7月3日〜7月9日のオーストリアのニュース

7月3日

明日行なわれる連立協議委員会に緊張が高まっている。この委員会
には、「単なる自由党の一党員」であるイエルク ハイダーが属し
ている。ハイダーは今日、オーストリアに対する制裁問題に関しフ
ランスのかたくなな態度のため、EUの改革と東ヨーロッパへの拡大
が阻害されている、とEUに対して圧力をかけた。
今後行われるかもしれない制裁に関する国民投票の期日と文言につ
いても話し合いが行なわれた。もし制裁が10月のEU首脳会談が開か
れる前に解除されるようなことがあれば、その国民投票はオースト
リアにとって「貴重な得点」になるだろう、とヴェステンターラー
とクホールは語った。


7月4日

EUのオーストリア制裁が秋までに解除されない場合に備えて、国民
投票が行なわれることになった。日程は10月29日か11月26日が予定
されている。国民党と自由党の連立検討委員会がこれを決定した。
国民投票は6個の質問からなり、それぞれに「はい」か「いいえ」
で答えることになる。制裁解除に関する質問に加えて、特に将来の
EU像が問われる。この提案は国会に持ち込まれ7月11日に採決が行
なわれる予定である。


7月5日

社会民主党の国会議員シーダーは、オーストリア制裁に関する国民
投票は「豚ぐらいの値段の迷惑な行動だ(=無価値で馬鹿げたこと
だ)」と語った。賢人会議の設置は制裁解除に向けた前進であって、
受け入れられるし、不毛な強引な対処ではなく繊細な感覚が必要と
されているのだ、と語った。
緑の党の党首ファン デア ベレンは、国民投票を行なうとオース
トリアはよりいっそう孤立する、包囲されているという脅威がある
のは変わらないからだ、と語った。
自由党のウェステンターラーは、国民投票を行なって、EUの14ヶ国
に対し「制裁と挑発、引き伸ばし戦術を終わらせようという合図」
を送ることになるのだ、と語った。

     追加のニュース
国民党のクホールは、法律学者の憲法解釈に基づいて、国民投票の
文言を変えるかもしれないが、実質には変化はないと語った。
憲法学者マイアーは国民投票の第一問がまず誘導尋問になっている
と考えている。さらに6個の質問がすべて「はい」「いいえ」で答
えるものになっているので、国民の本当の意志を明らかにすること
になるとは限らない、と語った。同じような趣旨のことをウェーラ
ンも語っており(問題設定には疑問がある)、国際法学者のフィッ
シャーも同様の意見であり、大統領クレスティルは国民投票を阻止
することができる、と語っている。


7月6日

雑誌報道によれば、外務大臣ベニータ フェレーロ・ワルトナー
(国民党)はEU委員会の議長ロマーノ プロディに、EUによるオー
ストリア制裁が続いた場合に行なわれる国民投票問題に関して、書
簡を送った。その中で彼女は国民投票の決定に関して、政府ではな
くて国民党と自由党の連立政権の決定が主に関っている、と強調し
ているとのことである。
この手紙を外交官は「被害を最小限に食い止める」ためのものと解
釈している、とその雑誌は報道した。EU委員会は国民投票の実施に
厳しい態度を取ったからである。
手紙には、外務大臣は首相ウォルフガング シュッセル(国民党)
に同行して、7月12日に組閣以来初めてEU委員会を公式訪問する、
とも書かれている。


7月7日

国民議会(下院)は夏休み前の最後の会議で旧ナチの強制労働者に
対する補償を定めた法案を可決した。
60億シリング の賠償を行なう和解基金の法案は全員一致で承認さ
れた。それによってナチの強制労働者のうち存命中の15万人に賠償
金が支払われる。
その他に日照りによって被害を受けた農家に1億シリングが災害基
金から補償のために支払われることになった。


7月8日

ロシア大統領プーチンは強い国家と「抜本的」経済改革を行なうと
語った。
彼の演説は次のような内容であった。ロシアは他の国々と対立する
気持ちはなく、協調できるよう努力している。
経済改革は確実な成長を遂げるために必要である。最近の経済成長
を表わす数字はよいのにもかかわらず、ロシアの経済はあいかわら
ず弱い。したがって今後の国家の重要な役割は経済の自由を確保す
ることである。

     おまけのニュース
ケルンテン州首相ハイダーのイタリア アドリア海に面した保養地
ジェソロ訪問に反対する活動で、デモ隊と警察の間で衝突が起こっ
た。
独立派と旧共産党系のリフォンダツィオーネ、さらに労働組合の
CIGLのデモ隊は、市役所周辺の柵を壊そうとした。しかし彼らは警
察が棍棒を使ってその妨害をした。
ジェソロ議会はオーストリアとの友好のあかしにハイダーに町の鍵
を手渡した。


7月9日

オーストリア国民党の幹部クホールは計画されている国民投票との
関連で、憲法に矛盾する場合は、設問を変えることを考えている。
国民議会の本会議で火曜日にそれに取りかかる、と彼はテレヴィ番
組で語った。
拒否権を使うことに関して、オーストリアは個々の問題に関して拒
否権を行使することはないし、またそれはしてはならないことであ
り、(かつての英国のような)封鎖政策をとることもない、と彼は
語った。また政府は先月、対立路線や反ヨーロッパ路線を取らない
と語った、とも指摘した。


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