５月１１日〜１７日のオーストリアのニュース
５月１１日（月）
国外ニュース
ナチ犯罪者デムヤンユクの引き渡しは既に進行中か
ナチの犯罪者とされるジョン デムヤンユクは、昨日午後救急車に
乗って、米国のオハイオ州セヴン ヒルの自宅を出発した。彼が米
国の法務省官僚によって、近くのクリーヴランド空港に連れていか
れたのか、それとも病院につれていかれたのかは、まだ不明であ
る。デムヤンユクは本来であれば、特別機でミュンヒェンに運ば
れ、そこで裁判を受けることになっていた。89歳の彼は、数週間
前から米国で、健康状態が悪化していることを指摘して、国外追放
を阻止し、ワシントンの最高裁に訴えていた。ミュンヒェン検察
は、デムヤンユクが第二次世界大戦中に、占領されていたポーラン
ドの絶滅収容所ソビボルで23歳の監視役として、少なくとも2万
9千人のユダヤ人の殺害を幇助した、との容疑を持っている。ミュ
ンヒェンの区裁判所は今年3月、彼に対する逮捕命令を出してい
た。
国内ニュース
労使双方は労働市場対策で合意
労使双方は、労働市場対策の第2弾で特別支援を行なうことで合意
した。その内容は、25歳までの若い失業者と、中年以上の労働者
が、連邦政府によって追加の支援が受けられる、と言うものであ
る。これは「プレッセ」紙と「クリール」紙が報じている。それに
よれば、高齢者の労働時間短縮措置を受けやすくすることと、若者
および派遣労働者のための基金を作るのが主眼である。この法案
は、社会福祉大臣ルードルフ フンツトルファー（社会民主党）に
よって、検討に回され、夏前にも国会で可決されることになってい
る。この措置は、期間を限って行なわれる予定である。
５月１２日（火）
国外ニュース
塗料入り模擬弾の禁止でドイツ政府は合意
ドイツ政府は昨日、銃砲取締法の強化で合意した。連邦内務大臣ヴ
ォルフガング ショイブレ（キリスト教民主同盟）を含む、内務問
題の専門家の会議の後、キリスト教民主、社会同盟の会派の副代表
ヴォルフガング ボースバッハはAFP通信に、最後まで議論が続い
た論点で、規則が見つかった、と述べた。今後はキリスト教民主、
社会同盟と社会民主党の両会派の賛成が必要である。合意によれ
ば、塗料入りの模擬弾などを用いた戦争ゲームは、今後は秩序違反
として処罰される。ただし自宅に保管されている銃の管理は、住ま
いの所有者に意向に反しては行なわれない。
国内ニュース
労組は「公平な賃金」を求めてウィーンでデモを行なう
労働組合は水曜日にウィーンでデモを行ない、経済的な困難な時期
にあっても、被雇用者のために「公平な賃上げ」を求める意向を公
に表明していく方針である。40万人近くの被雇用者の集団労働契
約交渉が中断しているため、5つの業種別労組が午後に行なわれる
抗議活動に参加を呼びかけた。「我々は断念しない」との標語を掲
げ、彼らは経済界からの集団交渉の延期、賃金の断念、賃上げゼロ
の呼びかけに抵抗し、被雇用者のために「公平な分配」を求めてい
る。
５月１３日（水）
国外ニュース
オバマはアブ・ゴライブの写真を発表させない方針
米国政府は、当初の計画に反して、イラクのアブ ゴライブ収容所
で虐待を受けた収容者の写真を公開しない方針である。放送局CNN
が昨日、政府の官僚の言葉として報じたところによれば、大統領バ
ラック オバマは米兵による虐待の映像を後悔しないように、との
指示を出した。その理由として、公開することで反米の空気をあお
り、イラクとアフガニスタンの米軍安全が危険にさらされる懸念が
ある、ということを挙げた。
国内ニュース
EU議会候補スォボダは社民党のEU委員になることを望む
社会民主党のEU議会議員の筆頭候補であるハネス スォボダは、
党首ウェルナー ファイマンが前もって定めた方針に全く反して、
みずからの政治陣営からEU委員を出すように求めた。「私は社会
民主党員が委員になることに賛成である。またその可能性もあるよ
うに思う」と、日刊紙「エスターライヒ」に述べた。ただしスォボ
ダは、EU委員には無所属の人物が就任する可能性もある、と考え
ている、とも語った。彼はEU委員は、国民党の世襲ではないし、
委員を社会民主党員が勤める十分な必然性がある、とも述べた。一
方国民党のEU議会議員の筆頭候補エルンスト シュトラサーは、
スォボダの発言を受け流し、これは社会民主党内部が混乱した情勢
であることの結果である、と述べた。
５月１４日（木）
国外ニュース
CIAはチェーニーに対する尋問記録の引き渡しを拒否
元米国副大統領リチャード チェーニーは、尋問記録の公開を求め
ていたが、米国秘密情報部CIAはこれを拒否した。秘密の公文書は
現在行なわれている裁判で取り扱われているからだ、とCIA公報は
拒否の理由を述べた。この裁判は、人権団体「アムネスティ イン
ターナショナル」がCIAを、そして別の組織が米国国防省を訴えて
起こしているものである。裁判の元になっているのは、米国市民に
政府の文書閲覧を認める基本的な権利を認める情報公開法である。
チェーニーは公開された文書に基づいて、厳しい尋問手法を用いて
治安に関する情報を獲得したということを証明するつもりであっ
た。チェーニーも参加していたブッシュ政権は、CIAが拘留してい
たテロ容疑者の尋問では、異論のある手法が容認されていた。
国内ニュース
2009年から10年にかけての2年間の予算が認められる
国民評議会の予算委員会は、2009年と10年の予算に青信号を出し
た。連邦財政法、連邦財政関連法、予算関連法が、与党の賛成で可
決された。若干の部分的修正は本会議に先送りにされたが、連立両
党がいくつかの「技術的な問題」で、まだ合意に達していないため
である、と国会の通信員は伝えている。2009年の収入は636億
8千万オイロ、支出は774億4千万オイロで、行政赤字は国内総生
産の4.8%に当たる。マーストリヒト条約での規定によれば、国全
体の赤字は3.5%と予想される。
５月１５日（金）
国外ニュース
オバマは反対意見のある軍事法廷を存続させる
米国大統領バラック オバマは、世界各地で批判されているキュー
バのグアンタナモ収容所で、テロ容疑者を裁く法廷を存続させる方
針である。オバマは昨日ワシントンで発表した声明の中で、これを
公表した。1月の大統領就任以来、オバマはこの特別裁判所を停止
し、廃止を視野に入れていた。アルジェリア人のラクダル ブーメ
ディエンヌは、昨日グアンタナモから解放され、フランスに向かっ
た、と「ワシントン ポスト」紙が外交官および政府筋の情報とし
て報じた。ブーメディエンヌは、弁護士が最高裁に出廷し、そこで
グアンタナモの収容者も米国の連邦裁判所で裁判を受けられる権利
を持つ、と認めさせたために、有名になっていた。
国内ニュース
EU議会選挙で国民党は社民党を抜き第一党を目指す方針
国民党は6月7日のEU議会選挙で、社会民主党を抜き去り、第一党
を目指す方針である。同党事務長フリッツ カルテネッガー、党首
で副首相のヨーセフ プレル、筆頭候補のエルンスト シュトラサ
ーが、昨日サルツブルク競技場で開かれた選挙集会で、この目標を
掲げた。この集会にはオーストリア全土から、2千5百人の支持者
が集まっていた。国民党はオーストリアで、ヨーロッパを無条件に
支持している唯一の政党である、とすべての発言者が強調し、政敵
を批判した。シュトラサーは、投機に対してより厳格な規則を定め
ることが必要である、良い時期も厳しい時代も国民党はヨーロッパ
を支持している、現時点ではトルコのEU加盟を行なうべきではな
い、などとも述べた。
５月１６日（土）
国外ニュース
スリ ランカはタミル人反乱勢力に軍事的に勝利
スリ ランカ北部のタミル人反乱勢力は、軍事的に打倒された、と
大統領マヒンダ ラジャパクセは発表した。彼は母国に「テロ組織
に勝利を収めた国民の指導者」として帰国する、と昨日訪問先のヨ
ルダンで述べた。大統領筋の情報では、正式の勝利声明はラジャパ
クセの帰国後に、テレヴィ演説の形で行なう、とのことである。こ
れより前に軍は、25年ぶりに沿岸地帯全体を掌握し、反乱勢力が
逃げ込めないようにした、との発表を行なっていた。「タミル イ
ーラム解放の虎」とその指導者は、1平方キロの中に追い込まれ、
もはや海には近づけなくなっていた、とのことである。
国内ニュース
ムジカント「自由党の扇動はゲッベルスを思い起こさせる」
ウィーン ユダヤ人宗教共同体会長アリエル ムジカントは、オー
ストリアの極右が勢力を伸ばしている、と見ている。自由党幹部は
「組織的に」そして意図的に、その地盤を作っている、と「プレッ
セ」紙に彼は述べた。ムジカントは、自由党事務長ヘルバート キ
ックルをナチの宣伝大臣ヨーゼフ ゲッベルスになぞらえた。「キ
ックル氏の言葉を聞くと、ヨーゼフ ゲッベルスの扇動や発言を思
い出す」と語った。また彼は「エーベン湖事件」とオーストリアの
反ユダヤ主義の責任は政治にある、とも語った。マルティン グラ
ーフ（自由党）が国民評議会の第3議長に選ばれたのは、「現在私
たちがあてにしている」堤防が、決壊することを意味しているとも
述べた。またムジカントは国民党、社会民主党にも責任がある、と
述べた。
５月１７日（日）
国外ニュース
リトアニア大統領選挙でEU委員が勝利
EU予算委員ダリア グリボウスカイテが、リトアニア大統領選挙
で勝利を収めた、と発表した。昨日午後テレヴィで放送された声明
の中では、53歳の無所属の候補者である彼女は、有権者が自分を
支持してくれたことに感謝した。グリボウスカイテは、選挙前から
有力候補と見られていた。彼女は投票後、「勝利の味」と「責任の
重さ」を同時に感じている、と述べた。ほぼすべての票の集計が終
わった時点で、グリボウスカイテがほぼ68%の支持を受けた。
国内ニュース
オーストリア大学生組合選挙が電子投票で始まる
オーストリア大学生組合の2009年選挙が、月曜日朝から電子投票
で始まる。5月22日18時まで、21の大学の約23万人の学生が、オ
ーストリアの政治選挙で始めて、インターネットを用いた電子投票
の形で行なう。これを行なう前提となるのは、有効な市民カルテを
持っていることである。投票用紙と投票箱を用いた従来型の投票
は、5月26日から28日の間に行なわれる。集計はどちらのやり方
も5月28日に行なわれる。批判的な人は、操作が行なわれることを
懸念している。