2月4日〜10日のオーストリアのニュース



2月4日(月)

     国外ニュース

ブッシュは軍事支出を大幅に増額する方針

米国大統領ジョージ W. ブッシュは、国の金庫が空っぽで、負債が
増加しているにもかかわらず、任期最後の1年で軍事支出を再び劇
的に増加させる方針である。昨日彼は2009年国家予算を提出した
が、3兆1千億ドルの記録的な規模の予算で、負債は4千1百億ドル
の負債であった。軍事支出は7.5%増の5,150億ドルに上る。健康
対策などの社会福祉計画は大きく引き下げられた。もう一つの重点
項目は、米国経済の悪化に歯止めをかけるための景気刺激策であ
る。またブッシュは、今までに決定されていた減税の方針の堅持を
改めて支持した。国土防衛省の予算は、6.8%の大幅増額で、
505億ドルとなった。この資金は主として国境防衛および情報蓄積
所計画に使われる。民主党は、これに対して激しく抵抗する、と予
告した。

     国内ニュース

オーストリア指揮官はチャドで「順調である」と発言

チャドで活動するオーストリア軍の指揮官ハインツ アスマンは、
昨日午後のテレヴィ番組で、ンジャメナ空港近くの拠点にいるオー
ストリア人兵士の置かれている状態はよい、と述べた。オーストリ
ア部隊は危険にさらされておらず、EU軍のチャドでの作戦の今後
についてEUの決定に従っている、とも述べた。ンジャメナの15人
の兵士の他、オーストリア国軍の兵士2人が同国東部のアベッヘに
滞在しているが、ここも「極めて平穏である」とアスマンは述べ
た。反乱勢力によるチャドの首都に対する攻撃は突然発生したが、
EU軍の派遣開始と同時に攻撃は偶然始まったのではない、と考え
ていると彼は述べた。




2月5日(火)

     国外ニュース

CIA長官は尋問の手法を明かす

米国秘密情報部長官マイケル ヘイデンは、尋問の際に溺死させる
とみせかけた問題の手法を使われたテロ容疑者3人の名前を初めて
公表した。ワシントンの議会の委員会でヘイデンは、「水攻め」の
手法がテロリストの容疑者ハリド シャイク モハメド、アブ ス
バイダ、アブデル ラヒム エル ナシリに対して5年以上前に使
われた、と述べた。それ以降この尋問のやり方は使われていない、
とも語った。報道によれば、ヘイデンはこのような尋問を行ったの
は、新たな攻撃が行なわれる危険性が切迫していたからである、と
述べた。また彼は議会に対して、CIAに許可された尋問の技術を、
制約しないように求めた、とも報じられている。

     国内ニュース

物価上昇をめぐり閣議内部で対立

連立政府内部では今日、議論が新たな高まりを見せるかもしれな
い。最近急激に物価が上昇しているのに、どのように対処できる
か、連立両党は閣議に案を呈示する。大蔵大臣ウィルヘルム モル
テラー(国民党)は、もともとは今年半ばに設定されていた料金値
上げを断念するべく努力するのに対し、社会福祉大臣エルウィン 
ブーヒンガー(社会民主党)は、社会民主党が求めた貧しい人に対
する、一時金の支払いを望んでいる。モルテラーの提案は賛成を得
られる見通しである。金融や交通分野での料金値上げを断念するよ
うにとの社会民主党の要求に、かなっているからである。ブーヒン
ガーの提案が通る見込みは薄い。100オイロの一時金に支払計画に
蔵相の賛成が得られる見込みはないからである。




2月6日(水)

     国外ニュース

アフガニスタンをめぐる対立がNATO会談に暗い影

NATO加盟国の防衛大臣は今日、リトアニアのヴィリニュスで、南
アフガニスタンへのさらなる兵の派遣をめぐる対立で、共通の方針
を模索する。ドイツ国防大臣フランツ ヨーゼフ ユングと米国国
防大臣ロバート ゲイツとの会談が、緊迫感をもって見守られてい
る。ゲイツはユングに対して、ドイツ国防軍をアフガニスタン南部
に派遣するように圧力をかけている。この地域では連合軍がタリバ
ーンと激しい戦闘を繰り広げている。米国の他、カナダ、英国、オ
ランダも、ヒンドゥクシのこの地域での、より公平な「負担の分
担」を求めている。このほかこの会議では、コソヴォ問題も話し合
われる。コソヴォのアルバニア人が同率を宣言した場合に、約1万
7千人のコソヴォ軍KFORの兵士を派遣し、平静と秩序の維持をは
かる、と各国首相は強調する方針である。

     国内ニュース

若者の国外退去処分をめぐり人権裁判所が調査

ヨーロッパ人権裁判所は昨日、オーストリアが若い麻薬中毒のブル
ガリア人を国外退去にした件に、改めて取り組む。ストラスブール
の裁判官は、当時18歳だった若者の国外退去にし、オーストリア
で暮らす家族と切り離した政府の措置は、家族の保護を定めた基本
法に違反するかどうか、検討する。ストラスブールの裁判所の小法
廷は、2007年3月のこの国外退去を「過大な措置」であるととが
めていた。原告は、6歳で両親とともにオーストリアにやってき
た。15歳と16歳の時、ウィーンの少年裁判所で、合わせて20カ月
の拘留を言い渡されたが、それは主として家宅侵入および窃盗によ
るものであった。彼は2002年5月に拘留を解かれ、1年半後にブル
ガリアに国外退去させられていた。




2月7日(木)

     国外ニュース

米国はNATOの対立を収める努力を払う

NATOば分裂する危険が高まるとの警告がなされた後、米国国防大
臣ロバート ゲイツは昨日、この対立を収集するために、積極的に
努力を行なった。彼は、アフガニスタン南部へ戦闘部隊を派遣する
つもりのない同盟国に対して、理解を求めた。南部で戦闘を広げて
いるNATO加盟国の中には、昨日リトアニアで行なわれた国防相会
談で、他の加盟国からの支援を増やすようにもとメルクにがあっ
た。4月上旬にブカレストで行なわれるNATO首脳会談前には、こ
れは起きないだろう、と参加者は見ている。事務長ヤープ デ フ
ープ スケッフェルは、アフガニスタンでさらに努力するように求
めた。現在4万3千人の兵士がアフガニスタン保護部隊ISAFにはい
るが、軍の意向では、まだ7千2百人不足している。

     国内ニュース

グーセンバオアーはチャド作戦を疑問視せず

連邦首相アルフレート グーセンバオアー(社会民主党)は、オー
ストリア国軍兵士を、EU軍の一部としてチャドに派遣することに
疑問を抱いたり、断ったりする理由はない、と見ている。安全確保
政策上、情勢は緊迫しており、EU軍の兵士のチャドでの今後の進
軍を続けられるのであれば、解決しなければならない、と昨日ウィ
ーンで開かれた国家安全保障評議会の会議後に彼は述べた。彼は野
党からのチャド派兵批判を退けた。この作戦がいつ始まるのかは、
現時点では重要ではない、治安面での前提条件が見たされれば、と
いうことになる、最も重要なのは兵士の安全の確保である、とグー
センバオアーは述べた。




2月8日(金)

     国外ニュース

ケニアのデモ禁止は解除

ケニア政府は、12月の大統領選挙以降課されていたデモの禁止を
解除した。治安情勢が改善された、と国内安全省が昨日ナイロビで
発表した。この禁止は、12月末の問題の大統領選挙の直後に課さ
れ、特に野党の大規模集会を阻止するためのものであった。野党の
国会議員は昨日、大統領ムワイ キバキの政党とともに、合同で政
府を作ることで基本的な合意に達した、と述べた。ただし、2週間
前から敵対する組織の仲介を行なっていた国連元事務総長コフィ 
アナンは、慎重な意見である。来週初めにも突破口が見いだせれ
ば、とキバキおよび野党の指導者ライラ オディンガとの首脳会談
後に述べた。キバキもオディンガも、選挙で勝利したのは自分であ
る、と主張している。選挙後の騒乱で、今までに1千人以上が死亡
した。

     国内ニュース

入国査証問題で外務省職員が内務省に不利な発言

2003年4月の特別監査の際に既に、ブダペストのオーストリア大
使館では、数百件の入国査証が「規則に則らない形で発行」されて
いたが、それは発行されてはならないものであった、と外務省職員
カール アオクスト ルクスは昨日ウィーンで行なわれた入国査証
裁判の証人として述べた。彼は報告書の中でそれを指摘したが、
「ボールは内務省に預けられたままだった」とルクスは裁判官の書
類の内容を確認した。当時はエルンスト シュトラサー(国民党)
が内務大臣を務めていた。この事件でなぜ内務省との協力関係がう
まくいかなかったかはわからない、内務省の担当する範囲ではない
という理由で、それをするのは職権乱用にあたったか、についても
わからない、と彼は述べた。




2月9日(土)

     国外ニュース

ハカビーは共和党のカンザス州の予備選挙で勝利

米国の共和党大統領候補をめぐる争いでは、元再洗礼派の牧師マイ
ク ハカビーがカンザス州では上院議員ジョン マケインを抑え
て、はっきり勝利した。80%の開票が行なわれた時点で、アーカン
ソー元州知事のハカビーが62%、マケインは22%、ロン ポールは
11%の票を集めた。ただしハカビーは、夏に行なわれる共和党の代
議員党大会で、自分が大統領候補に選出される可能性は、まだ少な
いことを認めざるをえない。アリゾナ州選出の上院銀マケインは、
先に「決戦の火曜日」の20を越える州での投票結果で、他による
挽回が不可能なほど優位に立っている。一方、ヒラリー・クリント
ンとバラク オバマの民主党の大統領候補の選挙戦は、新たな局面
に入る。「ワシントン ポスト」紙の集計では、クリントンが
1,045人、オバマが960人の代表を得ている。夏の指名党大会で勝
利するためには、4,049人の代議員のうち、少なくとも2,025人を
獲得する必要がある。

     国内ニュース

ワッハウ出身の市長が毒を盛られた可能性?

「クリール」紙の報道によれば、シュピッツ市長ハネス ヒルツベ
ルガーが、青酸カリを盛られた。彼の状態は深刻である。その報道
によれば、有名なワッハウ生まれの市長で弁護士である彼は、チョ
コレート菓子の中にあった青酸カリを摂取した。誰がこの犯行の背
後にいるのかは、今のところ不明である。ニーダーエスターライヒ
州犯罪局が捜査を行なっている。警察は、毒物検査の結果は、日曜
日朝にでる予定だ、と発表した。ヒルツベルガーは、自分の車のフ
ロントグラスのところに親しみのこもった手紙と、チョコレート菓
子を見つけていた。彼はその内の一つないし数個を食べた可能性が
高い。その後土曜日午前中にクレムスへむかう途中、ワッハウのあ
る村落で、車から彼は転がり出てきて、通行人に「救助隊を読んで
くれ。毒を盛られた」と助けを求めた、とのことである。




2月10日(日)

     国外ニュース

東ティモール大統領が攻撃を受け負傷

軍の発表によれば、東ティモール大統領ホセ ラモス・ホルタは、
攻撃を受けて負傷した。武装した襲撃犯が日曜夜に大統領の家を攻
撃した、とのことである。元ノーベル平和賞受賞者のラモス・ホル
タの状況がどのようであるかは、最初ははっきりしなかった。軍公
報の発表によれば、銃撃戦で警備員1名と、殺人容疑で行方を追求
されていた反乱軍の兵士1人が死亡した。ラモス・ホルタは約1年
前、東ティモールの新大統領に就任していた。以前ポルトガルの植
民地であった東ティモールは、1999年にようやく24年間にわたる
インドネシアとの流血の戦争を終えて、独立していた。2002年ま
では同国は国連の行政下にあった。

     国内ニュース

IHSのフェルデラーは物価上昇に対する一時金の支払いを批判

社会民主党は物価上昇の補填として100オイロの一時金支払いを計
画しているが、高等研究所IHS所長ベルンハルト フェルデラー
は、これは目的に適わない、と批判した。彼は問題解決の手法とし
ては、収入の少ない人のところでは、社会保障の払込金の減額や、
完全な無料化等を含め、大幅な税制改革の実現の方がふさわしい、
と見ている。ただし2010年に予定されている減税を早期に行なう
ことを、フェルデラーは意味がない、と見ている。100オイロの支
払いなどの場当たり的な対策は、問題の解決にはならない、と彼は
述べた。




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