1月8日〜14日のドイツのニュース

1月8日(月)

(ベルリン)ドイツに再び狂牛病の疑いのある症例が発生した。メクレンブルク・
フォアポメルン州産牛の第1回検査の結果要請の反応がでた、と同州農業省が発表
した。バイエルン州では疑われていた牛肉がBSEであることが判明した。BSE危機
の結果、牛肉の病気に対処する委員ヘッダ フォン ヴェーデルは購入者保護を行
なう役所の設置を考慮し始めた。また彼女が先頭に立って、専門家がBSE危機の中
で政治的な立場を越えて協力する道を模索する仕事を行なった。バイエルン州政府
は、今後ある牛がBSEにかかっていた場合、それと一緒に飼われている牛を全部殺
すのはやめる、と発表した。

     その他のニュース
・首相シュレーダーはNATOがウラン弾の使用を中止することに賛
成した。彼は、自軍の兵士を危険にさらしかねない武器の使用は間
違っている、と言った。その他彼はウラン弾による健康への危険を
完全に解明するよう求めた。国防軍部隊と緑の党の主要政治家は、
同種のミサイルの使用に強く反対している。一方NATOはウラン弾
が兵士の白血病の原因であるとの証拠はない、と強調している。ド
イツ国防相は、すべての白血病の症例を再検査し、その兵士がバル
カンに派遣されたかどうか解明する、と発表した。
・バイエルン州のクロイトで行なわれている非公開大会でキリスト
教社会同盟の連邦議会議員は、同党とキリスト教民主同盟の首相候
補について話し合いを行なった。キリスト教社会同盟の首脳グロス
は、同党主シュトイバーを候補に押すことで一致した、と語った。
一方彼は、キリスト教民主同盟党首メルケルを攻撃しているのでは
ないか、という推測を否定した。キリスト教民主同盟の首脳は、両
党は共同で2002年の首相候補を決める、と強調した。
・ノルトライン・ヴェストファーレン州のデュースブルクの発電所
で大きな爆発が起こった。周囲数百メートルの家多数で窓ガラスが
割れた。発電所の塔から爆発後、火事が発生した。今のところ怪我
人に関して信頼できる情報はない。また爆発原因も不明である。


1月9日(火)

(ベルリン)厚生大臣アンドレア フィッシャーと農業大臣カール・ハインツ フ
ンケの辞任後連邦政府は危機に立っている。二人はBSE問題に対処できなかったと
いう広い範囲からの非難の責任をとった。彼らはドイツでBSEの症例が初めて発見
されてから6週間で、新たな出発をするために道を譲ることにした。フィッシャー
は、政府はBSE問題を克服してくれるという信頼を国民から得られていないことを
認識しなければならない、と認めた。フンケは辞任の理由として様々な批判を受け
たことも挙げ、自分の農業政策が多数の支持を得られていないことに気づかざるを
えなかった、と語った。与党社会民主党と緑の党は辞任を受け入れ、購入者政策の
改革を行なうと発表した。野党キリスト教民主同盟、キリスト教社会同盟と自由民
主党は辞任は遅すぎた、と評した。

     その他のニュース
・今までのところドイツでは10件のBSEが確認されている。火曜日
にはバイエルン州とシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州でそれぞれ
1件のBSEの症例が報告されている。連邦政府とバイエルン州との
間では、BSEが発生したグループの他の牛をすべて殺すかどうかを
めぐって対立が起っている。連邦厚生省次官ヨルダンは、バイエル
ン州の独断は問題だ、予防上BSEが発見されたらすべての牛を殺す
べきだ、と語っている。
・連邦政府の発表によれば、昨年10月1日以降に生産されたBSEの
危険がある肉と肉製品は、市場から回収された、とのことである。
ボックヴュルストの製造過程でBSEの原因となりうる(骨からこそ
げとった)剥離肉が使用されていたことも付け加えて発表された。
その製品の名前と製造者は明らかにされていない。今のところ剥離
肉はBSEの原因となりうる物質を含んでいる可能性がある、とされ
ている。
・キリスト教社会同盟党首シュトイバーは、2002年連邦議会選挙
で首相候補となることを明確に拒否しなかった。キリスト教民主同
盟とキリスト教社会同盟の間にははっきり取り決めた予定表がある、
と同党非公開大会で彼は発言した。今年はまず連邦政府との論争を
行なわなければならず、首相候補を決めるのは来年である、と語っ
た。


1月10日(水)

(ベルリン)連邦政府は農業ロビイストに宣戦布告した。BSE危機の結果、政府は
農業政策を将来購入者の利益になるように転換していく方針である。首相ゲアハル
ト シュレーダーは緑の党の党首レナーテ キュナストを新農業大臣に、社会民主
党の社会福祉の専門家ウラ シュミットを新厚生大臣に指名した。キュナストは将
来は購買者保護も担当する予定である。シュレーダーによれば、政府の目標は消費
者の信頼の回復である。彼は工業化された農業から決別することを求め、抵抗があ
っても新しい方針を貫く、と語った。

     その他のニュース
・アメリカの情報によれば、ボスニアのセルビア共和国の元大統領
プラヴシッチ(70歳)は国連戦争犯罪裁判所に協力するため、オラ
ンダに到着した。その情報によれば、彼女は逮捕されておらず、ま
た戦争犯罪者として訴えられてもいない。
・フランス大統領シラクとの会談を行なったバイエルン州首相シュ
トイバーによれば、フランスはドイツと共にEU内での動物性飼料の
全面禁止を求めて闘っていく意志を固めた。動物性飼料はBSEの感
染源としては最も有力なものの一つと見られている。フランスでは
2000年に全部で162例のBSE感染が確認された。
・大蔵大臣アイヒェルが私的な目的で国防軍の飛行機を使用したこ
とに関して、ベルリン検察は捜査手続きに入るかどうか検討してい
る。彼に対しては8件の告発が行なわれている、と法務省は発表し
た。この検討には少なくとも10日間必要である。検察にはこの告発
を検討する義務がある。アイヒェルはこの告発を何度も否認してい
る。


1月11日(木)

(ベルリン)連邦政府と農民組合は今後の農業政策をめぐって議論を行なっている。
首相ゲアハルト シュレーダーは農民組合の政策は誤っていたと批判し、農家と購
入者の間で利害があまりに長いあいだ対立してきた、と語った。農業大臣に指名さ
れたレナーテ キューナストと購買者組合は、牛肉汚染のために購買者保護をより
強化するように求めた。ドイツ農民組合長ゲルト ゾンライトナーはこの批判を拒
絶し、今まで見つかった狂牛病の例は小規模農家で起っており、大規模農場では発
生していない、と語った。

     その他のニュース
・BSE危機に関連した非難をうけているにもかかわらず、キリスト
教社会同盟はバイエルン州厚生大臣としてシュタムを支持し続けて
いる。新聞報道によれば、彼女は農民組合の圧力を受け、動物性飼
料から危険性のある物質を排除することに反対する介入を行なった、
とのことである。社会民主党と緑の党は彼女の辞任を求めている。
シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州とヘッセン州では新たに3件の
BSEの疑いがある例が見つかった。
・緑の党の連邦議会議員団は非公開会議で、ウラン弾追放に乗り出
すことにした。ウラン弾を国際的に禁止する措置を求め、連邦議会
と連邦政府の共同提案が提出されることになった。また市民生活に
被害を及ぼさないように、コソヴォで使用されたウラン弾を収用し
ようという党幹部の要求も認められた。ウラン弾と接触のあった兵
士と市民を捜索することも決められた。
・ドイツの産業界は昨年1991年以降最も成長した。連邦統計庁の
情報では、目立って輸出が増え設備投資も増加したのがその原因で
ある。昨年の成長率は3.1%で、これは1999年の約2倍である。今
年の予測はユーロが値上がりして輸出にブレーキがかかっても、あ
いかわらず好調である、との予測が出されている。政府は2.75%の
増加を予想している、と蔵相アイヒェルは語った。


1月12日(金)

(ベルリン)連邦は今年の前半に4万頭程度の牛を買い取り、屠殺して焼却するこ
とにした。BSE危機のため肉が市場に出荷されるのを防ぐためである。連邦農業省
の発表では、この措置でEUの命令は変更されるとのことである。法律の専門家
は、BSEが一件見つかったら一緒に飼われている牛すべての屠殺を命じる文書を作
っていた。バイエルン州はいまのところこの命令を実行しない、と発表している。
ヘッセン州、ニーダーザクセン州、バイエルン州では農家の抗議が強まっている。
首相ゲアハルト シュレーダーは、高速道路でデモを行なうなどの法律に反する行
為を行なってうっぷん晴らしをしないように、と警告した。キリスト教民主同盟党
首アンゲラ メルケルはこの危機を解決するためには農家の協力が欠かせない、と
語った。

     その他のニュース
・緑の党の代表にクラウディア ロートが就任する。彼女は45歳で、
党内左派と目されており、連邦議会の人権委員会の議長をつとめて
いる。彼女は党内の全陣営から支持を受けている。連立相手の社会
民主党総書記ミュンテフェリングは、党代表の後任人事が迅速に行
なわれたのは連立政権の行動力を示すものだ、と語った。
・国防大臣シャルピングは費用の点から47箇所の駐屯地を今月末で
閉鎖する方針である。現在600以上の駐屯地の今後が検討されてお
り、決定にはその地域の経済力、失業者の状態、部隊の人員数、今
後の人員確保の可能性を考慮に入れる、とのことである。今のとこ
ろバーデン・ヴュルテンベルク州、ラインラント・プファルツ州、
ノルトライン・ヴェストファーレン州の駐屯地の閉鎖が主に検討さ
れている。
・ロシア国防相セルゲイエフはウラン弾の撤去をめぐる国際会議の
召集を要請した。この会議では専門家によってウラン弾の危険性に
ついて検討が行なわれることになっている。ドイツ国防省が委託し
た調査では、コソヴォに派遣されたドイツ兵でウラン弾の使用によ
って被害を受けたものは見つかっていない。


1月13日(土)

(ベルリン)ドイツでのBSE汚染はますます広がりを見せている。シュレースヴィ
ヒ・ホルシュタイン州で初めて狂牛病2例が同じグループの牛から発生していたこ
とが確認された。公式に発表されたBSEの発生件数はドイツ全土で13例になった。
バイエルン州ではおよそ2千人の農家が、BSEが一例でも発生した場合、一緒に飼
育している牛すべてを殺すという計画に、反対するデモを行なった。一方EUの購
買者保護委員のデイヴィッド バーンは、ドイツのBSE汚染はイギリスと同じ規模
に拡大するかもしれない、と警告を発した。

     その他のニュース
・社会民主党と緑の党が計画している年金改革案の最後の争点が来
週初めまでに解決する見通しがたった。これは住居用不動産も個人
老齢年金の一部と看做すというものである。また、7月までに社会
民主党と緑の党は新しい移民法案を提案することにしている。
・大蔵大臣アイヒェルは、対ドルでのユーロの値上がりで輸出が不
利になり、景気減速につながるかもしれないという見解に対して異
論を唱えた。ドイツの経済成長はヨーロッパ市場内部での成長が主
な要因で、これはユーロが強くなっても変わらない、と語った。ア
メリカの景気情勢と世界経済への影響は日本で行なわれるヨーロッ
パ・アジア蔵相会談の焦点になる。
・外務省はイランの改革派に対する長期間の拘留措置をうけ、駐テ
ヘラン大使を召喚した。テヘランの革命法廷は少なくとも7人のイ
ラン人に昨年ベルリンで開かれたハインリヒ ベル基金の会議に参
加した件で有罪判決を下した。ドイツ大使館の通訳は10年間の拘禁
を言い渡された。首相シュレーダーは今のところイラン訪問を計画
していない。イラン大統領ハタミのドイツ訪問が春に予定されてい
た。


1月14日(日)

(リスボン)ポルトガル大統領選挙で現職のジョルジェ サンパイオが第1回投票
で再選された。国営テレヴィ局の報道では、サンパイオは投票の54.7%を集め、
保守派の対立候補ホアキム フェレイラ ド アマラールは36.7%を獲得した。
ポルトガル大統領は基本的には国の代表であるが、法案に対する拒否権を行使し、
政治日程に干渉することができる。

     その他のニュース
・新しい情報によれば中米の地震で少なくとも230人の死者が発生
した模様。数百人が怪我をし、千人以上が行方不明である、とエル
 サルヴァドル当局は発表した。グアテマラでは少なくとも6人が
死亡した。この地震はリヒター・スカラで7.6の強さで土曜日中米
を襲った。ホンジュラス、ニカラグア、コスタ リカ、南メキシコ
で揺れを観測した。被害状況は完全には判明していない。ドイツを
含む外国からの支援措置が取られている。
・ベルリンで行なわれたイラン会議に参加した10名に対する重い判
決のため、ドイツとイランの関係は再び緊張している。駐ベルリン
イラン大使アシシは本国に召還された。外務次官イシンガーはイラ
ン司法の判断に対する政府の深い憂慮の念を伝える文書を外相フィ
ッシャーから託されている。首相シュレーダーは春に予定されてい
たイラン訪問を取り消した。連邦議会議長ティールゼは2月に予定
されていたテヘラン訪問は行なう、と発表した。
・狂牛病対策にドイツの40万頭の牛を殺す計画はまだ最終決定では
ない、と新農務大臣キューナストは発表した。今のところドイツで
は狂牛病は13例報告されており、疑いが持たれているのはバーデン
・ヴュルテンベルク州産の牛1件である。その他にオーストリアと
イタリアでも1例ずつ疑わしい例が報告されている。


今日のニュースへ

過去のニュース(目次)へ inserted by FC2 system