9月29日〜10月5日のオーストリアのニュース



9月29日(月)

     国外ニュース

米国はイスラエルにミサイル迎撃レーダーを設置

米国は、イランのミサイル防衛のために、高性能のレーダーをイス
ラエルに提供する。米軍公報パトリック ライダーは昨日、これに
関するイスラエルでの報道を確認した。米国の情報によればこのレ
ーダーは、飛行中のミサイルの場所を突き止め、これを迎撃するた
めの場所を決めるためのものである。同じような施設を米国は既に
2006年に日本に提供しているが、これは北朝鮮のミサイルからの
防衛を行なうためのものである。週末にはイスラエルでは、この施
設の設置に関する情報が報じられたが、イスラエル政府はこれを認
めていなかった。

     国内ニュース

政府はフィッシャーに辞表を提出

国民評議会選挙から2日の火曜日、いくつかの内政上の行事が予定
されている。社会民主党、自由党、緑の党は、それぞれの党委員会
を招集し、選挙の結果について協議を行なう。これを前に辞任した
連邦政府は、閣議を開いて辞任を決定し、引き続き連邦大統領ハイ
ンツ フィッシャーに辞表を提出する。この手続きは、大統領が各
閣僚と次官の辞任を認め、その後彼らに暫定的な制約を行なわせ、
新政府ができるまでの間、その職務を継続するように委託する、と
いうものである。選挙で敗北した緑の党は、幹部会で今後の対策
と、おそらく幹部の交代を討議する。社会民主党はまず議長団、そ
の後幹部が集まる。自由党は国会で幹部が集まる。大幅な人事の交
代は自由党と社会民主党ではなさそうである。社会民主党で問題に
なるのは、前日の国民党幹部の決定にどのように対応するか、とい
う点である。




9月30日(火)

     国外ニュース

ジンバブウェでは統一政権に関して意見がまとまらず

ジンバブウェでは、新統一内閣結成に案する協議で、大統領ロバー
ト ムガベと今までの野党の指導者モーガン ツヴァンギライは、
まだ未定となっている閣僚人事の割り振りで、合意に達しなかっ
た。ツヴァンギライの「民主化運動MDC」は昨日、政府への参加は
同じ目の高さで行ないたい、「弱い連立相手」としての役割では問
題にならない、と発表した。ムガベの「ジンバブウェ アフリカ民
族同盟・愛国戦線ZANU-PF」は、主要閣僚をすべて自らが占める
つもりである、と「民主化運動」公報は述べた。またこの公報は、
仲介役を務める元南アフリカ大統領ターボ ムベキには、交渉の進
展状況について情報を伝えている、とも述べた。ムベキの党は、国
防、国家安全、大蔵の大臣を要求している、とのことである。

     国内ニュース

自由党はグラーフを国会第三議長に指名

長年にわたって国民評議会議員を務めているマルティン グラーフ
は、昨日の自由党幹部会で、国民評議会の第三議長に全会一致で
指名された。自由党は選挙で、第三勢力の地位を、緑の党から奪い
返していた。党首ハインツ・クリスティアン シュトラーヒェは、
6時間にわたる会議後に48歳のグラーフを提案した理由として、グ
ラーフの経験と、専門的な法律家として議長を務めた銀行調査委員
会の運営を挙げた。グラーフが鵜は急進勢力に分類されるオリンピ
ア学生組合のオーストリア抵抗文書館に加盟していたため、過半数
の賛成を得られないのではないかとの見方に、シュトラーヒェは組
せず、そのようなことがあれば侮辱であり、醜聞である」と述べ
た。




10月1日(水)

     国外ニュース

世論調査でオバマは鍵を握る3州で優位に立つ

世論調査によれば、米国の民主党大統領候補バラクオバマは、重要
なオハイオ、フロリダ、ペンシルヴァニアの3州で、共和党の対立
候補ジョン マケインに優位に立っている。先週末に行なわれたク
ウイニピアク大学の調査によれば、第1回のテレヴィ対決以降、オ
バマへの支持は増加し、この3州では50%あるいはそれ以上となっ
ている。オハイオ、フロリダ、ペンシルヴァニアは、支持政党が変
動する「揺りかご州」と目されている。1960年以降この州のうち
少なくとも2州で過半数を取れなかった候補者は、大統領になれて
いない。

     国内ニュース

憲法裁判所は元将軍ザゴレッチの抗告を退ける

クロアチアの元将軍ウラジミール ザゴレッチは、クロアチアへの
移送に抵抗して抗告を行なっていたが、オーストリア憲法裁判所
は、これを退けた。この件はザゴレッチの訴えに従い、行政裁判所
で検討される、と憲法裁判所公報クリスティアン ノイウィルトは
昨日APA通信に発表した。憲法裁判所の判断では、移送に不利にな
るものはなく、違憲かどうかという問題は検討されていない、との
ことである。ザゴレッチは月曜日に憲法裁判所に、延期動議を提出
し、自分の移送を行なわないように求めていた。彼はその理由とし
て、自分と家族はクロアチアに移された場合には、生命の危機に直
面しなければならない、ということを挙げていた。




10月2日(木)

     国外ニュース

ロシアでは21万5千以上の武器が行方不明に

新たな調査によれば、ソ連が崩壊した後、21万5千以上の武器が、
痕跡もなくロシア治安部隊の保管庫からなくなった。今年の初めか
らだけで、7千5百ほどの武器の所在がわからなくなっている、と
内務省は発表した、インターファクス通信が伝えている。内務省公
報は、この責任は国防省と国防省配下の基地にあり、管轄する部局
から流出して、「暗黒街」の資金源となっている、と述べた。

     国内ニュース

秋の賃金交渉が始まる

金曜日には、来年度の被雇用者の収入を決める第一歩が踏み出され
る。ウィーンでは金属産業の第一回賃金交渉が始まる。この結果が
それ以外の賃金交渉すべてにとって、方向性を指し示すものとな
る。昨年は3.6%の賃上げと一時金の支払いで、約5%の賃上げが交
渉でまとまった。使用者側と被雇用者側は、少なくとも物価上昇を
埋め合わせることが必要である、という点では一致している。さら
に一時金を含めて3.4%に達する年金引き上げが、もう一つの目標
である。ただし経済研究所の最新の経済成長予想が悪いことが、こ
の交渉に暗い影を投げかけている。それによれば来年の経済成長
は、1%を下まわり、労働市場の状況もそれに対応するものであ
る。




10月3日(金)

     国外ニュース

カタリーナ アシュトンが新EU貿易委員に就任

英国のピーター マンデルソンが、EU委員を退いたことを受け、
経済の専門家キャサリン マーガレット アシュトン(52歳)
が、新たなEU貿易委員に指名された、とEU委員会議長ジョゼ マ
ヌエル バローゾが昨日ブリュッセルで発表した。アシュトンは今
まで英国上院で政府の筆頭議長を務めていた。マンデルソンは、ジ
ョン ハットンの後を受け、また英国の貿易大臣となる。首相ゴー
ドン ブラウンは、彼にこの要請を行なった、と昨日述べていた。
マンデルソンは驚いたが、ブラウンの閣僚に呼ばれたことを誇りに
思う、と述べた。彼は2度に渡って前首相トニー ブレアの閣僚と
なっていた。ブラウンは世論調査の結果が悪かったため、内閣を改
造した。報道によれば、ハットンは代わりに国防大臣になる。前任
の国防大臣ジョフ フーンは、再び内閣入りして、交通大臣ルース
 ケリーの後任となる、とのことである。

     国内ニュース

EUは一部地区だけの通行禁止を支持せず

新EU交通委員で、委員会副議長のアントーニオ タヤーニは、昨
日インスブルックで、ティロール地方の一部地区だけの通行禁止を
EUは支持しない、と述べた。しかしティロール州州首相ギュンタ
ー プラター(国民党)は、「ほぼ全ての問題で合意」が成立して
いる、と述べた。一部通行禁止は2008年5月2日以降、クーフシュ
タインとインスブルック近郊のツィルル間のインタール高速道路で
実施されている。政令によれば、これが適用されるのは、ゴミ、
石、土砂を輸送する7.5トン以上のトラックである。1月以降はこ
の禁止は拡大されることになっている。EUは、ティロール州の問
題をよく理解しており、「ティロール州の決定と措置を尊重してき
たが、全ての提案を受け入れることはできない」とインスブルック
を訪問したタヤーニは述べた。




10月4日(土)

     国外ニュース

ロシア政府は南オセチアの安保対策を強化

南オセチアにあるロシア軍の基地が爆弾攻撃を受けたため、ロシア
大統領ディミトリ メドヴェージェフは、治安上の予防措置を強化
するよう命令した。国防省は、南オセチアとさらにグルジアから離
反したアブハジアの「ロシアの平和部隊と一般市民に対する犯罪行
為を防ぐために、必要な全ての措置を講ずるように、とロシア政府
は土曜日に発表した。この爆弾攻撃は金曜日に首都ツヒンワリで起
きたもので、自称「南オセチア政府」の発表によれば、11人が死
亡した。ロシア司法は、この事件を引き起こしたのはグルジアの秘
密情報部である、としている。メドヴェージェフはこの攻撃の「信
頼できる調査」を行なうように命じた。南オセチア内務大臣ミハイ
ル ミンジャエフは、この攻撃ではロシア兵8人と一般市民3人が
死亡したが、3人は死亡前にロシア治安部隊に逮捕され、彼らの車
が押収され、ロシアの基地に運ばれた後で爆発した、と述べた。犠
牲者の中には、南オセチアののロシア軍参謀長イワン ペトリクも
含まれていた、と軍公報は発表した。

     国内ニュース

グラーフに新たな疑惑 ネオナチの集会の世話人を務めたか

国民評議会第三議長の候補者マルティン グラーフ(自由党)に対
する新たな疑惑が持ち上がっている。報道雑誌「プロフィル」誌に
よれば、グラーフは学生組合「オリンピア」の一員だった1987年
に、ドイツのネオナチであるラインホールト オーバーレルヒャー
が集会に登場した時に、世話人を務めていた。この報道によれば、
オーバーレルヒャーは、同年ウィーンの法学会で、「病原体として
除外されないように、いずれにせよ、ユダヤ人は順応しなければな
らない」との見解を主張した、と同誌は報じている。オーバーレル
ヒャーは、「アウシュヴィッツは自分と関りがないと表明する必要
性」を感じていなかった、とのことである。グラーフ自身は、態度
を表明していない。自由党の事務長ハーラルト ヴィリムスキー
は、この非難は「非難の余地のない人間に対する卑劣な宣伝であ
る」と述べた。緑の党の社会福祉の専門家カール エリンガーは、
国民党と社会民主党に、グラーフの選出を見合わせるように求め
た。




10月5日(日)

     国外ニュース

EUはロシアがグルジアから撤退の準備をしていることを確認

ロシアは監視所一ヶ所を明け渡したのに続いて、その他の監視所も
引き渡す準備を行なっている、とグルジアのEU監視団は見てい
る。グルジアEU監視団長ハンスイエルク ハーバーが昨日午後、
ブリュッセルで発表した声明の中で述べた。ロシアが緩衝地帯から
撤退しようとしていることを示す「多くの証拠」がある、とも彼は
述べた。日曜日午前中には、ゴリの北西にあるアリでは、監視所と
しては初めて明け渡された、とのことである。「私たちは、ロシア
とグルジアの交渉相手と接触を続け、秩序をもって進行するのを容
易にする」とも語った。

     国内ニュース

国民評議会選挙の最後の投票用紙が集計

月曜日の夜遅く、9月28日に行なわれた国民評議会議員選挙の結果
が、最終的に確定する。郵便による投票の投票用紙が、各地域の選
挙局に到着する期限が、14時までであるためである。引き続き、
当局は未回収の投票用紙と、郵便による投票の集計を行なう。先週
火曜日の中間報告では、選挙の行なわれた日曜日に基づく議席数の
変更が行なわれていた。火曜日までに到着していた約32万5千通の
郵便による投票の結果、自由党は35議席のうち1議席を失い、国民
党は1議席増やして51議席となっていた。約58万7千の投票用紙が
行使され、そのうち14万と見積もられているものが、既に選挙当
日に外国の投票所で投票されていた。10万以上がいまだに未回収
であるので、議席の配分にさらに影響を与える可能性がある。社会
民主党の58議席のうち1つは危うくなり、緑の党は20議席を若干
下まわっている。最終結果の確定後、政権交渉が開始される。連邦
大統領ハインツ フィッシャーは、水曜日に最大政党社会民主党の
党首ウェルナー ファイマンに組閣を委託すると見られている。




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