1月29日〜2月4日のドイツのニュース

1月29日(月)

(ベルリン)国防大臣ルドルフ シャルピングは2006年までの国防軍改革の中
で、10%の駐屯地を閉鎖する方針である。59箇所の駐屯地が廃止され、さらに40
箇所で大幅な人員削減が行なわれる。シャルピングは、自らの計画を社会福祉の面
で受け入れ可能で、配備地域のばらつきもないものである、と考えている。2004
年までに国防軍は現在の31万5千人から28万5千人に縮小されることになっている。
キリスト教民主同盟はシャルピングが約束を破り、透明性ということを誤解してい
ると非難した。バイエルン州政府は、同州が一方的に冷遇されている、と発言した。

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・野党キリスト教民主同盟党首メルケルは首相シュレーダーをポス
ターに使った問題に関する党内の対立は終わった、と宣言し、党首
脳部は再び協力する体制に戻る、と語った。彼女は党首脳会議後、
連邦政府との対決で「適度な攻撃」を行ない、党を通じて今後も行
動と広報を徹底して組織する、と語った。
・バイエルン州購入者大臣に就任する予定であったヘルマンは、突
然それを断念することになった。州首相官房はその理由として、現
在ミュンヘン工科大学学長であるヘルマンに対する租税訴訟を挙げ
た。新聞報道によれば、これは10万マルク単位の鑑定および講演報
酬に対する税が支払われていないことをめぐる訴訟である。
・購入者保護を議題に会議を行なっている各州の大臣は、BSE危機
に対処する連邦統一規定を定めるための措置に合意した。それによ
れば、将来的には羊と山羊を含めヨーロッパ全体で緊急検査を行う
よう求めていく。また、危険な物質の判定には修正が加えられる。
将来的には脊椎と頭部、タンは食卓から排除されることになる。ま
た1例でもBSEが発生した場合、当面は共に飼育されている牛すべ
てを殺すことになる。


1月30日(火)

(ベルリン)連邦政府はBSE危機のため今週中にもドイツ国内の40万頭に及ぶ肉
牛を殺すことを決定する模様である。購入者保護および農業大臣レナーテ キュー
ナストは、この牛がEU委員会が進めている計画の対象にならない可能性は極めて
低い、と語った。牛の買い上げと処分でEU圏内の牛肉市場の実質的な崩壊は避け
られることになりそうである。EU全体で150万頭の家畜が殺されることになる。
キューナストは以前特に牛の大規模殺害に対し道徳的な面から異議を唱えていた。
屠殺を特につよく推し進めていたのは農民組合の側であった。

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・ザクセン州首相ビーデンコプフは同州大蔵大臣ミルブラントを解
任した。解任の理由として、次回州議会選挙までの政策に関する意
見がかけ離れていることを挙げた。後任には州政府官房長官デ メ
ジエルが就任することになっている。ミルブラント(キリスト教民
主同盟)は今までビーデンコプフの後継者と目されてきた。同州同
党内には解任に批判的な人もいる。
・バイエルン州首相シュトイバーはキリスト教社会同盟州議会議員
ズィナーを新しい購買者保護大臣に任命した。ズィナーはこの職に
内定していたミュンヘン工科大学学長ヘアマンに代わって、新しく
作られたこの大臣に就任する。ヘアマンは税金問題で訴えられてい
るため、就任を断念すると発表していた。
・国防大臣シャルピングはロシア訪問中に、米国がミサイル迎撃シ
ステムを作る計画を立てていることにロシア政府同様不安を持って
いると述べた。この計画は財政と技術の面で変動する可能性がある
ので、米国政府との交渉する機会を利用しなければならないし、武
器を削減する国際的な枠組みを危機にされらしてはならない、と彼
は語った。ロシア外相イワノフは米国のこの計画を全面的に拒否し
た。


1月31日(水)

(ベルリン)ベルリン行政裁判所の判断によれば、キリスト教民主同盟は闇口座に
隠し資金があるにもかかわらず、1999年分として国からの政党補助金全額を要求
する権利を持つ。連邦議会議長ヴォルフガング ティールゼは同党に向けの国から
の補助金を1999年分4100万マルクを減額するよう求めるていたが、同裁判所は
この通知を却下した。判断理由として、報告書が単に形式的なものなのか、その内
容が完全に正しくなければならないかは、政党法からは読み取れない、と述べた。
同党はこの判断を歓迎している。ティールゼは上訴する方針である。
連邦キリスト教民主同盟はヘッセン州同党の隠し口座からの1800万マルクを報告
書に記載していなかった。

     その他のニュース
・首相シュレーダーと仏大統領シラクは非公式会談を行ない、両国
の関係を活性化させるべく努力することで合意した。ニースでのEU
首脳会談の時のような不協和音が生じないように、独仏の意見交換
をするのに先立ち、共通の構想で合意しておきたい、とシュレーダ
ーの外交顧問シュタイナーは強調した。独政府は仏政府と協力して、
EU拡大と組織の集中化を推し進める努力を行なっている。
・ドイツ政府は長い躊躇の末、EUの牛殺戮計画に参加することにな
った。ただし購買者保護大臣キューナストは、何頭の牛を殺すのか
については未定である、と語った。ドイツで今後数ヶ月で40万頭の
牛が殺されるとの推測もある。これは3週間後には始まり、費用は
3億7千万マルクと見積もられている。殺された牛にはBSE検査が行
なわれる。ブランデンブルク州でもBSEが確認され、今まで全部で
25例が見つかったことになる。
・バイエルン州法務省は養豚農家に違法な薬品を販売した事件の捜
査に手抜かりがあったことを認めた。同省大臣ヴァイスは、検事一
人を別の部署に左遷した、と発表した。この検事は、不正に薬品を
販売したニーダーバイエルンの獣医に対する訴訟手続きで必要な注
意を払わず、3年後ようやく訴えた、とのことである。


2月1日(木)

(ストラスブール)今後は毎年2回、フランスからドイツへ核廃棄物の輸送が行な
われることになった。ドイツ首相ゲアハルト シュレーダーとフランス首相リオネ
ール ジャスパンはアルザスで行なわれた会合で合意し、1ヶ月に渡る対立に終止
符を打った。ラ アーグのフランスの再処理施設からゴアレーベンへの第1回の核
のゴミの輸送は春に行なわれる予定である。ドイツ環境大臣ユルゲン トリティン
は緑の党党員にこの輸送に抗議しないように要請した。

     その他のニュース
・ノルトライン・ヴェストファーレン州とザクセン州は政府が決定
した40万頭の牛の殺戮に異議を唱えた。ノルトライン・ヴェストフ
ァーレン州環境大臣ヘーン(緑の党)とザクセン州厚生大臣ガイス
ラー(キリスト教民主同盟)は動物保護法に違反する可能性がある、
と発言した。バーデン・ヴュルテンベルク州でさらに1頭の牛にBSE
が確認されたことで、ドイツのBSEの発生件数は26となった。バイ
エルン州検察は養豚に違法な薬品を使用した疑いで33箇所の農場を
捜査した。
・連邦首相シュレーダーはコンピュータの外国人の専門家に対する
グリーンカード規定を他の仕事にも適用する方針である。この規定
を利用して5千人のコンピュータ技術者がドイツに来ている。連邦
労働施設長官ヤーゴダによれば、夏までにはさらに5千人の技術者
がやってくる見込みである。
・分断された町コソヴォスカ ミトロヴィッツァで国際平和部隊の
兵士とアルバニア系住民のデモ隊が暴力をともなう衝突を起こして
から4日経ち、さらに数人の怪我人がでた。独、仏、英のコソヴォ
平和維持部隊の兵士は催涙ガスと閃光弾を使って、投石を行なう人
々を解散させた。きっかけになったのは15歳の少年が自宅で手榴弾
の爆発で月曜日に死亡した事件である。この事件の責任はセルビア
人にある、とアルバニア系住民と主張している。


2月2日(金)

(ベルリン)キリスト教民主同盟とキリスト教社会同盟の首相候補者をめぐる話し
合いで、キリスト教民主同盟党首アンゲラ メルケルは自分が主導権を握っている
ことを確認した。彼女はテレヴィ番組で、自分がキリスト教民主同盟を、エドムン
ト シュトイバーがキリスト教社会同盟を、メルツが連邦議会の会派を指揮してい
る、と語った。またその番組の中で、主導権争いが生じていることも認めた。会派
長フリードリヒ メルツは、自分が首相候補となる話を持ち出した、という非難を
否定した。彼はラジオ番組の中で、自分は同会派の幹部は候補者の一人であると言
っただけだ、と主張し、首相候補の問題は今のところまだ生じていない、と付け加
えた。
首相ゲアハルト シュレーダー(社会民主党)は野党キリスト教民主同盟、社会同
盟の首相候補選びの議論を悲しむべき出来事だ、と語った。

     その他のニュース
・緑の党の農業政策の担当者は、肉とソーセージ類を新たに課税す
ることで、BSEに対処するための高額の費用をまかなうことに賛成
である、と語った。同党の報道官は、連邦、州、地方自治体だけで
は巨額の負担には耐えられないのは予想できる、と語った。欧州議
会農業委員会議長も、その種の税には賛成で、自然農法への転換を
財政面で支援するために使われるべきだ、と語った。
・新自然保護法が成立すれば、少なくともドイツ平野中心部はビオ
トープとされることになり、農業は自然農法へと転換が促されるこ
とになる。環境大臣トリティンが提出した法案によれば、各州は少
なくとも土地の10%がビオトープであることを証明しなければなら
ない。トリティンによれば現在平均8%がビオトープであるに過ぎな
い。1998年の自然保護法改正では実質的には証明は行なわれなか
ったので、今回はより高い基準を設定する、と彼は語った。

(ビオトープ 自然環境が安定的、継続的に維持され、動植物が生
育できる場所)

・長年にわたって逃亡を続け、世界中で行方を追求されてきたフラ
ンス人の経済事件犯シルヴェン(74歳)がフィリピン、マニラ郊外
で逮捕された。逮捕後すぐに引き渡され、フランクフルト行きの飛
行機に乗せられ、その後パリに移される。彼はフランスの石油会社
エルフ・アキテーヌの賄賂問題の鍵を握る人物で、1997年には元
国営企業であった同社の金庫から多額の資金を持ち出して、姿を消
した。この逮捕で仏元外相デュマの裁判の方向が変わることになる。


(ミュンヘン)アメリカ本土ミサイル迎撃システム計画に関する対立が今年の安全
保障政策会議の争点である。ドイツ首相ゲアハルト シュレーダーはミュンヘンで
行なわれる2日間の会合の冒頭で、ドイツとその他のヨーロッパ諸国はアメリカの
この計画に反対である、と強調し、この防衛計画の重要な問題点は欧米の話し合い
で討論されねばならない、と促した。それに対し、アメリカ国防大臣ドナルド ラ
ムズフェルドはミサイル迎撃システム建設計画の妥当性を主張し、ヨーロッパの友
好国をこの計画の中に組み入れる、と約束した。今回の安全保障会議では30ヶ国
の専門家が外交問題について話し合う。

     その他のニュース
・バーデン・ヴュルテンベルク州首相トイフェル(キリスト教民主
同盟)は連邦同党の執行部を厳しく批判した。キリスト教民主同盟
・社会同盟は連邦レヴェルでは現在、壊滅的な様相を呈しており、
指導力や個別の政策を提示することなく、とんでもない分裂状態を
一般にさらけ出している、と彼は語った。彼が強く批判しているの
は、首相候補をめぐるうわさ話が飛び交っていることで、これで有
権者の反発を買う、と語っている。同党党首メルケルは、人事問題
はキリスト教社会同盟との合意を経て決着をつける、と語った。
・経済大臣ミュラーと労働大臣リースターの事業所組織法改正をめ
ぐる対立は深まっている。ミュラーは現在の形態の法案には賛成で
きない、と語っている。また彼は経済団体も批判して、計画中の共
同決定委員会の拡大は企業にとって大きな負担になりすぎる、と語
った。首相シュレーダーは金曜日、この改革を断交する、と語って
いた。
・BSEに対処するための費用をまかなうため肉やソーセージ類など
に対する課税要請は、政府内部で拒否にあっている。農業省は、肉
に対する課税方針を検討しない、と語っている。大蔵大臣アイヒェ
ルも、緑の党から出されている課税要請を拒否した。購買者保護大
臣キューナストは、自然農法の食品を適切な価格で販売するように
求めて、スーパーマーケットチェーンとの会談を行なう、と語った。
一方シュレースヴィヒ・ホルシュタイン州では新たに1件のBSEが
報告され、ドイツでは27件のBSEが確認されたことになる。


2月4日(日)

(ミュンヘン)ロシアとヨーロッパのNATO加盟国はアメリカに対し、計画中のミ
サイル迎撃システムを新たな軍拡競争であると警告した。アメリカの計画は戦略兵
器の均衡という基盤をないがしろにするものだ、とロシア大統領の安全保障顧問セ
ルゲイ イワノフはミュンヘン安全保障政策会議で語った。また彼は、テロリスト
を支援する国家による迫害は各国の政治的な努力でうまく回避することができるし、
とも語った。それに先立ちアメリカ国防大臣ドナルド ラムズフェルドは、アメリ
カはヨーロッパが疑念を持とうが、ミサイル迎撃システムを今後も開発し続ける、
と明言していた。

     その他のニュース
・キリスト教社会同盟党首シュトイバーとキリスト教民主同盟の首
脳メルツは秘密会談を行なって、緑の党所属の大臣フィッシャーと
トリティンに対する調査委員会を設置するよう求める方針だ、とい
う報道がなされたが、両者はそれを否定し、これは単なる情報交換
で、キリスト教民主同盟党首メルケルは参加こそしていなかったも
のの、この会談については知らされていた、と語った。
・緑の党は2003年以降の環境税増税に賛成した。環境税改革は、
国民経済の近代化を行なう上で最も重要な手段の一つである、と緑
の党環境問題報道官はベルリンで開かれた同党の環境会議で語った。
環境大臣トリティンは、企業の環境に対する自己責任を達成しない
場合、その企業に制裁措置を課すよう提案した。この発言の背景に
は、昨年ドイツの二酸化炭素排出量が再び増加に転じた、と「シュ
ピーゲル」誌が報じたことがある。
・今週火曜日の選挙で誰がイスラエル首相になろうとパレスチナは
抵抗活動を強化していく、とパレスチナ側報道官は発表した。イス
ラエルでは約20万人の兵士が不在者投票を行なった。世論調査機関
は、右派候補シャロンの優勢を伝えている。


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