3月19日〜25日のドイツのニュース

3月19日(月)

(テトヴォ・ブリュッセル)マケドニア軍とコソヴォ平和維持軍は、今までより強
力な軍備を使って、マケドニアに戦争が起こる危機に対処する。NATOは今後平和
維持軍を国境地域に駐留させ、アルバニア反乱軍の物資の供給路を断つ方針である。
その他コソヴォへの入出国管理も強化される。負け土にさ政府はアルバニア反乱軍
に対し攻撃を強めると予告している。マケドニア第2の都市テトヴォにマケドニア
治安維持軍は戦車を投入した。アルバニア系住民数百人は戦闘が行なわれているた
め、町から避難した。EU加盟諸国の外相は、バルカンの国境の位置を武力を用い
て変えさせることがないように警告した。ドイツ外相ヨシュカ フィッシャーはこ
の危機に軽率に対処してはならない、と語った。

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・国連戦争犯罪裁判所はボスニアのセルビア人3人に対する訴訟を
開始した。彼らは拷問、強姦、数百人のイスラム系住人とクロアチ
ア人の殺害で訴えられている。検察は、指揮官1人と北西ボスニア
の収容所ケラテルムの看守2人が、人間性に対する犯罪を行ないと
戦時の国際協定を侵害した罪がある、としている。検察によれば、
その収容所にはボスニア戦争の間、約7千人が非人間的な環境で収
容されていた、とのことである。
・統一サーヴィス業労働組合ver.di設立文書に署名が行なわれ、単
独のものとしては世界最大の労働組合が誕生した。この組合は、ド
イツ公勤務・運輸・交通労組、ドイツ職員労組、報道産業労組、郵
便労組、商業・銀行・保険労組が合併したもので、約3百万の組合
員を持っている。大統領ラオは、代表者や来賓5千人を前に、この
合併はドイツのサーヴィス業発展の途上で起こった必然的な出来事
だと語った。ドイツ労働総同盟議長のシュルテは、労働組合の総力
を結集して、社会の権力関係を変革しよう、と呼びかけた。火曜日
にはドイツ公勤務・運輸・交通労組元委員長ブジルケを含め19人
が、連邦ver.diの幹部に選出されることになっている。
・ヘッセン州キリスト教民主同盟党首で同州首相コッホは、地方選
挙での同党の勝利を歓迎した。不正献金疑惑が起きた後で、彼は州
政府に対する「中間評価としては極めてよい」と語った。社会民主
党事務長ミュンテフェリングは、不振だった選挙結果を「複雑」だ
と評した。キリスト教民主同盟は6%伸ばし39.2%、社会民主党は
1%増やして39%、緑の党は減らして8.6%、自由民主党は4.9%、極
右の共和党は2.5%を獲得した。全党が投票率が66%から53%に下が
ったのが残念だ、と語った。


3月20日(火)

(スコピエ)マケドニア危機はさらに激化した。マケドニア政府はテトヴォ市での
戦闘に部隊、戦車、砲兵隊を使用した。アルバニア人分離主義者の拠点とされる地
域に砲弾、擲弾が打ち込まれた。マケドニア治安維持軍は昨夜反乱軍に降伏するよ
う呼びかけた。水曜夜12時を期限とする最終通告を突きつけ、休戦を提案した。
マケドニア大統領ボリス トライコフスキは急進主義者との話し合いを強く拒否し
ている。EU安全保証部代表のハヴィエル ソラナも同じ趣旨のことをスコピエで
語った。
バルカン危機のため、フランスとイギリスは国連安全保障理事会での解決を図る方
針である。

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・独仏政府はバルカンでの武力衝突を終わらせることに賛成した。
独首相シュレーダーは仏大統領シラクと非公式会談をプファルツ地
方のヘルクスハイム・ハイナで行ない、その冒頭で両国はマケドニ
アが領土紛争にさらされないよう望んでいる、と語った。この会談
には仏首相ジョスパンと独外相フィッシャー、仏外相ヴェドリーヌ
も参加していた。
・第3次産業の新しい労働組合ver.diの初代委員長には、予想通り、
ブシルスキが就任した。その他の労組幹部18名も約96%の賛成で
選ばれた。就任演説で彼は改めて、「労働のための同盟」での話し
合いを終わらせることに反対した。また賃上げの請求を断念するこ
とに同意することを、それが新たな雇用を生み出すわけではないこ
とを理由に、拒否した。
・米国の景気低迷を見て、アメリカの発券銀行FEDは公定歩合を
0.5%下げた。翌日物コールマネーの金利は5.5%から5%に下がった。
金利引き下げを期待していた、ドイツ株は株価収益が上がるとの期
待で取り引きを終えた。ドイツ株式指標DAXは125あげて5782ポ
イント。新市場ではNEMAX50では5.3%あげて1676ポイントとな
った。ユーロの対ドル交換レートは下がった。


3月21日(水)

(スコピエ)マケドニア政府の最終通帳の期限数時間前、自称アルバニア国民解放
軍UCKは一方的に停戦を通告した。反乱軍は障害を取り除き交渉に入ろうとしてい
る、との情報もある。まず反乱軍は、夜12時とされた期限を無視し、降伏も、テ
トヴォ周辺の山からの撤退も行なわない、と予告した。マケドニア政府はこの予告
を静観している。反乱軍が新たな攻撃を計画している兆候もあり、自軍の再編成の
ための時間を稼ぐつもりだ、との見方が政府にはある。
マケドニア北部での武力衝突に対処するため、NATO理事会は加盟各国に対し1千
4百人の兵士をコソヴォ平和維持軍に追加して派遣するように要請した。

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・口蹄疫はフランスに続きオランダにも広がった。オランダ農業省
が発生を確認した。同政府は家畜の輸送を全面的に禁止した。EU獣
医委員会はオランダからの生きた家畜、同国の4つの州からの肉製
品、乳製品の輸出を禁止した。これによってニーダーザクセン州と
ノルトライン・ヴェストファーレン州の国境での検問はさらに強化
された。英国では口蹄疫が広まって既に6週間経つ。約4百の農場で
発生が記録されている。
・購買者保護大臣キューナストは、口蹄疫対策として動物保護を強
化し、その対策の中には屠殺される動物の輸送時間の短縮が含まれ
ている、と2001年動物保護報告大会で語った。動物輸送は4時間未
満にするべきだが、ヨーロッパ全体を考えると現在の20時間を8時
間にするだけで根本的な改善であるといえる、と彼女は語った。そ
の他産卵用の鶏をカゴで飼うことも禁止したい、と語った。
・首相シュレーダーはドイツの労働市場をさらに外国の専門能力を
持つ人に開放する方針である。コンピューターと通信の技術者に対
するグリーンカードの導入は最初の一歩にすぎない、とハノーファ
ーで開かれている世界最大のコンピューター見本市Cebitで語った。
たとえば自然科学や機械工学を学ぶ外国人学生が、卒業後もドイツ
で仕事ができるようにしなければならない、と語った。科学技術の
業界連合Bitkom会長ユングはグリーンカード制度は評価できるが、
現在の5年間という期限を撤廃すべきだ、と述べた。Cebitは来週水
曜まで開かれ8千百社が展示を行なっている。


3月22日(木)

(モスクワ・ワシントン)アメリカがロシアの外交官50人をスパイ容疑で国外追
放にしたことに対する報復として、ロシアもアメリカ人外交官50人を国外追放す
る意向である、とロシア外相イゴール イワノフは発表した。アメリカ政府はロシ
ア大使館と領事館の職員50人に対しアメリカを立ち去るよう要求していた。4人の
外交官が好ましからざる人物としてはっきり名前をあげられていた。彼らは、2月
に逮捕されたFBIの情報員ロバート ハンセンと、15年以上に渡ってモスクワ政
府のためにスパイ活動を行なってきた、とされている。

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・様々な予防措置をとっているにもかかわらず、口蹄疫はヨーロッ
パにさらに広がりをみせている。政府の情報によれば、アイルラン
ドでも2例が見つかった。EU委員会はアイルランドからの家畜およ
び家畜製品の輸出を禁止した。水曜日に口蹄疫が発生したオランダ
では、さらに数件の疑わしい例が見つかった。英国では合計435の
農場から口蹄疫が見つかっている。オランダでも発生したことから、
ドイツにも口蹄疫が広がるものと専門家と政治家は見ている。ニー
ダーザクセン州ではまた口蹄疫の疑いのある家畜が見つかった。購
買者保護大臣キューナストは予防ワクチンの使用要求を認めていな
い。
・マケドニア軍はアルバニア義勇兵に対する攻撃を開始した。軍は、
テトヴォ市周辺の山にいる反乱軍の基地を攻撃した。国営マケドニ
ア放送によれば、反乱軍は基地のうちいくつかから撤退し、政府軍
はアルバニア兵数名を逮捕した、とのことである。テトヴォでは警
官がアルバニア系と思われる市民2人が、襲撃計画をたてていたと
いう理由で射殺した。EUは改めてマケドニア政府を支持した。急進
派は武器を捨てなければならない、とEU理事会議長のスウェーデン
外相リンドはスコピエで語った。
・いわゆるアルバニア解放軍はマケドニアで4千人以上の支持者を
動員している、とソコリ将軍と自称する同軍の司令官は語った。兵
士の90%以上はマケドニア出身で、コソヴォ出身者はごく少数であ
り、同軍はマケドニアの破壊を望んではおらず、旧ユーゴの一部で
あったマケドニアに住むアルバニア人の権利を向上させることが望
みだ、と語った。


3月23日(金)

(ストックホルム)EU加盟諸国の首脳はロシアに対し、チェチェン紛争を政治的
な手段によって解決するよう要請した。EU理事会議長でスウェーデン首相ヨーラ
ン ペーションは理事会の後、ロシア大統領ウラジミール プーチンにこれを伝え
た。EUとロシアの協力関係を維持するためには、共通の価値観も必要である、と
彼は強調した。ペーションは、ロシアに現在のヨーロッパとの通商上の障壁をなく
すように呼びかけ、EUはロシアをEUに統合しようとしているのではなくて、ロシ
アを孤立させたくないのだ、と語った。共同記者会見の席上プーチンは西側諸国の
バルカンへの対応に批判を加え、アルバニア人急進派の武力を奪うための対策は全
く取られていない、と語った。

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・コソヴォ平和維持軍に属するドイツの補給部隊を、ドイツ国防軍
はマケドニアからコソヴォに撤退させる一方、マケドニアの紛争地
帯に戦車部隊170名を増強した。国防省は、これはNATOの要請に
応じた兵力増強である、と語った。この部隊はコソヴォとマケドニ
アの国境の安定化のために貢献することになっている。テトヴォ周
辺ではアルバニア義勇軍とマケドニア政府軍の間で新たな戦闘が起
った。コソヴォにいるアルバニア人の主要な政治家は、反乱軍に対
しテトヴォ周辺での戦闘中止を訴えた。
・ストックホルムで開かれたEU首脳会談に、マケドニア大統領トラ
イコフスキが出席した。その席で、EU加盟諸国首脳はマケドニア政
府と連帯していくことを約束した。またマケドニア政府は少数派ア
ルバニア人に政治への参加権を与えなければならない、ということ
も明確にした。独首相シュレーダーはマケドニア問題は政治的に解
決しなければならず、テロリストには機会を与えてはならない、と
語った。ロシアも、独外相フィッシャーの言葉を受け、マケドニア
紛争を平和的に解決するよう求めた。
・ユーゴスラヴィア当局は初めて、ボスニアでの戦争犯罪でデン 
ハーグの戦争犯罪裁判所が捜していた容疑者を逮捕した。元プリジ
ェドル市長スタキッチは同裁判所にセルビアで引き渡された、と国
連の報道官が発表した。彼は大量殺人の罪で訴えられている。彼の
命令でオマルスカ、ケラテルム、トルノポリエ収容所が計画され、
組織され、そして実際の活動を行なった。同裁判所は彼の逮捕をユ
ーゴ当局が国連と共同作業を行なう意志表示であると見ている。


3月24日(土)

(ストックホルム)主要計画のいくつかで合意を見ないまま、EUの春の首脳会談
は終了した。参加国の中には、なかなか改革が進まないものの、今回の会談は有益
であったと評価する向きも多い。エネルギー市場の自由化の問題に関しては合意が
得られなかった。フランスの態度を見て、ドイツは既に電力とガスの市場の自由化
の期日を決めるのをあきらめていた。ストックホルムでの首脳会談は外交問題を中
心として進んだ。最後に出された宣言では、コソヴォとマケドニアのアルバニア人
に対して、暴力の行使を止めるように、という要求が出された。その他、EU加盟
諸国政府は近東でより積極的に活動していく、と予告した。また主要工業国の景気
を維持するために、EUはさらに先進技術を発達させていく方針である。

     その他のニュース
・国防軍はコソヴォとの国境近くのテトヴォへ落下傘部隊約百名を
配置する方針である。これによりコソヴォ平和維持軍に参加してい
るドイツ軍の輸送部隊を支援することになる。テトヴォに駐留して
いる兵士の安全を最大限確保し、事態を掌握する、と国防大臣シャ
ルピングは語った。内外からの平和を求める声にもかかわらず、マ
ケドニアでの戦闘は中断することなく続いている。
・NATOのユーゴスラヴィア攻撃2年の日に、数千人がベオグラード
でデモを行なった。抗議の声はNATOと国連戦争犯罪裁判所に向け
られている。元大統領ミロシェヴィッチの社会党が、抗議行動を起
こすよう呼びかけていた。現大統領コシュトゥニツァはこの攻撃の
犠牲者を悼む礼拝に出席した。NATOは1999年6月10日に、ユーゴ
軍がコソヴォから撤退するまで、ユーゴを爆撃し続けた。コソヴォ
はその後国連の管理下におかれ、コソヴォ平和維持軍が軍事面での
管理を引き継いでいる。
・ロシア南部で爆破事件3件が起り、少なくとも21人が死亡、90人
以上が怪我をした。ロシア内務省によれば、2件はチェチェン共和
国との国境近くで起こった。ロシア政府はチェチェンの反乱組織の
犯行である、としている。一方チェチェン政府は関与を否定してい
る3件の爆破は数分間隔で起きた。1999年8月と9月には全部で3百
人の死者を出した爆破事件が起きている。その後ロシア軍は独立を
目指すチェチェンへの侵入を行なった。


3月25日(日)

(シュトゥットガルト、マインツ)州議会選挙が行なわれ、ラインラント・プファ
ルツ州では社会民主党が、バーデン・ヴュルテンベルク州ではキリスト教民主同盟
が勝利を収めた。いずれも自由民主党との連立を続けることになるかもしれない。
自由民主党はやや票を失った。緑の党は、バーデン・ヴュルテンベルク州では大幅
に票を失い、ラインラント・プファルツ州ではかろうじて州議会の議席を確保する
にとどまった。極右の共和党はバーデン・ヴュルテ4ンベルク州議会に議席を得る
ことはできなかった。キリスト教民主同盟はバーデンヴュルテンベルク州では首相
エルヴィン トイフェルの下で前回より3.5%票を伸ばし、絶対多数までもう僅か
だった。野党の社会民主党は8%票を伸ばした。ラインラント・プファルツ州では、
社会民主党が首相クルト ベックの下でさらに5%票を伸ばした。一方キリスト教
民主同盟は同州選挙では最低の結果を残した。両州の投票率は州議会選挙としては
かつてないほど低かった。選挙結果は次の通り。
バーデン・ヴュルテンベルク州 キリスト教民主同盟44.8%、社会民主党33.3%、
緑の党7.7%、自由民主党8.1%、共和党4.4%
ラインラント・プファルツ州 社会民主党44.7%、キリスト教民主同盟35.5%、
自由民主党7.8%、緑の党5.2%。

     その他のニュース
・社会民主党とキリスト教民主同盟は州議会選挙の結果で、今まで
の実績が評価されたと見ている。1年半後の連邦議会選挙に向けて、
今回の選挙は重要な一歩であった、と社会民主党事務長ミュンテフ
ェリングは語った。キリスト教民主同盟党首メルケルはバーデン・
ヴュルテンベルク州の好成績が連邦同党にとってはずみとなる、と
みている。自由党事務長のヴェスターヴェレは、同党が若干得票を
減らしたものの、連立政権に参加できることに満足している、と語
った。緑の党代表ロートは、もっと票が伸びるものと期待していた
ことを認めた。購買者保護大臣キューナストは、キリスト教民主同
盟に動員方法の見本を示した環境大臣トリティンにも敗北の責任が
ある、と語った。
・マケドニア軍はテトヴォ周辺の山にいるアルバニア人反乱軍の主
要拠点すべてを制圧した。首相ゲオルギエフスキは、テロリストの
掃討作戦は計画通り行なわれている、とテレヴィで語った。内務省
は、政府軍はテトヴォの北にあるカレ城も占領した、と発表した。
アルバニア国民解放軍は先週水曜日に、この象徴的な意義を持つ城
を急襲し、占領していた。死者、けが人について信頼できる情報は
ない。
・核廃棄物の輸送開始を翌日に控えて、10人のグリーンピース活
動家がフランスのヴァローニュの積み込み駅の前の線路を占拠した。
そこからゴアレーベンに向けて核廃棄物が輸送されることになって
いる。まだ逮捕者は出ていない模様である。全部で6台の輸送貨車
が月曜朝に出発し、アルザスで国境を越え、北ドイツへ向かう。ド
イツでは千人を越える警官が動員されている。ゴアレーベンでは日
曜日数百人の農家がトラクターに乗ってデモを行なった。


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