４月９日〜１５日のオーストリアのニュース
４月９日（月）
国外ニュース
イラクでは米国の占領に反対する大規模な抗議活動
「外へ出てデモに参加しよう」イラクのシーア派の指導者、エル
サドルはサッダーム フセイン失脚4周年の記念日に、米国占領軍
に対する抗議活動を呼びかけ、昨日この呼びかけに数十万人が応え
た。「占領軍は出て行け」などの戦いを求める声をあげ、米国の旗
を焼いて、デモ隊は聖なる都市ナジャフとクファを更新した。バグ
ダードの情勢は、攻撃が行なわれる懸念から移動禁止が課されてい
たため、当面平静であった。
国内ニュース
ブーヒンガーは労働市場解放の可能性を否定せず
社会福祉大臣エルウィン ブーヒンガー（社会民主党）は、労働市
場の一部を早期に解放することを検討している。「国内の働き手の
潜在力が不十分な分野では、部分的に労働市場を解放せざるをえな
い」と「プレッセ」紙に彼は述べた。現在、新規EU加盟国の出身
者に対しては、2009年までは限定的に労働市場への参入が認めら
れているが、この期間を2011年まで延長することがもともとは計
画されていた。それに対してEUからは反対の声が上がっている。
ブーヒンガーはその条件となるのは、景気回復が続くことである、
と述べた。
４月１０日（火）
国外ニュース
モロッコではイスラーム急進派の手入れで5人死亡
イスラーム教徒急進派に対する手入れが、昨日モロッコの経済上の
中心地カサブランカで行なわれ、少なくとも5人が死亡した。死亡
したのはテロの容疑者4人と警官1人である、と北アフリカの同国
当局は発表した。その他に10人ほどが負傷した、とのことであ
る。急進派のうち2人は、警官が彼らを逮捕しようとしたところ、
突然爆死した。この爆発ではこのほかに警官1人が負傷した。別の
容疑者1人は、体に巻いた爆発物に点火しようとしたところを射殺
された。もう1人は狙撃兵に取り囲まれ、路上で爆死した。このと
きには通行人数人が負傷した。容疑者の1人は、先月カサブランカ
のインターネット喫茶で、爆弾に火をつけた自殺攻撃犯の兄弟と見
られている。
国内ニュース
銀行調査委員会はFMAとBAWAGから証人を呼ぶ
国会の銀行調査委員会は今日の会議に、今までの会議で既に国会議
員に対して発言や解答を行なったことがある情報提供者数人を呼
ぶ。この委員会に初めて出席するのは、金融監督機関FMAの局長ユ
ルゲン バオアーである。彼は巨額の信用を届け出る際に介入を行
なった問題で、労働と経済銀行BAWAGに社会民主党の信用貸しに
関して質問を受ける。社会民主党は、金融監督機関が銀行の秘密を
もらした、と非難しているが、金融監督機関側はこれを否定してい
る。その他の証人が調査委員会で発言をするの初めてではない。
４月１１日（水）
国外ニュース
EU国境警備部隊は国会の承認を得る
欧州議会の内務委員会は、EUの国境警備緊急機動部隊を創設する
道を開いた。この軍隊は「特殊技能を持つ人材を戦略的に予備役」
としていくもので、加盟各国が難民をめぐる危機が起きた時に、支
援するためのものである、とベルギー選出のEU議員ジェラール
デプレは昨日述べた。計画によれば、EU加盟国からの問い合わせ
があれば、この部隊は2日以内に出動可能なものとなる。これがど
れぐらいの規模の部隊になるかは、まだ決まっていない。当初の計
画では、250人から500人規模の部隊が提案されていた。この計画
は、今月中にもEU議会の本会議にかけられ、6月にはEU内相会議
で採決されることになっている。
国内ニュース
米国は迎撃戦闘機の使用許可の申し入れを1月に始めて受けとる
米国がオーストリアから、迎撃戦闘機オイロファイターにソフトウ
ェアの使用許可に関する書簡を受け取ったのは、今年1月になって
からである。それより前には「外交的な話し合いの道筋をつける」
ことしか行なわれていなかった、と昨日のテレヴィ番組が報じた。
交渉はごく最近始まったばかりなので、使用許可の引き渡しには
11月までかかる、と報じられたが、米国側はこれを認めている。
国防大臣ノルバート ダラボス（社会民主党）はこれより前、オイ
ロファイターは使用許可に不備があるため、オーストリアに着陸す
るのは早くても11月である、と述べていた。
４月１２日（木）
国外ニュース
バグダードでは国会に対する攻撃があり、死者が発生
バグダードでは蜂起勢力の攻撃が行なわれ、「新たな」イラクの中
心部が被害を受けた。昨日国会議事堂で爆発が起こり、報道によれ
ば、国会議員3人を含め死者が7人発生した。バグダードの中心部
にあり、とくに安全を確保されている緑地帯の中で、この自殺攻撃
犯がイラクのテロの中でもっとも人目を引くテロ攻撃を行なった。
犯人がどのようにして、厳重な安全確保のための監視をかいくぐっ
て爆薬を持ち込めたのかは、全く不明である。
国内ニュース
2007/08年予算が検討段階に
慣例通り、予算に関する公聴会が行なわれ、2007年および8年の
予算に関する委員会の議論が始まった。5つの国会会派のそれぞれ
が、1人ずつの専門家を予算委員会に招き、大蔵大臣ウィルヘルム
モルテラー（国民党）と次官クリストフ マツネッター（社会民
主党）の作った予算案を評価することになっている。この委員会で
は予算関連法案と、予算案の第1章が議論される。赤字の総額は今
年は、国内総生産の1.1%から0.9%に、来年は0.7%に減らすことに
なっている。
４月１３日（金）
国外ニュース
イスラエルではパレスチナ人の若者が人間の楯となっている
素人のとったヴィデオによれば、イスラエルの兵士はパレスチナ人
の若者を、投石を行なうパレスチナ人に対する人間の楯として利用
した。イスラエル軍はその直後、その軍の指揮官を停職処分にし、
昨日この事件の調査を行なう、と命令した。外国人の活動家が撮影
したヴィデオには、イスラエルの兵士が投石を行なう若者たちから
兵士を守るために、2人のパレスチナ人一般市民を、軍用車の前に
むりやり立たせる様子が写っていた。パレスチナ政府の代表と人権
団体は、イスラエル軍はパレスチナ人を人間の楯として利用してい
る、と何度も非難していた。イスラエルの法律では、この行為は禁
止されている。
国内ニュース
EADS社はサッカークラブに資金を提供か？
迎撃戦闘機オイロファイターを製造するEADS社は、ウィーンのサ
ッカークラブ「ラピート」に対して、少なくとも総額28万オイロ
の助成金を支払っていた、と「エスターライヒ」紙は報じている。
それによれば、ラピートの支配人のウェルナー クーンとEADS
社の広報アレクサンダー ラインハルトが、支払いを認めている。
ただし彼らはその総額については述べようとしなかった。支払いは
2003年に行なわれた、とのことである。ラインハルトは同紙に、
これは「見返りを求めない若手育成」のための援助である、と述べ
た。同社は売名も宣伝も行なう意志はなかった、とのことである。
この支払いは、2001年から元大蔵大臣ルードルフ エドリンガー
（社会民主党）が同クラブの会長を務めていることと、政治的な関
連もある、と報じている。
４月１４日（土）
国外ニュース
オルメルトとアッバスは改めてエルサレムで会談
既に合意した定期的な会合の一環として、イスラエル首相エフド
オルメルトとパレスチナ大統領マハムード アッバスは日曜日、今
後のパレスチナ人国家の体制に関して話し合いを行なう。オルメル
トの事務所からの情報では、エルサレムでは政治体制の他、司法組
織および経済体制をめぐって話し合いが行なわれる。パレスチナ人
居住地域での人道的な状況についても、議題に登る、とのことであ
る。重要な問題であるエルサレムの地位、国境、および難民の帰
還、紛争の包括的な解決は、議題となっていない。先月には両者は
米国外務大臣コンドリーザ ライスの仲介で、2週間に一度定期的
に会合を持つことで合意していた。
国内ニュース
ブルゲンラント州社民党は99.8%の賛成でニースルを党首に選ぶ
ブルゲンラント州社会民主党は土曜日、オーバーシュッツェンで党
大会を行なった。出席者の98.8%が賛成して、州首相ハンス ニー
スルを同州同党の党首に再選した。298人の代議員が投票権をもっ
ており、255人が投票を行なった。また連邦同党党首で首相のアル
フレート グーセンバオアーもこの党大会に出席し、政策に理解を
求めた。ニースルは改めて同州国民党を批判し、比例代表選挙の廃
止に賛成である、と述べた。
４月１５日（日）
国外ニュース
フィンランドでは市民・緑の党の連立政府が成立
フィンランドは市民階級と緑の党の連立政権を持つ。首相マッティ
ヴァンハネンの中央党、保守派連合、緑の党、市民・自由主義の
スウェーデン国民党は昨日、共同の政権綱領と次期閣僚20人の割
り振りで合意した。中央党と保守党はそれぞれ8人の大臣をだす。
保守党は外相、内相、大蔵省、国防相とその他の重要な4つの職を
独占する。中央党は首相の他、今までの通産省と産業省を統一して
新たに作られた超経済省の大臣を出す。政権綱領には減税も含まれ
ており、それによれば租税収入はあわせて18億オイロ減少するこ
とになっている。フィンランドのNATO加盟については、政府は明
言していない。新政府は議会の200議席中125議席を有している。
国会議員選挙は3月18日に行なわれ、今まで中央党とともに政権の
座にあった社会民主党が大敗を喫していた。
国内ニュース
ブーヒンガーは低額所得者向けに負の税を提案
社会福祉大臣エルウィン ブーヒンガー（社会民主党）は、低額所
得者のために負の税を作るべく努力している、と新聞が報じてい
る。「これで働き手がいるのにもかかわらず、ごくわずかしか収入
がなく、家族が貧困に陥っている家族の中から、貧困を追い出すこ
とがかなりできるようになる」とブーヒンガーはテレヴィ局に述べ
た。これによれば、毎月200ないし250オイロの税金の免除が受け
られる。またこの措置は必要に応じて考え出されたもので、一定の
時間働いた場合にのみ支払われるが、現在既にこの種のものはある
が、月々9オイロにすぎない、とも述べた。彼はこの費用として毎
年2億5千万オイロ必要である、と見積もっている。これは賃金付
帯費用の全面的な引き下げの対案で、貧困との戦いの一環である、
と彼は考えている。