11月19日〜25日のオーストリアのニュース



11月19日(月)

     国外ニュース

EUはコソヴォ問題で新たな出発

EUは今日からコソヴォ問題解決に向けて、新たな出発をする。ブ
リュッセルで開かれるセルビアとコソヴォのアルバニア人との交渉
で、EUの交渉役ヴォルフガング イシンガーは、妥協の提案を行
なう方針である。12月10日までの期限で行なわれる、EU、米国、
ロシアのコソヴォ三極の会談は、行き詰まっていた。米国および複
数のEU加盟国は、コソヴォの一方的な独立を承認する方針である
が、セルビアはロシアの支援を受けて、これを拒否している。ロシ
ア政府は、EUの最新の提案にも抵抗している、との情報もある。
EUの提案とは、1972年に東西ドイツが結んだ基本条約にならう形
で、セルビアとコソヴォの間の規則を作ることを含んでいる。

     国内ニュース

グーセンバオアーは年金受給者に書簡を送る

年金受給者は再び連邦首相からの手紙を受け取る。アルフレート 
グーセンバオアー(社会民主党)は、130万人の高齢者にあてた書
簡の中で、先日合意に至った2008年の年金引き上げを賞賛し、こ
の機会に前政権である国民党・自由党・未来同盟の連立政権への批
判を行なった、と「エスターライヒ」紙と「クリール」紙は報じて
いる。この訴えを行なうために、約20万オイロの資金を使った、
と社会民主党連邦執行部長ヨーセフ カリーナは述べた。「過去7
年間、年金受給者を守る動きが減少し続けていた。前政権が物価の
値上りに対応したのは、わずか1度であった。物価は上昇しつづけ
ているのだから、これは十分ではない」とも彼は述べた。




11月20日(火)

     国外ニュース

コソヴォ会談は行き詰まる

セルビア人とコソヴォのアルバニア人の代表が、コソヴォ三極の仲
介の元で、オーストリアで行なわれる最終会談前の最後と見られる
直接対話をブリュッセルで行なったが、突破口を見いだすことはで
きなかった。両者は相手の代表団に、検討の動きが見られないせい
である、とした。コソヴォのアルバニア人の交渉団の広報スケンダ
ー ヒセニは、コソヴォのアルバニア人は、12月10日の交渉期限
が終わった後も「早期に次の段階」について決定を行なうつもりで
ある、と述べた。「我々はEU諸国がコソヴォを期限のあとに承認
することに自信を持っている」と述べた。セルビア政府が提案した
自治権の提案は、国連行政府の元で南セルビアのコソヴォ州を、フ
ィンランドのオーランド諸島や香港の前例にならう形で、自治を認
める、というものであったが、コソヴォ側はこれを拒否した。EU
代表イシンガーは、両者がまず「地位の問題を棚上げにして」お互
いの関係について話し合うように求めたが、セルビア首相ヴォジス
ラフ コストゥニッツァは、これを拒否し、これを行なうことは、
コソヴォの独立を認める以外の何ものでもない、と述べた。

     国内ニュース

スペイン国王がウィーンを短期間訪問

スペイン国王ホアン カルロス1世は、水曜日にウィーンに短期間
訪問する。この訪問は、ウィーンにある新しい欧州安保協力機構の
建物の落成式が行なわれるためである。スペインは年末まで、同機
構の議長を務めている。新たな欧州安保協力機構の落成式を前に、
国王は宮殿で連邦大統領ハインツ フィッシャーとの会談を行なう
予定である。国王の訪問は、スペインの同機構議長の名前で、王宮
の部屋の中で行なわれる昼食会で始まる。この部屋は、同機構の常
任評議会が定期的に行なわれている場所である。大使館の発表によ
れば、同機構の委員および加盟56カ国の代表も招待されている。
同じ時期にウィーンに滞在するスウェーデン国王夫妻との会談は、
予定されていない。




11月21日(水)

     国外ニュース

米国は近東和平協定を急がせる

米国は大統領ジョージ W. ブッシュの任期末である2009年1月ま
でに、イスラエルとパレスチナの間の和平条約を取りまとめるべく
努力をしている。「関係者は、大統領の任期中に決着をつけたいと
語った」と米国外務大臣コンドリーザ ライスは、来週米国のメリ
ーランド州のアナポリスで予定されている近東会議に向けて述べ
た。ただし彼女は、そのような結果がでる保証は全くないことを認
め、現在なしうることは、最善の方向に努力することである、と述
べた。来週行なわれるこの会議は、7年前に中断したイスラエルと
パレスチナの和平交渉を進展させるためのものである。米国大統領
府広報は、過大な期待を抱かないように、と警告した。

     国内ニュース

脅迫ヴィデオの扱いの手違いに矛盾と非難

最近明らかになったイスラーム教徒による脅迫の映像は、深刻な意
思疎通上の障害を生み、連立内閣の新たな対立を引き起こす可能性
がある。先に法務大臣マリーア ベルガー(社会民主党)は、内務
大臣ギュンター プラター(国民党)からの情報提供があまりに遅
すぎる、と苦情を申し立てた。ベルガーの公然たる批判は、ほとん
ど聞き届けられず、社会民主党所属の首相アルフレート グーセン
バオアーは、プラターを擁護する立場を表明し、「法務省内部に誤
解がある」と述べた。




11月22日(木)

     国外ニュース

英連邦はパキスタンを追放

パキスタンで戒厳令が続いていることを受け、英連邦諸国は、パキ
スタンの加盟を取り消した。これは同連邦事務長ドン マッキノン
が、ウガンダの首都カンパラで開かれている英連邦首脳会談の途中
に発表した。英連邦はパキスタン大統領ペルヴェズ ムシャラフに
対して、11月3日に発令した戒厳令を解除するようにとの最終通告
を出していたが、これより前にその期限が切れていた。憲法を再び
効力あるものとするほか、ムシャラフの軍の長からの辞任が、求め
られていた。パキスタンはムシャラフのクーデタ後の1999年に
も、英連邦から除名されていた。2004年にイスラーム教国である
同国は英連邦に再加盟していた。

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連立政府は亡命裁判所設立で合意

連立政府は木曜日、亡命裁判諸問題で合意に達した。それによれ
ば、亡命希望者は今後は行政裁判所への控訴をする機会を持たない
で、憲法裁判所に訴える道だけが残される。内務大臣が提案し、異
論も出ている法案が、原則に関する判断にかかわっているので、こ
れが何と関連するのかについて、社会民主党の治安問題の専門家ル
ードルフ パルニゴニは、これは既に制限されている、と強調し
た。亡命裁判所の設立で、亡命裁判に時間がかかる事態は、
2010年までに解消することが確実となる。この裁判所の本部はウ
ィーンに置かれ、リンツにも支局が置かれる。




11月23日(金)

     国外ニュース

EUはガリレオと2008年予算で合意

EUの予算に責任を持つ閣僚は、12時間を越える長時間交渉の後、
航行衛星ガリレオの財源と2008年のEU予算で合意した。これは議
長を務めるポルトガルが昨日、ブリュッセルで発表した。評議会筋
の情報によれば、オーストリアにとって重要なヨーロッパを縦断す
る交通計画の財源は確保された、とのことである。ガリレオとヨー
ロッパ技術研究所が2013年までに必要とする27億オイロのうち
16億オイロは、不必要になった農業補助金から出されることにな
った。ドイツはガリレオの財源を、今年の予算から出すつもりであ
ったが、それは実現しなかった。EUの支出は来年は1,203億オイ
ロになる。昨年は1,115億オイロであった。これはEU委員会が先
日交渉の中で求めていた額である。

     国内ニュース

フィッシャーはスロヴェニア到着 シェンゲン協定拡大を賞賛

連邦大統領ハインツ フィッシャーは金曜日午後、私的にスロヴェ
ニアを訪問し、12月21日にオーストリアの隣国を含め、新たなシ
ェンゲン協定加盟国へと国境管理が省略されるのは、「前向きの展
開」である、と述べた。自分がオーストリアの全ての国民の代弁を
することができるかどうかはわからないが、「主流となる意見は、
国境の重要性を低減し、全ての安全の基準をまもる必要がなくなる
今回のそちは、それが前向きの展開である、というものである」と
右派の公共放送局スロヴェニヤで述べた。フィッシャーはズィヒェ
ルドルフすなわちゲデロヴィチで、国境のところで行なわれる最後
の大統領会談として、元スロヴェニア大統領ダニロ クーチャンの
の出迎えを受けた。




11月24日(土)

     国外ニュース

ロシアではカスパロフに5日間の拘留の判決

ロシアでは国会議員選挙まで1週間となり、野党の政治家に対して
短時間での裁判が行なわれている。チェスの元世界選手権者ガリー
 カスパロフは、大統領ウラジミール プーチンに反対するデモを
行なって、逮捕された直後に5日間の拘留の有罪判決を受けた。彼
には、無許可で抗議活動を組織し、逮捕に抵抗した、との容疑がか
けられていた。他の野党の人物も逮捕された。モスクワでは数千人
が抗議集会に参加した。別の野党の候補者は、暗殺をしかけられて
3日後に負傷が原因で死亡した。

     国内ニュース

緑の党は「国民党は気候保護を阻止、社民党には勇気がない」

緑の党はザルツブルクで連邦党大会を開いているが、社会民主党と
国民党を厳しく攻撃している。緑の党は気候保護、亡命政策、人権
擁護をさらに強く打ちだし、市町村での活動を強化する方針であ
る。気候変動は、金持ちよりも貧しい人の方にひどい影響を与え
る、と連邦執行部長ミヒャエラ スブルニーは述べた。緑の党は
「力強い目標」と「誤った妥協をしない」方針である。ザルツブル
ク緑の党代表シリアク シュワイクホーファーは、「大連立は大問
題を解決するのではなく、大きな問題を引き起こしている」と非難
した。




11月25日(日)

     国外ニュース

アラブ代表が米国での近東会議に参加

サウディ アラビアに続いて、シリアも米国での近東会議の招待を
受けいれ、これによりさらに主催者は力を得る。シリアの国営通信
社は昨日、同国は外相代理ファイサル アル メクダドをアナポリ
スでの会談に参加させる、と発表した。イスラエルはこの決定を歓
迎した。外交官がダマスカスで発表したところによれば、シリアが
招待を受けるのは、議事日程に近東紛争におけるイスラエルとシリ
アの側面も取り上げられるためである。この問題では1967年にイ
スラエルが占領したゴラン高原が議題となる。アラブからの代表が
出席することは、米国にとっては大きな成果と見られる。米国とシ
リアの関係が緊張しているにもかかわらず、米国政府はシリアの参
加を高く評価した。この会議にはオーストリアからは外務大臣ウル
スラ プラスニクが出席する。

     国内ニュース

政党への献金を透明化する要求が強まる

国会議員の副収入の公表に関する議論で、今回は党の財政に関して
さらに透明性を要求する声が上がった。日曜日午後のテレヴィ番組
「中心には」のなかで社会民主党、緑の党、自由民主党、未来同盟
の代表は、政党への献金を公表するのに賛成である、と述べた。国
民党は現在の規則、すなわち公報の中で収支を公表するだけで十分
である、との見解である。国民党事務長ハネス ミセットホーン
は、党に対する献金の公表だけでなく、国会議員の副収入の公開を
定める法的規則には、同党は賛成しない、副業を一覧表にして公開
するだけで十分だ、と述べた。政党問題の専門家フーバート シキ
ンガーは、国際的な流れは、党への献金を公表する方向にあり、オ
ーストリアはこの点で遅れているので、国会議員の副収入の公表問
題よりも、献金の透明性を高める議論の方が重要だ、と述べた。




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