２月１６日〜２２日のオーストリアのニュース
２月１６日（月）
国外ニュース
国連の裁判官はカラジッチ訴訟を簡潔化
デン ハーグの戦争犯罪裁判所は、ボスニアのセルビア人の元指導
者ラドヴァン カラジッチに対する告訴を簡潔な形で行なうと決定
した。この裁判では、カラジッチは大量殺戮2件、1件はボスニア
・ヘルツェゴヴィナ全土での国外追放措置、もう1件は1995年の
スレブレニッツァだけでの虐殺に関して裁かれる。もとの告訴は、
大量殺戮にだけ関するもので、ただしそれがいくつかの犯行場所に
広がりを見せていた。犯行場所を限ることで、同裁判所は裁判を迅
速に進める方針である。ただし同裁判所は、殺人事件に関する3つ
の起訴理由を退けたが、それは告発に十分な証拠が提出されていな
いためである。カラジッチは今週金曜日の聴聞で、新たな告訴につ
いて意見を述べることになっている。戦争犯罪者とされている彼
は、昨年7月に13年にわたる逃走の末、ベオグラードで逮捕され
た。
国内ニュース
国民評議会の特別会議で「人事をめぐる争い」を取り上げる
未来同盟にとっては特に大きな問題であるケルンテン州およびザル
ツブルク州議会選挙まで2週間を切り、同党は国民評議会に特別会
議のために集まる。国会議員の特別会議が行なわれるきっかけにな
ったのは、「人事をめぐる暗躍と乱脈経営」である。同党は緊急動
議の中で、基盤整備のための持株会社を作るように求めている。こ
の持ち株会社は国に近いすべての企業に影響力を及ぼし、経営陣の
給与の上限を定めることになる。さらに未来同盟は、金融恐慌を克
服するために、国営銀行の設立も求めている。これは企業のための
貸しつけを確保するためのものである。基金を設立することで、中
規模の企業が契約不振のため、賃金が支払えなくなったり、革新的
な事業が海外に逃げ出すのを阻止するのが目的である。
２月１７日（火）
国外ニュース
オバマはアフガニスタンに1万人の兵士を増派
米国大統領バラック オバマは、数千人の米兵をアフガニスタンに
追加派遣するように命じた。春には海兵隊の1旅団が出発し、夏に
はさらに1旅団が支援部隊とともに旅立つ、とオバマは昨日述べ
た。米国での報道によれば、あわせて1万人の兵士が派遣される。
兵力増強は「悪化しているアフガニスタンの情勢を安定させるため
に」必要である、とオバマは述べた。
国内ニュース
国民評議会では金融危機をめぐり激しい議論
火曜日の国民評議会では、激しい議論のやりとりが起きた。攻撃側
の中心は、経済危機に対する政府の大作である。未来同盟の会派長
ブーヒャーは、オーストリアは金融破綻に陥る可能性がある、と警
告した。社会民主党と国民党がとった対策は時代遅れである、と緑
の党党首グラウィシュニヒは非難した。自由党党首シュトラーヒェ
は、この対策は「否定的な意味での驚き」である、と語った。社会
民主党の首相ファイマンと国民党の副首相プレルは、自分たちの対
策を擁護し、この問題を協力して解決するように呼びかけた。
２月１８日（水）
国外ニュース
NATOはアフガニスタン派兵の増強を協議
NATO加盟26カ国の国防大臣は木曜日、ポーランドのクラクフで、
アフガニスタンでの兵力増強を協議する。加盟各国の外交官は、米
国国防大臣ロバート ゲイツが、軍事民事両面での努力を強化する
ように、NATO同盟国に呼びかけるものと見ている。昨日米国大統
領バラック オバマは、米兵1万7千人をアフガニスタンに追加派
兵する、と予告していた。駐アフガニスタン最高司令部によれば、
追加の兵士は、8月の国会議員選挙前の適切な時を選んで、夏まで
に動員可能となる。NATOが指揮するアフガニスタン保護部隊は、
現在5万5千人態勢である。
国内ニュース
会計検査院はゼメリング新鉄道路線を前向きに評価
会計検査院は、鉄道の新路線建設計画に関する報告書の中で、ゼメ
リング・トンネルの調査用坑道の建設を、前向きに評価した。その
理由として、被った損失を圧縮するために、このトンネルの建設が
役に立つことを挙げた。一方オーストリア鉄道基盤整備建設株式会
社からの、鉄道建設の法的建設許可にむけ、路線延長の申請に関し
て、連邦交通、技術革新、技術省が決定を下さなかったことを批判
した。
２月１９日（木）のオーストリアのニュース
国外ニュース
聖職者ウィリアムソンはアルゼンチンを出国しなければならない
アルゼンチンは、聖職者でホロコースト否定論者のリチャード ウ
ィリアムソンに対し、最終期限つきで同国を退去するように要求し
た。英国人の聖職者である彼は、10日以内に同国を退去しなけれ
ばならない、さもなければ国外追放となる、とアルゼンチン内務省
は昨日発表した。退去の理由として内務大臣フローレンチオ ラン
ダッソは、ウィリアムソンがショアーを否定したことをあげた。こ
れにより彼は、「アルゼンチン人、ユダヤ人、全人類」を侮辱した
が、さらに滞在申請書類に「不実記載」があった、と述べた。ウィ
リアムソンは長年、アルゼンチンでカトリック信徒の兄弟団の聖職
者研究会を率いていた。1月に教皇ベネディクト16世が、68歳の
ウィリアムソンを含む4人の聖職者の破門を解いたが、これが世界
各地で怒りを引き起こした。ヴァティカンは、教皇は破門解除前に
は、彼の発言について知らなかった、と発表していた。カトリック
教会は、聖職者に関する対立が大きくならないように、長年努力を
続けていた。
国内ニュース
ザルツブルク州では難民家族をめぐる駆け引きが続く
コソヴォ出身の2つの家族が、ザルツブルク州のミッタースィルに
滞在することをめぐる対立が続いている。担当するツェル アム
ゼー郡長事務所は、内務省に対して現在、この家族に人道的に滞在
を認めるように提案する方針である。
２月２０日（金）
国外ニュース
EUは東ヨーロッパへの支援を準備
EUは当初は冷ややかで懐疑的な姿勢であったが、経済および金融
恐慌が続いているために、東ヨーロッパ諸国の支援を行なう用意を
進めている。経済委員ホアキン アルムニアは昨日ブリュッセル
で、EU構造基金と欧州投資銀行および欧州復興開発銀行の資金を
を利用することが考えられる、と述べた。EU評議会議長を務める
チェコも、初めてオーストリアの東方支援提案に意見を近づける方
針を示した。チェコ首相代理アレクサンドル ヴォンドラは、オー
ストリアの提案を3月1日に行なわれる加盟各国の非公式首脳会談
で議論するかどうかを述べるには、時期尚早であるが、「オースト
リアの提案は興味深い。各国の情勢を慎重に検討し、解決を模索し
なければならない」と「ヨーロッパの声」紙で述べた。
国内ニュース
滞在権でフェクターは内務省に諮問委員会を設置
社会へ十分とけこんだ移住者に対する滞在権手続きの新たな規則
は、ほぼ固まった。内務大臣マリーア フェクター（国民党）は、
「プレッセ」紙のなかで、新しい規則を示した。それによれば、最
終決定は先に予告されているとおり、内務省が下すことになり、も
ともと計画されていたように、各州の州首相が下すのではない。新
しいのはフェクターが内務省に、諮問委員会を設置する方針である
点で、教会および人道組織、さらに地方自治体や各都市連合の代表
もそれに加わることになっている。滞在申請には（洗礼の証人であ
る）代父母は今後は必要でなくなる、とのことで、当初内務省はこ
れを必要としていた。
２月２１日（土）
国外ニュース
アル カーイダは人質を盾に逮捕者の釈放を迫る
テロ組織網アル カーイダはアフリカ北部のマグレブ地域で、逮捕
された同市を、カナダ人の国連外交官2人およびドイツ人1名、ス
イス人夫婦、英国人1名の観光客4人と交換に、釈放するように求
めた。この観光客はマリで、外交官はニジェールで誘拐された。マ
リ政府筋の情報では、テロリストはなかでもモーリタニアで収監さ
れている同志2名の釈放を求めている。ドイツ外務省は、今のとこ
ろこの報道に関して、何も発表していない。ダルムシュタット出身
で、77歳の年金受給者の女性教師1人を含む4人のヨーロッパ人
は、マリのトゥアレグ族文化の祭典から帰国する途中で誘拐され
た。アル カーイダの北アフリカの組織が、この犯行声明を水曜日
に発表していた。
国内ニュース
郵便局300箇所が年内にも閉鎖
オーバーエスターライヒ州の「日曜展望」によれば、基盤整備省で
閲覧に供され、3月上旬に公表される報告書では、郵便は郵便局
300箇所を年内にも閉鎖し、うち80箇所はオーバーエスターライ
ヒ州内にある。そのため郵便労働組合は、3月6日に閉鎖に反対す
る国民発案を提出する、と予告した。郵便労組会長代理マンフレー
ト ウィートナーは、郵便は1千3百万オイロの利益をあげてお
り、この利益は郵便の雇用本部に隠匿されている、と批判してい
る。オーバーエスターライヒ州首相ヨーセフ ピューリンガーは、
「日曜展望」紙に、一連の閉鎖に反対する措置を取り、郵便社長の
言質を取るつもりだ、と述べた。
２月２２日（日）
国外ニュース
米国法務相ホールダーはグアンタナモを訪問
米国法務大臣エリック ホールダーは、キューバのグアンタナモ収
容所を今日訪問する。この収容所は数年前から、国際的に批判を受
けている。大統領バラック オバマは1年以内にこの施設を閉鎖す
る計画であるが、ホールダーはこの計画を押し進める方針である。
現在ここにはまだ240人の逮捕者が収容されている。ホールダーと
国防大臣ロバート ゲイツは、3カ月以内にどの収容者を釈放する
ことができるかを確定するようにとの任務が与えられている。釈放
できない人には裁判が行なわれることになっている。どちらも不可
能だと見なされた場合には、正式の起訴がないまま、その場にとど
められることになる。オバマは1月22日に、1年以内に解決を見い
ださなければならない、との命令を出していた。
国内ニュース
郵便局閉鎖をめぐり新たな対立
郵便の経営陣と政府の間での意見の対立が、昨日再び燃え上がっ
た。ある新聞が1千2百の郵便局のうち3百が閉鎖される、と報じた
ためである。基盤整備大臣ドーリス ブーレス（社会民主党）は、
その後郵便社長のアントン ワイスとオーストリア持株会社社長ペ
ーター ミヒャエリスを休職にした。国民党からも、この経営は
「おそらく荷が重すぎる」との声が出ていた。