4月24日〜4月30日のドイツのニュース

4月24日

三人のドイツ人の観光客とその他少なくとも17人の観光客がマレーシアのシパダ
ン島で誘拐された。現地当局は、近くにいるフィリピンのイスラム過激派による犯
行ではないか、と推測している。誘拐グループのはっきりした目的や要求に関して
は今のところ解っていない。マレーシア政府消息筋によれば、誘拐された観光客は
怪我をしていない、とのことである。観光客は日曜日の夕方、ダイヴィングの楽園
として知られるボルネオの東側のこの島で襲われ、船でどこかに連れ去られた。三
人のドイツ人と数人の現地人の他に、フランス人、南アフリカ人、フィンランド人、
レバノン人が誘拐された。

     その他のニュース
・ドイツの失業者数は今後2年で50万人減る可能性があると連邦労
働施設の総裁が発表した。
・エアフルトのシナゴークが襲撃されて4日たって、警察は18才の
ゴータ出身の極右政党NPDのメンバーを容疑者として逮捕した。こ
の襲撃では重大な損害は発生しなかった。
・ベルリン、ハンブルク、ミュンヘン、ドルトムントのデモで今年
のイースターの平和行進は終わった。ベルリンでは数百人がドイツ
国防軍の外国への派兵に反対し、全世界での武器削減と核兵器廃絶
を訴えてデモをした。フランクフルト アム マインでは4つのデ
モのグループにあわせて370人が参加した。またシュトゥットガル
トでは150人がアメリカ軍のヨーロッパ司令センターへの入り口を
封鎖し、40人が逮捕された。


4月25日

次期イタリア首相ジュリアーノ アマートは火曜日に新政権の組織に関する話し合
いを行ない、成果をあげた。チャンピ大統領の報道官は、アマートは大統領に新政
府を作る準備だできたと語り、新内閣は25人の大臣からなり、その中には外務大
臣ランベルト ディーニの再任も含まれていると語った。今まで大蔵大臣をつとめ
ていたヴィンツェンツォ ヴィスコは会計担当になる予定である。

     その他のニュース
・マレーシアのリゾートシパダン島で観光客を誘拐事件が起こって
二日目の火曜日も、事件の証拠は見つからなかった。フィッシャー
外相はマレーシアに対し人質の生命と健康を守るためあらゆる努力
を行なうように呼びかけた。
・ガオク機関には、旧東ドイツ秘密警察が西側の重要な政治家を盗
聴した記録がまだ存在していることが判明した。フィッシャー外相
やシリー内務相、フランツ ヨーゼフ シュトラウスや、元首相コ
ールやブラント、シュミットの電話を盗聴した記録が含まれている
が、現首相シュレーダーのものは見つかっていない模様である。
・同盟90・緑の党は国会の今回の任期内で移民法の改正を求めてい
る。同党首脳のミュラーは新しい官庁を作り、そこが毎年受け入れ
る移民の数を決められるようにしたいと語った。またその法律は庇
護権を骨抜きにしない形で滞在権や後から移住する家族のことを規
定するものでなければならないと語った。社会民主党は移民政策は
まず労働団体に検討してもらうことを約束していた。


4月26日

ミュンヘン:ドイツ大蔵大臣ハンス アイヒェルは、ユーロは現在のどん底状態か
ら脱する、という見込みをたてている。彼は水曜日ミュンヘンで、15ヶ月前の通
貨統合以来ヨーロッパ経済の状態が明確に改善しているのを、ユーロの交換レート
は反映することになるだろう、と語った。ヨーロッパは来年には経済を牽引する力
を得て、アメリカを引き離すことになるだろうとも語った。首相ゲアハルト シュ
レーダーも現在の弱いユーロを心配していないと以前発言し、経済指標からみると
通貨統合は非常にいい結果をもたらしていると語った。ユーロは水曜日に最低記録
を更新し92セント以下まで下がった。

     その他のニュース
・社会民主党議長代理クレメントは、同党は「公正」の概念を新た
に定義しなおさなければならない、と語った。党綱領の改革をめぐ
る議論で、「公正」は社民党の政策の中枢をなすものであるが、国
の行動は公正さを保障するための前提条件を作り出し、そのために
援助をすることはできるのに対し、個人の自己責任による行動(か
ら生じた損失)の補償をすることはできない、と彼は語った。党の
新綱領の作成には期限が定められていないが、1989年に決められた
党綱領の代わりになるものである。
・印刷業界の賃金交渉で労使の歩み寄りは見られない。労働組合側
は、賃金表の二段階の改定で、今年は2.2パーセント、来年は2.5パ
ーセントの賃上げを求めているのに対し、使用者側は賃金凍結を提
案している。
・マレーシアのシパダン島での誘拐事件で、犯人はおよそ150万マ
ルクの解決金を要求し、さらに政治的な要求も出している模様であ
る。人質はイスラム過激派集団アブ サヤフの元にいることがよう
やく突き止められた。


4月27日

ベルリン:キリスト教民主同盟に対する政治献金は、コール政権下での決定には何
の影響も与えなかった、ともと同党会計責任者ヴァルター ライスラー キープは
語った。彼は連邦議会キリスト教民主同盟の不正献金疑惑究明委員会で、同党の政
権がお金に左右された事例は知らないと語った。また、自分は同党の隠し口座につ
いては何も知らなかったと強調した。社会民主党と緑の党は、彼が真相の全貌を語
っているかどうかを疑っており、次回の尋問で彼に宣誓供述をさせるかどうか検討
している。

     その他のニュース
・首相シュレーダーはポーランド西部のチェルニエヴォで、ドイツ
はポーランドのEU加盟の後押しをすると語った。
・ヨーロッパ中央銀行は0.25パーセント金利を上げたが、ユーロの
値下がりには歯止めをかけられなかった。同行は今年三度目の金利
値上げを行なって、インフレの懸念に対処しようとした。基準金利
は3.75パーセントになった。同時にユーロは最安値をつけた。同行
は対ドル0.9163ユーロを基準交換レートとした。専門家はこのまま
金利がじりじり上がっていくのは好ましくないと見ているが、今回
の金利値上げに関してはプラスの影響をもたらすと判断している。
・ジンバブエでの暴力的な対立を背景として、アフリカ経済フォー
ラムの席上でアフリカ各国の政府に正義と法を維持するように要求
した。首相シュレーダーは暴力と専断がアフリカの発展を阻害して
いると発言した。開発援助省大臣のヴィークツォレック・ツォイル
は、このまま暴力がまん延するようなら、EUはジンバブエに対する
開発援助から手を引くことになる、と語った。


4月28日

ミュンヘン ロンドン:BMWはロンドンのベンチャー資本団体のアルケミーとの
交渉失敗をうけ、元ローヴァー社の社長ジョン タワーズ率いるシンジケート
「フェニックス」との交渉をする意向である。BMWの報道官は英国産業大臣ステ
ィーヴン バイアーズの発表が正しいと認めた。以前BMWはアルケミーとの交渉
は財政面の制約のためうまくいかなかったと発表していた。その発表によれば、障
害になったのは特に計画にあった解雇される社員に対する補償金の額であった。し
かしBMWは、新たに買い手が見つからなかった場合に備えて、ローヴァーの工場
の閉鎖も考えていた。

     その他のニュース
・フランスの発券銀行総裁トリシェに対して、リヨン信用銀行を倒
産直前にまで追い込んだ容疑で捜査手続きが取られた。彼はあやま
った情報を金融市場に流したのではないかと疑われている。リヨン
信用銀行は1999年まで国の管理下にあったが、1992年から94年の間
におよそ70億マルクの損失を出した。同行の再建のためフランスの
納税者は330億マルクを支払ったことになる。トリシェは1987年か
ら93年まで財務局の局長をつとめていた。フランス政府の要請で彼
は2002年にヨーロッパ中央銀行の総裁の職につく予定である。
・フィリピンの観光客を誘拐したグループは人質解放の条件として
政治的な要求をあげていなかった。
・イタリア新首相アマートはイタリア国会での信任投票を勝ちえた。
賛成319、反対298、棄権5であった。中道左派の連立政権に参加し
ている政党は投票直前まで、賛成票の取りまとめに努力した。アマ
ートはさらに、中道左派勢力が過半数を占める上院での信任を受け
なけれなならない。


4月29日

(マニラ)目撃者の証言によれば、南フィリピンで誘拐された観光客は以前より明
らかに衰弱している様子である。21人の人質のもとを訪れた報道関係者によれば、
彼らは歩くのがやっと、という程度である。フィリピン政府の交渉団は以前、人質
は健康であると発表していた。ドイツ大使館と他の国々の代表はドイツ人3人を含
む人質に、薬と食料品を渡すように努力している。南アフリカ人の人質の女性は国
連ラジオとの電話で、反乱分子に対する攻撃を行なうよう、フィリピン政府に働き
かけるように求めた。
誘拐犯はフィリピン南部の自治を要求している。警察発表では、少なくとも犯人の
うち数人がイスラム原理主義のメンバーである、とのことである。

     その他のニュース
・蔵相アイヒェルは、今年は歳入超過が予想されるが、そのお金を
負債の償還以外の目的で使用することはないと語った。首相シュレ
ーダーもこの言葉を支持している。与党社会民主党内部では、この
資金を納税者に還元すべきだという声が上がっている。経済界から
は減税の資金にすべきだ、との声が出ている。
・ロシア大統領プーチンは、露独間で美術品を相互に返還したおか
げで、友好的な空気が生まれてきた、と感じている。ザンクト ペ
テルスブルクのエカテリン宮殿のベルンシュタインの間の品々の返
還式で彼は、もし両国間の難問も落ち着いて建設的に取り組めば、
解決可能だと語った。この難問というのは第二次世界大戦中にソ連
軍が奪った美術品返還のための法律のことを示唆している。
・ジンバブエ大統領ムガベは新しい法律を制定して白人所有の農場
を国有化する意志を固めている。同国法務大臣は、土地の差し押さ
えと分配の仕方を決める法律の枠組みは10日で出来上がる見通しで
あると語っている。収容の際には、ムガベは緊急命令を発動するこ
とになるだろう。一方白人の農場主と黒人の土地所有者は土曜日に
会談を行なった。その席上この農場選挙で生じる損害が話し合われ
た。首都ハラレでは暴力行為が目撃されている。(大統領支持派の)
内戦の退役兵がデモをした後、野党MDCのメンバーを至る所で追い立
て、鞭で打っていた。


4月30日

(デュースブルク/オーバーハウゼン)ノルトライン・ヴェストファーレン州での
州議会選挙を2週間後5月14日に控えて社会民主党とキリスト教民主同盟はそれぞ
れ勝利の自信をのぞかせ、熱い選挙戦に突入した。キリスト教民主同盟のアンゲラ
 メルケルは選挙戦の開幕にあたってオーバーハウゼンでこの戦いは激しくなると
予想した。土曜日には首相で社会民主党の党首ゲアハルト シュレーダーがデュー
スブルクで支持者を前に、この最も多くの人口を抱えるこの州の選挙がドイツの政
治にとってきわめて重要であると強調した。

     その他のニュース
・ホーチミン市(旧サイゴン)ではヴェトナム戦争終了25年の式典
が、軍事パレードと民族音楽や舞踊のパレードで行われた。この共
産主義国家首脳は、重火器を装備した部隊と伝統的な衣装を身につ
けた労働者をパレードに参加させず、軍事色の薄いものになった。
・イスラエルとパレスティナは再び平和実現のための枠組みを取り
決めるための話し合いにのぞんでいる。10日間の予定のこの会談の
目的は今まで行われてきた様々な提案を継続する平和実現への取り
決めとして一つにまとめることである。
・フィリピンで誘拐された21人の観光客とホテルの従業員は1週間
経っても解放されるめどが立っていない。外務政務次官フォルマー
は誘拐グループの要求がはっきりせず、提案や譲歩も出来ない状態
だと語った。人質は弱ってきており、薬や飲み水、食料などを渡す
方法も今のところない、とのことである。


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