10月18日〜24日のオーストリアのニュース



10月18日(月)

     国外ニュース

ハンガリー議会は「危機税」を可決

ハンガリー国会は昨日、賛成294票、反対44票、棄権12票で、今
後3年の期限つきの「危機税」導入を可決した。この新税は電力、
電話、小売り業に科されるもので、1,610億フォリント(5億8千
2百万オイロ)の追加税収をもたらすものである。それに加えて銀
行や金融機関には追加の銀行税、2千億フォリントが科される。国
は今後3年間の「危機税」は、合わせて4,940億フォリントにな
る、と約束している。

     国内ニュース

予算で各州は財政安定対策で自らの意向をおおむね押し通す

連邦と各州は、財政安定法修正に関して、4時間に欠けるぐらいの
議論を行ない、州側は意向の大半を押し通した。連邦が望んでいた
複数年での支出の枠組と、赤字を抱える州への罰金は決着がつい
た。連邦が提案したうち、まだ残っているのは、保障の上限の設定
である。昨日午後には、実際の支払い額に赤字の割合を合わせるこ
とにも合意が成立した。この赤字の割合は、以前の財政安定法案で
は既に役に立たなくなっていた。




10月19日(火)

     国外ニュース

フランスの年金改革に対する抗議が激化

フランス上院で、問題の年金改革に関する採決が行なわれるのを前
に、火曜日には改めて数十万人が政府の計画に抗議を行なった。労
働組合と政府は、生徒の抗議活動が暴動とかしているのを目の当た
りにして、急進化しないように、と警告した。フランス大統領ニコ
ラ サルコズィは、公の「秩序を回復するための」措置を講ずる、
と予告した。労働組合CGTの発表によれば、9月初めからの全国で
のストおよび抗議活動に参加した人数は、約350万人で、10月
12日にそれが最高に達した。内務省は参加者は110万人である、
と述べている。若者は数百の学校を封鎖し、そのうちの1校は暴動
で焼け落ちた。警察は若い暴徒に対する措置を強め、催涙ガスで彼
らを押え込もうとしている。一方ガソリンはなくなる可能性があ
る。2千5百を越えるガソリンスタンドで、ガソリンがなくなっ
た。空港では半分の便が欠航したところもある。

     国内ニュース

プレルは国民評議会に予算協議の状況を説明

大蔵大臣ヨーセフ プレル(国民党)は水曜日に、予算に関する演
説を行なう代わりに、国民評議会には、予算の協議の中間状況を呈
示する。現在この話し合いは連立政権内部でもまだ、熱く戦わされ
ている。考え方の一部は今なお大きく隔たっている。プレルはハッ
クラー規則と勤務不能者年金を、改革するように迫っている。しか
し連邦首相ウェルナー ファイマン(社会民主党)は、これを阻止
している。国民党は反対に、これが年金引き上げの前提条件であ
る、と見ている。工業起業家連合は政府に対して、どこの支出を削
るべきか提案しているが、自分たちの顧客をうまくそこから除外し
ている。




10月20日(水)

     国外ニュース

スペインでは裁判官ガルソンに対しさらなる訴訟手続き

スペイン司法は、疑惑を持たれている予審判事バルタサル ガルソ
ンに対して、さらなる訴訟手続きを開始した。最高裁判所は昨日、
優秀な法律家である彼に対し、盗聴事件に関連して職権乱用容疑で
の訴訟を起こす、と発表した。彼は保守派の民衆党PPをめぐるわ
いろ事件である「ベルト事件」で、3人の容疑者の電話を盗聴させ
た、とされている。5月中旬からガルソンに対しては、職権乱用容
疑で別の裁判が進んでいる。そちらの事件ではフランコ独裁時代
(1939年から1975年)の犯罪に関する裁判手続きをとった際
に、1977年の恩赦法を無視したとの容疑が持たれている。最高裁
判所はガルソンに対して、3件目の調査を行なっている。これは彼
が2005年と2006年にサンタンデル銀行から、米国で行なった講
演会の講演料の支払いを受けた、との容疑である。この後彼は、サ
ンタンデル銀行の脱税容疑を解決済みとしていた。

     国内ニュース

金属産業の賃金交渉は続けられる

約16万5千人のオーストリアの金属産業の被雇用者の集団労働契約
の交渉は、今日から第2段階に入る。市王社側は労働時間を柔軟化
することを長年求めていたが、これを断念したことで、労使双方の
雰囲気は大きく改善された。これからは賃金に引き上げ額を中心
に、話し合いが行なわれるものとみられるが、この点では意見の隔
たりがまだ大きい。労組側は大幅な賃上げを求めており、労働時間
の短縮を主張している。賃上げの土台になるのは、物価上昇率であ
る。物価上昇率は1.31%であることで、労使双方は合意した。被雇
用者側は、増産に見合う形で、これ以上の賃上げを求めているが、
それは個人の購買力を強めるためだ、としている。




10月21日(木)

     国外ニュース

サルコズィは年金をめぐり駆け引き 休暇に期待

今日もフランスの年金改革に反対する大規模抗議活動では、緊張が
緩和する兆しがなかった。上院での年金改革計画に関する投票が大
きく遅れているため、大統領ニコラ サルコズィは、明日始まる秋
の休暇が、抗議の波から、推進力を奪うことになるのではないか、
と期待している。この見通しがうまくいくとはとても言えない状況
である。ガソリン輸送がずっと行なわれていないため、数十万人の
フランス人の休暇の計画が中止される可能性があるためである。

     国内ニュース

国民党の情報では社民党と緑の党がウィーン市政権について協議

国民党内部では、ウィーン市政府の組閣について、まず社会民主党
と交渉はしない、との見方である。社会民主党と同党党首で市長の
ミヒャエル ホイプルは沈黙を守っているが、社会民主党と緑の党
が話し合いをすると国民党は見ている、との確かな筋の情報があ
る。国民党筋からは、社会民主党側から非公式な拒絶がすでにあっ
た、との情報が聞かれている。ある社会民主党幹部は、国民党の幹
部に対して、「残念だが、そうはならない」と伝えた、とのことで
ある。これについて公式の発表は国民党側からはない。「市長ホイ
プルが明日これについてどんな発言をするか、私たちは待ってい
る。それまでは沈黙を守ることで、意見が一致している」と国民党
党首クリスティーネ マレクはAPA通信に述べた。




10月22日(金)

     国外ニュース

フランス年金改革案が上院を通過

反対意見も多いフランスの年金改革は、重要な国会の議決をまた一
つ得た。上院は年金改革計画を177対153で可決した。保守派の大
統領ニコラ サルコズィが押し進めている改革の中心点は、年金受
給開始年齢を60歳から62歳に引き上げることである。労働組合は
全国で抗議活動とストライキを行なって、これに反対する大きな波
を起こしている。130時間を越える議論が事前に行なわれ、これは
過去30年で2番目に長い議論であった。社会党を中心とする野党
は、1,237の修正を提出し、投票を引き延ばした。国民議会は既
に、年金改革を承認していた。国会の両院によるこの法律の最終的
な承認は、来週中に行なわれる。労働組合は、さらなる抗議活動を
呼びかけている。一方製油所の封鎖は解除された。

     国内ニュース

予算の非公開会議では年金額の引き上げが大きな議題に

政府はシュタイアーマルク州の温泉地ロイパースドルフで、予算に
関する非公開会議を行ない、大きな対立点でようやく意見の歩み寄
りを見た。ただし夜遅くの時点でも、結果は出ていない。2011年
分の年金額引き上げ、税収、教育がとりあげられる土曜が、重要な
日となる。確かな筋の情報によれば、初日にはほぼすべての部局が
その予算を大幅に固めることができ、ハックラー規則に関しても妥
協が図られた。ハックラー規則が最大の難題の一つである。どのよ
うな合意になるかは、夜の時点ではまだ交渉次第である。税収に関
しては、社会民主党が求めている財産関係税(株式収入や財団への
課税)と、国民党が提案した電力税を合わせたものが成立する可能
性が高い。会議が何時間ぐらいのものになるかは不明である。政府
筋の情報では、少なくとも昼過ぎまではかかるであろう、とのこと
である。首相ウェルナー ファイマン(社会民主党)と副首相ヨー
セフ プレル(国民党)は、合意に達することに自信をのぞかせ
た。




10月23日(土)

     国外ニュース

リスボン条約修正に関する協議

EU加盟国の外務大臣が、日曜日にルクセンブルクに集まり、ドイ
ツとフランスが求めているEU条約の修正について抗議する。EU評
議会議長ヘルマン ファン ロンパウが議長を務めるこの会議で
は、加盟27カ国の外相が、来週行なわれるEU首脳会談に向け、妥
協点を模索する。1年ほど前に発効したばかりのリスボン条約は、
加盟国数ヶ国が、意見の一致がどの程度必要かに関して新たな修正
をおこなうことに留保を付けている。ドイツは赤字を抱えるオイロ
使用国に救済を行なう制度を、常時機能させる方針である。ギリシ
アおよびその他のオイロ使用国に対する救済措置は、2013年に終
了する。このほか、この会議ではセルビアのEU加盟に向け、同委
員会に展望をまとめるように委託することで、次の措置を決定する
方針である。オランダはこれに批判的で、セルビアのEU加盟問題
を、同国政府がデン ハーグの戦争犯罪裁判所に全面的に協力する
ことに結びつける意向である。この問題では、戦争犯罪者と目され
るラトコ ムラジッチとゴーラン ハジッチの行方追及が重要であ
る。

     国内ニュース

社民党と緑の党がウィーンで連立政権が組めるかを決める争点

ウィーン市長ミヒャエル ホイプル(社会民主党)は、金曜日に緑
の党と連立をする可能性を探り、交渉を行なうと発表した。緑の党
は、連立では予想よりも困難であるとの態度を示した。社会民主党
と緑の党は、交通と環境問題で、部分的に意見が大きく隔たってい
る。激しく対立する点として、健康保険問題も浮上する可能性があ
る。この問題では緑の党は、市立の精神病院の苦境を取り上げてい
る。また貧困対策でも、緑の党は社会民主党の政策に満足していな
い。




10月24日(日)

     国外ニュース

難民問題でギリシアはEUに支援を要請

難民が大量に押し寄せたため、ギリシアはEUに支援を求めた。ギリ
シア政府はEU境界防衛を行なう外庁フロンテックスに、緊急介入班
の派遣を要求した、とEU内務委員セシリア マルムストルムが昨日
ブリュッセルで発表した。フロンテックスは、トルコとの国境監視
で、ギリシアを支援し、最近不法難民の数は増えており、情勢は劇
的である、とも彼女は述べた。2007年にできた介入部隊の出動を
EU加盟国が要請するのは初めてである。難民組織「難民のための
ギリシア」は、難民の人権が大幅に侵害されている、と非難してい
た。

     国内ニュース

コーラルムトンネルはケルンテン州にとって大きな成果と州首相

交通大臣ドーリス ブーレス(社会民主党)が、コーラルムトンネ
ルに賛成の発言をしたことを受け、ケルンテン州州首相ゲアハルト
 デルフラー(ケルンテン州自由党)は、これは大成功であると述
べた。ただし彼は、2年間の準備期間の遅れが、EUの決定に悪い影
響を与えないことを期待している、と述べた。一方シュタイアーマ
ルク州交通大臣ゲアハルト クルツマン(自由党)は、コーラルム
トンネルの準備が2年間遅れたことを厳しく批判した。彼は南部の
州の不利益となった、と見ている。



今日のニュースへ

過去のニュース(目次)へ inserted by FC2 system