8月14日〜8月20日のドイツのニュース

8月14日

(モスクワ)バルト海で沈没したロシアの原子力潜水艦「クルスク」の救出作業が
始まった。救出用ハッチのところに特殊な機具を取り付け、酸素と電力を供給でき
るようになる、とロシア北部艦隊の係官が発表した。この潜水艦は116人乗りで、
およそ海面下100メートルで動けなったと発表されていた。ロシア海軍の推測によ
れば、「クルスク」は外国の潜水艦とバルト海で衝突し、沈没した。衝突した相手
の潜水艦も沈没した可能性もある、とのことである。

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・元首相コールはドイツ統一10周年記念の中央式典には出席しな
い。この式典では、主催者の意向で彼は演説することが認められて
いなかった。ドイツ統一記念日は彼にとって極めて重要なものなの
で、日々の政治的対立を持ち込むべきではない、と彼は語った。ま
た彼は、キリスト教民主同盟が検討している、彼の歴史的功績を同
党が行なう式典で評価しようという提案も間接的に拒否した。同党
総書記のポーレンツは、コールが出席する同党独自の式典を計画し
ている、と発表していたが、同党首脳が求めている国の式典をボイ
コットせよという要求は拒否している。
・UMTS携帯電話の周波数の競売で最高額がついた。これは競売に
参加している6社がつけたもので、780億マルクを越える額である。
最高額はテレコムの子会社T-Mobilがつけている。VIAGインター
コムは値段が高すぎることを理由に、小規模のライセンスに入札す
る、と発表した。専門家は、800〜1000億マルクの間での価格で
の落札を期待できる、と推測している。
・月曜日に4日間の会期でアメリカ民主党大会が始まった。副大統
領ゴアが正式に大統領候補として指名されるが、共和党候補のブッ
シュには完全に差をつけられている。大統領クリントンがルインス
キー問題についてもう一度言及するかどうかが注目されている。党
大会の一日目には死刑に対する抗議活動が取り上げられた。


8月15日

(モスクワ)海が荒れたために遅れていた、116人の乗組員を乗せたロシアの原子
力潜水艦クルスクの救助作業はようやく再開した。海軍報道官は、救出カプセルを
海底100メートル以上のところで座礁している潜水艦に横付けし、20人を収容す
る、と語った。ロシアの通信社の報道では、今までの救出活動は失敗した。ノルウ
ェー政府の情報では、潜水艦はすでに土曜日から座礁していた。ロシア海軍はこの
事故は日曜日に起こった、とくり返し伝えていた。海軍は、クルスク沈没の原因を
魚雷発射室での爆発か、第二次世界大戦中の水雷との接触であろう、と推測してい
る。

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・フランスと英国の航空運輸当局は、水曜日にコンコルドの商業利用
許可を取り消す、と発表した。エール フランスのコンコルドは事故
以来飛行禁止になっていた。英国航空はコンコルドを飛ばす唯一の航
空会社であったが、この決定を知らされて、火曜日にはすべてのコン
コルドの使用を中止していた。コンコルドは25年前から就航してお
り、先日のパリ郊外での墜落が始めての墜落であった。
・ドイツのUMTS携帯電話のライセンスの競売に参加している6社の
うち何社かは撤退する見込みである。VIAGインターコムに続いて、
e-plusとハッチソンの共同企業体も2つの周波数帯からなる小規模な
使用許可を取得する意向を固めた。入札総額は70億マルク上がって、
850億マルクを越えた。この額は蔵相アイヒェルが当初予想していた
額の4倍である。
・夏休み後の最初の会議で、ノルトライン・ヴェストファーレン州内
閣は極右と対抗する行動計画を早くも決定した。それにより、警察、
司法、憲法擁護措置、学校、青少年活動が結束することになる。その
外に同州政府は、行動が目立つネオナチを全国的に文書に登録するこ
とを求めていく。


8月16日

(モスクワ)沈没した原子力潜水艦クルスクに乗っていた116名の乗員の救出は時
間との戦いである。ロシアはようやく西側の支援を要請した。イギリスの特殊潜水
艦がノルウェーのトロンドハイムに到着した。そこから海路で運搬され、バレンツ
海に入るのは土曜日になる。ロシア大統領ウラジミール プーチンの要請を受けて、
ノルウェーは12人の深海潜水艦の専門家を派遣した。海が荒れていたため、これ
まで救助カプセルを潜水艦に取り付ける試みは数回失敗した。同艦は土曜日からバ
レンツ海のおよそ海底100メートルのところに座礁している。専門家の見積もりで
は、酸素はたかだか金曜日までしか持たない、とのことである。

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・今後3年間で政府は7500万マルクを追加して、主として青少年育
成事業を行い極右や外国人排斥との戦いに力を注ぐ意向である。内
閣は30以上の対策を盛り込んだ計画を決定した。その外にも極右の
暴力の犠牲者に対する基金も計画されており、政府はそれにすでに
1千万マルクを出すことを決めている。その外に、内閣は税制改革
を補完する法案を決めた。この法案が通れば、最高税額が2005年か
ら42%に下がり、企業を売却する際の特別措置が講じられることに
なる。
・UMTS携帯電話の使用許可の競売はまだ続いている。競売13日目の
終わりで、12周波数帯の購入に933億マルクがついた。大手2社
T-Mobilとマネスマンはそれぞれ3つの周波数帯を競り落とす方針を
変えていない。
・3週間の交渉中断の後、近東平和が実現への道を再び動き出した。
イスラエル首相バラクはヨルダン王アブドゥラ2世との会談のため
アンマンに向かった。イスラエル外相ベン・アミは水曜日にもパレ
スチナの交渉団長クレイとガザで会談していた。パレスチナ大統領
アラファトはインドネシアを訪問中で、9月13日に予定されていた、
パレスチナ国家建国の期日を再び検討させる、と語った。


8月17日

(マインツ)1千億マルク近くの記録的な値段をつけて、UMTS携帯電話のライセ
ンス争奪戦は終った。6つの企業、企業連合が全部で988億マルクをつけて、それ
ぞれが2つの周波数帯を落札した。その結果、新しいUMTS技術はT-Mobil、マネ
スマン、E-Plus・ハチソン、VIAGインターコム、モービルコム、スペイン・フィ
ンランド系の企業連合3-Gドイツに直接に提供される。この収益は国庫に入る。蔵
相ハンス アイヒェルは、この収益は全額負債の返還に使うことを確認した。

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・キリスト教民主同盟CDU党首アンゲラ メルケルと元首相コール
は数ヶ月にわたる対立をといて、和解の方向に選んだ。二人は10月
1日に行われるドイツ統一10周年記念の党大会で演説を行なう。コ
ールは10月3日の公式行事には参加しない、と今週初めに語ったが、
その時には党大会にも参加しない、という態度を示していた。
・ロシアのテレヴィの報道によれば、バレンツ海に沈んだロシアの
原子力潜水艦の船首の損傷はひどく、沈没時にすでに死者が発生し
ていた。また副首相クレバノフは、この潜水艦は衝突のあと沈没し
た可能性が高い、と語った。軍事専門雑誌、Jane's Defence
Weeklyは、NATO加盟国の軍艦が土曜日にクルスクの近くで2度
の戦闘の際のような爆発音を聞いた、と伝えている。一方英国の小
型潜水艦が事故現場に向かっている。
・ラトヴィア首都リガの中心部のデパートで2発の爆弾が破裂し、
少なくとも24人が怪我をし、そのうちの3人は重傷である。怪我人
の中にはラトヴィア刑事警察長官が含まれているマフィア同士の抗
争か、テロリストによる暗殺だと考えられている。マフィア同士の
抗争は昨年も数回あり、犠牲者が出ていた。


8月18日

(デュッセルドルフ)外国人に対する暴力が相変わらず減少しないのを受けて、連
邦と州は極右に対してより厳しく対処することを、デュッセルドルフの内務大臣の
会議で決めた。連邦内務大臣オットー シリーは極右との戦いをより強化するべく
連邦国境警備隊を投入する、と発表した。首相ゲアハルト シュレーダーも右翼の
暴力に対して、今後より厳しい措置をとると発表した。彼は、右翼過激派の追求は
国内の安全とドイツの威信をかけたものになる、と語った。

     その他のニュース
・UMTS携帯電話の使用許可の競売で1千億マルクという記録破りの
入札額がでたが、このお金の使い道をめぐる対立が深まっている。
蔵相アイヒェルは全額を連邦の負債の返却に使うことを確認し、州
の税収不足をうめるために使う、という州の要求を拒否し、税収不
足ではなく、税金があまることを予想している、と語った。
・沈没したロシアの原子力潜水艦クルスクの生存者を救うため、西
側の救助隊が現地に接近しているが、ロシアの救助隊は生存をほぼ
絶望視している。救助カプセルは過去24時間の間で10回救出に失敗
した。ロシア軍司令官によれば、月曜日以降は生存者がいることを
確認できない、と語った。
・独立国家共同体GUSの首脳たちは、潜水艦事故で沈んだ雰囲気の
首脳会談で、地域の統合をより密接に行なうことに賛成した。ウク
ライナのヤルタで行われている首脳会談で、ロシアのプーチン、カ
ザフスタンのナサルバエフ、タジキスタンのラヒモノフがテロに対
し徹底的に戦おうと呼びかけた。またプーチンはウクライナ大統領
クッチマと白ロシアのルカシェンコとも会談した。独立国家共同体
11ヶ国のうち、9ヶ国の代表が出席した。


8月19日

(モスクワ)原子力潜水艦クルスクがバレンツ海に沈没して一週間経ち、ロシア海
軍首脳部は、全乗組員118名が死亡した、判断している。ロシア北部艦隊司令官ミ
ハイル モッツアクはテレヴィで、生存可能と思われる期間はすぎた、最悪の事態
を想定しなければならない、大半の乗組員は恐らく先週土曜日の爆発の時に死亡し
たと思われる、と語った。
イギリスの救助潜水艦L-R-5は事故現場に到着した。司令官マイク フィニーは、
クルスクの生存者を救助できる望みを捨ててはいない、と語った。小型潜水艇の潜
航は土曜日にも予定されている。

     その他のニュース
・フィリピンで人質となっている人達は土曜日に解放されると考え
られていたが、誘拐犯の間での身代金の分配をめぐって対立が起こ
り、解放は中止になった。リビア側の情報によれば、イスラム過激
派アブ サヤフは軍の攻撃に備えて、人質を幾つかのグループに分
けて解放するつもりであった。リビアはここ数日交渉の中心的役割
を果たし、百万マルク単位の身代金も支払っていた。
・首相シュレーダーの見方によれば、連邦議会と連邦参議院は極右
政党ドイツ国家民主党NPDの禁止動議を連邦憲法裁判所に提案する
見込みである。連邦と州の作業班がこの方針を提案することがその
前提である。外相フィッシャーは、同党の禁止の条件が十分満たさ
れていれば、禁止が命じられねばならない、と語った。連邦議会議
長ティールゼは極右活動家により厳しい刑を求めている。土曜日に
ハンブルクでは約2千人が参加して、右翼の暴力に反対するデモが
行われた。日曜日に極右がハンブルクで集会を開くことを許可した
連邦憲法裁判所に対する怒りを彼らは表明していた。外国人に対す
る憎悪に対する抗議行動はロストックとアイゼナハでも行われた。
・フランクフルト空港の拡張工事に関する対立で、仮決定が出され
た。州代表と(キリスト教民主同盟CDUと自由民主党FDPの)ヘッセ
ン州の連立政府は州首相コッホの提案に賛成した。それによれば、
ケルスターバッハ森の北から西へ滑走路を作った場合が騒音の発生
を最低におさえ、使用する土地も最も少ない、という。ヘッセン州
緑の党はこの案も支持できないとしている。この滑走路新設で一時
間の発着回数が今までの80回から120回へと増加する。


8月20日

(モスクワ・オスロ)ノルウェーとイギリスの潜水艇は、ロシアの原子力潜水艦ク
ルスクの事故現場に待機しているが、大きな問題を抱えてほとんど解決に向かって
進んでいない。潜水夫は数時間作業をした後、バレンツ海に海面下100メートルに
沈んだ潜水艦の非常ハッチをあけることは出来ていない。作業船のクレーンを使っ
て非常ハッチを破り、潜水夫がその後船内に入るという計画を立てている、とロシ
ア副首相イリヤ ケルバノフは語った。ノルウェー軍は、クルスクの船尾のハッチ
は損傷を受けていないので、そこにイギリスの小型潜水艦L-R-5を横付けすること
ができる、と言っている。
ロシア首脳は118人の乗組員すべてが死亡しているという前提に立っている。しか
し大統領ウラジミール プーチンは、生存者がいる場合に備えて最後まで救助する
ため、最後までできるだけのことをやる、と強調した。

     その他のニュース
・リビア外相の話によれば、リビアはフィリピンのホーロ島での人
質解放の仲介を今後も行なう。土曜日の人質解放が失敗した後、リ
ビアは失敗の原因はフィリピン軍の活動にあるとして、仲介の努力
をやめると脅していた。ドイツ外務省はリビアからアジア全権ゾマ
ーを呼び戻し、最新情報を外相フィッシャーに報告させることにし
た。
・およそ150人のネオナチはハンブルクのアクセル・シュプリンガ
ー出版の本社前で、「ビルト」紙に対する抗議のデモを行なった。
約2千人の警官が彼らを包囲し、600人の左派のデモ隊との衝突を阻
止した。ハンブルクの裁判所はデモを禁止していたが、連邦憲法裁
判所は条件付きでデモを許可していた。また警察は週末に78人の極
右をテューリンゲンで仮逮捕した。その外の州でも9件の極右によ
る騒乱が報告されている。
・元首相コールがドイツ統一10周年記念式では演説をしないが、キ
リスト教民主同盟CDU内部では式典をめぐる確執はまだおさまって
いない。党首メルケルは10月3日の国の式典をボイコットするよう
に警告し、公式の式典を、社会民主党と緑の党に譲り渡してはなら
ない、と語った。一方同党内部には、コールの演説を国会で行なう
ように求める者もいる。連邦議会議長ティールゼは、党内の「取る
に足りない」争いが国民のお祝いの日の価値を損ねている、と批判
している。


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