第2次世界大戦中のドイツの歴史が新たに解釈しなおされるので
はないかとのポーランドの懸念に同意し、ドイツ人の国外追放者がポーランドを相
手取って起こしている賠償請求裁判を、はっきりと拒否した。彼女は今回の訪問で
は、バルト海のヘラ半島にある大統領レフ カチンスキの夏の別荘で、残りの時間
を過ごした。かなり親密な雰囲気の中で、EU憲法だけでなく、米国がポーランド
とチェコで計画しているミサイル迎撃網に就いても話し合いが行なわれたものと見
られている。

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イラクで誘拐された女性の夫がヴィデオで犯人に呼びかける

(ベルリン)イラクで誘拐されたドイツ人2人の家族が、誘拐犯に
映像による書簡の中でじかに呼びかけ、人質を解放するように訴え
た。誘拐されたドイツ人女性のイラク人の夫と、その息子の妻は、
犯人にこのヴィデオで、人質を「敬意と名誉を尊重して」扱うよう
に訴えた。彼らは慈悲を求め、イスラーム教は平和と仁愛の宗教で
ある、と強調した。連邦大統領ケーラーは既に、連邦政府の要請に
応え、ヴィデオによる親書をテロリストたちに送り、人質を解放す
るように求めていた。61歳の女性と彼女の20歳の息子は、2月6日
から、人質犯の手の中にある。

連邦刑事警察庁は追加の治安措置は不必要と判断

(ヴィースバーデン)インターネット上で急進派イスラーム教徒に
よるヴィデオによるテロの予告が行なわれているにもかかわらず、
連邦刑事警察庁は、ドイツでは追加して安全確保の措置を講ずる必
要はない、と見ている。混乱に陥る理由はない、この映像はドイツ
を危険度を上げるものではなく、安全確保の対策は既にかなり取ら
れている、と同庁長官ツィエルケはヴィースバーデンで述べた。た
だし彼は、ドイツとオーストリアや専門的な計画について詳しく言
及している点が、このヴィデオの新しい点である、と認めた。

エアバス社の再建計画に反対して2万5千人が抗議

(ハンブルク)労働組合の発表によれば、経営が不調な飛行機製造
会社エアバス社の再建計画に反対する抗議集会に、ドイツでは2万
5千人ほどが参加した。ハンブルクだけで2万人のデモ隊が、金属
産業労働組合とエアバス社の全事業所委員会の中央抗議集会に集ま
った。この集会では金属産業労組会長ペータースは、この問題の責
任は経営陣にあり、エアバス社が完全な委託書類を持っているのだ
から、解雇計画は受け入れられない、と述べた。その他の抗議集会
は、エアバス社の所在地であるバーデン・ヴュルテンベルク州のラ
オプハイムとバイエルン州のドーナウヴェルトでも行なわれた。清
算計画に反対する大規模な集会は、フランス、スペイン、英国でも
行なわれた。エアバス社は、新型大型機A380が問題を抱えている
などのため、危機に陥っている。




3月17日(土)

メルケルはポーランド訪問を肯定的に評価

(ベルリン、ワルシャワ)連邦首相アンゲラ メルケルは、ポーランド訪問を肯定
的に評価した。会談は極めて良好であった、と政府広報ウルリヒ ウィルヘルムは
メルケルのベルリン帰朝後に述べた。対立した論点であるEU憲法問題では、両者
は密接な協力をすることで合意した、とも語った。現時点ではポーランドにも、ロ
ーマ条約50年記念日に行なわれたいわゆる「ベルリン宣言」に署名する用意があ
る。大統領レフ カチンスキはポーランドのテレヴィ局に、自分は宣言の一部は留
保しており、ポーランドはEU内で署名を行なわない意向である唯一の国である、
と述べた。「ベルリン宣言」では、EU憲法を生き返らせるための刺激策が取られ
ることが期待されている。今までのところポーランドは、特にヨーロッパのキリス
ト教の伝統に関する表現を文言に取り入れることを主張している。

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環境大臣は成長に伴い気候保護を義務づけることに賛成

(ポツダム)連邦環境相ガブリエルは、G8環境相会議で、気候保
護と持続的な経済成長を結びつけることに賛成した。特に発展途上
国は、新たな天候保護のための義務が科されると、経済的な発展が
遅れるのではないか、との懸念を持っている。そのため、気候保護
を持続的な成長と結びつけるという原則が必要である、とガブリエ
ルはポツダムでの会議の終わりに述べた。国連環境保護計画の責任
者シュタイナーは、ポツダム会議はハイリゲンダムのG8首脳会談
に向け、天候保護を進める兆しが現れている、との見ているが、ハ
イリゲンダムの首脳会談では「大きな成果」が得られるとは期待し
ていない、ヨーロッパ、米国、発展途上国の間で多くの作業が必要
である、と述べた。

議会はパレスチナ新政府を承認

(ガザ)急進派イスラーム教のハマースと穏健派のファタハからな
る、パレスチナを一つにまとめる新政府は、国会によって承認さ
れ、引き続き宣誓を行なった。反対票はわずかであった。40人ほ
どの国会議員が、イスラエルの収容所にいるため、信任投票を欠席
した。前および新首相ハニーヤと大統領アッバスは、国際社会に今
一度、パレスチナ人に対する制裁を終えるように呼びかけた。EU
と米国はパレスチナの新指導部をおそらく支持する方向に動く模様
である。ブリュッセルでは秘密裡に、関係の安定化のための措置を
検討している、とハンブルクの報道雑誌「シュピーゲル」誌は報じ
た。それによれば、EUは当面穏健で親西側の大臣との接触を許可
する方針である。

イラクでは再び塩素ガスでの攻撃

(バグダード)自殺攻撃犯3人がイラクのアンバル州で、塩素ガス
を用いて石油輸送列車を爆破した。ファッルージャとラマディでも
攻撃が行なわれ、警官2人を含め少なくとも6人を道連れに死亡し
た。イラク人約350人が医師の手当を受けなければならなかった。
最も激しい攻撃は、約750リットルの塩素ガスを積んだ輸送車が爆
発したものであった。




3月18日(日)

イスラエルはパレスチナ政府を今後も認めない

(エルサレム)イスラエル首脳部はパレスチナ人の新政府も認めない方針である。
国際社会と対立し、テロを正当な者と見なす政府とは協力できない、大統領マハム
ード アッバスだけが交渉の相手である、とイスラエル首相エフド オルメルトは
閣議後に述べた。アッバスの顧問ナビル アブ ルデネフは、イスラエルと米国
は、ハマースとファタハ双方が参加する政府と話し合いを持たなければならない、
今回が平和と安定を築く唯一の機会である、と述べた。パレスチナ大蔵大臣サラム
 ファイヤドは、新内閣は国際社会の財政的な支援がなければ、長期間にわたって
活動することはできないだろう、と警告した。
フランスは正当に属さないパレスチナ外相シアド アブ アムルを、会談のために
パリに招待した。

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外相は米国のミサイル迎撃網に対する留保を改めて述べる

(ベルリン)米国が東ヨーロッパに計画しているミサイル迎撃網を
めぐる議論の中で、外相シュタインマイアーは、異議を表明した。
米国は独断でことを進めるのを断念すべきである、と日曜日に米国
に旅立つシュタインマイアーは述べた。社会民主党党首クルト ベ
ックも同様のことを述べ、社会民主党は新たな軍備競争を望んでい
ない、と語った。一方連邦首相メルケルは、この問題に関してポー
ランド訪問中には意見を述べていたが、批判をさし控えた。米国は
チェコにレーダー基地を建設し、ポーランドに迎撃ミサイルを配備
する意向である。ロシアはこの措置を強く批判している。

ドイツ イスラーム評議会はイラクの人質釈放を求める

(ベルリン)イスラーム評議会は、イラクでドイツ人2人を誘拐し
ている犯人たちに、人質をすぐに釈放するように求めた。ドイツ 
イスラーム評議会会長キズィルカヤは「ビルト アム ゾンター
ク」紙に、コラーンの中では誘拐は正当化されておらず、誘拐はイ
スラーム教と合致しない、と述べた。ドイツ人クラオゼとその息子
ズィーナンは、2月6日から人質犯の手の中にある。犯人は、ドイ
ツ政府がアフガニスタンから撤退しないのであれば、2人を殺害す
る、と脅迫している。ドイツ大統領ケーラーも映像による親書で、
釈放を目指す努力に協力している。

自由主義者ヴァンハネンがフィンランドの政権を今後も担当

(ヘルシンキ)フィンランドでは国会議員選挙がおこなわれ、予想
通り自由主義者の現首相ヴァンハネンが勝利する見込みである。一
部の集計結果によれば、彼が属する中央党は最高で25%の得票率で
ある。現在連立を組んでいる社会民主党が、野党保守党をかろうじ
ておさえて第2位である。この結果が確定すれば、フィンランドで
は現在の中道左派連立政権が続く見込みが高い、と見られている。




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