１月１日〜８日のドイツのニュース
１月１日（日）
イランは核燃料と称するものを初めて製造
米国とイランの力比べは続いている。イスラーム教共和国であるイ
ランは、ペルシャ湾での海軍の軍事演習の一環として、新型中距離
ミサイルを発射したのとほぼ同時に、核燃料を初めて製造した、と
発表した。この核燃料は国内産のウラン鉱脈から製造されたもの
で、医療目的の研究炉で使用される、とのことである。西側は今ま
で、イランが核燃料を製造できる状態にある、との主張を疑ってい
る。また非軍事目的の核計画を隠れ蓑に、イランは密かに核兵器製
造作業を行っている、との疑いを西側は抱いている。イランは過去
数日、核計画に関連して、さらなる制裁が科されたら、ホルムズ海
峡封鎖を行なう、と威嚇していた。米国はその直後、このような封
鎖を甘受することはない、と明確にしていた。
その他のニュース
ヴェスターヴェレはイランからの会談の申し入れに冷静な対応
ドイツ外相ヴェスターヴェレは、核問題で対立するイランからの話
し合いの申し入れに冷静に対応した。この申し入れには注目してい
るが、自分にとっては曖昧な発表ではなく、確認できる行動が重要
である、と外務省公報はベルリンで述べた。またイラン政府は諸外
国が課した義務を果たし、核計画で透明性を確保した場合にのみ、
これ以上の制裁を回避できる、とも述べた。イラン外相サーレヒー
は土曜日に、同国政府は問題の核計画について新たな交渉を行なう
用意がある、と発表していた。イランと国連安全保障理事会で拒否
権を持つ五カ国およびドイツとの話し合いは、ほぼ1年前から凍結
されている。
シリア軍と離反兵が戦闘
シリアの反政府勢力の発表によれば、首都ダマスカス近郊で政府軍
と離反した兵士の戦闘が勃発した。活動家の話によれば、軍が離反
した兵士の行方を探してこの地域を捜査していたところ、戦闘が起
きた、とのことである。負傷者に関する報告は今のところない。人
権団体によれば、アラブ連盟が派遣した監視団がいるにもかかわら
ず、シリア軍は反政府勢力に以前と同様厳しく対処している。新年
を迎える直前には、今までばらばらであったシリアの主要亡命反政
府組織「国民評議会」と「国民協調委員会」が、大統領アル・アサ
ドの政権が失脚した場合に備えて、同国変革のための合同の計画で
合意していた。
2011年にアフガニスタンでは国際保護部隊の兵士565人が死亡
2011年にはNATO指揮下の国際保護部隊は、再び大きな損失を嘆
かなければならなかった。最新の集計によれば、1年で565人の外
国兵がヒンドゥクシでの紛争で死亡した。これは前年と比べると
150人少ない。2011年に殺害された兵士の数は、米兵417人、英
国兵46人、フランス兵26人、ドイツ兵7人であった。国連の発表
によれば、アフガニスタンでの戦闘あるいは襲撃の犠牲者の多く
は、相変わらず民間人であった。その数は前半だけでほぼ1千5百
人の男性、女性、子供が暴力行為で死亡した。国連は2011年の
総括は、1月半ばに提出することにしている。
１月２日（月）
アラブ連盟「シリアで再び銃撃事件が発生」
アラブ連盟の発表によれば、シリアでは軍が住居地区から撤退し、
これにより和平計画の中心的な部分を実施に移した。アラブ連盟事
務長ナビル アル・アラビは、軍は各都市の外部の拠点に入った
が、交戦はまだ続いており、特に狙撃兵はまだ脅威である、とカイ
ロで述べた。暴力が続いていることで、これより前にはアラブ連盟
の監視団の任務に対する批判が強まってた。同連盟の影響力の大き
な委員会の一つは、シリアでの活動を直ちに中止するように求め
た。専門家の目の前で、さらなる暴力行為が行なわれれば、大統領
バシャル アル・アサドが監視団を援護として悪用することにな
る、といわゆるアラブ議会、88人の議員からなる顧問団の委員会は
発表した。
その他のニュース
イランはミサイルの試験に再び成功と発表
イランは、ペルシャ湾での海域演習のさなかに、もう一発のミサイ
ルの実験を行なった。「カダル」型巡航ミサイルは、計画通りペル
シャ湾内に設定された目標に命中した、とイルナ通信は海軍副将軍
ムーサウィの言葉を引用して報じた。「カダル」型ミサイルの射程
距離は約2百キロなので、イランの発表とは異なり、長距離ミサイ
ルとは見なされない。ホルムズ海峡から遠くないところでの軍事演
習は、諸外国に懸念を引き起こしている。世界の石油取引の最重要
経路が、ホルムズ海峡を通っている。イランは、西側がイスラーム
教共和国である同国に対する制裁を拡大するのであれば、海峡を封
鎖すると威嚇していた。それにもかかわらず米国は、新たな制裁を
発効させる。この措置は、イラン中央銀行との金融取引にかかわる
ものを中心とするものである。イランは週末に繰り返し、中距離ミ
サイルの試験を行い、ほぼ同時に、核燃料を自力で準備した、と発
表した。
エジプトで権力を握る軍部は選挙の手続きを簡略化
民間人政権へ権力委譲を急ぐようにとの要求が続いていることを受
け、エジプト軍は数ヶ月に渡る選挙の期間を短縮した。国会の第2
院シューラの選出は、当初の予定の3段階ではなく、2段階で行な
い、計画の3月11日ではなく、2月22日には終了する、と権力を握
る軍最高評議会はカイロで発表した。さらにシューラは予定よりほ
ぼ1ヶ月早く、最初の会議を行なうことになる、とも発表した。両
院は予定より大幅に早く、新憲法に関する作業を開始する可能性が
ある。国会議員が実際に立法手続きにどのような影響力を持つか
は、今なお不明である。数段階で行なわれる投票は、11月に始まっ
ていた。「イスラーム教徒兄弟団」が勝利する見通しである。
大統領李「朝鮮半島は転換期を迎える」
韓国大統領李は、共産主義国家北朝鮮との核をめぐる新たな議論を
行なう姿勢を示した。また彼はテレヴィで中継された演説の中で、
あらゆる挑発をきわめて真剣に受け止める、と述べた。また、朝鮮
半島は現在「転換期」を迎えており、「大きな変化」の前段階にあ
り、北朝鮮が誠実さを見せるのであれば、新たな時代が始まる可能
性がある、ともとソウルで発言した。韓国大統領の演説は、北朝鮮
が新年の声明の中で、軍を増強し、先日なくなった金正日の息子を
「死ぬまで」守る、と発表した翌日に行なわれた。
１月３日（火）
連邦大統領ヴルフに対する圧力が強まる
自宅を購入するための私的な借金が問題視されており、さらに報道
機関との交際が原因となって、連邦大統領クリスティアン ヴルフ
は、ますます強い圧力にさらされている。キリスト教民主、社会同
盟と自由民主党の主要な政治家は、態度表明を求めている。社会民
主党、左翼党、緑の党の代表は、ヴルフがドイツ元首の職に適性を
持っていないのではないか、とあからさまに疑問視している。ヴル
フが影響力を行使したのは、おそらく特殊な事例ではなかった。先
には「ヴェルト紙日曜版」が、大統領が報道に介入した件で、苦情
を申し入れていた。数種間前からヴルフは、親しい実業家の夫人か
らの借金の件で批判を浴びていた。「ビルト」紙は12月に報道機関
の先頭を切って、これについて報告していた。同紙によれば、大統
領は自ら、これが明らかになるのを阻止しようとした。
その他のニュース
ドイツの2011年の平均失業者は3百万人を下回る
ドイツの失業者は、昨年の平均で、3百万人の大台を下回った。連
邦労働紹介所長ヴァイゼは、2011年には平均で、297万6千人が失
業中と届け出たが、これは前年と比べて26万3千人少なかった。失
業率は年平均で、7.1%であった。これより失業者が少なかったの
は、1991年である、とヴァイゼは説明した。この上向きの傾向は
12月も続いた。冬には普通は質量者の数は増加するが、比較では
6万7千人少なかった。先月末には、278万人が失業者として登録
し、2010年12月と比べて、23万1千人少なかった。この1月は、
失業者は3百万人以上に増える、とヴァイゼは見ている。彼は、
2012年全体では平均で3百万人をギリギリ下回る、と予想してい
る。
タリバーンはカタールに連絡事務所を開設
アフガニスタンの急進派イスラーム教徒タリバーンは、湾岸の首長
国カタールに、連絡事務所を開設する方針である。この代表部は、
国際組織と交渉を行なう、とタリバーン広報は発表した。報道によ
れば、カタールでは過去に、米国代表部とアフガニスタン政府が、
タリバーンの成員を含めて数回、話し合いを行なっていた。アフガ
ニスタン政府は、蜂起勢力であるタリバーンと和平交渉を行なう努
力をしている。
ヴェスターヴェレはカイロにアラブ使節を派遣
カイロのコンラート・アーデナウアー基金の事務所が捜査を受けた
ことを受け、外務省はアラブ世界の変化を調査する使節ヴェンツェ
ルを、カイロに派遣する。彼は水曜日から、エジプトの担当者と話
し合いを行ない、コンラート・アーデナウアー基金に対する容疑を
早期に解明するよう迫る、と外務省公報はベルリンで発表した。外
相ヴェスターヴェレ（自由民主党）は、同基金がすぐに妨害される
ことなく仕事を再開できる、と期待しており、エジプトや北アフリ
カのその他の変化を進める上で、政治基金である同基金の仕事が重
要である、とも広報は語った。さらにあらゆる基金は、北アフリカ
で変革を経験している国々の民間社会を建設し、その力を強めるの
に、大きな貢献をするだろう、と述べた。ドイツ政府はこれへの参
加をはっきり支援し、促進する、とも外務省公報は語った。
１月４日（水）
ヴルフは借金問題でテレヴィでインタヴューを受ける
連邦大統領クリスティアン ヴルフは水曜日に、自分の借金問題に
関連する非難について、改めて発言を行なう方針である。ベルリン
の大統領府はこれを発表した。ドイツ第2テレヴィZDFの報道によれ
ば、国家元首はドイツ連邦共和国公営放送連合ARDとドイツ第２テ
レヴィのインタヴューを受け、夕方に放送する。これより前に公共
放送連合は、ヴルフ周辺の人物の言葉として、大統領は辞任するつ
もりはない、と伝えていた。ヴルフはニーダーザクセン州首相時代
に、親しい実業家の妻から借りた不動産購入の借金のため、圧力に
さらされていた。この事件は年末に、彼が借金問題についての「ビ
ルト」紙の報道を阻止しようとしたことが明らかになって、新たな
次元の問題となっていた。連邦首相アンゲラ メルケルは、ヴルフ
がすべての疑問に全面的に解答することに、全幅の信頼を寄せてい
る、と発表した。また政府公報代理ゲオルグ シュトライターは、
メルケルは大統領の仕事をきわめて高く評価しており、その点でも
何か変わったことはない、と述べた。
その他のニュース
ロムニーは米国共和党の最初の予備選挙で勝利
米国のマサチューセッツ州元州知事ロムニーは、共和党の大統領候
補者を選ぶ最初の予備選挙で、薄氷の勝利をおさめた。同党の発表
によれば、ロムニーがアイオワ州のいわゆる党員集会で、ペンシル
ヴェニア州選出の元上院議員サントラムを8票上回った。両候補は
いずれもほぼ25%の票を得た。テキサス州選出の下院議員ポールが
21%で、続いて第3位であった。米国の各政党は伝統的に、大統領
候補者をいくつかの州の予備選挙で確定する。来週には共和党の各
候補は、ニュー ハンプシャーに入る。民主党では、今回の指名の
手続きは、大統領オバマの対立候補いないため、形式的なものであ
る。大統領選挙自体は、11月6日に行なわれる。
シリア反政府勢力は反アサド派支援を強めるように要請
シリアの反政府勢力はドイツ政府に対して、大統領アサド政権と、
はっきり手を切るように求めた。シリア国民評議会の幹部イブラヒ
ムは、ベルリンでの会談の席上、それにはダマスカスのドイツ大使
の退去も含まれる、と述べた。この組織に属するドイツで生活する
活動家アフマは、アサドには自らの意志で権力を断念するつもりが
ないので、EUはシリア政府に対してより厳しい措置をとらねばなら
ない、と指摘した。また彼は、反政府の自由シリア軍が、近々アサ
ドの正規軍に対して、「ゲリラ戦」を開始することもあり得る、と
付け加えた。ドイツ政府の反応は控えめであった。外務省公報ペシ
ュケは、今後もアサド政権の「孤立化と制裁」の方針を維持する、
と述べた。
イスラエル人とパレスチナ人の会談後に悲観的な見方
イスラエル人とパレスチナ人の代表が、1年以上の間を置いて会談
を行ったが、両者は和平交渉再開には懐疑的である。それにもかか
わらず参加者は、来週にもう一度話し合いを行なうことで合意し
た。ヨルダンの首都アンマンでの協議には、近東四極国連、米国、
EU、ロシアの代表も出席した。近東和平交渉は2010年9月以降、
凍結されていた。パレスチナ人が交渉の場から退出したのは、イス
ラエルが東エルサレムと西ヨルダンランドにおける入植地建設の中
断を延長するのを拒否したためである。
１月５日（木）
ヴルフは留守番電話の録音の公開を拒否
連邦大統領クリスティアン ヴルフは、「ビルト」紙主席編集人カ
イ ディークマンが求めている、留守番電話の録音の公開を拒否し
た。ベルリンで公表されたヴルフのディークマン宛の書簡の中で
は、「きわめて感情的な状況で発せられた言葉は、あなたに対する
ものであって、他の誰にあてたものでもない」と述べており、彼は
その直後に謝罪し、この謝罪は受け入れられたが、それは彼の見解
だけである。この背景には、ヴルフが水曜日午後に公営放送連合
ARDと第2テレヴィZDFとの間で行なったインタヴューの中での、
問題の発言がある。これによれば、この電話では、彼の私的な借金
に関する報道を阻止しようとしたのではなく、この報道を1日だけ
遅らせることが主眼であった、とされていた。ヴルフはそれにもか
かわらず、これは大きな失策であった、と判断しており、自分は5年
後に「よい大統領であった」との評価を得られるよう、大統領職に
留まることを望んでいる、とも語った。また自分は不正なことを何
も行なっていない、と彼は付け加えた。ヴルフの弁護士はこの間
に、インターネット上で連邦大統領に対する容疑に対して、数ペー
ジ分の態度表明を公開した。
その他のニュース
イラクのシーア派に対する攻撃で死傷者発生
イラクのシーア派に対する連続襲撃事件で、流血の事態となり、少
なくとも67人が死亡、120人以上が負傷した。首都バグダードのい
くつかのシーア派の居住地域で、爆発が起こり、少なくとも30人が
死亡した。数時間後には同国南部で自殺攻撃が行なわれた。当局の
発表によれば、この攻撃は聖なる場所を訪れ、ケルベッラーへと至
る途中のシーア派の巡礼を狙ったものである。それによれば、爆発
が起きたのは、バグダードの南東320キロにあるナサーリヤ市近郊
である。イラク軍広報はバグダードで、この攻撃はイラク人相互の
宗教的な不和を作り出すことを狙ったものである。この殺人事件
を、おそらくは調整した上で行なったと発表した者は、今のところ
いない。ただしアル カーイダとつながりがあるスンナ派の蜂起勢
力の特徴があった。
検察側はエジプト元大統領ムバーラクに死刑を求刑
エジプトの元権力者ムバーラクに対する裁判で、検察は死刑を求刑
した。ムバーラクは最高刑を言い渡され、処刑されるべきだ、と検
察は法廷で述べた。ムバーラクの息子2人と元内務大臣にも、検察
は死刑を求刑した。裁判官はカイロでの裁判を来週月曜日に延期し
た。被告は容疑を否認している。一方検察は、1年前に体制に対す
る蜂起が起きていた期間に、ムバーラクが自ら反政府勢力に暴力を
行使するように命じたことは証明されている、と見ている。この時
には8百人以上が殺害された。
シリア政府の高級官僚が国外逃亡
シリアでは問題の国家元首アル・アサドを支える人物が消えている
模様である。アラブ系の放送局は、首相と国防相の財政の最高管理
官を務め、エジプトに逃亡したハマドとのインタヴューを放送し
た。政府の元高級官僚出会った彼は、体制を強く批判した。彼の言
葉によれば、デモ隊に対する暴力の責任は、軍の秘密情報部、一般
秘密情報部、空軍秘密情報部にあり、閣僚は治安部隊が同行しなけ
れば、一歩も歩くことも許されていない捕虜である、と述べた。多
くの閣僚と将校は、家族が危険にさらされるとの不安から、自分の
持ち場を死守している、とのことである。国営放送によれば、木曜
日には3月から続く民衆蜂起で逮捕された550人が、自由の身とな
った、彼らの手は血に汚れてはいない、とのことである。
１月６日（金）
自民党党首は成長を保証するために党の危機を克服する方針
自由民主党党首フィリップ レスラーは、危機に揺れる自らの党
を、経済成長と進歩を支持すると改めて表明することで、再び上昇
機運に持って行く方針である。同党にとって三和音「経済、成長、
豊かさ」が重要である、とレスラーは恒例となっている三博士来訪
記念日の会合で、シュトゥットガルトで述べた。他の政党がすべ
て、経済成長に上限をおくことを求める中、自由民主党は経済成長
が雇用確保と社会福祉の安定性の土台であると見ている。レスラー
は、キリスト教民主、社会同盟と自由民主党の連立政府は、危機に
立ち止まっていはいない、（以前の）大連立や、社会民主党と緑の
党の連立政権の時代よりも、ドイツは良い状態にある、と強調し
た。彼はその理由として、年平均で4千1百万を越えるの勤労者がい
るのは、ドイツ再統一以来最高の結果であることを挙げた。三博士
来訪記念日の会合で、自由党はシュレースヴィヒ・ホルシュタイン
州議会選挙まで5ヶ月のこの時点で、再び攻勢に出ようとしてい
る。同党は連続して選挙で敗北したことを受け、有権者の支持では
ずっと5%を下回っており、これはドイツ連邦議会議員を出すために
は十分な支持ではない。
その他のニュース
ザールラント州CDUは三党連立を終え大連立を目指す
ザールラント州では（キリスト教民主同盟、自由民主党、緑の党か
らなる）いわゆるジャマイカ連立が崩壊したが、キリスト教民主同
盟所属の州首相クランプ・カレンバオアーは、大連立成立を目指し
て努力をしている。彼女は同州社会民主党党首マースに、交渉開始
のための話し合いを提案した、とザールブリュッケンで述べた。社
会民主党との話し合いで、頑強な強力を「支えられる土台」がはっ
きりしなければ、論理的に言って選挙を行なうことになる、とクラ
ンプ・カレンバオアーは述べた。三党による連立が予定より早く終
了した理由として、彼女は自由民主党の州議会会派とザールラント
自由民主党の中で、常に軋轢があったことを挙げ、このため政府の
仕事を安定かつ信頼できるものにもはやできなくなった、と指摘し
た。キリスト教民主同盟、緑の党、自由民主党は、2009年以来ザ
ールラント州で政権を担っていた。州政治でこの三党による連立が
成立したのは初めてであった。
格付け会社フィッチ社はハンガリーの格付けを引き下げ
ハンガリーが国際通貨基金の緊急融資を得るべく努力している最
中、米国の格付け会社フィッチ社は、ハンガリーを罰し、その信頼
性をがらくたの水準にまで引き下げた。同社はその債券の信頼性を
BB+に引き下げ、冷え込んだ同国の展望を否定的に見た。この引き
下げの理由の一つは、投資家の信頼を失わせるようなハンガリー政
府の「正当的ではない政策」であるとし、これにより政府は国際通
貨基金の新たな資金援助に関する合意を成立させにくくしている、
と述べた。一方政府は、ハンガリーの銀行預金は安全である、と発
表した。同国の信用状態は既に前年、スタンダード＆プアーズ社と
ムーディズ社が、がらくた水準にまで引き下げていた。
当局発表「南スーダンで大量虐殺 死者3千人以上」
南スーダンでは敵対する民族組織同士が暴力的な衝突を行ない、現
地当局の発表によれば、3千人以上が死亡した。ピボール地域の行
政府がAFP通信に伝えた所では、その中にはほぼ2千2百人の女性と
子供が含まれており、大量殺戮が起きた、とのことである。ロウ
ヌエル族の約6千人の武装した若者が先週、住民の多くがムルレ族
であるピボール村に入り込んだ。侵入者たちは小屋を焼き払い、支
援組織「国境なき医師団」の病院2箇所を略奪した。ジョングレイ
州でこの攻撃が起きた理由は、ムルレ族が家畜を盗んだことであっ
た。国連はそれまで、死者数百人と述べていた。
１月７日（土）
ザールラント州SPDはCDUとの連立協議に応ずる
全国初のキリスト教民主同盟、自由民主党、緑の党の連立政権が破
綻したことを受け、社会民主党は、州首相アネグレート クランプ
・カレンバオアー率いるキリスト教民主同盟との連立協議を開始す
る方針である。ザールブリュッケンで社会民主党の同州幹部会が開
かれ、それに合意した、と党首ハイコ マースが発表した。クラン
プ・カレンバオアーは、2009年から政権を担っている3党の連立が
金曜日に終了した、と発表し、ザールラント州自由民主党の混乱が
原因である、と述べた。同時に彼女は、社会民主党に連立協議を提
案していた。この協議が失敗に終われば、選挙が行なわれる。
その他のニュース
連邦大統領ヴルフに対する新たな容疑
連邦大統領ヴルフ（キリスト教民主同盟）に対する新たな疑いが強
まった。ヴルフが自宅を購入した際に、今までに発表していたより
も、資金提供者をさらに大きく隠していた、と「フランクフルト展
望」紙は報じている。彼は契約を公証人を通じて作らず、不動産登
記簿に彼の債権者の名前を記入せず、今までのところ、借金返済の
証拠書類を提出していない、とニーダーザクセン州緑の党会派長ヴ
ェンツェルは同紙に述べた。さらに同紙の報道によれば、ヴルフは
借金を無記名の小切手で完済したが、専門家の見方によれば、家屋
購入の際にはこれはきわめて異例の手続きである。一方「ライン新
聞」は、キリスト教民主、社会同盟と自由民主党の連立政府の党首
は、ヴルフが辞任した場合には、その後継者の指名する際の行動で
合意した、と報じたが、三党はこれを否定した。
デモ隊はヴルフに「靴を示して」辞任を求める
ベルリンでは数百人のデモ隊が、風変わりな方法で、連邦大統領ヴ
ルフの辞任を求めた。目撃者の話では、大統領府前で「ヴルフに靴
を見せる」行動に、4百人を超える人々が集まった。デモ隊は、国
家元首の仕事ぶりと最近の事件に関する不満を表現する方法とし
て、数十足の靴を高く掲げた。この身振りは特にアラブ地域では、
怒りと軽蔑を露骨に表す方法と見なされている。
外相ヴェスターヴェレは北アフリカを訪問
ドイツ外相ヴェスターヴェレ（自由民主党）は、3日間に渡る北ア
フリカ訪問の最初に、アルジェリアに入った。アルジェリアはドイ
ツの経済上重要な取引相手であり、今回の訪問は特に、両国関係を
政治的に拡大するためのものである、とアルジェで彼は述べた。そ
の他彼は、アラブの春が始まってから1年後の北アフリカの情勢に
ついて、自ら把握するつもりである。アルジェリアは抗議運動の大
変革に、マグレブのうちほとんど影響を受けなかった唯一の国であ
る。日曜日と月曜日にヴェスターヴェレは、チュニジアさらにリビ
アを訪問する。彼はこの地域の民主化の過程に対して、ドイツの支
援を強調するためのものである、とも述べた。
１月８日（日）
南アフリカはアフリカ民族会議の百周年を祝う
南アフリカ与党アフリカ民族会議ANCは、ブルームフォンテインで
大掛かりな集会を開き、その結党百年を祝った。式典の最終日であ
る3日目には、数万人が同市の競技場に集まった。外国からの賓客
も多数、緊張感を持って見守られていた大統領ジェイコブ ズマの
演説に立ち会うことを求めていた。南アフリカの反人種差別運動を
代表し、1994年に同国で初めての黒人の大統領に選ばれたネルソ
ン マンデラは、この式典には出席しなかった。93歳の彼は、出席
するには身体が衰弱しすぎていた。同党はこの式典の最終日を、ブ
ルームフォンテインの小さな教会で、カトリックとプロテスタント
がともに参加する礼拝で開始した。アフリカ民族会議は、この教会
で1912年1月8日に結党された。夜には大統領ズマがこの教会で、
灯をともし、人種差別に対する抵抗の象徴として、この炎は全土に
送られる。
その他のニュース
アラブ連盟は監視団のシリアからの撤退の可能性を否定
シリアで暴力が続き、監視団の任務に激しい批判があるにもかかわ
らず、アラブ連合は活動を中止する可能性を否定した。監視団の早
期撤退は議論にならない、と同連盟議長代理エイサはカイロで述べ
た。退去を要請しているのは、シリアの反政府勢力である。土曜日
にはヨルダンからさらに10人の監視人がシリア入りした。これで監
視団の人数は163人に増えた。日曜日には同連盟は、エジプトの首
都カイロで、監視団派遣の中間報告を発表する方針である。報道に
よれば、アラブ諸国はシリア政府が約束を守っていない、と批判し
ている。アラブ連盟の会議の直前に、新たな暴力行為が勃発した。
反政府勢力の発表によれば、シリア治安部隊が土曜日に、少なくと
も29人を殺害した。日曜日にはダラー州で軍を離脱した兵士11人
が殺された。9人の兵士が寝返った、とのことである。
エジプトの国会議員選挙ではイスラーム教徒が大勝
エジプトの国会議員選挙では、イスラーム教徒政党が大差を付け
る。穏健派のイスラーム教徒兄弟団が、第3回投票で、人民集会の
議席の少なくとも41%を獲得した。エジプト国営放送によれば、極
端な保守派のサラフィ主義が、票の2割ほどを獲得した。大統領ム
バーラクが失脚してから初めて行なわれる国会議員選挙には、約
5千万人のエジプト人が投票権を持っている。最終結果は1月中旬に
発表されることになっている。
ハマースとファタハは捕虜交換に合意
パレスチナ人の活動の二大勢力ハマースとファタハは、それぞれの
政治犯の交換で合意した模様である。急進派イスラーム教徒のハマ
ースと、世俗派で大統領アッバス率いるファタハは、1月15日まで
に拘束している人たちの一覧表を提出する方針である、といわゆる
解放委員会の調整官アル・バッチュはAFP通信に述べた。さらに両
者はガザで交渉を行ない、西ヨルダンランドの新聞を、再びガザ帯
状地帯で発行し、ガザ帯状地帯の新聞を西ヨルダンランドで発行す
ることを認めることで合意した。パレスチナ人居住区は、2007年
から政治的に二分されていた。ガザ帯状地帯をハマースが、西ヨル
ダンランドをファタハが支配していた。対立する両運動は、予想を
裏切り昨年春に和解協定を結んだ。