１１月２１日〜２７日のドイツのニュース
１１月２１日（月）
憲法擁護庁は組織替えへ
連邦内務大臣ハンス・ペーター フリードリヒは、連邦の水準での憲法擁護を
強化する方針である。その原因となったのは、テロ組織国家社会主義地下組織
NSUに属する3人が参加したとされる連続殺人事件で、捜査上の手抜かりが合
ったためである。フリードリヒはベルリンの連邦議会での内務委員会の会議後、
右翼のテロとの戦いでは同庁が「はっきりと責任」を取るべきであるが、内務
大臣会議がこの決定を下さなければならない、と述べた。一方テロリストとさ
れる3人と2007年にハイルブロンで殺害された女性警察官の間には、おそらく
つながりがあった、と発表された。この警官の継父はテューリンゲンで食堂を
所有しており、そこでのネオナチの集会が禁止されていた。連邦検察は今まで、
この情報を認めようとしていなかった。憲法擁護庁と連邦刑事局は、10人ほど
の容疑者を捜査している。
その他のニュース
エジプトでの抗議活動で35人ほどが死亡
エジプトではデモ隊と治安部隊が衝突して流血の事態となり、様々
な情報を合わせると、35人ほどが死亡、2千2百人ほどが負傷した。
カイロのタフリール広場では、警官が4日連続して、抗議する人た
ちに催涙ガスを使用した。デモ隊は警官に投石を行なった。彼らは
実権を握る軍評議会に対して、権限をもっと速やかに民間人政府に
譲るように求めている。抗議活動に応えて、軍事評議会は失脚した
大統領ムバーラクの党員が、再び政治的活動を行なうのを困難にす
るよう、指令を出した。これには、「政治的な汚職」で有罪とされ
たすべてのエジプト人が、5年間活動を禁止する措置が含まれてい
る。その背景には、先に一覧表にされたムバーラクの政権党の元党
員の多数が、11月28日に始まる国会議員選挙の候補者名簿に載っ
ていることがある。シリア兵がホムス近郊でトルコの旅行者のバスに発砲
トルコとシリア大統領アサド政権の間の緊張は高まっている。シリ
アの野党の拠点ホムス近郊では、兵士2名がトルコ人乗客の載った
旅行用バスを銃撃し、2名が負傷した、と目撃者は述べている。こ
の攻撃はトルコが、シリア政府の批判を強めていることに対するも
のと見られている。トルコ政府はその後、外交官の家族と必要性の
低い職員を呼び戻し、改めてトルコ国籍の所持者に対してシリアへ
旅行しないように、と警告した。イスタンブルで開かれている国際
宗教会議で、首相エルドアンは、アサドを批判し、アサドはある一
定の点までは、戦車と銃を用いて今まで通りにやり続けることは出
来るが、アサドが退任しなければならない日は来る、と述べた。ヨルダン国王アブドゥッラーは西ヨルダンランド入り
ヨルダン国王アブドゥッラー2世は、11年ぶりに西ヨルダンランド
を訪問した。西側よりと見られる彼は、ラマラでパレスチナ大統領
アッバスと会談した。アブドゥッラーはこの訪問で、停滞している
近東和平の過程を前進させるつもりである。ヨルダン外相ジュデ
は、同国はイスラエル人とパレスチナ人の直接交渉再開を支援す
る、独立したパレスチナ人国家の建国が目標である、と述べた。ラ
マラでの会合のもう一つの議題は、アッバス率いる穏健派のファタ
ハと、急進派イスラーム教徒のハマースのパレスチナ合同政府の結
成に向けた努力であった。
１１月２２日（火）
エジプト軍事評議会は妥協
エジプトでは抗議行動の後、デモ隊と警察が衝突して流血の事態となり、35人
が死亡したことを受け、権力を握る軍事評議会は譲歩する用意を示した。主要
な将校と危機対策会議を行なった政治家たちは、民間人の大統領を予定を早め
て2012年までに行なう、と発表した。さらに軍事評議会は、数日中に「国民救
済」政権を組閣することに賛成し、国会議員選挙は予定通り、来週始まる、と
のことである。交渉が行なわれる中、カイロのタフリール広場では、軍事評議
会に反対するデモに、再び数万人が集まった。
その他のニュース
国連委員会はシリアを非難
国連総会の人権委員会は、野党を弾圧して血が流れたため、シリア
大統領アル アサドの政権を非難した。122箇国が、即時暴力の中
止を求めるドイツ、フランス、英国の決議案に賛成した。12月には
総会の会議で、この決議の投票が行なわれる。国連安全保障理事会
では、シリアに対する決議は今までは、ロシアと中国の抵抗にあっ
て失敗に終わっていた。トルコ首相エルドアンは、以前は同盟関係
にあったアル アサドに対して、今までで最も強い言葉で辞任を求
めた。エルドアンは、ヒトラー、ムッソリーニ、アル カッザーフ
ィーなどの独裁者の命運を指摘し、彼らの最後からアサドは教訓を
得るべきだ、と述べた。ドイツはオイロ債券に相変わらず冷淡
ドイツ首相メルケルは、債務危機との戦うためのオイロ立て債券を
明確に拒否した。メルケルは、EU内部での共通国債に関する現在の
議論は、「不適切」であると述べ、履行債務共同体の問題は、「そ
もそも危機が終わるときと、ヨーロッパの統合の終わりの時に」回
答することができる、とベルリンでのドイツ使用者会議で述べた。
また彼女は、ドイツはEU内部での条約の修正に対する圧力は、「ド
イツがなすべきこと」ではなく、「危機克服のまさに一部分」であ
る、と強調した。オイロ使用地域内部での取り決めを守らない国
は、「自動的に強硬な措置の行使」を覚悟しなければならない、国
の予算は規則に違反した場合には、もはや正当性を持ち得ない、と
もキリスト教民主同盟党首でもある彼女は述べた。スペイン国債の金利は歴史的水準に上昇
スペインは、保守的な国民党が選挙で勝利した後も、金融市場の圧
力にさらされている。3ヶ月および6ヶ月ものの国債を発行する際
に、スペイン大蔵省は5%を越える記録的な金利を呈示しなければな
らない。この金利は10月に同様な国債を発行した時の、2倍であ
る。ベルギーで組閣が行なわれた時の大きな打撃に続いて、EU結成
時の加盟国のである同国の国債の利子率は上昇した。
１１月２３日（水）
イエメン大統領サーレハは政権交代を決める
イエメンでは10ヶ月に渡って流血の紛争が続いているが、政権交代の道が開か
れた。大統領アリ アブドゥッラー サーレハは、4度目の試みで、辞職協定に
署名した。サウジ・アラビア国王アブドゥウラー ベン アブデル アジスが
臨席する中、彼はこの文書に署名した。この計画には、サーレハは辞任と引き
換えに、自分自身と家族のための不逮捕特権を手に入れる、との内容が含まれ
ている。サーレハは副大統領アブド ラボ マンスール ハディに権力を譲り、
90日間の期限が過ぎた後、ハディは正式に大統領に就任する。この協定には、
イエメンの与党と野党の代表も署名を行なった。協定への署名の後、サーレハ
は治療を受けるためにニュー ヨークにむかうことになっている。
その他のニュース
エジプトでは大規模抗議行動で再び死者が発生
5日間連続して数万人のデモ隊が、権力を握る軍政府に対する抗議
活動を行なっているエジプトでは、数人が死亡した。少なくとも
3人が治安部隊によって射殺された、とカイロからは伝えられてい
る。アレクサンドリアでも、新たな衝突が起きた。軍事評議会議長
タンタウィは、これより前に譲歩を行なっていた。彼は文民の移行
政権の辞任を受け入れ、国会議員および大統領選挙の日程を最終的
に確定させた。しかしデモ隊は、相変わらず彼の退任を求めてい
る。国連人権委員ピライは、過度の暴力を終了させるよう求めた。
英国外相ヘイグとドイツ首相メルケルも同様の発言を行なった。委員会はバーレーンが拷問と横暴な行動をとっていると非難
法律家と人権の専門家の国債調査委員会は、湾岸の国バーレーンで
多数を占めるシーア派の路上での抗議行動を弾圧して流血の事態と
なった件で、治安部隊が横暴な行為と拷問を行なった、と非難し
た。同委員会議長バシウニは、2月の初期の平和的なデモの後、警
察は過度の暴力を行使し、逮捕者には電気ショックなどによる拷問
を行なった、と述べた。5ヶ月間で民間人30人と治安部隊の家族5人
が死亡した、とも語った。野党各党は、議会により多くの権限を与
える立憲君主制を求めている。国王ハマドは中立の調査を行なうよ
う指示し、改革を行なう、と約束した。オイロ債に関してメルケルとバローゾが議論
ドイツ首相メルケルとEU委員会議長バローゾの間では、債務危機を
押さえ込む手段としてのオイロ債導入に関して、はっきりとした論
争が起きた。バローゾはオイロ使用国共通の債券を提案している
が、メルケルはこれを「人心を惑わせ不適切である」と批判した。
オイロ使用地域は、負債を共有することによって、問題を解決でき
るとの誤った声明を伝えることになる、とメルケルは連邦議会の予
算を巡る議論で述べた。バローゾはこれより前に、共同債券の3つ
の形態を提案していた。EU委員会はさらに、オイロ使用国の予算案
を今後も厳しく監視していく方針である。一方ドイツも国債の入札
で勢いをそがれたが、これは初めてのことである。連邦は約39億オ
イロ分の国債の購入者しか見つけることができなかった。売り出し
た国債の3分の1が売れ残ったことになる。
１１月２４日（木）
メルケルとサルコジはEU条約改正に賛成
債務危機解決をめざす格闘の中で、ドイツとフランスは、EU条約を改正して、
オイロを安定させる意向である。ドイツ首相アンゲラ メルケルとフランス大
統領ニコラ サルコジは、イタリア新首相マリオ モンティとストラスブール
で会談し、12月9日の次回EU首脳会談前にも、共同提案を行なう、と発表した。
オイロ債券導入に関するEU委員会の提案を、議長ジョゼ マヌエル バローゾ
が前日に行なっていたが、メルケルはこれを改めて拒否した。彼女は、競争力
の違いが、多様な金利を生んでおり、ヨーロッパの共通国債で金利を統一する
のは、「悪しき方向」である、と述べた。その他にメルケルとサルコジは、EU
条約の改正計画で、ヨーロッパ中央銀行の独立性を損なうつもりはない、とも
述べた。
その他のニュース
フィッチ社はポルトガル国債を「がらくた水準」に引き下げ
格付け会社フィッチ社は、ポルトガルの信用力を、がらくた水準に
引き下げた。同社の専門家は、ポルトガルにはもはや投資先として
の資格はない、と述べた。その理由として、特に国家予算の大きな
収支不均衡と高額の負債に対する対策を挙げた。さらに同社は、ポ
ルトガルの経済は来年、3%縮小する、と見ている。木曜日には全面
ストライキが行なわれ、ポルトガルの公共生活は大きく麻痺した。
飛行機は空を飛ばず、バスと鉄道は停止した。被雇用者はここ数年
で最大のストライキを行ない、上昇を続ける失業率、諸外国の救済
の傘の支援を得る見返りに決定された増税、給与の引き下げに抗議
した。国境警備隊第9部隊はネオナチ支援の容疑者をさらに逮捕
ドイツ警察は、ツヴィッカオのネオナチ組織の支援者と見られる者
1人を逮捕した。精鋭部隊国境警備隊第9部隊GSG 9の警官は、32歳
のアンドレ E.をポツダム・ミッテルマルク郡で逮捕した、とカー
ルスルーエの連邦検察は発表した。逮捕されたのは双子の兄弟の
1人で、有名な右翼急進派で、地下に潜伏していた。捜査陣の得た
情報によれば、この男は人間を軽視する宣伝用のヴィデオを作り、
その中でツヴィッカオの3人組は、移民9人と女性警察官1名を、
2000年から7年までの間に殺害していたことを認めていた。連邦内
相フリードリヒ（キリスト教社会同盟）は、右翼テロ組織による連
続殺人と、いくつかの官庁の機能不全を解明するために、専門家公
党委員会を設置した。この委員会は、連邦憲法擁護庁と連邦情報局
の元長官、連邦刑事局元局長が属することになっている。この専門
家たちには、庁内で密接な作業班の幹部に就任する。野党はシュレーダーを右翼対策で批判
ドイツ連邦議会の野党は、連邦家族大臣シュレーダー（キリスト教
民主同盟）が、右翼急進勢力対策で機能不全に陥っていた、と非難
した。社会民主党、緑の党、左翼党の演説者は、家族省の予算に関
する討議で、本来であればこの部門の計画として、2百万オイロの
支出削減が計画されていたことを批判した。これは「恐るべき政治
の方向性の表明」であった、と社会民主党は非難した。緑の党はシ
ュレーダーに対して、反ファシストあるいは反人種差別計画のため
の資金の採決で、問題の「急進派条項」を廃止するように求めた。
また連邦の反差別部局の削減も、厳しい批判を受けた。「急進派条
項」によって、資金提供を申請する組織は、文書で民主的な自由な
基本的な秩序を支持することを明言しなければならない。またこの
ような組織には、協力者もその点て調査することが義務づけられて
いる。
連邦議会は2012年予算を承認
4日間に渡る議論の末、連邦議会はキリスト教民主、社会同盟と自由民主党の賛
成で、2012年国家予算を可決した。連邦大蔵大臣ヴォルフガング ショイブレ
の予算案は、国会で修正を受け、総額3,062億オイロの支出と、新たな負債
261億オイロとなった。野党は政府が負債を縮小する機会を失った、と非難し、
この予算は能力不足と失望を表わしている、と述べた。連邦大蔵大臣ヴォルフ
ガング ショイブレは、ドイツがヨーロッパの安定の要であるのは変わらない、
と請け合った。
その他のニュース
核のゴミがドイツに 警官に攻撃
放射性廃棄物輸送貯蔵容器を積んだ輸送列車は、ザールラント州の
ノイキルヒェンに5時間停車し、ニーダーザクセン州のゴアレーベ
ンへの道をさらに進んでいく。11両の核廃棄物コンテナの輸送は、
機関車と人員の交代のために、一時停車していた。この列車はフラ
ンス側に1日停車した後、朝にはフランスとドイツの国境を越え
た。ドイツの核のゴミを積んだこの列車は、フランスの再処理施設
ラ アーグを2日前に出発していた。ゴアレーベンへの輸送に抗議
が行われ、警察はニーダーザクセン州のヴェントラントで、暴力を
いとわない妨害者に対して放水を行なった。警官は激しい投石を受
けた、と広報は述べた。警察の車両2台が火炎瓶で炎上した。連邦参議院は反テロ法を通過させる
治安当局と秘密情報部は、今後4年間もテロの容疑者の調査を行う
権限を持つ。連邦参議院はいわゆる反テロ規則を延長した。2001年
9月11日の攻撃の結果、当時の社会民主党と緑の党の連立政府は、
一連の法改正を可決していた。治安当局は当時、銀行の情報や飛行
機などの情報を手に入れる権限など、権限の拡大を受けていた。こ
の規則はこのままでは、2012年1月に廃止されるところであった。印刷機器会社マンローラント社は破産を申し立てる
世界第三位の印刷機器会社マンローラントは、クリスマス直前に倒
産する。これにより、数年前から危機にあった同社の従業員約6千
5百人は、雇用をめぐって不安を抱えなければならない。同社はア
ウクスブルクの区裁判所に破産申し立てを提出した、と同裁判所の
広報は確認した。マンローラント社はアウクスブルク、オッフェン
バッハ、プラオエンの拠点で、事業所集会を開いた後、情勢につい
て広く情報を公開する方針であった。同社の事業所評議会の発表に
よれば、従業員は既に11月分の給与が支払われていない。
１１月２６日（土）
核のゴミをゴアレーベンまで運ぶ線路が占拠される
1千人を超える原子力発電に反対する人たちが、高い放射能を持つ核のゴミを入
れた放射性廃棄物輸送貯蔵容器を、ゴアレーベンまで運ぶ線路を封鎖した。デ
モ隊は線路の上に腰を下ろし、警官が大量に線路沿いに配備された。封鎖する
側は、11台のコンテナに輸送容器をのせた列車を、できるだけ長い間足止めさ
せる方針である。主催者は、座り込みには2千人が参加している、と発表した。
一方警察は1千2百人が短時間に殺到した、と述べた。これより前にはニーダー
ザクセン州のダネンベルクへの鉄道路線の周辺で、警察と激しく衝突した。容
器をゴアレーベンの中間処理施設に運び込むための最後の段階として、ダネン
ベルクでトラックに積み替えなければならないが、ここには2万人近くの人が集
まる予定である。彼らは核のゴミの最終貯蔵所として、ゴアレーベンの岩塩抗
跡を今後調査することも批判している。専門家はこの岩塩抗は不安定である、
と見ている。そのためずっと以前から、核のゴミの輸送貯蔵容器を、岩塩抗跡
の近くの地上中間処理施設へ運び込むことには抗議が行なわれている。中間処
理施設では、核のゴミを最終所蔵所に運び込むまで、冷却が行なわれることに
なっている。
その他のニュース
緑の党は新経済政策を立て、富裕者に高額の税金を課す方針
緑の党は経済をより生態学に基づくものに変え、企業との対立を回
避する方針である。この転換は企業と労働組合を協力者とすること
によってのみ可能である、と同党首エツデミルはキールで開かれた
緑の党の党大会で述べた。代議員はこの会議で、経済および金融政
策に関する、同党の立場を確定する方針である。採択される予定の
動議では、緑の党は富裕者に対する財産税、高税率のさらなる引き
上げ、8.50オイロの最低賃金とヨーロッパの金融売上税の導入を支
持している。会派長キューナストは、緑の党は脱原発が可決された
後は、課題を失うとの印象を持たれないように、と訴えた。電力の
転換に成功するのは、最後の原子力発電所が操業を停止した時であ
る、と彼女は代議員の前で述べた。同党はその他に、武器の専門家
の監視を強め、緊急の場合には禁止措置を出して、ポリ袋の廃止を
求めている。党大会は、最初の措置として、ポリ袋1枚について22
ツェントの環境税を導入するべきだ、との決議を行なった。メルケルとサルコジが新オイロ条約を迅速に結ぶ意向との報道
報道によれば、ドイツとフランスはオイロ安定に関する新条約を、
速やかに、できれば2012年初めまでに、結ぶ方針である。「ビル
ト」紙によれば、ドイツ首相メルケルとフランス大統領サルコジは
安定のための新条約を、当面は両国間の条約として結ぶことを検討
している。その模範になるのは、EUの国境管理を廃止したシェンゲ
ン条約で、この計画は12月8日と9日にブリュッセルで開かれる次回
EU首脳会談で提案されることになっている、とのことである。ドイ
ツ政府公報は、現在特にフランスとの間で、経済および通貨共同体
の強化に関する話し合いを行なっており、そのために必要な条約修
正が行なわれる、と認めた。メルケルとサルコジは、先の木曜日に
ストラスブールで会談し、EU首脳会談前にEU条約修正のための提案
を行なう、と予告していた。ドイツ人観光客がマリで射殺される
マリで、ドイツ人1人が殺害された模様である。ベルリンの外務省
は最終的な確認を取っていないが、同省広報は、ドイツ人男性1名
が「極めて高い可能性」で死亡した、と述べた。マリの地方行政府
の発表によれば、ティンブクトゥの食堂で事件が起き、このドイツ
人は他の3人の観光客とともにここを訪れていた。犯人はこの観光
客を誘拐しようとしたが、このドイツ人は抵抗して射殺された。誘
拐された3人は、スウェーデン人、オランダ人、英国と南アフリカ
の市民権を持つ観光客3人である。その他の外国人はその後、この
町を飛行機で離れた。10人ほどの団体観光客は、西アフリカの同国
政府が借り切った飛行機で、モプティ市へ飛んでいた。多くの西側
諸国と同様ドイツ当局も、ティンブクトゥ地域やその他マリ各地へ
旅行しないように、はっきりと警告していた。犯罪組織やマグレブ
のアル カーイダなどが、外国人を狙って誘拐を試みており、アル
ジェリア、ニジェール、モーリタニアでも最近、誘拐事件が起き
た、とも警告していた。
１１月２７日（日）
アラブ連盟はシリアに対する大規模な制裁を科す
シリア政府が抗議運動に暴力的に対処しているため、アラブ連盟は同国政府に
対する大規模な制裁を科した。加盟各国の外務大臣はカイロで、シリアとの貿
易関係を凍結する、との決定を下した。例外とされるのは食料品取り引きだけ
である。さらにシリア中央銀行との共同作業も中止され、アラブ諸国とシリア
の間の飛行機のビンも停止した。アラブ連盟が加盟国に対して科す制裁の中で、
もっとも包括的なものである。ドイツ外務大臣グイド ヴェスターヴェレは、
この決定は大統領バシャル アル アサド政権に対して、シリアでの暴力をこ
れ以上容認しない、という姿勢を明確に示すものだ、と述べた。活動家の発表
によれば、日曜日だけで今までに20人の反体制派が殺された。
その他のニュース
エジプトの権力争いは国会議員選挙を前に解決されず
エジプトでは月曜日から国会議員選挙が始まるものの、政権を握る
軍事評議会と、野党各勢力の間の権力争いは、終わる兆しがない。
カイロのタフリール広場では、再び数千人が集まり、78歳のアル・
ガンスリを、移行政権の首相に指名することに抗議を行なった。ガ
ンスリは既に、元大統領ムバーラクの元で、エジプト首相を務めて
いた。軍事評議会議長タンタウィは、デモ隊に対して、きわめて広
範な要請をして、軍幹部に圧力を拡大することがないように、と警
告した。ただし彼は、軍は1月まで続く国会議員選挙を安全に行な
う、と約束した。カルザイは治安を新たに担当する地域を公表
アフガニスタン大統領カルザイは、現地軍が治安の責任を国際部隊
から受け継ぐことになる地域の第2弾を発表した。それによれば、
6つの州、7つの州都と30を越える地区が、それに台頭する。ドイツ
国防軍が担当している地域では、北部に位置するバルフ州、タハー
ル州、サマンガーン州とファイスバード市がそれに含まれる。治安
の責任の移譲は、2014年末までにアフガニスタンに派遣されている
外国人兵士全員が撤退するまでに、行なわれることになっている。今
年の終わりまでに、米兵3万3千人が同国を立ち去ることになって
いる。米国以外の西側の国々も、それぞれの兵士の削減を開始し
た。アフガニスタン軍への治安の責任の移譲の最初の局面は、7月
に始まっていた。ドイツはタリバーンとの和平交渉に賛成
ドイツはボンでのアフガニスタン会議を直後に控え、アフガニスタ
ン政府が急進派イスラーム教徒タリバーンと、和平交渉を行なうこ
とに賛成した。国防相デ メズィエールは、「ビルト紙日曜版」
に、かつでは剣を手にしていた各人が、アフガニスタン内部の和解
の道を歩むのを阻害することはできない、と述べた。外相ヴェスタ
ーヴェレは同紙に、和解は友人の中ではなく、以前の敵との間で生
まれる、と述べた。12月5日のアフガニスタン会議では、世界各国
がアフガニスタンを部隊が撤退する2014年から後も支援すること
を、義務づける方針である。