3月12日〜18日のドイツのニュース

3月12日(月)

(ワシントン)アメリカ製軍用機がクウェート上空を訓練飛行している間に爆弾を
投下した。アメリカ国防相の発表では、爆弾は米軍の訓練用地に落ち、5人が死亡
し数人が怪我をした。犠牲者は訓練に参加していた米軍兵であった。その前には、
爆弾は家に落ち、少なくとも12人の一般市民が死亡した、との報道があった。

     その他のニュース
・長期間の失業を解消するため、政府は今後飴と鞭の政策を取る。
仕事を持たない人は新しい権利とともに新たな義務を負うことにな
る。就職を拒否したりあるいは真剣に就職活動を行なわない失業者
は、給付金の支払期間が短くなる。この措置の該当者に対しては、
労働局は仕事か職業教育を提供することになる。政府、労使はすで
に合意しており、社会民主党、自由党、キリスト教民主同盟、キリ
スト教社会同盟もすでに賛成していた。
・連邦運輸大臣ボーデヴィヒは自らたてたドイツ鉄道改革案を擁護
した。2015年までに貨物輸送を64%増やし、より激しい競争を行
なって鉄道輸送を倍増させる、という目標をテレヴィ番組で語った。
週末に彼は線路を保有する会社と運転を行なう会社の分割を行なう、
と予告していた。政府は今後数年で260億マルクを線路の改修に支
出する意向である。
・首相シュレーダーはナチ時代の元強制労働者に対する賠償問題の
打開を図る。水曜日に彼は、ドイツ経済界の基金拠出を呼びかけた
企業17社と会談を行なう。彼は、基金に不足している14億マルク
は間もなく集まるとの見通しを語った。一方「ドイツ・ポーランド
和解」基金は、ポーランドの強制労働者に対する賠償金の支払いを
開始した。これは、80才以上の人を対象とするもので、一人あた
りまず720マルクを受け取る。


3月13日(火)

(パリ)口蹄疫はヨーロッパ大陸に上陸した。3週間前イギリスで発生した高い感
染力を持つこの病気は、フランスで2例の発生が確認された。EUはただちにフラン
スからの生きた家畜の輸出をさしあたり2週間禁止する命令を出した。口蹄疫がア
メリカに広がる危険があるため、アメリカ政府はEUからの動物およびその製品の
輸入を暫定的に禁止した。
ドイツでは連邦と州が、フランスから最近輸入された動物の検査を行なっている。
イギリスでは口蹄疫にかかった農場は200箇所にものぼる。

     その他のニュース
・ドイツ経済界は、ナチ時代の強制労働者の賠償基金に不足してい
る14億マルクを支払う、と約束した。同基金によれば、設立に参
加した団体は資金を増額し、それでも足りない額は市民からの募金
をつのる、と語った。首相シュレーダーはこの決定を歓迎し、これ
によって国際市場でドイツ企業が損失を受けたり印象を損なったり
することが避けられる、と語った。ドイツユダヤ人中央評議会議長
シュピーゲルも、空白期間がなくなったことを歓迎した、アメリカ
連邦裁判所の裁判官は既に、旧ナチ強制労働者が集団訴訟を起こす
こと認めていた。
・連邦国防軍内部では2000年の極右の犯罪の数が45%増えた。連
邦議会の国防軍委員ペナーは、この増加は社会全体の傾向を表わし
ている、との注意を喚起した。事件の多くは宣伝行為に関するもの
で、壁などへのなぐりがきや極右の歌を歌うなどである。彼が軍に
対して下した評価は「部分的に不可」であった。ただし1月から女
性244人が武器を扱う任務についたことは肯定的に見ており、彼
女たちは高い意識と行動力を持っている、と評価した。
・エジプト人の旅行案内人がルクソール近くでドイツ人の男性の
観光客4人を人質に取った。彼は2人の子供の引き渡しを要求して
いる。その子供たちは離婚したドイツ人の妻がドイツに連れ帰って
いた。エジプト当局の情報では、彼らは月曜からルクソール近くに
いるとのことである。外務省の情報では、人質の状況は良好である。
エジプトはドイツの特殊部隊の投入を拒否している。


3月14日(水)

(ベルリン)ナチ強制労働者に対する賠償金の支払いをいつ開始するかは未定であ
る。ドイツ首相ゲアハルト シュレーダーは賠償基金に参加しているドイツ企業と
の会談後、夏休み前に第1回の支払いを行ないたいが、未定である、と語った。開
始時期の決定はアメリカの司法次第であって、ドイツ企業に対する集団訴訟数件を
棄却してからになる、とも語った。ドイツ経済界は基金に50億マルクを支払う約
束をした、実際にこれ以上の集団訴訟が起こされないという法的措置が取られた場
合にのみ、そのお金を支払う、と発表した。

     その他のニュース
・口蹄疫がヨーロッパ大陸に上陸した後、さらに多くの国が輸入禁
止措置を取った。米国、豪州、カナダはEUからの動物および動物製
品の輸入を禁止した。チェコはドイツとポーランドへの道70本を閉
鎖した。独仏国境では独国境警備隊がフランスから家畜が輸入され
ないよう監視を強めている。ドイツの港・空港でも監視が強化され
ている。フランスでは火曜日に大陸で初めて口蹄疫が発見された。
この病原体は風でも運ばれる。さらにアルゼンチンにも上陸した。
・コソヴォ戦争後2年がたち、ユーゴ軍はNATOの承認を得て南セル
ビアとコソヴォの間の緩衝地帯に進駐し、アルバニア系過激派の攻
撃を阻止することになる。ユーゴ政府によれば、進駐は問題なく行
なわれた。一方、マケドニア中心部で初めてアルバニア人反乱軍の
攻撃が行なわれた。テトヴォ市郊外でマケドニア治安維持軍との交
戦が数時間に渡って行なわれた。またテトヴォ市ではアルバニア人
の若者数千人が少数派である自分たちにも同じ権利を求めてデモを
行なった。コソヴォのアルバニア系住民の代表ルゴヴァは、ベルリ
ンでドイツ外務省と会談を行ない、コソヴォの独立はこの地域の安
定のための前提条件である、と語った。
・コソヴォではセルビア人のデモ隊と治安維持軍のフランス兵が武
力衝突を起こした。3人の逮捕者を出したため、セルビア人がコソ
ヴォスカ・ミトロヴィッツァの警察を取り囲んだ。彼らは国連の警
察車両に放火し、治安維持軍は催涙ガス弾などを群集に向けて発砲
した。セルビア人15人と国連の警官1人が怪我をした。


3月15日(木)

(メディナ)ロシアの旅客機上で170名以上を人質に取った犯人は、40人の女性
と子供を解放した、とCNNが報道した。20名が解放された、との情報もある。い
くつかの情報によれば、犯人はチェチェン人である、とのことである。サウジアラ
ビア当局は、テュペレフ154型機が着陸した後、犯人との交渉を開始した。犯人は
この飛行機をイスタンブール離陸直後に乗っ取り、サウジアラビアのメディナへ着
陸させた。彼らはアフガニスタンへ飛ぶことを要求している模様である。

     その他のニュース
・イスラエルはパレスチナ人居住区の全面的封鎖を解除すると予告
し、いわゆる発火点だけを隔離する方針である。首相シャローンは、
安全が保証されれば、西ヨルダンランドとガザ地区のパレスチナ人
は移動の自由を再び手にすることになる、としている。しかしエル
サレムのアラビア人居住地区のパレスチナ人は封鎖に反対して、商
店を閉鎖し、授業をボイコットするなどのストライキを行なった。
イスラエル外相ペレスは、国連監視部隊をパレスチナ人居住区へ派
遣してほしいという要求を撤回し、合意がなければこの措置は和平
交渉の妨げになる、と語った。
・アメリカはボスニアに派遣している平和維持部隊を9百人減らし
て3千5百人とする。撤兵は今週初めから既に開始され、4月終わり
までに完了すると国防相報道官キグリーが発表した。テレヴィ局
CBSは、ボスニア駐留米軍の80%が約2年以内に撤退することは既
に決定済みである、と伝えている。キグリーはこの情報について何
も語らなかったが、それより急速な撤退が行なわれるという決定は
出ていない、とした。また彼はこの撤退を行なっても平和維持軍の
行動力に障害はない、とも語った。
・北西マケドニアでは治安維持軍とアルバニア反乱軍の交戦は続い
ている。テトヴォでは新たな衝突で2人が怪我をした。マケドニア
政府は、衝突の激化を懸念している。それに対しNATOは事態をお
おげさに報道しないように警告した。NATOによれば反乱軍は政治
的に孤立している。


3月16日(金)

(スコピエ)西マケドニアの都市テトヴォで武力衝突が続いている中、ドイツ外相
ヨシュカ フィッシャーはマケドニアの首都スコピエ訪問で、両者に暴力の行使を
やめるように呼びかけた。マケドニアの民主的かつ平和的な発展が急進主義や暴力
によって危険にさらされてはならない、と彼は発言した。アルバニア人分離主義者
と政府軍の間の戦闘で、平和維持軍に参加しているドイツ兵のいる兵舎が攻撃を受
け、兵士1人が軽い怪我をした。マケドニア政府軍は砲兵隊を紛争地域に投入した。
マケドニア政府と議会は緊急会議を行なった。

     その他のニュース
・3年間の準備期間を経て、ドイツ公勤務・運輸・交通労働組合は
統一サーヴィス業労働組合ver.di結成へむけて動きだした。同労組
は会議を開き約90%の賛成で、組織を解体し、他の4つの労組と合
併して、ver.diを結成することを承認した。これには80%以上の賛
成が必要であった。週末でドイツ職員労働組合、報道産業労働組合、
郵便労働組合、商業・銀行・保険労組が解散を決定し、およそ3百
万人の加盟者を持つ西側最大の労働組合が結成される。
・牛肉市場を安定させるため、ヨーロッパ全体で家畜を殺す計画が
実行に移されている。EUの所管委員会は第2期購入計画に賛成した。
農業委員フィシュラーの計画には、現在BSE危機のため販売できな
い、生後30ヶ月を過ぎた牛を、政府機関が一定の価格で買い入れる
ことが含まれている。この計画で約百万頭の牛が殺されるという見
込みである。この計画に異議を持っているのはドイツ、スウェーデ
ン、フィンランド、デンマーク、オランダである。
・キリスト教民主連合、キリスト教社会連合は議員規則に則り、環
境大臣トリティン(緑の党)の解任に関する議論を連邦議会で行な
うよう求めたが、失敗した。トリティンはキリスト教民主同盟書記
長マイアーをスキンヘッドにたとえていた。社会民主党は次回の通
常国会でトリティンの発言に関する議論を行なう意向はなく、やる
とすればバーデン・ヴュルテンベルク州とラインラント・プファル
ツ州での州議会選挙の後になる。


3月17日(土)

(ベルリン)サーヴィス業の新労働組合ver.diの結成をさまたげるものは何もなく
なった。ドイツ郵便労働組合が、91%を越える賛成で、解散し新しい組合に参加す
ることを決める最後で5番目の労組となった。これによって来週初めの会議で
ver.diは設立される。他の4労組、ドイツ公勤務・運輸・交通労働組合、ドイツ職
員労働組合、報道産業労働組合、商業・銀行・保険労組は既に必要な票を集め、解
散と合併に賛成していた。

     その他のニュース
・マケドニアではアルバニア系急進派は住民に、政府とマケドニア
治安維持軍との戦いを支援するように呼びかけている。西マケドニ
アの都市テトヴォ周辺地域では4日連続して戦闘が行なわれている。
金曜日には平和維持軍のドイツ兵がアルバニア分離主義勢力の標的
となり、大部分が兵舎を出て、5キロ離れた町に移動し、ドイツの
テトヴォ基地はコソヴォにあった連邦国防軍の戦車で装備が強化さ
れた。国連安全保障理事会は、国外から支援を受けているアルバニ
ア急進派の行動を非難した。
・OPECは4月1日から生産を4%減らし、一日百万バレルの減産を行
なうことにした。減産の理由として世界的な経済の減速とヨーロッ
パの冬が終わることがあげられている。OPECに加盟していない、他
の主要な産油国ロシア、メキシコ、カザフスタンも減産を行ない、
OPECを支援する意向である。
・南イタリアのナポリで、警官隊と抗議行動を行なっていた経済の
世界規模化に反対する人々が激しく衝突した。インターネットと政
治という主題で開かれている世界フォーラムに抗議するために、内
外から集まったデモ隊に対し、警察は催涙ガスを使用した。警察側
の情報では約120人が怪我をし、参加者約2万人のうち数十人が逮捕
された。この会議には世界120ヶ国の政府の代表が参加していた。


3月18日(日)

(スコピエ)マケドニア政府は、アルバニア分離主義者とマケドニア軍の間でテト
ヴォ地域で行なわれている戦闘のため、同市に夜間外出禁止令を出した。その他、
予備役兵の動員も開始した。コソヴォ平和維持軍はアルバニア人の襲撃があった場
合、武器を使用すると威嚇した。平和維持軍司令官カルロ カビギオスは、同軍兵
に対する敵の攻撃には黙っていない、と語った。ドイツ外相ヨシュカ フィッシャ
ーはマケドニア政府に援助を約束した。
ロシア外相イゴール イワノフは仲介のためひとまずユーゴスラヴィアの首都ベオ
グラードへ向かった。彼はその後マケドニアとアルバニアを訪問することにしてい
る。

     その他のニュース
・フランクフルト地方選挙で、市長選は決選投票に持ち込まれるこ
とになりそうである。一部を開票した時点では、現職のロート(キ
リスト教民主同盟)は47.5%しか獲得できず、社会民主党の候補フ
ァンドライケが36%を獲得した。市議会選ではキリスト教民主同盟
は4%得票をのばし、緑の党は5%票を失う見込みである。投票率は
4年前を下まわった。今回の投票は、ヘッセン州キリスト教民主同
盟の不正資金疑惑で昨年批判を受けた、州首相コッホに対する世論
の審判と見られている。
・フランス地方選挙の第2回投票で、パリとリヨン、トゥールーズ
では右派と左派の候補者が激戦を繰り広げている。パリでは社会党
と緑の党が先週末に新ドゴール主義者を4%上まわっていた。社会党
の候補デラノーが70年代の終わりから続いてきた保守政権にかわる
可能性が十分出てきた。
・連邦政府は、発電所から出る二酸化炭素排出を減らさない、とい
う米国大統領ブッシュの決定を批判した。環境大臣トリティンはア
メリカ環境庁にあてた書簡で、ブッシュの決定は京都議定書に対す
る全面的な反対である、との懸念を表明した。京都議定書では、工
業国は1997年に二酸化炭素などの温室効果ガスを減らすことが義
務づけられていた。


今日のニュースへ

過去のニュース(目次)へ inserted by FC2 system