10月19日〜25日のドイツのニュース



10月19日(月)

数千人の難民がバルカン経路で立ち往生

国連難民高等弁務官事務所UNHCRの推定によれば、ハンガリーが国
境を閉鎖したため、1万人以上がバルカン経路で動きが取れなくな
っている。クロアチアとスロヴェニアの国境の所では、スロヴェニ
アが国境通過地点を広い範囲で閉鎖したことを受け、数千人の難民
が、寒さと雨の中待ち続けている。スロヴェニア警察は、夜間にこ
れらの人々を暴力的に停止させていた。難民が、柵などがない国境
を、違法に越えようとしたので、劇的な事態が生じた、とクロアチ
アのテレヴィ局が報じた。スロヴェニア政府は、難民の受け入れを
1日あたり2千5百人に押さえ込むつもりである、と説明した。警察
によれば、日曜日には2千1百人の入国を許可した。またクロアチア
とセルビアの国境でも、数千人の難民がそれ以上先に進めていな
い。セルビアとの孤高では、クロアチア警察が、移民が入国するの
を阻止している、と通信社は伝えている。

     その他のニュース

メルケルは国境の柵を拒否

連邦首相メルケルは、国境に柵を作るのを拒否する姿勢を変えてい
ない。政府広報ザイベルトは、メルケルは数回にわたって、破れか
ぶれになった人々を、完全に押しとどめるのには、柵では役に立た
ないだろう、と明言していた、と述べた。ドイツ警察労働組合は、
ドイツ国境に柵を建設するよう求めているが、他のキリスト教民
主、社会同盟の政治家の間でも、拒否の姿勢が出ている。連邦内相
デ メズィエールは、ドイツ テレヴィの番組で、国境の所に通過
地帯を設置することは、「柵建設の方向へあるいは大量の拘留施設
設置の方向へ過剰な舵を切ることで、問題の核心は解決できなくな
る」ことはないと見られる、と述べた。ドイツ警察労働組合議長ヴ
ェントは週末に、ドイツ国境の通過地帯をめぐる議論で、通過地域
は国境の設置と同時にのみ、実施可能である、と発言していた。

閣僚はイスラーム教を敵視するPEGIDA運動を厳しく批判

連邦内相デ メズィエールに続いて、連邦法相マースも、反イスラ
ーム教「西洋のイスラム化に反対する愛国的ヨーロッパ人PEGIDA」
運動に、厳しい言葉を投げかけた。マースはベルリンで、絞首台と
ヒトラーのひげをつけた者たちは、もはや申し開きのしようもな
い、と述べ、「PEGIDAは憎しみの種をまき、後には暴力につなが
る」と述べた。内相デ メズィエールは、ドイツ テレヴィで日曜
日夕方に、この運動の主催者を、「激烈な急進右派」と評価した。
この運動は活動開始1周年の日を迎えるが、ドレースデンでは、1万
人以上の支持者と反対派が集まると見られている。ドレースデン警
察は、記念集会に反対する複数のデモが行われるため、他の州から
の応援を依頼した。連邦警察の警官も、夕方には配備される、とド
レースデン警察広報は述べた。

新連邦検事総長フランクが着任

新連邦検事総長フランクは、連邦法相マースによって、正式に着任
した。フランクは47歳で、カールスルーエにある同局の長として
は、最も若い人物である。8月始めにマースは、Netzpolitik.orgの
活動家に対する国家機密漏洩容疑での捜査に関連して、意見が大き
く異なったとして、ランゲを解任したが、フランクは彼の後任であ
る。マースはカールスルーエで、フランクはずば抜けた法律家であ
るだけでなく、繊細さと指導力を兼ね備えたやる気のある公務員で
ある、と述べた。フランクは、1995人にバイエルン州法務省で、経
歴を開始していた。彼は、バイエルン州法務省の出張所多数で勤務
したのち、今年の3月にミュンヒェンの検事局の長に就任してい
た。




10月20日(火)

政治家はPEGIDAの憎しみと誹謗を非難

外国人を敵視する「西洋のイスラム化に反対する愛国的ヨーロッパ
人PEGIDA」のデモがドレスデンで実施され、ケルン市長ヘンリエッ
テ レーカーが刃物で襲われたことを受け、政治家たちは憎しみと
誹謗を非難した。副首相ズィクマール ガブリエル(社会民主党)
は、PEGIDAは「右派大衆迎合的で、一部は右派急進派の怒りの運
動」である、と述べた。また彼は、その主唱者は、国会と報道機関
を非難することで、「民主主義の基盤を」疑っている、とも語っ
た。緑の党の会派長カトリン ゲーリング・エッカルトは、拒絶や
憎しみを理解することはできない、ドイツが巨大な課題を抱えてい
るのは、「私たちがあまりに長い間目をそらしていたためでもあ
る」と述べた。EU議会議長マルティン シュルツ(社会民主党)
は、ドイツの急進右派の人数は、他の国々よりは少ないものの、暴
力をいとわない動きや残虐行為は明確に多い、と述べた。PEGIDA同
盟は創立記念日である月曜日、ドレースデンに2万人の支持者を動
員した。ほぼ同数の人が、時を同じくして、右派の運動に反対する
抗議活動に参加した。

     その他のニュース

プフォルツハイムの共同住宅で火災 4人が死亡

ドイツでは夜間、外国人も住む住宅3軒が重大な火災になったと報
告されている。バーデン・ヴュルテンベルク州のプフォルツハイム
の屋根を支える骨組みが火災となり、4人が死亡、4人が負傷した。
この建物の中には、主として外国人が住んでいた。北ヘッセンのグ
ーデンスベルクでは、木骨家屋が火災を起こし、12人が負傷した。
この建物には、主としてブルガリア人とポーランド人の労働者とそ
の家族が住んでいた。警察はこの2つの事件では、外国人を敵視す
る背景があるとの証拠を得てはいない。バーデン・ヴュルテンベル
ク州のレムゼクでは、空き家となった宿屋が、放火された。これは
亡命者の宿泊所の隣にある、この宿泊所には複数の移民が滞在して
いる。負傷者は出なかった。この家は空き家であった。ここでは警
察が、外国人を敵視する犯行である証拠を調査している。

外相は近東の安全確保の体制を作り直すように勧告

近東での紛争が多発しているため、ドイツ外相シュタインマイアー
は、この地域の各国に対して、合同で安全確保の体制を作り出すよ
うに呼びかけた。ヨーロッパ安全協力機構OSZEの地中海会議がヨル
ダンで開かれ、話し合いを通じて、新たな信頼感を醸成し、かなり
深くなっている部分もある溝を克服するように、とシュタインマイ
アーは促した。同機構が冷戦から得たよい経験は、近東には「青写
真」にはなり得ないが、この地域は、より安全を確保するために、
共通の原則と手続きを必要としており、これは「小さな対策の政
策」を通じてのみ達成できる、と述べた。ドイツは1月1日から、同
機構の議長を1年間務める。この組織には57カ国が属している。エ
ジプト、イスラエルなどの複数の地中海諸国は、数十年前から協力
国であり、ヨルダンも1998年から協力国となっている。

カナダで政権交代 トルドーは変化を約束

カナダの国会議員選挙で、自由党が明確な勝利を収めたことを受
け、次期新首相トルドーは、同国に「正真正銘の変化」をもたらす
と約束した。43歳の彼は、カナダ東部の大都市モントリオールで支
持者を前に、「私はすべてのカナダ人の首相になるつもりだ」と述
べた。ほぼ10年にわたって首相を務めたハーパーは、敗北を受けて
保守党の党首を辞任した。同党がこれを発表した。56歳のハーパー
、国会議員には留まる。彼は自分の選挙区カルガリーで、トルド
ーにお祝いの言葉を述べた。予想によれば、トルドーの自由党は
185地区で勝利ないしは優位に立っている。国会で絶対多数を獲得
するには、170議席が必要である。保守党はおよそ97議席に後退し
た。トルドーは、1968年から84年にかけて首相として同国の運命を
握ったピエール トルドーの息子である。




10月21日(水)

「難民数万人がシリアからトルコに向かっている」との報道

ロシアの空爆とシリア政府の地上軍の攻勢の結果、数千人の新たな
難民が、トルコにやって来る見通しである。「ヒュリエット」紙
は、「在シリア トルクメン人評議会」議長アブドゥラフマン ム
スタファの言葉として、およそ5万人がアレッポ周辺から、トルコ
に向かっている」と報じた。シリア軍とその同盟軍は、ロシアの空
からの支援を受けて、数日前から、アレッポの南の反乱勢力のいる
地帯に、大規模な攻撃を開始していた。トルコは、シリアからだけ
で、およそ220万人の難民を受け入れた。

     その他のニュース

ユンケルはバルカン難民臨時首脳会談を召集

EU委員会議長ユンケルは、難民危機が続く中、ヨーロッパのいくつ
かの国の大統領と首相を、日曜日の首脳会談に向けて、ブリュッセ
ルに招待する。この会談では、西バルカン経路が議題となる、とEU
委員会はブリュッセルで発表した。さらにドイツ首相メルケル(キ
リスト教民主同盟)も出席の予定である、とのことである。EU加盟
国オーストリア、ブルガリア、クロアチア、ギリシア、ハンガリ
ー、ルーマニア、スロヴェニアの大統領と首相も前枯れている。ド
イツに取って最重要EU加盟国フランスは、代表を送らない。同意委
員会は、ただちに実施可能な結論に、各国が協力して到達するよう
努力している。クロアチアとスロヴェニアは現在、数千人が押し寄
せる事態に直面している。スロヴェニアは火曜夜に、国境に軍を投
入する、との決定を下していた。ギリシアでは、今なお多くの難民
がトルコから到着している。

国防相は連邦軍が国外追放で役割を果たす可能性を否定せず

連邦国防相フォン デア ライエン(キリスト教民主同盟)は、亡
命か拒否された人々を国外追放するのに、国防軍が参加すること
は、原則的には考え得ると見ている。彼女はベルリンで、「(輸送
機)トランスアルの利用も、もちろん除外されない」が、これが実
施されるのは、すべての民間の輸送能力も利用され、国防軍の優先
的な活動が損なわれない場合である、と述べた。フォン デア ラ
イエンは、これで「ビルト」紙の報道に対処したことになる。同紙
の報道によれば、連邦政府は、トランスアル型機と連邦軍の操縦士
を今後投入し、入国を拒否された亡命希望者を、より迅速に国外追
放する計画である。政府広報ザイベルトはベルリンで、民間機の利
用が優先であることに変わりはなく、民間の能力では、十分な数を
確保できない場合に、連邦軍が動員されることがあり得る、と述べ
た。

EU委員会はオランダとルクセンブルクの租税取引は違法と判断

EU委員会によれば、オランダとルクセンブルクは、多国籍企業に違
法に税制を優遇している。オランダの喫茶店網スターバックスと、
ルクセンブルクの自動車製造会社フィアットの資金面での子会社
は、それぞれ2千万ないしは3千万オイロを、追加で支払わなければ
ならない、とブリュッセルの当局は決断を下した。EU委員会によれ
ば、支払期限の来る追徴金のはっきりした額は、当局が調査中であ
る。この2件では、いわゆる税制仮回答が問題となっている。当局
は事前に企業に対して、予想される租税額について情報を伝える。
これ自体は違法ではないが、これだけで利益を与えていた。EU競争
委員ヴェスタエアーは、「極めて複雑な規則」があり、そのため
「同じ企業集団の内部のある企業から他の企業に利益が移されてい
た」と述べた。このような規則は、適切な税を支払っている他の企
業を冷遇することになる、と彼女は述べた。フィアット社の場合は
2012年から、スターバックス社の場合は2008年からこの規則が適用
されている。




10月22日(木)

VW社幹部はディーゼル車問題を2014年に認知との報道

ある報道によれば、フォルクスヴァーゲン社の幹部経営陣は、いく
つかの型のディーゼル車の排気ガスの値の問題を、早期に知ってい
た。「経営者雑誌」が、会議の議事録を引用して伝えているところ
では、世界を代表する商標フォルクスヴァーゲン社の当時の幹部
は、2014年春には既にこの問題を知っていた。その後自認した同社
の社長マルティン ヴィンターコルンの指揮下で、米国環境局EPA
の書簡について言及されていた、とのことである。EPAは今年9月
に、世界的なこの排気ガス事件を明らかにしていた。フォルクスヴ
ァーゲン社は、この報道について何も表明しようとしなかった、起
これより前には、今まで予想されていたよりも、かなり多くの自動
車が、今回のディーゼル車事件の影響を受ける可能性があることが
明らかになっていた。
同社は1ヶ月ほど前、数百万台のディーゼル車の排気ガスの値を、
操作していたことを認めていた。

     その他のニュース

ハンガリーは難民の強制送還用の特別列車を検討

ハンガリーは、入国を拒否された亡命希望者を、西ヨーロッパから
ギリシアおよびトルコに運ぶために、特別列車を仕立てる方針であ
る。セルビア内相ステファノヴィチとの会談後に、ハンガリー内相
ピンターがこれを発表した、とハンガリー国営MTI通信が報じてい
る。前日にはハンガリー政府広報は、同国は拒否された亡命希望者
を西ヨーロッパから退去させるのに協力する、と発表していた。隣
国スロヴェニアでは、難民危機が激しさを増している。24時間で、
12,600人以上が、国境を越えてやってきた、とスロヴェニア警察は
発表した。これは同国での危機で、9月に急激に増加したハンガリ
ーへの難民の数さえ上回る新記録である。

警察はバイエルン州の右翼急進派組織を一掃する

警察と検察は、フランケン地方のある右翼急進派組織に踏みこみ、
襲撃を阻止した模様である。内相ヘルマンが、バイエルン ラジオ
にこれを確認し、組織に属するもの3人を逮捕した。この報道によ
れば、彼らは東ヨーロッパ製の花火の玉をキロ単位で調達したが、
花火製造所は警察の捜査を受けた。この捜査には、90人ほどの警官
が参加し、その後銃器も押収された。休診右派組織の代表は、バン
ベルクで10月31日に、「亡命の悪用に反対して」デモを計画してい
た。一方連邦刑事局は、外国人を敵視する犯罪が増加する可能性が
ある、と警告している。「南ドイツ新聞」、放送局NDRおよびWDRの
情報では、連邦刑事局は、難民宿泊施設の運営者と政治家標的にな
る可能性がある、と懸念している。

ネタニヤフ「アッバスは暴力を教唆している」

イスラエル首相ネタニヤフは、米国外相ケリーとベルリンで会談
し、急進派イスラーム教徒のハマースと、パレスチナ当局が、暴力
を教唆している、と改めて非難した。さらに、パレスチナ大統領ア
ッバスは、「イスラエルに関する噂」を拡散させるのを止めなけれ
ばならない、とも語った。ネタニヤフは、異なる内容の主張がある
中、ユダヤ人にとってもイスラーム教徒にとっても神聖な神殿の丘
の利用規則を、変えることはない、と強調した。ケリーは対立する
両者に、「あらゆる扇動」を止めるように、と要請していた。ドイ
ツ外相シュタインマイアーも、イスラエル人とパレスチナ人に対し
て、慎重になるよう呼びかけた。彼はEU外務委員モゲリーニとベル
リンで会談した後、現在の情勢は、「大きな懸念」を生むきっかけ
である、と述べた。モゲリーニは、「現地の情勢と言葉遣いを和ら
げること」が重要である、と表明した。




10月23日(金)

連立政権は難民「通過地帯」に原則的合意

亡命先を探す人々を、より早期に国外退去するために、キリスト教
民主、社会同盟と社会民主党の連立政権は、ドイツの国境に中央収
容施設を建設することで、原則的合意に達した。詳細はまだ不明で
ある、と連邦内務大臣トーマス デ メズィエールは発表した。当
初は、ドイツへの入国に関する決定の前に、州の国境の所にあるい
わゆる通過地域で、1週間ほど滞在し、亡命申請を迅速手続きで検
討し、拒絶された場合には、国境の所から直接送り返すよう、構想
されている。
先週に決定された亡命権に関する法案は、土曜日にも発効する。こ
れにより、入国を拒否された亡命希望者が、その結果退去させる作
業が、より迅速にお粉環得るようになる。来週初めにも、承認され
ない亡命希望者がより大がかりに、送り返され始めることになる、
と30以上の日刊紙が属するドイツ新聞編集者網は報じている。

     その他のニュース

スロヴェニアは国境に柵を建設する可能性を否定せず

難民がヨーロッパに向けて押し寄せ、日々新記録を更新している。
水曜日までの5日間だけで、4万8千人がギリシアに到着し、今年初
めからでは、最大の人数である、と国際移住機関IOMは発表した。
それによれば、地中海を越えて、今年68万1千人がヨーロッパに避
難した。その多くは、いわゆるバルカン経路を通って、ドイツに向
けて北へ進んでいる。難民が大量に押し寄せているため、EUに加盟
する小国スロヴェニアは、インチ曜日にブリュッセルで開かれる危
機対策首脳会談で、同国に対して具体的な支援が約束されなけれ
ば、クロアチアとの国境に柵を建設する可能性がある、と首相ツェ
ラルは述べた。EUの隣国ハンガリーが、セルビアおよびクロアチア
との国境を、有刺鉄線で封鎖したことを受け、スロヴェニアは難民
危機の焦点となった。此の金曜日だけで、同国には1万4千人の難民
が到着した。彼らはクロアチアからやってきて、スロヴェニアを横
断してオーストリア、さらにドイツへ向かっている。

米国はシリアの飛行禁止地帯に関して考慮中

米国のオバマ政権は、シリアに飛行禁止地帯と、人道的回廊の設置
を検討している。これは、難民は大統領アサド政権の空爆を恐れる
ことなく、安全な場所に運ばれるようにするためのものである、と
「ニュー ヨーク タイムズ」紙は報じている。大統領府は、相変
わらず、この考えに懐疑的である。ただし難民の大波がヨーロッパ
に向かい、ロシアが紛争に空爆で介入しているため、オバマに対す
る圧力は強まっている、と同紙は書いている。先日米国外相ケリー
と民主党の大統領候補に名乗りを上げているヒラリー クリントン
は、シリアとトルコ、シリアとヨルダンの国境の所に、飛行禁止地
帯を作ることに理解を求めていた。この飛行禁止地帯は、国外に避
難先を求める逃亡を押さえる可能性がある、とも見られている。
2百万人以上のシリア難民を滞在させているトルコも、飛行禁止地
帯を設置するよう求めている。第二次湾岸戦争後、米国、英国、フ
ランスは、北イラクで飛行禁止地域を設置していた。この地域は、
1991年以降12年間に渡って、クルド人をフセイン政権から保護して
いた。

シリア戦争に関する諸外国の危機外交

米国外相ケリーとロシア外相ラヴロフは、オーストリアの首都ウィ
ーンで会談し、シリア内戦からの出口につながる糸口を探ってい
る。両国は、異なる目標を追っている。米国は、権力者アサドが、
自国民に対する暴力および、戦争法違反および人権侵害の原因とな
っており、そのため、できるだけ早く、アサドを解任することを求
めている。一方ロシアは、アサドの同盟者であり、彼を少なくとも
一時的には大統領職に留めておきたい。国連米国大使パワーは、ウ
ィーン会談の直前に、ここ数日間で、シリア人だけで8万5千人が国
外追放になったと指摘した。数週間前から、トルコ、ギリシア、西
バルカン経路を通って、数十万人の保護を求める人が、ドイツとス
ウェーデンを中心にヨーロッパを目指している。




10月24日(土)

バルカン諸国は国境を閉鎖すると威嚇

ドイツとオーストリアが難民に国境を閉鎖するのであれば、ブルガ
リア、セルビア、ルーマニアも、同じような措置をとる、と予告し
た。ブルガリア首相ボイコ ボリソフは、セルビアとルーマニアの
首相とソフィアで会談し、この3カ国の政府は、バルカン3カ国が移
民のための緩衝地帯となってしまうことを容認しない、と発表し
た。
バルカン経路を経由する難民の波は、この間も途切れることがな
い。金曜日夜には、1千3百人以上が封鎖のない国境を越えて、スロ
ヴェニアに辿りついた、とスロヴェニア当局は発表した。スロヴェ
ニアのSTA通信社は、前日から、国境の小村リゴンツェからだけ
で、1万3千人ほどが入国した。その他に4千人ほどの難民が、オー
ストリア国境のセンティリ郡で、さらに北へと旅を続けるのを待っ
ている。

     その他のニュース

近東の難民施設で物資の補給が不足

近東の難民受け入れ施設で、物資提供の情勢がさらに緊迫してい
る。国連食糧計画のドイツ部長ズュードホーフは、物資が不足して
いるため、被収容者は、生きていくのに必要な物資の半分しか手に
入れられないので、困窮する人々がヨーロッパに向かおうとするの
は、理解できる、と述べた。物資供給の情勢が悪化している原因
は、支援組織への支払いが滞っているためで、しばしば国は知りな
がらも、約束を守らない、とズュードホーフはドイツ ラジオに述
べた。

ラヴロフはシリア反乱勢力に支援を提供

ロシア外相ラヴロフによれば、ジハード主義者との戦いでは、空爆
を行なって、自由シリア軍の反乱勢力を支援する用意がロシアには
ある。RIAノヴォスティ通信は、彼の言葉を引用して、ロシアは米
国との間で、反テロ戦争で密接な協力にむけて努力している、と伝
えた。ラヴロフは、シリア紛争の政治的解決のためには、国会議員
および大統領の選挙が不可欠である、と説明した。西側は、ロシア
がシリアに軍事的に関与して、特に大統領アサドを支援している、
と避難した。ロシアの絨毯爆撃は、テロ組織「イスラーム教国」と
むしろ穏健で、シリア政府と戦っている反乱勢力を狙っている、と
のことである。

「ホーゲザ」は抗告に失敗

日曜日に予定されていた「ホーゲザ」の集会は、ケルン中央駅では
なく、ライン川右岸のドイツ駅でのみ許可される。ミュンスター上
級行政裁判所は、集会届けの抗告を退けた。この決定は取り消すこ
とができない。警察およびケルン行政裁判所は、彼らが求めている
場所では安全に集会を行うためには、十分な場所がない、と判断し
たが、同裁判所の裁判官たちは、この判断に従った。昨年10月に
は、ケルンで組織「ホーゲザ(サラフィストに反対するフーリガ
ン)」のデモで、市街戦と暴動が起きていた。




10月25日(日)

EU加盟国はバルカンの国境防護を拡大する方針

複数のEU加盟国とEU委員会は、バルカンにあるEUと外部の境界の防
護を強化する方針である。これは、既に公表されているいわゆるバ
ルカン経路に関する首脳会談の最終宣言案から、日曜日にブリュッ
セルで明らかになった。それによれば、EUの国境防護局フロンテク
スが、ギリシアとその隣国トルコ、マケドニア、アルバニアとの境
界をよりうまく防護することになっている。ロイター通信に示され
た案の中では、他のEU加盟国の警官4百人が追加派遣される、との
内容が含まれている。さらに、アフガニスタン人、イラク人、その
他のアジア人は、滞在権を持たなければ、より早急に国外退去され
ることになっている。午後には、ドイツ首相アンゲラ メルケルを
含め、ヨーロッパの約10カ国の首相および大統領が、EU委員会の招
聘を受けて、難民流入の経路上での混乱を終わらせるにはどのよう
にすればよいか、協議をする。

     その他のニュース

アルゼンチン人は大統領キルチネルの後継者を決める

アルゼンチンでは、大統領選挙が始まった。大統領クリスティナ 
キルチネルの後継者として有力なのは、与党の候補シオリであると
見られている。ブエノス アイレス州知事である彼は、左派の自由
主義政治を継続する、と見られている。この政策は、ネストルおよ
びクリスティナ キルチネルが2003年以来、大統領職にあって継続
して追及していたものである。シオリの最大の対立候補は、中道右
派立候補で首都ブエノス アイレス市長マクリである。第1回投票
では、どの候補者も必要な過半数を獲得できない、と予想されてい
る。その場合決定は、11月22日の第2回投票で下される。一方グア
テマラでは、有権者750万人が決選投票で新大統領を決める。選挙
には右派保守派の喜劇役者モラレスと、社会民主党所属で、元大統
領夫人サンドラ トーレスが立候補している。ハイチでも大統領選
挙が実施される。アメリカ大陸の最貧国である同国では、候補者が
54人立っており、野党の候補者セレスティンと政府候補モイセが有
力候補である。

タンザニアとコートジボワールで大統領選挙

アフリカの2カ国で、新大統領が選ばれる。コートジボワールで
は、現職のウワタラが優位に立って投票が始まる。これは、3千人
以上が死亡した5年前の内戦から、西アフリカの同国で初めての選
挙である。この時は権力者バグボが、自分がウワタラに敗北したこ
とを認めなかった。タンザニアは、大統領選挙の結果がぎりぎり出
される予定である。東アフリカの同国が50年ほど前に独立してから
初めて、野党の候補者ロワッサが、現実に大統領に当選する好機を
迎えている。与党を代表して、今まで建設大臣を務めていたマグフ
リが立候補している。現職キクウェテは、2機大統領を務めたた
め、これ以上立候補できない。

ポロシェンコ「マリウポリ選挙中止は破局」

ウクライナ大統領ポロシェンコは、東部の港町マリウポリの地方選
挙の中止は、破局であると批判した。ポロシェンコは、調査を要求
し、早急に新たな選挙日程を設定するよう、国会に命じた。投票用
紙に誤りがあったため、マリウポリの投票所は、クラスノアルミー
スク市同様、閉鎖されたままとなった。東ウクライナの両市は、政
府軍の支配下にある。親ロシア反乱勢力が支配している地域は、日
曜日にはウクライナ地方議会選挙が実施されたなかった。合わせて
3千万人の市民が投票するよう呼びかけられ、諸外国からの選挙監
視団1千5百人が現地にいる。ポロシェンコにとって、今回の投票は
試金石である。分離独立派のと紛争が続いているため、ポロシェン
コを支持する票の数は、大きく減少したためである。




今日のニュースへ

過去のニュース(目次)へ inserted by FC2 system