4月28日〜5月4日のドイツのニュース



4月28日(月)

EUと米国はロシアに対しさらなる制裁を科す

EUと米国は、ウクライナ危機を原因とする対ロシア制裁強化を決定
した。EU加盟各国の大使はブリュッセルで、さらに15人に対する入
国禁止と銀行口座凍結を認めることで合意した。今までのところ、
ロシア人およびウクライナ人33人に、同様の措置が科されていた。
制裁の次の段階である経済制裁に対しては、EU経済に対する広い影
響が生まれるため、留保が出ている。米国大統領府は、新たな制裁
措置はロシア政府代表7人と、ロシア大統領ウラジミール プーチ
ンの権力周辺とつながりを持つ企業家17人に向けられている、と発
表した。さらに米国企業に対しては、軍事目的に利用可能な新たな
技術を利用した商品をロシアに輸出する際には、より厳しい制約が
科される。大統領府は、この制裁は「長期にわたる違法な侵略」と
ロシアによるウクライナにおける「挑発行為」に対する応答であ
る、と発表した。

     その他のニュース

ドイツはOSZE監視団釈放を求める

ドイツ政府はロシアに対して、人質になっているヨーロッパ安全協
力機構OSZEの監視団員の釈放に向け、あらゆることを行なうよう呼
びかけた。政府広報ザイベルトはベルリンで、監視団員全員を「速
やかに、無条件に、無傷で」釈放しなければならない、と述べた。
これより前にスラビャンスク市長を自称するポノマリョフは、同機
構監視団はしばらくは自由にはならない、と発表していた。武装し
た活動家たちは、金曜日から拘留されているこの男たちは、「NATO
のためにスパイ行為」を行なっている、と述べた。一方東ウクライ
ナのハリコフ市市長は、襲撃を受けて、命に関わるようなけがを負
い、病院に運ばれた。市役所広報によれば、武装した者たちが市長
ケルネスを背後がから銃撃した。また報道によれば、この地域の中
心都市ドネツクの北60キロほどのにあるコンスタンティノフカで
は、親ロシア活動家が警察署に押し寄せた。さらに40キロ北のクラ
マトルスクの軍空港で、何者かが政府軍兵士を銃撃した。

ムルシ支持者683人に死刑判決

エジプトの歴史上最大規模の裁判で、失脚したイスラーム教徒大統
領ムルシの支持者683人に、死刑が言い渡された。上部エジプトの
都市ミニアの裁判所は、暴力的な抗議行動に参加し他容疑と、殺人
容疑で、被告に責任がある、と述べた。被告の中には、昨年禁止さ
れテロ組織に分類されるイスラーム教徒兄弟団の長であるバディエ
も含まれている。ミニアではすでに1ヶ月前に、イスラーム教徒
529人に死刑が言い渡され、うち37の判決が確定した。491人の死刑
囚は、終身刑に減刑された。起訴状は1千2百人を超える人に関する
ものであるため、この裁判は分割された。このイスラーム教徒たち
は、2013年8月14日に、ムルシが権力を奪われたことに対して、ミ
ニア州でデモを行なった。その日にはカイロで、治安部隊がムルシ
支持者に対して出撃し、7百人ほどのデモ隊を殺害していた。はじ
めて民主的に選ばれた大統領ムルシは、2013年7月上旬に軍によっ
て失脚させられていた。

エジプトでの死刑判決を諸外国は批判

ドイツ政府はエジプトでの判決を見て、死刑を刑法の道具とするこ
とは断固拒否した。現在なお死刑を友好としている国に向けて、こ
の立場をはっきり支持している、と外務省はベルリンで発表した。
連邦大統領ガオクは、この判決を批判し、この判決には大きな懸念
を抱いている、と訪問先のトルコで述べた。彼はより穏健な司法を
実現するために、エジプト当局と連絡を取ることに賛成である、と
述べた。市民権団体「人権監視団」広報は、今回死刑を言い渡され
た人の数は、おそらくは最近の歴史の中で最大であり、おそらく暫
定政権に反対する人々に、不安と恐怖をあおることが目標であろ
う、と述べた。




4月29日(火)

ロシア軍はウクライナとの国境から撤退

NATOはウクライナとの国境から、ロシア軍が撤退したことをまだ確
認していない。現在の所、撤退を示唆するような情報ははもたらさ
れていない、とあるNATO外交官は述べた。ロシア国防大臣セルゲイ
 ショイグはその前に、隣国ウクライナとの国境での軍事演習に参
加している兵士たちは、本拠地へ帰還した、と発表していた。ウク
ライナ東部の紛争地域で拘束されたヨーロッパ安全協力機構OSZEの
軍事監視団は、今なお親ロシア活動家の手の中にある。反乱勢力の
指揮官で、スラビャンスク市長を自称するヴャチェスラフ ポノマ
リョフは、EUによる制裁の解除を、監視団員釈放を行なうための交
渉の条件としている。

     その他のニュース

ロシアはEUを批判

EUは新たに制裁を科される人物の名前を公表した。それによれば、
EUはウクライナ危機を理由として、さらにロシアの政治家と軍高官
15人に対して、口座封鎖と入国の制限を課した。その中には、ロシ
ア副首相コサックとロシア参謀本部長ゲラシモフ、東ウクライナの
親ロシア分離独立派の指導者数人も含まれている。米国とは異な
り、EUは実業界の人物は標的にしていない。米国は月曜日、ロスネ
フト社社長セチンなどにも制裁を科していた。ロシアは対抗措置を
とる、と西側を威嚇した。ロシア外務省は、EUの新たな制裁を、反
感を招く非生産的だと批判し、ロシアに対する制裁は、ウクライナ
情勢を安定させるためには役立たないだろう、と述べた。国営エネ
ルギー企業ガスプロム社はこの間に、ヨーロッパへのガス供給で障
害が発生する、と改めて警告した。

エルドアンはガオクが国内案件へ介入していると非難

トルコ首相エルドアンは、ドイツ大統領ガオクが、トルコの国内問
題に批判的に介入した、と非難した。彼は与党公正発展党AKPの国
会議員を前に演説し、それがテレヴィ中継されたが、ガオクの態度
は要職にある政治家にはふさわしくなかった、とその中で述べた。
ガオクは月曜日にエルドアンおよび政府代表と会談し、意見公表お
よび報道の自由の制約権力分立への介入を批判し、トルコの民主主
義にとって危険である、と警告した。エルドアンはこれを退け、同
国の全ての市民は、完全な多様性の中で自由に生きることができ
る、と述べた。ガオクはトルコ公式訪問の最後に、トルコ大統領ギ
ュルと共に、イスタンブルに新しいトルコ・ドイツ大学の開校式に
出席した。

ホムスとダマスカスで爆発 死傷者発生

シリアのホムス市で爆発が起こり、40人以上が死亡、80人以上が負
傷した。犠牲者の中には女性、子供も含まれている、と野党は発表
した。その発表によれば、自動車爆弾2発が爆発した。一方当局
は、まず爆弾攻撃が行なわれ、その後ミサイルが発射された、と説
明した。ホムス市は3年前から続く内戦の期間中、長い間反乱勢力
の拠点と目されていた。先日政府軍は、激しい戦闘を繰り広げ、同
市をおおむね支配下に置いた。シリアの首都ダマスカスでは、火曜
日に榴弾による攻撃が行なわれ、国営通信社SANAによれば、少なく
とも14人が死亡した。




4月30日(水)

イラクの選挙に爆弾攻撃が暗い影を落とす

イラクでは国会議員選挙に、複数の爆弾による攻撃が暗い影を落と
した。首都バグダードの北にあるバイジ市の投票所前では、自殺攻
撃犯が警官1人と民間人3人を巻き添えに爆死した。公式発表によれ
ば、そのほかに警官4人、投票者14人が負傷した。モースル市では
2発の爆弾が破裂し、選挙委員会の職員1人が死亡した。キルクーク
の北西部にあるアル・ディブス地区では、爆弾で女性2人が死亡し
た。イスラーム教徒が事前に、暗殺によって今回の投票を妨害しよ
うとしたため、イラクの選挙は、最高度の安全対策を取る中行なわ
れている。2千万人以上のイラク人が、国会議員328人をきめる投票
を行なうように呼びかけていた。選挙結果は早ければ金曜日に出さ
れる予定である。

     その他のニュース

内閣はバルカン諸国に対して亡命厳格化を可決

連邦政府はバルカン諸国出身の亡命希望者に対する、亡命の条件を
厳格化する方針である。この法案には、セルビア、マケドニア、ボ
スニア・ヘルツェゴヴィナは今後、いわゆる「安全な出身国」に分
類される、との内容が含まれている。この法案が成立すれば、ドイ
ツ当局は、これらの国々の市民からの亡命申請を、より容易に却下
することができるようになる。新たな規則により、この手続きは大
きく短縮されることになる。難民支援組織は、この措置を批判して
いる。

4月のドイツの失業者数は減少

ドイツの失業者数は4月に3百万人の大台を割り込んだ。ニュルンベ
ルクの連邦労働紹介所BAは先月、294万3千人を失業者として登録し
た。これは先月と比べて11万1千人、1年前と比べて7万7千人の減少
である。同所長ヴァイゼはその理由として、春の景気活性化によっ
て、景気の枠組みとなる条件がよかったことを挙げた。先月と比べ
て失業率は0.3%下がり、6.8%となった。

日本首相は連邦首相メルケルと会談

日本とドイツの見方によれば、G7各国はロシアに対するさらなる制
裁を準備している。連邦首相メルケルと首相安倍はベルリンでの会
談後、主要工業国は必要であれば、ロシア政府に対し、ウクライナ
危機に関する措置を尻込みしてはならない、と述べた。両社はウク
ライナの選挙を予定通り、5月25日に行なうことを支持した。両首
相のもう一つの議題は、EUと日本の間の自由貿易協定の計画であ
る。メルケルは、来年には交渉が締結したい、との意向である。




5月1日(木)

ロシアはOSZEの監視下でのウクライナ交渉を提案

ウクライナ危機の中で、ロシアはヨーロッパ安全協力機構OSZEの監
視下で、ウクライナ政府と分離独立派が交渉するよう提案した。ロ
シア外務大臣セルゲイ ラヴロフは訪問先のペルーで、同機構の職
員が出席して、このような対話を準備できると考えている、と述べ
た。ドイツ首相アンゲラ メルケルは、東ウクライナで拘束された
同機構の監視団釈放に全力を挙げるよう、ロシア大統領ウラジミー
ル プーチンに迫った。連邦政府の発表によれば、彼女はプーチン
との電話会談の中で、「ロシアには同機構加盟国に対する責任があ
る」ことを思い起こさせ、プーチンに「影響力を発揮する」よう訴
えた。
ウクライナ東部では、親ロシア分離独立派が数週間前から、政府お
よび警察の建物を占拠し続けている。この間に少なくとも14の都市
が、親ロシア民兵の管理下に置かれている。暫定大統領アレクサン
ダー トゥルチノフは、同国の一部の支配権を失ったことを認め
た。

     その他のニュース

国際通貨基金は170億ドルでウクライナを支援

国際通貨基金IWFは、ウクライナに対して170億ドルの重大な支援計
画を決定した。これにより、数ヶ月前からの騒乱に揺れる元ソ連の
共和国であるウクライナの、打撃を受けた経済を安定させるつもり
である。同基金の決定には、ウクライナ移行政府に直ちに32億ドル
を支払い、同国が支払い不能に陥るのを阻止することも含まれてい
る。ここから20億ドルが、国家財政を補強のために使われる予定で
ある。同基金は信用供与の支援の見返りとして、広範囲にわたる経
済改革をウクライナ政府に求めている。

イスタンブルで衝突 モスクワでは5月の行進

トルコの大都市イスタンブルでは、5月1日の抗議活動で、衝突が起
きた。封鎖されているタクシム広場に向かって進もうとしていたデ
モ隊に対し、警察は催涙ガスと放水車を投入した。当局は、象徴的
な意味を持つその広場での5月1日のデモを禁止していた。労働組合
と政府に批判的な人達は、それにもかかわらず、タクシム広場に来
るよう呼びかけていた。報道によれば、約4万人の警官がイスタン
ブルにははいびされ、その半分近くがこの広場の周辺にいた。一方
ロシアの首都モスクワではソ連解体後はじめて、伝統に則って労働
組合の5月1日の行進が赤の広場で行なわれた。10万人以上の人がこ
れに参加した。クレムリン宮殿周辺での集会が行われたのは、クリ
ミア半島の問題の併合後、愛国主義が再び勢力を取り戻した兆しと
も見られている。

労働組合連合会長「時給8.50オイロ以下の労働は容認できない」

ドイツ労働組合連合会長ゾマーは、労働組合は最低賃金拡大に反対
する、と強調した。「時給8.50オイロ以下の労働は容認できない」
と彼はブレーメンで開かれた5月1日の中央集会で述べた。同連合会
長を退任することになっている彼は、わずか数百人の参加者を前
に、ヨーロッパ議会を強化し、さらに反ヨーロッパ勢力に議会を委
ねないよう、5月25日のヨーロッパ議会選挙で投票を行なうよう
に、と呼びかけた。またゾマーは現在のヨーロッパ政策を批判し、
ヨーロッパの条約は実質的に効力が失われており、ヨーロッパの民
主主義は骨抜きにされている、と述べた。ゾマーは間もなく退任す
る。同連合の連邦会議は5月中旬に開かれ、今までの幹部ホフマン
が新会長に選ばれることになっている。




5月2日(金)

ウクライナ兵はスラビャンスクでの攻勢を開始

ウクライナ政府軍はヘリコプターの支援を受け、同国東部のスラビ
ャンスクとクラマトルスクの両市で、親ロシア民兵への新たな攻勢
を開始した。内務大臣アルセン アワコフは、反乱勢力が地対空ミ
サイルをウクライナ「特殊部隊」に向けて発射し、ヘリコプターの
操縦士2人が死亡したことを認めた。アワコフは新たに監視所を制
圧した、と発表した。ロシア政府に忠実な活動家達の広報は、自分
たちの側に数人の死者が出たと発表し、政府軍はこの大都市の鉄道
駅に侵入したことを認めた。ただし戦闘員達は、スラビャンスク近
郊の道路封鎖を続けている。自称市長ヴィアチェスラフ ポノマリ
ョフによれば、現地テレヴィ局も現在、兵士達が押さえている。ス
ラビャンスクは2週間以上前から、親ロシア活動家が支配してい
た。
ウクライナ政府の発表によれば、ルハンスクではロシア政府に忠実
な分離独立派は、検察の占拠された事務所とテレヴィ塔を明け渡
し、これより前から現地当局の代表との話し合いが行なわれた。

     その他のニュース

シュタインマイアーは人質釈放交渉は微妙な曲面にあると見る

ドイツ人4人を含むヨーロッパ安全協力機構の軍事監視団は、金曜
日に東ウクライナで誘拐されたが、彼らの釈放をめぐる交渉は、き
わめて注意を必要とする局面にある、とドイツ外相シュタインマイ
アーは見ている。彼はEU外務委員アシュトンとベルリンで会談し、
話し合いを壊さないために、冷静な態度を取らなければならない、
と述べた。親ロシア分離独立派に対して、ウクライナが軍事攻勢を
かける中、シュタインマイアーは紛争の政治的な解決を求めた。ま
た彼は、ここしばらくの歴史でヨーロッパの危機の中で、これは最
大のものであり、ヨーロッパ大陸分断の危険を秘めている、とも述
べた。シュタインマイアーは4月中旬にロシアとウクライナの間で
取りまとめられた緊張緩和のための協定を念頭に置いて、ジュネー
ヴ会議へ復帰することが必要だ、とも語った。外務省の発表によれ
ば、スラビャンスクで親ロシア民兵の手に落ちた人質と、金曜日に
は接触できた。

ロシア政府「ウクライナは平和への最後の希望を打ち砕いた」

ロシア大統領プーチンは、ウクライナ移行政権は新ロシア政府の活
動家に攻勢をかけることで、ジュネーヴ協定を実現する「最後の希
望」を打ち砕いた、と非難した。彼の広報は、プーチンはそのよう
な作戦は一つの犯罪である、と警告していた。またロシア政府は米
国とEUに対して、情勢の激化の責任がある、とも述べた。ロシア政
府はヨーロッパ安全協力機構OSZEに、ウクライナ政府に働きかけ、
スラビャンスクでの攻勢を止めるように訴えた。ロシア外務省は、
自国民に対する出撃は、国を「悲惨な結末」にもたらすと発表し、
ウクライナ移行政権が、スラビャンスクで急進右派組織「右派陣
営」が参加する「報復攻撃」を始めた、と非難した。

ロシアは5月末までのヨーロッパへのガス供給を保証

ロシアはウクライナおよびEU全体の顧客に対して、天然ガスを5月
末まで途切れることなく供給する、と約束した。EUエネルギー委員
エティンガーはワルシャワで、ロシア エネルギー相ノヴァクとウ
クライナ エネルギー相プロダンと会談した後、ウクライナのロシ
アに対する未払いガス代金と、今後のガス価格に関する対立は、そ
れまでに解決できると期待している、5月中にさらに2回の交渉が予
定されている、と述べた。エティンガーは、「国が管理するロシア
のガスプロム社も、ウクライナの企業も、EU加盟国の市場に対する
供給義務を守るために、あらゆることを行なう意向である、と述べ
た。これより前に彼は、ロシアの天然ガスのヨーロッパでの価格を
統一することに賛成していた。EUのガスと石油の需要の3分の1ほど
は、ロシアが提供している。ガスプロム社は今まで、西側の隣国に
様々な価格を要求していた。




5月3日(土)

ドイツ政府はOSZE監視団釈放に安堵

連邦国防大臣ウルスラ フォン デア ライエンはベルリンで、監
視団がけがを負うことなく自由になって、「きわめてうれしい」と
述べた。外務大臣フランク・ヴァルター シュタインマイアーも、
軍事監視団のウクライナ人随行者5人も解放され、とても喜ばし
い、当初の印象からすれば、全員にとって「状況から見てうまくい
っている」と述べた。全てが予定通りに運べば、監視団のドイツ人
は土曜日夕刻に、国防軍の飛行機で、ベルリン・テーゲル空港の軍
空港の部分に到着する、とフォン デア ライエンは述べた。ウク
ライナ東部の親ロシア活動家達は、8日前にヨーロッパ安全協力機
構OSZEの軍事監視団員を拘束したが、土曜日午前中に監視団員を釈
放した。しばらく後に、彼らはスラビャンスクの監視所のところ
で、ヨーロッパ評議会事務長トルビヨルン ヤーグランに渡され
た。この監視団は、調査旅行中に拘束され、スラビャンスクで拘束
されていた。

     その他のニュース

クラマトルスク市で激しい戦闘

内相アワコフによれば、ウクライナ軍はロシア政府に忠実な活動家
に対して、クラマトルスク市近郊で攻撃を開始した。同市からは激
しい戦闘が報告されている。内務省によれば、政府軍の兵士が秘密
情報部の本部の建物を、再び管理下に置いた。隣接するスラビャン
スク誌でも、戦闘は続いている。比較的平穏であった黒海岸のオデ
ッサの情勢は、厳しくなった。ここでは金曜日に、労働組合の建物
が炎上し、警察の発表によれば少なくとも42人が死亡した。警察は
放火であるとの見方で、130人を逮捕した、と発表した。2百人ほど
の人が、市街戦で負傷した。これより前にオデッサでは、親ロシア
の暴徒の大がかりな攻撃で、4人が死亡していた。ウクライナ秘密
情報部SBUは、ロシアからやってきた組織と、親ロシアで隣接する
沿ドニエストル出身の分離独立派が、オデッサでの暴動に参加して
いた、と非難した。

ロシア政府「分離独立派に対する影響力はもはや持っていない」

ドイツ外相シュタインマイアーは、オデッサでの死者数に驚きを表
明した。「オデッサの悲劇は行動を起こすようにとの合図かもしれ
ない。暴力は対抗する暴力をひき起こすだけだ」とベルリンで発表
した。この間にロシアは、ウクライナ南東部の民兵に対する影響力
が失われたことを認めた。大統領プーチンの広報は、ロシア政府は
情勢を単独では解決できない、ウクライナ暫定政府と、同国を支援
する西側の国々が、ウクライナ東部での流血の事態を引き起こし
た、とロシア政府は見ている、と述べた。同広報は、暴力が続く最
中に、予定通り5月25日にウクライナで選挙を実施するのは不合理
である、と述べた。ドイツ首相メルケルはその前に、米国大統領オ
バマとワシントンで話し合いを行ない、ロシア政府に対してウクラ
イナ危機仲裁に貢献するように呼びかけていた。ロシアはその影響
力を行使し、軍事組織に活動をやめさせるよう働きかけなければな
らない、とメルケルは述べた。5月25日に予定されている選挙が妨
害されることがあってはならない、さもなければ経済全体に対し
て、さらなる制裁が科される危険がある、とも語った。

アフガニスタンで地滑り 2千人を超える死者が出た模様

北アフガニスタンのバダフシャーン州では大規模な土石流が発生
し、救助隊は生存者の捜索を続けている。大量の土砂が金曜日に、
結婚式を襲い、その後アベバリク村のほぼ全体を埋め尽くした。同
州政府は行方不明者は2千1百人であると発表し、彼らが生存してい
ることはないと見ている。数日にわたる激しい降雨の後、山の大き
な斜面がこの村に崩れてきた。アフガニスタン軍は、救助機をこの
地域に派遣したが、この地域は道が狭くて整備されていないため、
ただでさえ行きづらい場所である。国連によれば、4千人以上が住
まいを失ない、彼らの世話をすることが優先である、と述べた。当
局の代表は、この地域でさらなる地滑りの危険がある、と警告し
た。




5月4日(日)

フォン デア ライエンはOSZEの活動を正当化

東ウクライナでの人質事件が解決したことを受け、国防大臣ウルズ
ラ フォン デア ライエン(キリスト教民主同盟)は、ヨーロッ
パ安全協力機構OSZEの非武装軍事監視団派遣を擁護した。国防軍の
最高幹部アクセル シュナイダーが率いたこの活動は、あまりに危
険性が高すぎたとの非難の声が上がっているが、彼女はこれを退
け、ドイツ政府は畏縮してはならない、と述べた。またこの監視団
の誘拐は、「この地域の事態悪化の始まり」である、とも述べた。
しかし、4月13日には同市では、分離独立派に対するいわゆる「反
テロ活動」が行なわれ、死傷者が発生していた、と指摘する批判的
な人もいる。ドイツ人4人を含む監視団員たちは、土曜日夜に国防
軍機に乗って、ベルリンに到着していた。8日間にわたって拘留さ
れていた監視団には、そのほかにチェコ人、デンマーク人、ポーラ
ンド人各1一ずつが含まれていた。査察団に随行していたウクライ
ナ人5人は、国防軍がキエフで降ろしていた。病気のスウェーデン
人は、数日前に解放されていた。

     その他のニュース

ウクライナ首相はオデッサに向かう

南ウクライナの港町オデッサでの火災を受け、首相ヤゼニュクは同
市を訪れる。移行首相である彼は、市街戦とその後の労働組合の建
物への放火事件に関して、包括的かつ中立の調査を行なう、と約束
した。金曜日のこのオデッサでの火災では、42人が死亡していた。
ヤゼニュクは英国の放送局BBCとの話し合いで、この暴力の責任は
治安部隊にある、と述べていた。「この治安部隊は非効率的で、法
を侵害した」と彼は述べた。ウクライナの親西側政府は、同国東部
の分離独立派の拠点に対して、軍事攻撃を継続した。クラマトルス
ク市は、再び治安部隊の手に戻ったが、ロシア指向の勢力は、スラ
ビャンスクを掌握している。クラマトルスクでの政府軍の攻勢で
は、少なくとも分離独立派6人が殺害された。

アフガニスタン当局は土石流の犠牲者捜索を中止

アフガニスタンでは土石流で生き埋めになった村落の住民2千人以
上が、救出される見込みはなくなっている。救助部隊は地滑りから
1日、捜索を中止した。同国政府は、多量の土砂で流されたバダフ
シャーン州のアベバリク村の一部が、大規模な墓地になった、と発
表した。副大統領ハリリは、捜索は無意味であり、今後は死者しか
見つけることができない、と述べた。当局は日曜日に、3百人ほど
の引退を発見した、と発表した。救助隊は、3百ほどの家族、合わ
せて2千1百人ほどが土砂の下に埋まり、死亡した、と見ている。先
週にも北アフガニスタンの4つの州で洪水が起こり、1百人以上が死
亡したばかりであった。

パナマでは大統領と国会議員選挙

パナマでは大統領と国会議員が選ばれる。240万人ほどの有権者
が、中米の同国で次期大統領と国民集会の議員71人を決める投票に
臨む。大統領候補は与党民主変革党のアリアスと野党パナメニスタ
党のバレラが、最新世論調査では、ほぼ同じぐらいの支持を分け合
っている。元パナマ市市長ナバーロも、まだ大統領職への希望を持
てる支持を受けている。1989年に軍事独裁政権が終了した後、5度
目の自由選挙である。




今日のニュースへ

過去のニュース(目次)へ inserted by FC2 system