3月13日〜3月19日のニュース

3月13日

EUはIMF総裁候補にドイツ人のホルスト ケーラーを選出した。15ヶ国のEUの
蔵相による決定は全員一致であった。ドイツ蔵相ハンス アイヒェルの発表では、
首相ゲアハルト シュレーダーとEU委員会議長のアントニオ グテレスはアメリ
カ大統領クリントンに会議の結果、電話をしたいとしている。アメリカ側からは、
ケーラー候補に対して賛成、反対と言う決定の返事はない、とのことである。
最初の候補ドイツ財務省事務次官のカイオ コッホ・ヴェーザーはアメリカの反対
にあって、当選できなかった。
ケーラーは57才で、東ヨーロッパの市場経済の発展を援助する使命を持つ、ロン
ドンの東ヨーロッパ銀行の総裁である。

     その他のニュース
・コンピュータチップ製造業者インフィネオン社の株が株式市場に
華々しく上場されたが、購入希望者はとても多く、その希望を満た
すことができなかった。
・アメリカのGMとイタリアのフィアットの提携が成立し、新しい巨
大自動車メーカーが誕生した。
・非EUの外国人コンピュータ技術者2万人までに対しドイツは迅速
に就労許可を発行し、情報産業での人材不足を補うべきだ、とシュ
レーダー首相は発言。


3月14日

ドイツ国防委員クレア マリエンフェルトと国防大臣ルドルフ シャルピングは国
防軍の状況に関し異なる見解を持っている。最新の年次報告にマリエンフェルト女
史は、急激な人員削減により兵士は動揺し、また士気も下がっており、そのほかに
も上官に基本的な権利が相変わらず侵害されている疑いもある、と書いている。そ
れに対しシャルピングは部隊長会議の席で、兵士の士気と作戦実行の意志に非常に
いい印象を持っていると語った。しかし彼は装備と資材が不足していることは認め
た。またドイツ東部と西部では兵士の給料が異なっているのも、あらためなければ
ならない点だと語った。

     その他のニュース
・IMF総裁候補のケーラーは、日米のほかに、第三世界からの支持
も取りつけたいと語った。
・ドイツの東西で戦争で身体に傷害を負った人の年金に格差がある
のは違憲であり、東部でも西部と同じ額に引き上げるようにとの判
決が憲法裁判所から出された。
・外国人のコンピュータ技術者にグリーンカードを発行するという
政府の方針に労働組合は疑念を持っている。
・BMWはローヴァー社の子会社での生産を大幅に縮小する意向。昨
年一年だけで約25億マルクの損失がでたため。


3月15日

ドイツ政府は年金改革案について野党と更なる妥協を行う予定である。合意を求め
て行われた会談再開後に、労働大臣ヴァルター リースターは、今年の年末までに
はすべて問題に政治的決着が見いだせると自信をのぞかせている。彼は、政府と野
党がこの問題の討議に入ったことを事態の打開と見なしている。会談の中心の議題
として、就業不能および生産不能年金の問題が取り上げられた。野党側からも同調
の動きがでた。
4月も年金問題に関し合意を取りつける会談は引き続き行われる予定である。

就業不能 病気などで健常者の半分以下の仕事しかできない状態
(「新コンサイス独和辞典」三省堂)
 
     その他のニュース
・英政府はローヴァー社の子会社を売却するというBMWの方針を転
換させるべく、働きかける意向。
・もとキリスト教民主同盟のコール党首の新たな資金集めも社会民
主党の意向で、連邦議会の究明委員会の議題に上ることになる。
・ノルトライン・ヴェストファーレン州首相クレメントはいわゆる
飛行機疑惑の究明委員会を前に証言した。彼はあらためて州政府の
メンバーである社会民主党党員が西ドイツ州立銀行のチャーター機
を利用したことを否定した。


3月16日

ローヴァー社がかつてない大赤字を出し、BMWは緊急ブレーキを踏んだ。同社は英
国の資本金準備会社アルケミーにこの長い歴史を持つローヴァー社を譲渡する予定
である。しかしBMWは成功した2つのブランド、ミニとランドローヴァーだけは保
有しつづける意向である。ランドローヴァーも売却されるとの非公式報道もある。
同時に同社は新しい生産計画と、中型車以下の新しい製品のラインナップを発表し
た。この方針転換に反対した3人の首脳は辞職せざるをえなかった。BMWの株価
は2.4パーセント上昇した。

     その他のニュース
・ヨーロッパ中央銀行はインフレを懸念して、6週間で2度目の金
利値上げを行った。
・キリスト教民主同盟の不正献金の出所はまだ明らかになっていな
い。連邦議会は3月23日に再びヴァイラオホに出頭を命じた。
・キリスト教民主同盟党首の座には、同党総書記のアンゲラ メル
ケルが有力視される。月曜日の連邦同党の幹部会で、彼女は同党の
最大の州組織ノルトライン・ヴェストファーレン州の支持も得た。


3月17日

同盟90・緑の党の党大会の開幕にあたって、党首脳のアンティエ ラトケは、
党員に対して原子力発電の廃止を確実なものにするよう訴えた。会議は「原子力
産業の運命」をテーマとするものになると、カールスルーエで開かれている3日
間の会期の党大会の冒頭で、彼女は語った。連邦議会の緑の党議員団長ケルステ
ィン ミュラーはキリスト教民主同盟の不正献金疑惑の件で元首相ヘルムート 
コールを厳しく批判し、コールは悪名高い法律違反者で、恥知らずなほど精力的
に政治を行ってきたと語った。金曜日にも党大会ではトルコとアラブ首長国連邦
に対する戦車の輸出問題を討議する予定である。社会民主党と緑の党の連立政権
が試みている原子力発電廃止と、緑の党改革が、土曜日の議題の中心になること
になっている。

     ひとこと
「恥知らずなほど精力的に」としたところは、単語の意味だけ拾う
と「不法な大きなエネルギーを使って」になります。「精力的にひ
どいことをした」と「とんでもないエネルギー(原子力)を使った」
の意味をかけて発言したようです。

     その他のニュース
・トルコ政府はドイツのレオポルド2型戦車1000台の購入を決
定した、という報道をトルコ首相は否定した。
・連邦議会は1990年に自由選挙で行われた旧東ドイツ最後の国
民議会選挙を、この選挙の10周年にあたって、ドイツ再統一の重
要な事件であったと評価。
・キリスト教民主同盟の不正献金疑惑の鍵を握る二人の人物キリス
ト教民主同盟の元財政委員ヴァルター ライスラー キープと武器
商人カール ハインツ シュライバーを、アウクスブルク検察は起
訴した。


3月18日

緑の党の全国党大会は、土曜日にカールスルーエで環境省大臣ユルゲン トリテ
ィンの、脱原子力という党幹部の方針を指示した。約750人の代表者は、ドイ
ツの19基の原子力発電所の運転年限を最長30年とするという目標に賛成した。
反対票はわずかであった。電力会社との合意交渉が速やかに締結されねばならな
い。同時に、交渉がまとまらなかった場合に備えて、エネルギー業界の意向に反
しても、原子力発電からの撤退を可能にする立法手続きも準備されなければなら
ない。それに先立ち、緑の党はトルコへの戦車の輸出反対の明確な声明を出した。

     その他のニュース
・元首相コールは6月29日に連邦議会のキリスト教民主同盟の不
正献金疑惑を解明する委員会に召喚される。
・蔵相ミュラーは好景気により、失業者が年末までにおよそ30万
人減少することを期待。
・フォード社はBMWから売却された部門から大きな収益を上げられ
ると発表。
・台湾総統選で陳水扁(Chen Shui-Bian)が勝利。


3月19日

封書と葉書の料金が今年中にそれぞれ10ペニヒ値上げされる可能性がでてきた。
ドイツ郵便の報道官は、予想しなかった支出が10億マルクの単位で増加したため、
それを補う措置を考慮していることを認めた。EU法廷の判断では、かつての国営
企業は1991年まで遡ってパート労働者に企業年金を支払わなければならない。
郵便料金値上げの最終決定は補償省が握っている。
経済大臣ヴェルナー ミュラーは郵便料金値上げに反対している。担当大臣として
郵便料金を現在の水準に維持するためにあらゆる手段を講ずるつもりである、と語
った。

     その他のニュース
・現総書記メルケルのキリスト教民主同盟の新党首就任は確実、と
同党の国会内の会派長メルツが発言。
・緑の党の党大会の終わりで、党の体制を簡素化する改革案だけが
可決された。幹部の数は一人増えて6人になるものの、評議委員は
30人から16人に減らされる。職に就いている人と代理人を別に
するという案は否決された。
・世界最大の見本市ハノーファー・メッセは開会式典に引き続いて
開幕した。


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