4月23日〜29日のドイツのニュース

4月23日(月)

(バイロイト)キリスト教社会同盟は、ドイツへ移住する外国人を将来は決められ
た数に制限する方針である。産業および労働市場政策上の必要性に応じて、外国人
労働者の移住を管理しなければならない、とバイロイトで開かれた同党幹部会で採
択された文書には謳われている。同党は亡命をめぐる基本法の改正を明確に要求し
ている。この文書は5月までにキリスト教民主同盟の草案と突き合わせて、両党共
通の計画にまとめられることになっている。
移住政策に関する意見の隔たりは少ないとはいえ、両党は、与党社会民主党と緑の
党と意見を早急に一致させられるとは考えていない。

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・イスタンブールの豪華ホテルでの人質事件ではドイツ人16人が捕
らえられていたが、約11時間後に流血に発展することなく解決した。
百人を越える人質は解放された。13人のチェチェンよりの犯人は投
降し、逮捕された。彼らはロシアのチェチェンへの武力投入を終わ
らせることを求めていた。犯人は1996年すでにトルコでフェリーを
乗っ取っていた。
・モンテネグロの国会選挙では、ユーゴからの独立を求める大統領
ジュカノヴィチの支持者はかろうじて1位をとった。彼らは42%の
得票であったが、議会で独立を求める国民投票を行なうのに必要な
3分の2にははるかに届かなかった。セルビアとの連帯を推し進める
勢力は40%を獲得した。ドイツ政府はまず、ユーゴ政府との紛争を
解決するための調停交渉を行なうよう求めた。
・ドイツ国防相シャルピングは、マケドニア政府がバルカン半島の
安定に向けて努力するなら、ドイツ政府は同国政府を支援する、と
約束した。マケドニアは正しい方向に向けて進んでいる、とマケド
ニア大統領トライコフスキとの会談後彼は語った。2週間前、EUは
マケドニアと新たな協力協定を結び、EU加盟への障害を取り除き、
同時にアルバニア系少数派の問題を含め、改革を推し進めるよう警
告していた。


4月24日(火)

(ルクセンブルク)EU加盟各国の農業大臣は、BSE対策で動物性飼料の使用禁止
を延長することで基本的に合意した、とEU購買者保護委員会デイヴィッド バー
ンの報道官が発表した。今回の禁止措置も期限つきである。ドイツの購買者保護
大臣レナーテ キューナストは、持論であるEU内での動物性飼料の無期限の使
用禁止要求を認めさせることはできなかった。現在の使用禁止は6月末までの期
限付きであった。動物性飼料がBSEの拡大の原因である、と疑われている。

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・EU産食肉の最大の輸入国であるロシアは、EUに牛肉の輸入制限を
再びゆるめる意向である、とEU農業委員フィシュラーは語った。ロ
シア政府は口蹄疫のため輸入禁止措置を来週大幅に緩和する予定で
ある、と彼はEU農相会談で語った。ただし認められるのは、口蹄疫
が発生していない国からの輸入に限られる。ロシアは口蹄疫が発生
する以前はEU産牛肉の50%以上を輸入していた。
・ドイツ首相シュレーダーはエジプト大統領ムバラクと緊張を増し
ている近東情勢について話し合った。会談前、ムバラクはEUとドイ
ツが事態打開に向けて今までより大きな役割をになうことに賛成だ、
と語っていた。外相フィッシャーとの会談でムバラクは、米国の関
与も求めていた。二人はイスラエルとパレスチナ自治区当局に、暴
力の行使をやめるよう呼びかけた。ムバラクはこの後ブカレスト、
モスクワを訪問する。
・イスラエルはエジプトとの国境ラファの封鎖をゆるめた。パレス
チナ人はガザ地区から周辺へでていくことができるようになった、
とエジプト国境管理所が発表した。イスラエル外相ペレスはジェリ
コ周辺の自治区の封鎖を行なう、と予告した。ペレスはラジオで、
イスラエルはエジプト・ヨルダンの和平案を叩き台にしてパレスチ
ナと交渉を行なう準備がある、と語った。一方ガザ地区ではパレス
チナ人がイスラエル兵に撃たれた模様。テヘランではイスラム諸国
30ヶ国以上の代表の会議が開かれ、パレスチナ急進組織に対し、イ
スラエルとの武力闘争を続けるよう、要求した。
・日本では改革派と目される元厚生大臣小泉が与党自由民主党の新
党首に選ばれた。木曜日に国会で自民党の賛成多数で59歳の彼が首
相に選ばれる見込みである。現首相森は以前から辞任を予定してい
た。1955年以降短期間の中断があったものの日本を治めてきた自民
党では、党首が首相を務めることになっている。


4月25日(水)

(ベルリン)ドイツ政府の貧富に関する第1回報告の原案が、どこで収入と高額所
得を区別するかについて、活発な議論を呼んでいる。教会、労働組合、社会保険組
合連合、政治家は基本的にはこの原案に賛成であるが、中には警戒を要する点も含
まれていると見ている。彼らは、貧富の差を拡大しないように政府に求めている。
政府の報告によれば、1998年には150万人の高額所得者がいたが、それに対し社
会給付で暮らす人々の数はおよそ2倍であった。この貧困層の増大の原因として、
失業と専門教育の不十分さが挙げられている。社会給付受給者の数が極めて高いた
め、社会給付制度の危機が子供を持つ独身の女性を直撃している、と労働大臣ヴァ
ルター リースターは語った。

     その他のニュース
・EU委員会の見解によれば、ドイツは労働市場政策を改革しなけれ
ばならない。ドイツの労働市場はかなり高い規制を設けており、特
にドイツ東部では改革は効率的に進んでおらず、社会福祉政策の手
段と誤解されている、とEU委員会は見ている。同時に発表された
EU委員会の予測では、ドイツの今年の経済成長は2.8%から2.2%へ
下方修正された。
・亡命希望者、内戦の避難民、外国人学生は、ドイツで仕事をする
なら、ドイツの滞在許可が与えられることになるかもしれない。キ
リスト教民主同盟の移住問題委員会議長で、ザールラント州首相ミ
ュラーはこの方針に賛成である、と語った。社会民主党議員団長シ
ュトゥルックはこの発言を歓迎した。連邦教育大臣ブルマーンは労
働市場の状況を指摘して、移住者が増えれば、ドイツで供給される
労働力が高齢化しているのを食い止めるまでは行かないまでも、緩
和することになる、と語った。
・キリスト教民主同盟の元会計責任者キープが同党の口座に振り込
んだ百万マルクに、同党の不正資金疑惑解明委員会が関心を寄せて
いる。すべての政党の代表が、キープを委員会に証人として出席さ
せることに賛成した。彼は同党の不正資金疑惑の鍵を握る人物の一
人とみなされている。この百万マルクの出所はあいかわらず不明で
ある。連邦検察は同党に態度を明らかにするように求めている。ま
た同党は、キープに不正資金疑惑の賠償責任を負わせる方針である。


4月26日(木)

(ハルツーム)約50人の乗客をのせたエチオピアのアントーノフ型旅客機がスー
ダンへ向けて離陸後乗っ取られた。現地の国営ラジオによれば、乗っ取り犯の中に
はエチオピア出身の学生がいる模様。彼らはアメリカとイギリスの外交官との接触
を求めている。スーダン政府は交渉を受け入れた、とのことである。

     その他のニュース
・イスラエルでは厳重な警戒措置のもと独立53年記念日が始まった。
都市や観光地では警官や軍が平常時より多く投入されている。パレ
スチナ人居住区へ続く道は閉鎖されたままである。イスラエル兵は
ガザ地区で農夫一人を射殺した。水曜日夕方にガザ地区で起った4
人の死者を出した爆破事件の原因はまだ不明である。パレスチナ自
治区当局はイスラエルを、謀殺を行なったと非難した。一方武装パ
レスチナ人勢力は、イスラエルに対する攻撃態勢を整えているが、
その際イスラエル兵から攻撃を受けた、との声明を出した。
・ウクライナ議会は首相ユシチェンコとその改革はの政府を退陣さ
せた。国会は共産党と産業界よりの政党が提出した不信任動議を賛
成多数で可決した。国会ではユシチェンコの経済政策が批判されて
いた。ユシチェンコは、政界からは引退せず再帰を目指す、と発表
した。欧州審議会の議員総会はストラスブールで、ウクライナの重
体な人権侵害と民主主義の欠如を非難したが、同国の除名は今のと
ころ拒否した。ウクライナ政府は6月までに改革を行なうことにな
っていた。
・元ソ連のウクライナ、ロシア、ベラルーシではチェルノブイリ原
発の追悼式が行なわれた。キエフでは大統領クチマが犠牲者の追悼
式に出席した。1986年4月26日のチェルノブイリ原発事故では、当
局の発表では4千人が救助作業中に死亡した。7万人のウクライナ人
が放射線の影響で働くことができなくなった。今なお340万人がこ
の事故の影響下にある。


4月27日(金)

(ベルリン)世界的な景気の悪化に直面し、ドイツ政府は経済成長予測を今までの
2.75%から2%に下方修正した。大蔵大臣ハンス アイヒェルはその理由として原
油価格の高騰と、アメリカの景気後退をあげ、ドイツの財政、産業政策には変更が
ない、と発表した。また来年は2.25%程度の成長を予想している、と語った。野党
の代表は政府の経済政策の失敗である、と非難し、政策の方向を変えるよう求めた。

     その他のニュース
・ドイツへの移住に関する新規定をめぐる議論で、与野党の代表者
が話し合いを行なう方針を示した。社会民主党議員団長シュトゥル
ックはキリスト教民主同盟、キリスト教社会同盟が要求していた、
極めて長期間かかることもあった亡命手続きを短縮することに賛成
した。またそのための法律を整備することにも賛成した。またキリ
スト教民主同盟とキリスト教社会同盟会派長メルツも合意に向けて
準備をしている、と語った。政府の移民問題委員会議長ズュースム
ートは、両党の合意が今回の任期中に行なわれるよう期待している、
と語った。
・連邦参議院は、政府が提案していた州財政の不均衡をならすため
の新しい規則案を否決した。連邦と州、および州相互での税収を調
整するための基準が対立の原因になっている。バーデン・ヴュルテ
ンベルク州首相トイフェルは、連邦は州の負担で、連邦の利益を守
ろうとしている、と批判した。連邦憲法裁判所は、州財政の不均衡
を調整する新しい規則を作るよう命じていた。いわゆる贈与州バイ
エルン、バーデン・ヴュルテンベルク、ヘッセン州がこの規則は不
当であるとの理由で訴訟を起こしていた。
・政府と社会民主党政権の各州首相が会議を行ない、年金改革に関
する合意が成立する見込みである。これで連邦参議院で年金改革案
の大部分に賛成を得られる可能性が出てきた、と政府側報道官ハイ
エが語った。ただし具体的な会談日程は決まっていない。連邦と州
は個人加盟の老齢年金を国として進めていくかどうかで対立してい
る。連邦参議院は年金改革のこの部分には賛成することになる。


4月28日(土)

(ワシントン)主要工業国7ヶ国の大蔵大臣と発券銀行の代表者(G7)は世界の経
済情勢に関する話し合いを行なっている。主要議題は、産業界はアメリカの好景気
が終わったのにどのように対処するか、ヨーロッパと日本は景気回復のためにどん
なことができるか、という2点である。ドイツ大蔵大臣ハンス アイヒェルは会議
を前にして、世界的に景気が低迷しているからといって、ヨーロッパが財政と通貨
政策の授業を受けねばならないことにはならない、と語った。
会議は国際通貨基金と世界銀行の春の会議と並行してワシントンで行なわれている。

     その他のニュース
・近東会談再開を間近に控えた土曜日、イスラエル人とパレスチナ
人の間でまた武力衝突が起った。パレスチナ側の情報によれば夕方
イスラエル兵が西ヨルダンランドでパレスチナ人1人を射殺した。
一方イスラエル側の情報では、その前にガザ地区のユダヤ人居住区
3ヶ所に臼砲弾が打ち込まれ、少なくとも5人が怪我をおった。ファ
タ派とハマスはこの攻撃を行なったことを認めている。政治の局面
では、EU外務調整官のソラナが近東問題を3日間に渡る審議を行な
う方針である。また日曜日にはイスラエル外相ペレスがエジプトと
ヨルダンでの会談を行なうことになっている。
・マケドニア内務省の情報によれば、南セルヴィアのコソヴォとの
国境付近の銃撃戦で8人が死亡した。戦闘が起ったのはマケドニア
北部の村である。3月にはこの地域でマケドニア治安維持軍とアル
バニア系過激派との激しい戦闘が起っていた。
・米国の資産家ティトとロシアの宇宙飛行士2人国際宇宙ステーシ
ョンISSに向けて出発した。ロシア宇宙航空局によれば、ソユーズ
宇宙カプセルは計画通り打ち上げられ、9分後に推進ロケットを切
り離し、軌道に乗った。米国のNASAは安全面の理由から、60歳
のティトの宇宙飛行に反対していたが、条件づきで認められていた。
ソユーズは月曜日に宇宙ステーションにドッキングする予定である。


4月29日(日)

(カイロ)近東ではここ数ヶ月間の武力衝突が続いているが、ようやく外交交渉で
事態の進展がはかられる可能性が出てきた。エジプト大統領ホスニ ムバラクによ
れば、イスラエルとパレスチナは武力の使用を中止することで基本的に合意した。
両者は4週間の戦闘中止を遵守するなら、昨年から中断している和平交渉を再開す
る、とイスラエル外相シモン ペレスとのカイロでの会談後、ムバラクは語った。
イスラエル首相アリエル シャローンは、戦闘の終結後になら交渉を再開する、と
の文書に署名している。またペレスはこの後ヨルダンを訪問し、アカバで国王アブ
ドゥッラ2世と情勢について話し合う。

     その他のニュース
・マケドニアは治安部隊8名が殺害されたことに対し、コソヴォ国
境の軍と警察を増強した。軍と警察は土曜日に背後から銃撃された
町に向けて出発した。政府はこの事件を明確な名称をあげずに過激
派によるものとしている。この事件は武装アルバニア人によるもの
である、との報道もある。EUとNATOはこの事件を激しく非難して
いる。NATO事務総長ロバートソンは、過激派のこの戦術はいかな
る成果も上げない卑劣な行動である、と語った。
・中国は海南島に留め置かれている米軍偵察機の引き渡しを行なう
方針である。中国の報道によれば、偵察機の検査と証拠物件の収集
は終わり、アメリカ側は中国への支払いを行なうことを考慮してい
る。米国副大統領チェーニーは中国のこの方針を「前向きの兆候だ」
と歓迎した。しかし彼は賠償金を支払うという報道は否定した。
・主要工業国7ヶ国の蔵相による国際通貨基金と世界銀行の会議は、
世界経済に対する明るい見通しのもとで行なわれている。土曜日の
会議では、予想は低いもの、経済成長は着実であることが確認され
た。しかしドイツ蔵相アイヒェルは米国の経常収支の赤字の大きさ
が危険である、この赤字が発生したのは米国が好景気であった間だ、
と指摘した。アメリカ財務長官オニールは欧州と日本に世界経済の
成長を進める努力をするよう求めた。


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