4月9日〜15日のドイツのニュース

4月9日(月)

(サンクト ペテルスブルク)ドイツ首相ゲアハルト シュレーダーはロシア大統
領ウラジミール プーチンに、ロシアがヨーロッパ的な価値観に基づく秩序と経済
秩序を推し進めていくのを、全面的に援助することを約束した。いわゆるペテルス
ブルク対話で、二人は両国関係を全面的に緊密化することで得られる利益を確認し
合った。プーチンは、両国関係の沈滞は克服されている、と語った。シュレーダー
も政府に批判的なロシアのテレヴィNTWをめぐる議論に加わり、中立的なマスコミ
の必要性を強調し、検閲を行なわず、国民に情報を与える手段が必要だ、と語った。
まずプーチンとシュレーダーは第2次世界大戦中にサンクト ペテルスブルクをド
イツ軍が包囲した際の犠牲者に花輪を供えた。
火曜日に行なわれる政治会談では、バルカン情勢、ヨーロッパの安全保障、ロシア
の外国からの負債が取りあげられる。

     その他のニュース
・バルカンの国としては初めて、マケドニアがEUと連合および安定
条約に調印した。この条約によれば、マケドニアはEUとの結びつき
を強め、スラヴ諸国やアルバニアとの和解を目指すことになってい
る。マケドニア使節団は、6月までに国内少数派との政治対話で具
体的な成果を上げる、と約束した。この条約はEU加盟15ヶ国にマケ
ドニア製品に市場を開放することを義務づけている。マケドニア政
府側も同国法とEU法とを整合させ、国際犯罪の捜査に協力すること
になった。この条約はマケドニアと安定を達成するために重要な役
割を果たすだろう、とスウェーデン外相リンドは語った。
・米中の飛行機衝突問題を早急に解決する見込みがないまま、米国
側の論調は激化している。米大統領ブッシュは、一日経つごとに米
中関係は傷口を広げかねない、と語った。米国の外交官は、中国に
捉えられている24人の偵察機乗務員とふたたび面会した。乗務員の
健康状態は良好である、とのことである。米国は相変わらず中国が
要求している公式謝罪を拒否している。
・イスラエルは、6ヶ月前に出したパレスチナ人労働者の入国禁止
措置を緩和した。3,200人の労働者に入国許可を発行し、火曜日に
千人ほどが入国の見込みである、と政府報道官は発表した。それに
先立ち同国政府は、パレスチナ人外交官が銃撃を受けた事件に対し
弔意を表わした。パレスチナ人居住区ではまた新たな衝突が起こっ
た。また月曜日に予定されていた高官による安全保障会議は延期さ
れた。


4月10日(火)

(デン ハーグ)オランダでは積極的な死の幇助(安楽死)が最終的に法律で認め
られた。政府が数時間の議論を今一度行なった後、国会で上院議員が46対25でこ
の法律に賛成した。これによってオランダは、患者が耐えられない痛みを受け、回
復の望みがない場合に、医者による死の幇助が許可される世界で初めての国になっ
た。世論調査によれば、オランダ市民の90%がこの法律に賛成である。ドイツの政
治家はこの種の決定を拒否した。

     その他のニュース
・近東での暴力の激化はますます急速になっている。イスラエル砲
兵隊はガザ市にいるパレスチナ水上警察の本部など数ヶ所を砲撃し
た。その際パレスチナ人1人が死亡し、20人以上が怪我をした。イ
スラエルはこの奥劇をユダヤ人居住区に対する攻撃への報復である、
としている。同国住居建築大臣シャランスキーは西ヨルダンランド
にユダヤ人住居700戸を新たに建設する、と予告した。新聞報道に
よれば、すでに千戸分の土地を取得した模様である。
・ロシア大統領プーチンはサンクト ペテルスブルクでの独露首脳
会談を終えるにあたって、旧ソ連時代の対外債務を今後返済してい
くと約束した。独首相シュレーダーは、モスクワのタイヤ工場、ミ
グ戦闘機の改良、医療技術を開発する企業の3つの計画を発表した。
その他彼は、主要債権国で作るパリクラブでロシアが財政面で問題
を抱えた時には、ロシアのために発言すると約束した。プーチンは
9月にドイツを訪問する予定である。
・独仏国境近くで、南ドイツの原発からフランスに向けた核物質の
輸送が妨害されていたが、ようやく輸送が再開された。警官が反対
派2人を線路から連れ出した。列車はビブリス、フィリップスブル
ク、グラフェンラインフェルト原発の核のゴミを積んだコンテナ5
台を運んでいる。ここまでは大きな妨害に合わずに輸送は行なわれ
ていた。コンテナはフランスのラ アーグの再処理工場に運ばれる。
到着は水曜日の予定である。


4月11日(水)

(北京)中国とアメリカは外交上の妥協を行ない、中国に緊急着陸した偵察機の乗
員解放をめぐる11日間の対立に終止符を打った。在北京アメリカ大使が大統領ジ
ョージ ブッシュと外相コリン パウエルの書簡を手渡した後、中国政府はアメリ
カ兵24名に出国を許可した。その文書で彼らはこの事故に関して「心からのお悔
やみ」を表明している。明確な謝罪の言葉は含まれていなかった。アメリカ政府内
での議論では、ブッシュは両国機の接触に関する責任を認めることを一切避けた。
一方グアムのアメリカ軍基地からは、男性21人と女性3人を迎えるべく、飛行機が
飛びたった。

     その他のニュース
・EU加盟諸国はEUの東方拡大後、7年後に労働市場を新規加盟国の
労働者に対して開放しなければならないことになった。特にドイツ
とフランスの求めにより、EU委員会でこの計画がたてられた。EU
諸国は委員会のこの提案を全員一致で承認した。EUは今のところ
東欧10ヶ国と加盟交渉を行なっている。
・EUと米国はバナナの関税をめぐって長期間対立してきたが、よう
やく解決した。EU加盟各国政府と欧州議会はこの妥協案を承認した、
とEU商業委員ラミーは語った。米国政府は、EUに課していた商業上
の制裁措置を解除する、と発表した。ドイツ産業相ミュラーはこの
合意をEUと米国関係の緊張緩和のよい兆候である、と好意的に判断
した。米国の要求は、EUが発展途上国に対しバナナをヨーロッパに
輸出する際認めてきた関税上の特恵措置の撤廃であった。
・欧州中央銀行は世界的な景気後退の兆しを認めず、これ以上のイ
ンフレが起る可能性があるため、ユーロ使用地域での基準金利を据
え置いた。その理由として総裁デュイゼンベルクは、インフレの可
能性は小さくなったが、完全になくなったわけではないことをあげ
た。彼は利下げをすぐに行なう様子を見せていない。アメリカと日
本の発券銀行は経済の減速のため今年すでに金融政策を緩和したが、
ユーロ使用地域では2000年10月から金利は変わっていない。


4月12日(木)

(ドュッセルドルフ)ノルトライン・ヴェストファーレン州はオランダで広がって
いる口蹄疫に対処するため、ドイツで初めて予防接種の動議を提出した。国境から
25キロの範囲にいる約110万頭の家畜に予防施主を実施したい、と同州農業大臣
ベアベル ヘーンは発表した。連邦農業大臣レナーテ キューナストはこの提案を
EUに提出した。
オランダでは25件の口蹄疫が発生した。
フランスでは新たな口蹄疫の発生はないため、独仏国境での検査と検疫を中止した。

     その他のニュース
・連邦首相ゲアハルト シュレーダーは今年の経済成長予測を
2.75%から修正した。経済研究所の春の見通しでは、この成長を達
成するのは難しそうだ、と語った。ただし新しい数字を明確にして
はいない。6つの主要経済研究所は今年の経済成長率を2.1%として
いる。
・放射線防御庁はビブリス原発からイギリスの再処理工場セラフィ
ールドへの使用済み核燃料のコンテナ6つの輸送を許可した。同庁
は1月には、ネッカーヴェストハイム原発からセラフィールドへ3
つのコンテナの輸送を許可していた。今回の輸送は4月中に行なわ
れる、と新聞数紙が伝えている。
・検察庁はドイツルフトハンザを、定員以上の切符を販売した疑い
で、捜査手続きを開始する。(不正な競争を禁止したり、自由競争
をさまたげることを禁止する)競争法違反がないかどうかを調査す
る、と同庁は発表した。ルフトハンザはすべての路線で定員以上の
切符を販売していることを認めている。およそ560万のルフトハン
ザの乗客が昨年予定の飛行機に乗れなかった模様である。


4月13日(木)

(ワシントン)アメリカの偵察機が中国の戦闘機と接触した問題で、アメリカ国防
長官ドナルド ラムズフェルドは中国機操縦士を攻撃的な口調で非難した。彼の表
現によれば、ここ数ヶ月中国軍操縦士は偵察飛行中の米軍機に再三危険な距離まで
近づいてきていた。彼は4月1日の事故を起こした中国軍操縦士を、米軍機の24人
の乗組員の生命を危険にさらすような操縦をした、と非難した。中国軍機は墜落し
た。操縦士はまだ行方不明であり、死亡したものとみられている。アメリカ軍機は
海南島に緊急着陸せざるをえなかった。乗組員は11日間留め置かれ、木曜日にア
メリカに帰ることができた。

     その他のニュース
・伝統的な復活祭の平和行進が聖金曜日にゆっくりと動きだした。
フランクフルトの「2001年復活祭平和行進情報センター」によれ
ば、初日の集会やデモ、バイクデモに参加したのはドイツ全土で数
百人であったが、例年通り週末には参加者は増えると見られている。
今年の平和行進は、戦争反対と暴力の使用中止を訴えている。
・連邦憲法裁判所はノルトライン・ヴェストファーレン州のネオナ
チのパレード2件を禁止するように求める緊急訴訟を再び却下した。
計画通り、土曜日にエネペタールで、復活祭の月曜日にハーゲンで
のデモが行なわれる。同裁判所裁判官は、政治的に不愉快な意見を
表明しているという理由だけで集会を禁止することはできない、と
判断の理由を述べた。政治家、労働組合、教会は反対のデモを行な
うように呼びかけた。
・連邦購買者保護省は口蹄疫予防接種を地域を限って行なった場合
の、影響について警告を発した。予防接種によってドイツは「口蹄
疫が発生していない」国という評価を失うい、その結果、取り引き
の制限が行なわれるかもしれないと言うのである。これは、ノルト
ライン・ヴェストファーレン州が、オランダ国境近くで飼育されて
いる百万頭以上の豚と牛に予防接種をするように提案しているため
である。ドイツでは偶蹄目の動物の輸送制限が延長された。口蹄疫
の拡大防止のため、この種の家畜は厳しい条件を満たした場合にの
み、屠殺場、あるいは別の場所に輸送が許される。


4月14日(土)

(テル アヴィヴ)近東で土曜日再び事件が発生した。テル アヴィヴ郊外で前後
して2発の爆弾が爆発した。イスラエル側の情報によれば、少なくとも一人が重傷
を負ったが、それは爆弾を置いたパレスチナ人であると見られている。パレスチナ
側の情報によれば、イスラエル軍はブルドーザーと戦車を使用して、ガザ地区の難
民収容施設にあるパレスチナ警察本部を破壊した。その後放火にあい、パレスチナ
人35人が怪我をした、と医者は伝えている。
南レバノンではイスラエル軍はイスラム急進派ヒスボラの民兵の基地2箇所を攻撃
した。それ以前にヒスボラの兵士がイスラエルの戦車に砲撃をし、その際1人の兵
が死亡した、と軍報道官は発表した。

     その他のニュース
・トルコ政府は、デモ隊から反対を受けながらも、深刻な産業と財
政危機を克服するための改革計画を提案した。企業の民営化、銀行
の改革、国家支出の削減が取り上げられている。産業相デルヴィス
は、計画がすぐに効果を上げるわけではなく、トルコ経済は今年3%
のマイナス成長と予測されている、と期待感が膨らむのを抑えた。
さらに彼は国際通貨基金が100ないし120億ドルの信用供与を行な
うよう求めている。イスタンブールやその他の都市では数千人が政
府の方針に反対してデモを行なった。
・ロシア大統領プーチンはコーカサス共和国で、軍のチェチェン人
部隊を訪問した。チェチェンの首都グロズヌイの東にあるシャンカ
ラ基地で軍の代表との会談を行ない、プーチンは兵士の給与未払い
の問題を認めた。一方グロズヌイでは、検事代理がチェチェン人反
乱軍に射殺された、との情報がある。1999年10月からチェチェン
ではロシア軍は、コーカサス共和国からの独立を求めるイスラム系
反乱軍と戦闘を行なっている。
・ロシアの政府に批判的なテレヴィ局NTWの局員は、独立性を保つ
闘いに敗れた。同社の大株主であるエネルギー会社ガスプロムの代
表は北モスクワにあるNTW放送局を手中に納めた。公安部隊が局を
占拠し、局員は締め出された。4百人の局員のうち約百人が解雇さ
れた、とのことである。報道関係者は、今回のガスプロムの行動を
政府による報道の自由への攻撃である、と批判している。


4月15日(日)

(エルサレム)近東では情勢が緊迫の度を増している。西ヨルダンランドのイスラ
エル軍歩哨の近くで爆発事件が起きた。負傷者はいなかった模様。武力抗争は沈静
化する兆しを見せていないが、衝突を終わらせるための努力は続けられている。イ
スラエルとパレスチナの代表が秘密会談を行なった、とイスラエルでは報じられて
いる。イスラエル外相シモン ペレスは国連、アメリカフランスに、レバノンでの
暴動の激化に対処するように求めた。イスラム過激派のヒスボラは土曜日、国境地
帯でイスラエルの戦車を攻撃し、兵士一人を殺害した。

     その他のニュース
・NATOの発表によれば、ボスニアの平和維持軍は戦争犯罪容疑でセ
ルビア系ボスニア人のオブレノヴィチを逮捕した。彼はデン ハー
グの国際戦争犯罪裁判所に送られる。彼はボスニア戦争でセルビア
ジン旅団の司令官を務め、イスラム教徒数千人の殺害や、大量殺人
への協力など重大犯罪の責任を問われている。
・教皇ヨハネ パウロ2世は復活祭の教書の中で、世界平和の実現
を呼びかけた。近東やバルカン半島などの紛争地域でも平和が実現
し、世界をより良い方向に変える手段を人間が手に入れるように、
と約10万人の信徒に「ローマおよび世界に対して」ペテロ大聖堂の
広場で語りかけた。彼は61ヶ国語で復活祭を祝う言葉を述べた。ド
イツでは平和運動が独自の復活祭行進を行なった。ルール地区を中
心に行なわれたが、参加者はかなり少なめであった。
・元強制収容所ベルゲン・ベルゼンで数百人の若者が犠牲者の追悼
を行なった。2.5キロほどの長さの「名前を書いたテープ」を使っ
て、ナチがここに収容した4万人を追悼した。この計画は160あまり
のニーダーザクセン州の学校がたてたもので、56年前のこの強制収
容所の解放の記念するものである。


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