11月5日〜11日のオーストリアのニュース



11月5日(月)

     国外ニュース

ブッシュはエルドアンに「クルド労働者党は米国の敵」と明言

米国大統領ジョージ W. ブッシュは、トルコ首相レジェップ タイ
ップ エルドアンに、トルコと戦いを続けているクルド労働者党
PKKは、「米国の敵」であると見ている、と確言した。ブッシュは
ワシントンの大統領府で、エルドアンに叛乱勢力との戦いでは、秘
密情報部に協力させる、と提案した。米国はトルコにイラク北部で
のクルド労働者党のゲリラとの戦いで、軍事的な介入を行なう方針
である。米国は、イラクの比較的平穏なこの地域が不安定になり、
クルド人少数派のいるイランなど他国にとっての先例となることを
懸念している。トルコは、イラクとの国境地帯に数十万人の兵士を
結集している。この会談の直前には、この地域でトルコ軍とクルド
人反乱勢力が再び交戦を行なっていた。この戦闘ではトルコ軍に
1人、クルド労働者党の戦闘員2人が死亡した。

     国内ニュース

緑の党は国民評議会に外国人法を再提出

外国人法をめぐる特別会議に続いて、緑の党は改めて、外国人法問
題を国民評議会へ提出する準備を開始した。連邦同党代表アレクサ
ンダー ファン デア ベレンは月曜日に声明を発表し、水曜日の
時事問題の討議の時間に、「外国人法の軽視を決着させる。融和の
ための滞在権」という論題を提出する、と予告した。このきっかけ
になったのは、憲法裁判所の長官カール コリネクの批判的な言葉
である、とも述べた。コリネクは、外国人法との関連で、「法治主
義を危険にさらし」、外国人法には「大きな手抜かりがある」と述
べていた。ファン デア ベレンは、コリネクのこの言葉は、本来
は連邦政府に対する警告であり、外国人法の即時修正につながるも
のである」と述べた。




11月6日(火)

     国外ニュース

トルコは「トルコ的なものの侮辱」に関する法律を修正

報道によれば、トルコ政府は異論もある「トルコ的なものを侮辱」
した場合に罰を科される、との法律を修正する方針である。批判勢
力はこの刑法典301条を、意見発表の自由を制限するものである、
と見ている。この規則に基づいて、作家のオルハン パムクが迫害
を受けた。EUはトルコのEU加盟にむけた改革に関する報告書の中
で、この条項の修正を求めた。トルコ法務大臣メフメト アリ サ
ヒンは、数時間後に、政府はこの法律を修正するために、数日中に
国会に投票を求めて提案を行なうと発表した、と報じられた。クル
ド労働者党との紛争で、トルコ首相レジェップ タイップ エルド
アンは、がんじがらめになっている。国内的にはクルド人叛乱勢力
に対する軍事行動を求める軍の圧力にさらされている。EUはこの
選択肢を行使しないように、と警告している。

     国内ニュース

国民評議会は大学入学制限を要求

今後2年間も大学は、いくつかの学部で入学制限を課す可能性があ
る。国民評議会は午前中に、医学部、歯学部、獣医学部、報道学
部、経営学、心理学に対して、この措置を選ぶことを求めた。これ
に加えて、大量の学生が予想よりもたくさん押し寄せた場合には、
生物学、薬学部でも、この科学大臣の指示を適用できる。国会本会
議のもう1つの議題は、家族振興策である。より多くの子供を持つ
家族に対する家族支援を増額する方針である。1月1日から3人目の
子供に対して、35オイロ、4番目およびそれ以上の子供に対しては
50オイロの追加手当が支払われることになる。この手当を受ける
人の収入の上限は、学生がいる場合には年額8,725オイロから9千
オイロに引き上げられる。




11月7日(水)

     国外ニュース

EU閣僚が「ブルーカード」について協議

EUの内務大臣および法務大臣は木曜日に、高い技能を持つ移住者
に対して「ブルーカード」を導入する件で、協議を行なう。EU委
員フランコ フラティニは、この新たな労働許可の措置で、ヨーロ
ッパ以外の大陸からの専門能力を持つ人にとって、ヨーロッパをよ
り魅力的にするつもりである。大臣会議では、この計画に対して、
EU加盟27カ国すべてが、態度を表明することになっている。この
ほか各国内相は、シェンゲン条約の適用を東ヨーロッパへと拡大す
る問題を取り扱う。国境での常時旅券審査は、今までの計画では、
12月21日から省略されるが、空港では2008年3月からになる。

     国内ニュース

国民党は介護の猶予をめぐる対立で動議を提出

連立政権は水曜日に、政府の水準で内部が一致していることを表わ
す姿勢を示した後、社会民主党と国民党の間の対立が突然国民評議
会の場で、明らかとなった。国民党の国会会派団は、介護の猶予を
さらに1年間延長して、2008年末とする提案を行なった。現在政
府側の席についている社会福祉大臣エルウィン ブーヒンガー(社
会民主党)にとって、これは不意打ちであった。この動議は採決は
行なわれないまま、自動的に常設の社会福祉委員会へと回された。
恩赦によって、行政権に対する侵害が犯されるものではないとはい
え、介護を行なう人のみずからおよび社会保険に対する要求は、変
化なく残っている。この動議が提案される場合には、介護者の雇い
主は、猶予にもかかわらず高額の対か支払いをしなければならなく
なる可能性がある。社会民主党は、猶予期間の延長を今まで拒否し
てきた。




11月8日(木)

     国外ニュース

EUはシェンゲン条約の拡大を決定

12月21日に、以前からのEU加盟国と、新規加盟国の間の国境の管
理が中止される。加盟27カ国の内務大臣が、木曜日にブリュッセ
ルでこれを決定した。エストニア、ラトビア、ポーランド、チェ
コ、スロヴァキア、ハンガリー、スロヴェニアは、シェンゲン条約
が適用される地域に入ることになる。正式の決定は引き続き12月
に行なわれる。オーストリア内相ギュンター プラターは、シェン
ゲン条約の加盟国の情報共有態勢を賞賛した。

     国内ニュース

各会議は当面憲法に関する問題を取りあげない

各会議は当面、憲法に関する問題を取りあげない。現時点ではこの
件は議題になっていない、今後憲法問題が取り上げられるかどうか
は、明言できない、と連邦首相府は、APA通信を介して「プレッ
セ」紙に述べた。政府は当初、経済会議、労働者会議で憲法問題を
取りあげる計画であった。他の会議すべてが行なわれない予定であ
る、とのことである。これらの会議はこれに関して憤慨し政府に圧
力をかけていた。審査をする段階では、99の否定的な態度表明が
出されていた。




11月9日(金)

     国外ニュース

グルジア国会は戒厳令発令を承認

カフカス地方の共和国であるグルジアでは、国外からの批判と、国
内政治の危機がこの所高まっているにもかかわらず、国会は11月
22日までの戒厳令発令を、金曜日に承認した。これより前には、
国会議員たちは大統領ミヘイル サーカシヴィリの命令を破棄する
かもしれない、との観測が流れていた。サーカシヴィリは水曜日
に、数日前から続く大規模な抗議活動を受け、戒厳令を敷き、突然
1月5日に選挙を行なう、と予告していた。一方、検事総長は大富
豪で報道機関の経営者バドリ パタルカチシヴィリを事情聴取のた
めに呼び出していた。彼には反逆の謀議の疑いがかけられている。

     国内ニュース

世論調査では「新型中等学校」に6割が反対

ギャラップ社の世論調査によれば、両親の6割が義務教育年齢の子
供たちを、「新型中等学校」ではなく一般高等学校あるいは本課程
校に通わせる、とのことである。質問を受けた人の31%だけが、子
供を新たな総合学校で学ばせる用意があると答えた、と「エスター
ライヒ」紙は報じている。残りの両親はまだ意見を固めていない。
今回の世論調査では、古い学校制度を好む人が、58%で優生であっ
た。42%が「新型中等学校」の先例となる試みに理解を示した。
30歳以下の回答者は、特に保守的な意見の持ち主で、69%が「新
型学校」に反対し、31%が賛成であった。予想外に学校の改革の点
に関しては、賛成が多かった。1学級あたり2人の教員が担当する
ことを7割が支持し、さらに午後にも授業を行なう計画には82%が
賛成であった。シュタイアーマルク州は昨日、10歳から14歳が通
う学校の実現に少し近づいた。フォイツベルクとグラーツの先例と
なる地域では、本課程校が新しい学校に明確に賛成する決定を下し
た。




11月10日(土)

     国外ニュース

メルケル・ブッシュ会談 イランとの核対立の外交的解決を目指す

米国大統領ジョージ W. ブッシュとドイツ首相アンゲラ メルケル
(キリスト教民主同盟)は、イランとの核をめぐる対立を外交的に
解決するという目標に向かう意向である。昨日テキサス州クローフ
ォードにあるブッシュの牧場で数時間にわたる会談を行なった後、
イラン政府に対する圧力を強めるために、通商活動の制限に関する
話し合いをドイツ経済界と行なう、とメルケルは述べた。いつまで
イランに辛抱し続けるのか、との質問については、それは「仮定の
話」である、とも語った。イランが妥協しないのであれば、さらな
る制裁が必要となるが、国連安全保障理事会の決定が出れば、制裁
に向けてきわめてはっきりした意志表示となるので、全ての努力を
安保理の決定に向けなければならない、とも語った。ただしブッシ
ュとメルケルの間には、今なお意見の隔たりがある、と彼女は考え
ている。

     国内ニュース

学校問題でモルテラーは両親が義務を果たすことを求める

副首相ウィルヘルム モルテラー(国民党)は、書簡の中で教員に
対して、政府が新たな学校の形態を作ろうとしてる計画の中心点に
ついて説明し、これについては社会民主党と国民党が合意してお
り、それを実施に移すことに感謝した。モルテラーはその中で、生
徒が学校内および通学途中で危険な目にあったり、負傷したりする
など、生活環境の変化から生じる問題に、教員が直面していること
に理解を示した。同時に彼は、全ての学校で両親と教員の一種の契
約を結び、両親が義務を果たすことを求めている、と「クリール」
紙は報じた。それによれば、両親は子供が遅刻せず学校に行くか、
宿題をやるか、学校で一日に必要なものをすべて整えるか、監視す
ることになる、とモルテラーは述べている、とのことである。




11月11日(日)

     国外ニュース

スロヴェニア大統領選挙は左派のトゥルクが地滑り的勝利

スロヴェニアは日曜日、左派の候補ダニロ トゥルクを賛成多数で
新大統領に決定した。55歳の元国連職員であるトゥルクは、保守
派の代表ロイゼ ペーテルレとの決選投票で、68.6%の支持を受け
た、と、選挙当局は全ての表のうちの9割の開票が終わった後の日
曜夜、リュブリャナで発表した。首相ヤネス ヤンシャの中道右派
政権の支持を受けて立候補し、第1回投票では勝利を収めたペーテ
ルレは、31.4%の支持であった。トゥルクは12月23日にアルプス
山脈の小共和国の新大統領となり、1月にEUの議長職に就任するこ
とになる。「今日は民主主義のお祝いの日である」とトゥルクは述
べた。ペーテルレは敗北を認め、間接的ながら、政府に対する国民
の評価が低かったことに、敗北の原因がある、と述べた。新大統領
はこれにより、中道右派政権とずっと対立を続ける懸念がある。
「私はさまざまな政治的な陣営を結びつけるような大統領になるつ
もりだ」とトゥルクは述べた。

     国内ニュース

釈放法案で最大1千人がさらに釈放される可能性

水曜日に閣議で決定された逮捕者釈放法案に基づけば、来年にはさ
らに約6百人のオーストリア人逮捕者が、刑務所から釈放される可
能性がある。保護観察を担当する組織「新たな出発」はこのように
予想している。法務省の情報によれば、さらに最大で4百人の外国
人が条件づきで釈放され、国外退去処分になる可能性がある。つま
り逮捕者釈放法案は、最大で1千人に早期に自由を与え、少なくと
も130万オイロの支出削減になる。法務省は、オーストリア人逮捕
者の釈放は、若干少なく見積もっている。また保護観察を担当する
「新たな出発」の広報は、さらに職員を増やすように求めた。




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