4月25日〜5月1日のドイツのニュース



4月25日(月)

アサドはデモ隊に戦車で対処

目撃者の話によれば、シリアで新たな抗議活動が起こった後、国家元首バシャール
 アル・アサドは現在、デモ隊に対して大規模に軍を投入している。住民によれ
ば、南部の都市ダルアーで、戦車が出動して砲撃を行ない、兵士数百人が活動して
いる。ロイター通信が伝える目撃者の話では、3万人が住む同市の主要道路上で、
遺体が見られる、とのことである。反大統領の大規模抗議行動が5週間前から続い
ているダルアー市は、隣国ヨルダンとわずか数キロ後天にある。現地当局によれ
ば、ヨルダンとの国境は経医させれている。シリアの民主化運動組織の発表によれ
ば、ここ数週間の抗議活動で、今までに民間人350人以上が死亡、そのうちの
100人以上は金曜日以降の死者である。外国人記者の多くは、シリアから追放さ
れ、その結果同国からの報道を詳細に検討することができなくなっている。

     その他のニュース

イエメン大統領サーレハの権力委譲は選挙後に

イエメンでは30年以上に渡って政権を握るサーレハが、まだ権力に
しがみついている。彼が率いる政党は、アラブ湾岸諸国の協力評議
会が取りまとめた権力委譲にひとまず賛成したが、サーレハはこの
計画がうまく進行するか疑問視している。彼は英国のBBCに対し
て、権力を放棄するのは選挙が実施された後のことである、と述べ
た。しかし月曜日には、数十万人の反政府勢力な南部のタエスでデ
モを行ない、大統領を裁判にかけるように求めている。このデモの
主催者は、彼に対しては不逮捕特権も認めてはならない、と主張し
ている。警察と軍は、実弾と催涙ガスを再び使用した。多くの負傷
者が出た。数週間前からアラブ国家である同国では、数千人が路上
に出てサーレハの即時辞任を求めている。治安部隊はその際に、繰
り返して暴力的に抗議活動家に対処している。今までに130人以上
が死亡している。イエメンでは2千3百万人の住民のほぼ半分が、武
器を保有しているので、同国を知る人は紛争が激化した場合には、
大量の血が流れる可能性がある、と懸念している。

NATOはトリポリのカッザーフィーの居城を爆撃

NATOの戦闘機は、リビアの権力者カッザーフィーの政府の施設を
爆撃し、いくつかの建物を破壊あるいは損害を与えた。リビア政府
広報によれば、その際45人ほどが負傷し、うち15人は重傷である。
広報はこの攻撃は、カッザーフィーを殺害しようという試みであ
る、と非難した。独裁者カッザーフィーが攻撃の時点で、どこにい
たかは不明である。カッザーフィーの息子サイフ エル イスラー
ムは、夜間爆撃は卑怯であり、同国政府はこれによって怖じ気づく
ことはない、と述べた。蜂起勢力が支配する同国西部のミスラタ市
内の目標地点も、NATO軍機によって攻撃された。政府軍はミスラ
タ市を再び銃撃している。目撃者の話によれば、約1時間の戦闘で、
2つの学校が破壊された。これより前に副外相カイムは、軍がミス
ラタから撤退する、と発表していた。

ウィキリークスはグアンタナモの秘密文書を公開

インターネット上の暴露サイトウィキリークスは、キューバのグア
ンタナモにある米軍の収容所の秘密文書数百を公開した。この文書
は、スペインの新聞「エル パイス」やドイツの報道雑誌「シュピ
ーゲル」誌を含め、さまざまな新聞、出版社に対して前もって提供
された。「エル パイス」の報道では、問題のこの収容所では、長
年にわたり人権侵害が日常茶飯事になっており、グアンタナモには
危険なテロリストの他、精神描写、衰弱した老人、完全に無実の人
も入れられているほか、「極めて危険」と分類されているにもかか
わらず、拘留者が釈放されれていた。米国政府はこの文書公開を
「不幸なこと」と述べた。米国大統領オバマは、この施設を本来は
閉鎖するつもりであったが、この約束は今のところ守られていな
い。




4月26日(火)

アサドはあいかわらず暴力にかける

シリア大統領バシャール アル・アサドは、全力をげて、自らの独裁的な支配に抗
議活動を弾圧しようとしている。南部のダルアー市では、戦車部隊と狙撃兵が、さ
らに激しく進軍している。目撃者の話によれば、人々は自宅や安全な場所に移動し
ようとしており、電話、電力、水の供給は途絶している。月曜日には戦車部隊が、
反アサド勢力の拠点と見られているダルアーに侵入した。この進軍で、少なくとも
20人が死亡した。港町バニアス近郊には、軍が集結している、と現地の抗議勢力
は伝えており、攻撃があるものとみている、と広報は述べた。
人権組織「サワシア」にいおれば、抗議活動が5週間ほど前に始まってから、少な
くとも4百人が正規軍に殺されている。

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シリアに対する諸外国の圧力が強まる

シリアの野党の活動に対して暴力が行使され続けているため、諸外
国は大統領アサドの政権に対する圧力を強めている。米国に続いて
現在はEUも、同国政府に対する制裁を検討している。EU加盟国は
この問題を早急に協議する、とEU委員会広報は発表した。フラン
ス、英国、ドイツ、ポルトガルは、国連に、シリアに関する国連安
全保障理事会の声明案を提出した。通信社の報道によれば、その中
では暴力行使を中止するように求められており、制裁についてはこ
の文書では取り上げられていない。国連安保理が早期に決定を下す
可能性はないと見られる、友伝えれれている。ドイツ政府はシリア
に滞在中のドイツ人すべてに対して、アラブ世界に属する同国を出
国するように勧告している。

NATOはトリポリ攻撃への批判を退ける

日曜日夜にトリポリを空爆した目的は、権力者カッザーフィーを殺
害することであったとの主張が出てきているが、NATOはこれを退
けた。トリビア派遣軍の最高指揮官であるカナダの将軍ブシャール
は、この攻撃はさまざまな建物がある軍事施設を狙ったものであ
り、NATOの活動の重点は民間人保護であって、政権交代ではない、
とナポリで述べた。通信員の報告によれば、カッザーフィーはこの
敷地に事務所と迎賓館を持っている。ロシア首相プーチンは、カッ
ザーフィーの居城に対する攻撃を批判し、NATOにはこの種の行動
を取るように国連から委託を受けていない、と訪問先のデンマーク
で述べた。リビアからも、蜂起勢力が制圧したミスラタ市をめぐる
新たな攻防戦が報じられている。カッザーフィー軍は砲撃を強めた、
と蜂起勢力の代表は発表した。

イタリアとフランスはシェンゲン協定を修正する方針

北アフリカから数千人に難民が到着したことを受け、イタリアとフ
ランスは、少なくとも一時的にヨーロッパの国境での入国管理を行
なえるようにする方針である。ローマで開かれた首脳会談で、イタ
リア首相ベルルスコーニとフランス大統領サルコジは、シェンゲン
協定についてこれに関して修正を行なうよう求めた。シェンゲン協
定は、多くのEU加盟国内では国境管理を行なわず、旅行の自由を保
証している。ローマで発表されたEU委員会宛ての書簡で、ベルルス
コーニとサルコジは、特定の場合にはシェンゲン協定加盟国の国境
で、再び入国管理を行なえるようにすることに賛成しているい。さ
らに彼らはEU共通の亡命手続き導入を作るように求めている。これ
によりイタリアとフランスは、北アフリカからの難民をめぐる対立
で、同じ目標を立てている。フランスの抗議に対して、イタリアは
チュニジア出身者を中心とする約2万6千人に、別のEU各国への旅
行を認める書類を発行している。




4月27日(水)

デ メズィエールは国連軍派遣にさらに参加を約束

国防大臣トーマス デ メズィエール(キリスト教民主同盟)は、国連に対して、
国際的な軍事活動にドイツが今後も参加すると約束した。彼は国連事務総長潘基文
とニュー ヨークで会談した後、ドイツは国連の積極的かつ力強い一員である、と
述べた。デ メズィエールは、国連の委託を受けた派遣の場合を中心に、アフガニ
スタンやバルカンでドイツは多くの兵士を派遣しているが、これは変わらない、と
述べた。3月には国連安全保障理事会のリビア上空の飛行禁止実施に関する投票
で、ドイツは保留したが、デ メズィエールの発表によれば、潘との会談では、こ
れは取り上げられなかった。デ メズィエールは、ドイツには国連のリビア支援活
動を防護する用意がある、と明言した。

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リビアの氏族はカザッフィーから離反

リビア紛争では、61氏族の長及び代表は、権力者カザッフィーと絶
縁した。パリで哲学者レヴィが発表した声明の中で、各氏族の代表
は、カザッフィー抜きで、適切、自由、民主的なリビアを支持し
た。レヴィはベンガジの蜂起勢力の移行評議会の積極的な支援者で
ある。攻防戦が行なわれているミスラタ市では、カザッフィー軍
は、港湾地域攻撃を再開した、と反乱勢力は発表した。火曜夜に
は、政府軍側の兵士は、NATOの空爆により、撤退せざるをえなく
なっていた。港には、160トンの支援物資を乗せた船が接岸した。
この船は出港する際には、数週間前からミスラタに足留めされてい
るアフリカ諸国からの約1千人の外国人労働者を乗せることになっ
ている。

ドイツはシリアに対するEUの制裁を実施する方針

シリア大統領アサドがデモ隊に対して暴力的に対処していることを
受け、ドイツは制裁を科すのに賛成した。政府広報ザイベルトはベ
ルリンで、ドイツの提案を受けて、EU全体でも制裁措置を取る可能
性を検討しており、シリアの政界の要人の渡航制限と資産の凍結が
考えられる、と述べた。外相ヴェスターヴェレも、制裁を強く支持
し、EUは隣接地域の人権侵害を甘受しないとの明確な意志を発信し
なければならない、と述べた。国連安保理は水曜日に、シリアに関
する会議を再び行なう。声明に合意が得られるかどうかはわからな
い、とニュー ヨークの通信員は伝えている。ロシア、中国、レバ
ノンは、アサドにこれ以上の圧力をかけることに、懐疑的である、
とのことである。

アサドはシリアの都市ダルアーの部隊を増強

シリアでは独裁的な支配を続けるアサドが、野党の勢力に対する軍
事的な圧力をさらに強めている。目撃者の話と、野党のインターネ
ット上の報告によれば、さらに多くの戦車と兵士が、反政府勢力の
拠点であるダルアーの方向に進軍している。ここは週末に軍の部隊
が押し寄せ、デモ隊に暴力的に対処した場所である。野党によれ
ば、負傷したデモ参加者は、病院への立ち入りが禁じられているた
め、劣悪な環境の中で家屋の中で手当てを受けている。ドイツ通信
社の報道によれば、抗議運動の一部は、これ以上の流血を避けるた
めに、軍との接触を模索している。デモが3月上旬に始まって以
来、450人以上が死亡した、と人権団体は発表した。




4月28日(木)

イスラエルはアッバスに報復すると威嚇

ファタハとハマースが移行政権結成で合意したことを受け、イスラエルはパレスチ
ナ自治当局と、大統領マハムード アッバスに対して、報復すると威嚇した。外務
大臣アヴィグドル リーバーマンは、イスラエルがアッバスと自治政府に対して厳
しく対抗できるように、倉庫には大量の武器がある、と述べた。また、アッバスと
パレスチナ首相サラーム ファイヤドが持つ特別な地位を、剥奪することも可能で
あり、もしそうなれば、今後西ヨルダンランドを自由に移動することはできなくな
る、とも述べた。パレスチナ人組織ハマースとファタハは、長期にわたり深い敵対
関係にあった。流血の権力争いの末、急進派イスラーム教徒ハマースは、2007年
にガザ帯状地帯の支配権を確保し、穏健派に分類されるファタハはそれ以来、西ヨ
ルダンランドを支配している。先に発表されたファタハとハマースの和解は、独立
したのパレスチナ人国家を作る上で、重要な一歩であると見られている。

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ヴェスターヴェレはハマースとの交渉をあいかわらず拒否

連邦外相ヴェスターヴェレは、ハマスが全パレスチナを支配する政
権に参加しても、ドイツがハマースと話し合うことはない、と述べ
た。ハマースが、イスラエルの存在権を暴力を用いて危険にさらす
間は、話し合いの相手ではない、と彼はベルリンで述べた。またこ
の統一政府が、独自のパレスチナ国家を宣言することがないよう
に、とヴェスターヴェレは警告し、近東での2カ国併存による解決
が目標であるのは変わらないが、一方的に事態を進展させるのは、
非生産的であり、和平の過程を前進させることはない、と述べた。

モロッコで攻撃 死者少なくとも14人

モロッコの都市マラケシュの喫茶店での爆発は、テロ攻撃であっ
た。内務省が犯行現場から得た証拠物件を鑑定したあと、このよう
に発表した。この犯行の背後に誰がいるのかは、まだ発表がない。
この犯行では、少なくとも14人が死亡、20人ほどが負傷した。報
道によれば、犠牲者の中には外国人旅行者も含まれている。爆発は
ジャマア・ラファ広場に面した大きな喫茶店で起きた。この広場は
さまざまな商店が立ち並び、大道芸人も出る広場で、同市を訪れる
観光客がよく集まる場所の一つである。モロッコの政治および社会
情勢は、比較的安定している、と見られている。国王モハメッドは、
エジプトとチュニジアでの政権転覆の影響で、大幅な改革を行なう
と予告し、独立の司法と自由選挙による国会を作る、と約束してい
た。復活祭の日曜日には、カサブランカでは1万人以上がこの改革
を促進するよう求めた。

倫理委員会は今後の電力政策を討議

連邦政府が設置した電力政策に関する倫理委員会が、ベルリンで会
議を行なう。インターネットとテレヴィで生中継されるこの公開会
議では、30人ほどの専門家が、原子力発電をかなり早い時期に廃止
した場合の影響について、相異なる見解を表明する。これでは、科
学、電力、購買者団体の専門家が発言を行なう。電力産業の代表
は、この会合で原子力発電の早期廃止を行なわないように警告し、
原子力発電は過渡的な技術として、今後も必要である、と強調し
た。これに対し再利用可能な発電の支持者は、風力および太陽光発
電の早期拡大を求めた。元連邦環境相テプファーは、雇用を犠牲に
したり、気候にこれ以上の負担をかけることなく、原子力発電から
脱却することが重要だ、と述べた。彼はドイツ研究者連盟クライナ
ーとともに、この倫理委員会の議長を務めている。同委員会は5月
末までに、電力の方針転換の勧告を提出することになっている。




4月29日(金)

シリアでは禁止を無視してデモ実施

数万人のシリア人は、政府が新たな威嚇を行なっているにもかかわらず、民主的な
改革を求めてデモを行なった。首都ダマスカス、ラタキア、ホムス等の都市で、彼
らは大統領バシャール アル・アサド政権に抗議を行なった。目撃者の話によれ
ば、反乱勢力の拠点ダルアーでは、治安部隊が数千人のデモ隊に向けて発砲し、そ
の際数人が負傷した。シリア内務省はこれより前に、金曜日には何者もデモに参加
してはならない、と発表していた。一方国連人権評議会は、シリア政府が国民の蜂
起を暴力的に鎮圧した、と非難した。人権を保護するための国連最高の委員会であ
る同評議会はジュネーヴで、アサドはただちに自国民に対する暴力を中止しなけれ
ばならない、と要求した。

     その他のニュース

連邦刑事局はアル カーイダと目される3人を逮捕

ドイツでは連邦検察の指示に基づいて、テロ組織網アル カーイダ
に属していると見られる3人が、連邦刑事局の職員に逮捕された。
報道機関が一致して伝えているところによれば、容疑者は爆弾製造
作業を行ない、ドイツ国内での攻撃を計画していた、とのことであ
る。この3人はノルトライン・ヴェストファーレン州で逮捕され
た。連邦内相フリードリッヒはベルリンで、国際的なテロ組織によ
る具体的な危険を回避するのに成功した、と述べた。カールスルー
エの連邦検察によれば、容疑者は土曜日に捜査判事に引き渡され
る。さらなる詳細はその後の記者会見で発表する、とのことであ
る。ドイツ第2テレヴィはインターネット上で、この件の規模は、
2007年に逮捕されたいわゆる「ザオアーラント組織」と同程度で
ある、と述べた。その組織に属していたイスラーム教徒4人は、テ
ロ攻撃をドイツ国内で行なおうとしていた。

ミスラタ空港をめぐり激しい攻防戦

リビアの反乱勢力の拠点ミスラタの空港をめぐり、反乱勢力と政府
軍が激しい戦闘を繰り広げている。AFP通信によれば空港周辺で爆
発と激しい機関銃の銃撃音が聞かれた。反乱勢力によれば、戦車が
2カ月前から包囲されている同市に、東、南、西から同時に進行し
た。リビア政府軍は化学兵器の攻撃が行なわれる懸念から、蜂起勢
力は諸外国に重火器の提供を求めている。対戦車ミサイル、ヘリコ
プター、魚雷を搭載した高速艇が必要だ、と反乱軍の将軍は述べて
いる。リビア紛争は、次第にチュニジアに広がっている。カッザー
フィー部隊は、国境の村デヒバで、隣国チュニジア軍と交戦した。

マラケシュ攻撃による死者の数が増加

モロッコの都市マラケシュで観光客が集まる喫茶店が攻撃を受けた
事件で、当局はあらゆる痕跡を追跡している。テロ組織網アル カ
ーイダの関与も否定できていない、とモロッコ政府広報ナシリは
AFP通信に述べた。重傷者2人が負傷がもとで死亡したため、死者
の数は16人に増えた。ナシリは、この犯行によって政治改革の過程
が脅かされることはない、と請け合った。国内各地での抗議行動の
結果、国王モハメッド6世は、大規模な改革を行なう、と3月9日に
予告していた。フランス人警官10人がマラケシュに派遣され、犠牲
者の身元確認の作業を手伝う。国際刑事警察機構も、捜査協力を申
し出ている。国連安全保障理事会、米国、フランスに続いて、EU外
務特使アシュトンとEU委員会議長バローゾも共同声明の中で、この
攻撃を非難した。ドイツ首相メルケルはモロッコ国王モハメッド6世
に宛てた書簡の中で、この攻撃に対する「嫌悪感と驚き」を表明し
た。




4月30日(土)

アル カーイダと見られる者たちがドイツ攻撃を計画

捜査陣が得た情報によれば、金曜日に逮捕されたアル カーイダと見られる3人
は、ドイツでの襲撃を計画していた。連邦検事総長代理ライナー グリースバオム
はカールスルーエで、具体的な攻撃目標は決まっていなかった、と述べた。また逮
捕された者たちは「まだ実験の途中」であり、実際の爆弾製造には取りかかってい
なかったが、金属片を仕込んだ爆弾に、人ごみの中で点火するつもりであった、と
も述べた。連邦検事局局長イエルク ツィールケは補足して、まだ警戒を解く状況
にはない、容疑者はオーストリア、モロッコ、コソヴォとつながりを持っている、
と語った。3人全員に逮捕命令が出された。捜査陣の発表によれば、29歳のモロッ
コ人は、急進派組織アル カーイダが(パキスタンのアフガニスタンとの国境地
帯)ワジリスタンに持つ訓練施設にいたことがあり、「訓練」後に攻撃を行なうた
めにドイツに戻ってきた、とのことである。逮捕された他の2人は、31歳のモロッ
コ系ドイツ人と19歳のイラン系ドイツ人である。

     その他のニュース

カッザーフィーは交渉には応ずるが辞任はしない意向

数週間にわたり空爆が行なわれ、地上軍の動きが取れなくなってい
るため、リビアの権力者カッザーフィーは、停戦を支持した。NATO
と野党は辞任を求めているが彼はこれを改めて拒否し、国を出て行
くように命ずることは誰にもできない、と国営放送が中継した演説
の中で述べた。またカッザーフィーは、NATOの空爆を中止するよう
に求めた。NATOはこれを拒否し、民間人に対する一切の攻撃と威嚇
が中止されるまで、空からの攻撃を続行する、とブリュッセルで発
表した。蜂起勢力もこの提案を拒否した。一方カッザーフィー軍と
反乱勢力による、ミスラタ市攻防戦はあいかわらず続けられた。

再びランペドゥサ島に難民が押し寄せる

地中海のイタリアの島ランペドゥサに上陸する北アフリカからの難
民の数が、再び増加した。イタリアでの報道によればここ1日半
で、リビア空を中心に2千人以上がこの島に到着した。土曜日にだ
けでも、強風と高波のなか入国したのは715人の移住者があった。
緊急信号が発せられたため、イタリア湾岸警備隊の艦船とタグボー
トが難民船に救援のためにかけつけた。

シリアの戦車はダルアーのモスクを砲撃

シイラ軍は戦車からの援護を受けて、ダルアー市の一部を砲撃し、
モスクに押し寄せた。目撃者の話では、その際に4人が死亡した。
このモスクは数日前から、反国家元首アサドの勢力の手にあった。
死者の中にはイスラーム教の導師の息子1人も含まれている。目撃
者によれば、軍はこれより前に、ダルアーへの兵力を増強してい
た。数千人の兵士が、週初めから既に、ヨルダンとの国境にあるこ
の町に進軍しており、この町をほぼ封鎖している。政府が情け容赦
ない措置を取っているため、米国はシリアに新たな制裁措置を科し
た。それには、アサド一族と秘密情報部幹部の米国内での資産の凍
結が含まれている。イラン革命親衛隊の精鋭兵もこれに含まれてい
るが、それは彼らが抗議勢力弾圧で、シリア政府を支援していると
の情報を米国が得ているためである。EUも制裁を行なうと予告し
た。




5月1日(日)

ロシアはカッザーフィー家に対する攻撃を批判

NATOが指揮したリビアの権力者ムアマル アル・カッザーフィーに対する軍事攻
撃は、さらに激しくなっている。リビアの公式の発表によれば、独裁者の末息子サ
イフ アル・アラブ アル・カッザーフィーは、NATOの首都トリポリ空爆で死亡
した。この息子の邸宅では、カッザーフィーの孫3人も死亡した。ロシアはNATO
の空爆を厳しく批判した。モスクワの外務省の声明では、カッザーフィーの殺害が
目標ではない、とのNATOの発表に疑問がもたれる、カッザーフィーの家族の死亡
は、今回の攻撃は民間人の保護のためにだけ許可する、との国連安保理の決議に反
している、とされている。NATO自体は、NATOの目標は単なる純粋に軍事的な性
格のものである、と表明しており、カッザーフィー政権の民間人に対する計画的な
攻撃が問題である、としている。リビアの首都トリポリでは、英国およびイタリア
大使館に対する攻撃も行なわれた。BBCは、国連代表部も攻撃を受けた、と報じて
いる。外務省は、ドイツ代表部が攻撃を受けたことを示す者はない、と発表した。
ただし、トリポリのドイツ大使館は閉鎖されているので、人的な被害が起きる危険
性はない。

     その他のニュース

戦車がシリアの反体制都市ダルアーに攻め入る

シリアの都市ダルアーでは、警察と軍がデモ隊に対する暴力的な対
処を強めている。治安部隊が家屋に押し入り、男たちをバスに無理
やり連れ込み、旧市街には榴弾が打ち込まれ、戦車が市内に入り込
んだ、と目撃者は伝えている。シリア南部のダルアーは、大統領ア
サドに反対する抗議運動の拠点と目されている。同市は数日前か
ら、水、電力、燃料の供給が停止している。多くの住民は、国境を
越えて隣国ヨルダンに逃げ込もうとしていた、と伝えられている。
シリアでは数週間前から、数万人がアサド体制に抗議してデモを行
なっている。大統領アサドは繰り返し改革を行なうと約束しつつ、
デモ隊に対する暴力を行使した。さらなる民主化を求める集会で一
般市民550人ほどが殺害された、とのことである。建物の屋根から
狙撃兵が、群集に向けてしばしば発砲した。

東欧からの就職希望者に国境が開かれる

5月1日を期して、ドイツはEUの新規加盟国8カ国出身の就職希望者
に、国境を解放した。ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロヴェ
ニア、スロヴァキア、およびバルト三国エストニア、ラトビア、リ
トアニアからの就職希望者は、日曜から無制限にドイツ国内で仕事
を探すことができる。自由通行の拡大を開始するにあたって、連邦
労働相フォン デア ライエン、連邦蔵相ショイブレは、非合法労
働と低賃金労働の監視を強化する、と予告した。フォン デア ラ
イエンは、特に建築、介護、飲食の各業種では、最低賃金と社会保
障の加入が正しく支払われているか、大規模な調査を行なう、と述
べた。ショイブレによれば、監視強化のために、人材を増員した。

ドイツ労組連合は法廷最低賃金導入を要求

ドイツの労働組合は、労働の日を利用して、法廷最低賃金導入の要
求を強く訴えた。カッセルでの中央集会で、ドイツ労働組合連合
DGB会長ゾマーは、1時間あたり8.50オイロの全国共通の最低賃金
を導入するように求めた。また彼は、ドイツの労働市場を東ヨーロ
ッパからの労働者に開放することを支持したが、賃金の引き下げが
行なわれてはならないと警告し、東ヨーロッパからの安価な労働力
に期待し、それによりドイツ全般の賃金水準をさらに引き下げるこ
とを望んでいる使用者がたくさんいる、と述べた。ゾマーおよびそ
の他の労働組合幹部は、社会保障制度の弱体化に抵抗する、とも予
告した。ドイツ労働組合連合によれば、今年の5月1日の集会には、
全国で40万人以上が参加した。




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