12月27日〜31日のドイツのニュース



12月27日(月)

外務省「イランで拘留されたドイツ人は家族と面会できる」

(ベルリン)イランで逮捕されたドイツ人記者2名は、ようやく家族と面会でき
る。外務大臣グイド ヴェスターヴェレは、イラン外務大臣アリ アクバル サレ
ヒと数回に渡って電話で交渉し、これに関する約束を取りつけた、と外務省公報が
ベルリンで発表した。イラン入りした家族は、逮捕されたテブリスに向かってい
る、とのことである。駐テヘラン大使との2度目の面会が出来なかったことを受
け、ドイツ外務省はイラン大使を呼び出し、ドイツ2名の拘留について「不満」を
表明していた。

     その他のニュース

ホドルコフスキーはもう一度有罪判決

(ベルリン、モスクワ)ロシアの元寡頭政治の独裁者で、政府に批
判的なホドルコフスキーが、改めて有罪判決を受けたが、西側では
おおむねこれは「政治の恣意」の烙印が押された。ドイツ外相ヴェ
スターヴェレは、ロシアの「近代化の後退」である、と述べた。米
国外相クリントンは、ロシアの評判を落とすことになり、出資の姿
勢を削ぐことになる、と予想した。モスクワの裁判所は、数年前か
ら拘留されているホドルコフスキーが、横領と資金洗浄に関する第
二審で、有罪であると判断した。かつては同国でもっともお金を持
っていた男である彼には、さらに6年の拘留が言い渡される可能性
がある。47歳の彼は、首相プーチンの不倶戴天の敵である、と見ら
れている。裁判所の建物の前では、数百人の支持者が抗議活動を行
ない、数人が逮捕された。

ECOWASは3カ国の首脳をコートジボワールに派遣

(アビジャン)西アフリカ諸国共同体ECOWASは、コートジボワー
ルでの権力争いにより強く介入する。ベナン、シエラ レオネ、カ
ーボ ヴェルデの大統領からなる外交代表団が、火曜日にコートジ
ボワールの首都を訪問する予定である。同共同体は、選挙で敗北し
た大統領バグボを、緊急の必要があれば、軍事力を使って大統領の
職務から解く、と威嚇した。バグボは、選挙結果に問題があるとい
うだけの理由で、どこであれアフリカの国が他国に攻め込むことは
ない、と述べた。バグボが権力をみずからの意志で、対立候補ワタ
ラに譲るのであれば、隣国数ヶ国が、彼の亡命を受け入れる、と申
し入れた。ワタラは全面ストを呼びかけたが、月曜日にはほとんど
応える動きはなかった。

モロッコで6人のテロリストが逮捕

(ラバット)モロッコ治安部隊は、テロの容疑者6人を逮捕した。
内務省の発表によれば、この男たちはテロ組織に属しており、爆弾
攻撃の準備を行ない、外国人に対する襲撃あるいは、外国の使節に
対する攻撃を計画していた、とされている。詳細は当初は公表され
なかった。




12月28日(火)

イラン司法はドイツ人記者に対する捜査を続ける

(テヘラン)イラン当局の方針により、テブリス市で逮捕されたドイツ人記者2人
が早期に釈放される望みは少なくなった。同国広報はテヘランで、この事件はイラ
ン司法が担当しており、2人が有罪か無罪かを決めるし、さらに捜査は続けられて
いる、と発表した。「ビルト紙日曜版」の職員である彼らは、記者の入国査証を持
たずに働いた、との容疑が持たれている。姦通罪で投石による死刑を言い渡された
イラン人女性サキネ モハマディ アシュティアニの息子にインタヴューしようと
して、彼らは10月10日に逮捕された。月曜日午後には2人は11週間の拘留後、よ
うやく家族の訪問を受けた。この面会はテブリスのホテルで行なわれた。

     その他のニュース

緑の党はアフガニスタンからの撤兵を段階的に行なうよう要請

(ベルリン)緑の党は連邦政府に対して、ドイツ兵のアフガニスタ
ンからの撤兵を詳しく定めた段階的な計画を立てるように要請し
た。同党は、2011年に始まり14年に終了する撤兵計画を、検証可
能で、細かく定められた形で立てるように求めている、と党首ロー
トは「ミュンヒェン メルクール」紙に述べた。同党は連邦政府の
意見が割れており、無計画である、と非難した。また彼女は、ヒン
ドゥクシでの戦略転換に賛成でり、国防軍は米国の攻勢を中心とす
る戦略に参加するのは間違いである、とも語った。これに支払う努
力と発案は、アフガニスタンだけでなく隣国特にパキスタンとの関
連にも、使う必要がある、とも述べた。

市町村は記録的な赤字を予想

(ベルリン)ドイツの市町村は、景気が上向きであるにもかかわら
ず、ドイツ連邦共和国建国以来最悪の金融恐慌に直面している。収
入と支出の間には、110億オイロのずれがある、とドイツ市町村連
合議長シェーファーはベルリンで述べた。それによれば、社会福祉
の支出だけで、市町村の予算の負担は410億オイロであるが、
10年前にはまだ260億オイロの負担であった。また予算の情勢か
ら見て、市町村は行なう義務がある業務を遂行できる状況にはある
が、決定を下す余裕はほとんどなくなっているので、地方の民主主
義が危険にさらされている、とシェーファーは述べた。自由民主党
が求めている営業税の廃止は、これが市町村の最大の収入源である
ため、シェーファーは拒否した。

労働紹介所「労働市場は東欧によって脅威にさらされない」

(ニュルンベルク)東ヨーロッパから就職希望者が自由に入国でき
るようになる規則は、2011年に発効するが、これがドイツ全体の
労働市場にとって大きな脅威となることはない、とニュルンベルク
の労働紹介所所長ヴァイゼは述べた。悪い影響が生ずる懸念がある
のは、国境を接する東部地帯だけである、とも語った。ただしヴァ
イゼは、第三次産業に自由に参入できる点では大きな懸念があり、
この分野では賃金の引き下げ競争が起きないように、法的規制の検
討が必要である、とも述べた。5月からはポーランド、チェコ、ス
ロヴァキア、ハンガリー、スロヴェニア、エストニア、ラトビア、
リトアニアの国民が、仕事を求めてドイツに来ると見られている。
専門家は毎年14万人ほどの移住がある、と見ている。




12月29日(水)

EUはバグボにさらに圧力をかける

(ブリュッセル)EUは選挙で敗北したコートジボワール大統領ローラン バグボ
に対する圧力を強め、彼に権力を断念させるように働きかける。EU委員会の発表
によれば、バグボおよび彼の支持者に対する入国禁止措置を、現在の19人から
61人に拡大した。フランス外務省は、EUはバグボの対立候補アラサン ワタラの
支持者だけを、コートジボワールの外交代表として承認する、と発表した。諸外国
は11月に行なわれた大統領選挙の勝者はワタラである、と判断している。
西アフリカ諸国経済共同体ECOWASは、来週に改めてコートジボワールでの仲裁を
試みる、と発表した。火曜日には同共同体の3ヶ国の大統領が、バグボとワタラと
会談したが、成果をあげられなかった。

     その他のニュース

デンマークとスウェーデンでテロの容疑者逮捕

(コペンハーゲン)デンマークの治安当局は、2005年に問題のム
ハンマドの風刺画を掲載した日刊紙「ユランズ ポステン」に対す
るテロ攻撃を未然に防いだ、と発表した。デンマーク秘密情報部
PETは、コペンハーゲンで4人のテロの容疑者を逮捕し、さらに機
関銃も押収した、と発表した。この男たちは、コペンハーゲンの
「ユランズ ポステン」紙の編集部に押し入り、できるだけ多くの
人を殺す計画であった、と秘密情報部部長シャルフは述べた。逮捕
者のうち数人は、武装したイスラーム教徒で、国際的なテロ組織と
のつながりを持っている、とのことである。もう一人の容疑者がス
ウェーデンで逮捕された。2005年9月にムハンマドの風刺画が掲
載されたことで、イスラーム教世界では広く、怒りと抗議活動を生
んだ。それ以来、この新聞社に対する脅迫は繰り返し行なわれてい
る。これを描いたヴェスタゴーは昨年、襲撃を受けたが、かろうじ
て難を逃れていた。

イラクの警察幹部が襲撃を受け死亡

(バグダード)イラク北部の都市モースルでは、2人の自殺攻撃犯
が、警察の建物の中で警官4人を巻き添えに爆死した。死者の中に
は、テロ組織網アル カーイダに対して断固たる措置をとる、と発
表した警察の幹部が含まれていた。アル カーイダに近い組織「イ
ラクのイスラーム教国家」はインターネット上で犯行声明を発表
し、この攻撃はこの警察幹部を狙ったものである、と述べた。3人
目の攻撃犯は、警察の建物前で射殺された。バグダードの北約4百
キロにあるモースルは、イラクに最後まで残ったアル カーイダの
拠点都市と目されている。

韓国は北朝鮮との新たな話し合いに賛成

(ソウル)韓国大統領李は、北朝鮮の核計画をめぐる6カ国会談を
早期に再開することに賛成した。この対立は外交的な手段によって
のみ解決可能だ、と李はソウルで述べた。北朝鮮が来年、核計画を
断念すると発表するよう仕向けることが、会談の目的になる、と語
った。共産主義国北朝鮮が韓国の島国を11月に砲撃してから、朝鮮
半島の情勢は緊迫している。2009年に北朝鮮は、韓国、米国、中
国、ロシア、日本との核をめぐる会談を中断していた。




12月30日(木)

ロシア政府に批判的なホドルコフスキーに新たな拘留刑

(モスクワ)ロシア政府を批判し、以前は石油王であったミハイル ホドルコフス
キーは、おそらく2017年までは拘留が続けられる。モスクワの裁判所は、倒産し
た石油会社ユコス社の元社長であった彼に、横領と資金洗浄で、14年間の拘留の
有罪を言い渡した。裁判所の発表によれば、8年の拘留が追加される。47歳のホド
ルコフスキーは、最初の裁判では2005年まで拘留されている。彼と以前には共同
で事業を行なっていたプラトン レベジェフも同じ刑を受けた。ホドルコフスキー
裁判は、政治的な動機に基づいている、と見られている。首相ウラジミール プー
チンはみずから、元石油会社の社長である彼に対して拘留刑を下すように命じてい
た。

     その他のニュース

ドイツと米国はホドルコフスキー裁判を批判

(ベルリン)ドイツと米国政府は、ロシア政府を批判した元石油長
者ホドルコフスキーに対する判決を批判した。連邦新聞情報局の情
報によれば、ドイツ首相メルケルは、この裁判では政治的な動機が
大きな役割を果たしていた、との印象が残るが、これはロシアが繰
り返し表明した完全な法治国家への道をたどるとの目標に反してい
る、と述べた。米国外務省も、ホドルコフスキーに対する量刑につ
いて、失望したと表明し、ロシアの法制度が悪用されている、との
印象が生まれている、との声明が出された。

イスラエル元大統領が強姦で有罪

(テル アヴィヴ)イスラエル元大統領カツアフは、元職員を強姦
したとして、地区裁判所で有罪が言い渡された。65歳のカツアフは
さらに、他の元女性職員2名に対する重大な性的暴行と司法妨害
で、有罪である、との判決をテル アヴィヴの裁判官は下した。元
大統領の無実の主張を、裁判所は全面的に退けた。量刑は後に発表
される。専門家の発表によれば、カツアフは最大で16年の拘留にな
る。この事件のため、カツアフは2007年にイスラエル大統領を辞
任していた。

攻撃を計画したとして4人のテロ容疑者が逮捕

(コペンハーゲン)デンマークの首都コペンハーゲンの裁判所は、
水曜日に逮捕した4人のテロ容疑者のうち3人に対して、4週間に渡
る捜査拘留を命じた。残りの1人の男はイラクからの亡命希望者
で、自由の身となった。治安当局の発表によれば、この組織は武装
した上で、「ユランズ ポステン」紙を襲撃する計画を立ててい
た。裁判所の聴取を受けたこの3人の容疑者は、すべての容疑を否
認した、と報じられている。5人目の容疑者はスウェーデンで審理
のために勾留中である。「ユランズ ポステン」紙は、2005年に
問題のムハンマドの風刺画を公表し、これにイスラーム教世界では
抗議の波が起きていた。




12月31日(金)

メルケルはヨーロッパに対するドイツの責任を強調

(ベルリン)連邦首相アンゲラ メルケルは、統合されたヨーロッパのために、ド
イツが果たす責任を強調した。新年の演説の中で彼女は、オイロ危機を念頭におい
て、ドイツ連邦共和国は未来においても強みを持つことを証明しなければならな
い、と述べた。また彼女は、ヨーロッパは現在、その真価を証明するという課題に
直面しているが、この課題を克服するにあたっては、国民のもつお金だけが重要で
はなく、ヨーロッパの一体性が平和と自由を保証するので、ドイツは困難に直面す
ることがあっても、責任を正面から受け止める、と語った。メルケルは、間もなく
終わる1年を肯定的に総括し、ドイツは経済および金融危機を、他の国よりもうま
く克服したので、失業率はここ20年で最低の水準に下がった、と強調した。

     その他のニュース

ベラルーシはヨーロッパ安全・協力機構の事務所を閉鎖

(ミンスク)ベラルーシは、ヨーロッパ安全・協力機構OSZEの事
務所を閉鎖する意向である。ベラルーシでは12月中旬に大統領選挙
が行なわれたが、同機構はその進展を厳しく批判していた。さらに
同機構は、野党の政治家とデモ隊に対する警察の厳しい措置を非難
した。ベラルーシでは1994年以来、元首ルカシェンコの独裁的な
手法による政治が行なわれており、ヨーロッパ最後の独裁制と目さ
れている。ドイツ外相ヴェスターヴェレは、ヨーロッパ安全・協力
機構の事務所を閉鎖するとの方針は、ベラルーシの人権にさらなる
打撃であり、ヨーロッパのもつ自由という価値観からさらに離反し
て行くものだ、と述べた。

ロシア政府「ロシアの司法は独立している」

(モスクワ)西側諸国は、ロシア政府に批判的で、以前は石油会社
を経営していたホドルコフスキーの有罪判決を厳しく批判したが、
ロシアはこれを今一度退けた。この裁判に関する外国からの発言
は、ロシアの司法に影響を与えることはない、ロシア司法は外国か
らも、ロシア政府からも独立している、と外相ラフロフは述べた。
ドイツ外相ヴェスターヴェレは、既に数年前から石油を横領したと
して拘留されているホドルコフスキーに対する有罪判決を、多くの
容疑にまたがる裁判の中心点である、と判断していた。米国はロシ
アの司法制度の悪用である、と述べていた。元石油長者で以前はロ
シアでもっとも金持ちであったホドルコフスキーは、この判決に控
訴を行なった。

フォン デア ライエンはハルツIVをめぐる対立の非難を退ける

(ベルリン)連邦労働相フォン デア ライエン(キリスト教民主
同盟)は、野党との間でのハルツVI法改革に関する合意を遅らせて
いる、との非難を受けているが、これを否定した。むしろ社会民主
党と緑の党がクリスマス直前に、複雑な特別評価をヴィースバーデ
ンの連邦統計局に依頼したため、現在行なわれている規則による追
加請求に時間がかかっているのだ、とベルリンで述べた。交渉を遅
らせているのは自分の側だ、との非難は不合理である、と彼女は述
べた。「南ドイツ新聞」は、ハルツIV法の追加請求の計算は1月末
にようやく終了するだろう、と報じたが、労働省の広報はこれを確
認していた。2月11日に予定されている連邦参議院での改革案の採
決は、実際に行なわれるかはっきりしていない。ハルツIV法による
社会給付の受給者は、本来であれば1月1日からは、5オイロ増額さ
れて、月額364オイロを受け取れることになるはずであった。




今日のニュースへ

過去のニュース(目次)へ inserted by FC2 system