10月27日〜11月2日のオーストリアのニュース



10月27日(月)

     国外ニュース

ヘリコプター攻撃で米国とシリアの緊張は高まる

米国がヘリコプターでシリアを攻撃したことを受け、もともと緊張
していた両国政府の関係は、さらに悪化した。シリアはこの攻撃で
日曜日に8人が死亡した、と発表していたが、昨日米国政府代表
は、名前を伏せたままで、この攻撃が行なわれたことを認めた。外
国人の戦闘員に対するこの作戦行動は「成功」であった、と政府代
表は述べた。シリア外務大臣ワリド ムアレムは、米国が「犯罪的
でテロ的な攻撃」を行なった、と非難した。シリア政府は米国とイ
ラクの外交代表部を呼んだ。米国代表部は、今回の攻撃では、イラ
クの急進派組織アル カーイダのために外国人戦闘員を違法に通過
させていた男を殺害した、と発表した。

     国内ニュース

カンプッシュは新たな捜査には意味がないと見る

ナターシャ カンプッシュは昨日午後のテレヴィインタヴューで、
彼女の誘拐事件に関する新たな捜査を拒否する、と述べた。「この
捜査には意味がないと思う」と20歳の彼女は述べた。彼女が報道
機関に向けて発表した最初の声明の中では彼女は、この事件に「も
っと光」を当てるために、新たな捜査を行なうことに賛成してい
た。誘拐犯ウォルフガング プリクロピルには共犯者がいた、との
説については、「私は少なくとも別の人を見たことはなかった」と
述べた。また彼女は、他にも誘拐された人がいたのでは、との疑い
も退けたが、それはほぼ毎日犯人と連絡を取っていたためである。




10月28日(火)

     国外ニュース

ブラウンとサルコズィは金融恐慌拡大を阻止する方針

英国首相ゴードン ブラウンとフランス大統領ニコラ サルコズィ
は、金融危機がこれ以上の国に広がることがないように、と警告し
た。「現在私たちにとっては、金融危機が他の国に拡大するのを阻
止することが、最大の優先事項である」とブラウンはヴェルサイユ
でのサルコズィとの協議前に述べた。「これがあてはまるのは東ヨ
ーロッパで、ここでは既に問題が現れている。自分はサルコズィと
ともに、国際通貨基金の財政支援について話し合い、苦境にある国
民経済を支援するつもりである」ともブラウンは述べた。サルコズ
ィは、EUの支援基金を、発展をしているヨーロッパ各国に対し、
2百億オイロに増額するように求めた。

     国内ニュース

現金残高調査が予算不足に関する調査を生む

大蔵大臣ウィルヘルム モルテラー(国民党)は、「現金残高調
査」を行ない、危険な景気の低迷が国家財政にどれほど大きな負担
を及ぼしている火、調査する方針である。経済成長が弱まってお
り、再び失業者が増えているため、2009年の予算の赤字は、先日
までの予想されていたよりも、はるかに大きくなる可能性が高い。
赤字を国内総生産の3%の上限とする規則を最大限利用しても、も
はや対処できない、と連立政府筋は見ている。このため国会議員を
出す5つの政党すべてが参加する第2回「オーストリア会議」が、
午後に開かれ、現金残高調査が提案される。午前中には、閣議が開
かれ、最後の詳細をつめることになっている。




10月29日(水)

     国外ニュース

コンゴの反乱勢力は停戦を宣言

コンゴ東部の反乱勢力は、この州の州都ゴマに迫った後、停戦を宣
言した。声明の発表前に、離反している将軍ラウレント ンクンダ
率いるツチの反乱勢力は、国連平和部隊MONUCの兵士1万7千人を
打ち負かしそうな勢いであった。国連事務総長潘基文は、蜂起勢
力の4日間に渡る攻勢は、「全面的な破壊となるほどの規模の」内
線につながる危機を生んでいる、と警告した。数万人が難民となっ
ている。ンクンダの信奉者たちは、コンゴ軍が、1994年に隣国で
の民衆虐殺を引き起こしたルワンダのフツ民兵と協力関係にある、
と非難している。1998年から2003年の間、コンゴでは紛争が続
いており、その結果540万人が死亡した。

     国内ニュース

ファイマンは早期組閣に賛成

社会民主党党首ウェルナー ファイマンは、金融恐慌に鑑み、早期
に組閣を行なう考えであるが、これに関して国民党の意向に注意を
払うように、と述べた。「私は14日以内に組閣をすること反対で
はなく、賛成であるが、実際には連立相手が必要だ」と昨日午後フ
ァイマンはテレヴィ番組で述べた。「我々には説得のために時間を
利用しているが、時期を前にすることはできない」とも述べた。経
済危機が迫っているため、ファイマンは、「失業率の上昇を食い止
めるために」さらなる国による投資を求めた。




10月30日(木)

     国外ニュース

バイエルン州ではイスラーム法をめぐり連立内部で初めての衝突

バイエルン州では内閣が宣誓を行なったのと同じ日に、内閣内部で
衝突が起きた。自由民主党の議員ゲオルグ バールフースが、イス
ラーム教の法体系シャリーアに関する発言を行なったが、キリスト
教社会同盟は、これを厳しく批判した。バールフースは、イスラー
ム法の一部が既に実際に適用されていることを承認するように求め
ていて、ドイツの基本法と合致している範囲においては、これを受
け入れなければならない、と述べていた。キリスト教社会同盟会派
長カール フレラーは、この発言は「全く受け入れられない」と述
べた。バイエルン州内務大臣ヨアヒム ヘルマンも、バイエルン州
にこれを求めるのは、不適当どころではない、と述べた。

     国内ニュース

社民党と国民党は仕事ではなく交渉

経済の先行きが暗く、オーストリアの金融市場では情勢が動揺する
中、連立交渉の担当者は圧力を受けている。社会民主党と国民党
は、言葉の上では速度を速めている。社会民主党党首ファイマン
は、数日中に以前の連立を改めて提案出来ればよいのだが、と述べ
ているが、実際の情勢は全く異なっている。木曜日の第2回交渉
も、内容的に合意をすることなく終わった。話し合いはずるずる続
いているが、外で何が起こっているかは気にしていないように見え
る。




10月31日(金)

     国外ニュース

クロアチアではプカニッチ暗殺容疑で3人を拘留

問題となっているクロアチアの記者イーヴォ プカニッチを襲撃
し、死に致らしめた件で、クロアチア警察は5人の容疑者がこの件
に関ったとしている。彼らのうち3人は全員クロアチア人で、行政
府の発表によれば、既に逮捕されている。残りの容疑者2人は、ま
だ逃走中である。発表によれば、その他の容疑者はセルビア人1名
と、ボスニアとクロアチアの国籍を持つ男である。この5人にはプ
カニッチと彼が雇っていた人1名の殺害と、陰謀の容疑が持たれて
いる、と昨日ザグレブの警察の代表は述べた。

     国内ニュース

プレル「マーストリヒト条約は絶対の規則ではない」

国民党は、予算問題に関して、社会民主党と対立している。国民党
党首ヨーセフ プレルは日刊紙「エスターライヒ」紙で、マースト
リヒト条約で定められた国家予算の赤字の上限3%は、経済危機の
状況では、「聖書で定められた命令ではない」と述べた。それに
「否応なしに新たな負債は甘受しなければならなくなる」とも語っ
た。その他に、国民党側は、税制改革を2009年に前倒しして行な
うことも可能である、とも述べた。しかし負債の受け入れは「節度
を持ち、目標を定めて」通過させなければならない。いずれにせ
よ、マーストリヒト条約は、「通常の経済状態にあっては十分かつ
真剣な法的指針である。私は社会民主党と一緒に、この原則を明確
にしたい」が、現在は景気を刺激し、雇用を安定させ、人々にお金
を稼がせるために、必要な措置は講じなければならない」とも述べ
た。




11月1日(土)

     国外ニュース

クルド人居住地域をエルドアンが訪問 暴力事件が勃発

昨日トルコ首相レジェップ タイップ エルドアンが、同国南東部
のクルド人が多数派の地域を訪問したが、暴力的な衝突が発生し
た。エルドアンが訪問する予定であったハッカリでは、トルコのイ
スラーム教保守派の政権党「公正発展党」の事務所が爆破され、警
察の発表では2名が負傷した。トルコのクルド人居住地域最大の都
市ディヤルバキルでは、4千人のクルド人が反政府デモを行なっ
た。クルド人よりの政党である「民主主義社会」の支持者数千人
が、ディヤルバキルで座り込みストライキを行なった。彼らは政府
に対して、クルド人反乱勢力と交渉を行なうように求めた。一方エ
ルドアンは住民に、反乱勢力との戦いで政府を支援するように求め
た。イラン国境近くのヴァン市では、警官が催涙ガスを使用し、威
嚇射撃を行なって、群集を解散させた。エルドアンが政府の住宅建
築計画を発表した時、デモ隊は投石と火炎瓶を警官に投げつけ、数
台の自動車に放火した。

     国内ニュース

シュトラーヒェはエッチュとミヒャエリスの即時辞任を要求

自由党の連邦党首ハインツ・クリスティアン シュトラーヒェは土
曜日、オーストリア航空の株式のうちオーストリア工業持株会社が
保有する分の民間売却に関して、アルフレート エッチュとペータ
ー ミヒャエリスの即時辞任を求める、と強調した。「この2人の
支配者」は、オーストリア航空を倒産の縁に導いた、と彼は述べ
た。また彼らが一時金の支払いを返還しないなら、それは不正であ
り、「オーストリアを代表する企業が、下手な経営で破産するとす
れば、意気を削ぐものだ」とも語った。




11月2日(日)

     国外ニュース

EU委員会の秋の経済成長予想

EU委員会は月曜日に、ヨーロッパとオイロ使用地域の経済成長予
想を発表する。この機会にEU経済および通貨委員ヨアキン アル
ムニアは、EU加盟国の国家財政の赤字についても、見解を発表す
る予定である。同委員会は既に、金融恐慌のためにこれ以上長期に
渡って、厳しい支出削減策を主張することはないだろう、と発表し
ていた。EU加盟各国の大蔵大臣は、月曜からハンガリーに対する
巨額の支援計画と、課税回避地との戦いについて協議する。ブリュ
ッセルでの2日間に渡る協議では、EU各国は65億オイロの信用供
与をハンガリーに対して行なうことを承認する方針である。さらに
緊急信用供与の枠を、250億オイロに拡大し、以前の倍以上に増額
する。火曜日には、リヒテンシュタインなどの課税回避地の問題が
取り上げられる。それと並行して、大臣たちは、金曜日にブリュッ
セルで開かれるEU首脳会談の準備も行なう。

     国内ニュース

専門家は国家の負債に警告

新政府で合意が成立する前に、一つのことが確実になっているよう
に思われる。次期連立政府は、金融恐慌のため、財布のひもを強く
締めなければならない。専門家は予算の議論の中で、負債に関する
政策に条件をつけるように警告した。借金をするのは簡単である
が、そこから抜け出すのは、はるかに困難である、と高等研究所
IHS所長ベルンハルト フェルデラーは述べた。それに対しオース
トリア経済研究所WIFOの専門家マルギット シュランツェンシュ
タラーは、最後の手段ではあるが、マーストリヒト条約で定められ
た上限を越えることも可能である、との意見である。




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