8月20日〜26日のドイツのニュース

8月20日(月)

マケドニア派兵の決定 来週に

(ベルリン)連邦議会は来週中に、懸案になっているドイツ国防軍をマケドニアに
派遣する問題を決定する予定である。社会民主党議員団長ペーター シュトゥルッ
クは党幹部会の後、NATOと連邦内閣が今週中に派兵の決定を行なうのが、国会で
の議決の条件である、と語った。党内部からも反対の声が多くあがっているにもか
かわらず、野党キリスト教民主同盟、キリスト教社会同盟、自由民主党からも賛成
者が出るが、連立与党だけで過半数を獲得できる、とシュトゥルックは見ている。
緑の党幹部のフリッツ クーンも与党だけで過半数鵜がとれるとみている。今回の
派兵にはドイツ国防軍兵500名を含め、3,500人のNATO軍兵士が参加することに
なっている。

     その他のニュース

NATO最高司令官 停戦状況を照会

(スコピエ)NATO欧州最高司令官ラルストンは、軍とアルバニア
人反乱勢力の間の停戦状況を照会するため、NATO軍先遣隊の将校
とマケドニア政府代表と面会した。火曜日に彼はNATO各国の大使
に今後の見通しを伝えることにしている。停戦が安定して維持され
ていることが、反乱勢力の武装解除を行なうNATO軍を派遣する条
件である。NATOがいつ決定を下すかはまだはっきりしない。

外相 近東の武力衝突の終結を呼びかけ

(テル アヴィヴ)独外相フィッシャーは、イスラエル外相ペレス
とテル アヴィヴで会談し、近東紛争解決を目指すペレスの新たな
提案を歓迎した。この会談に先立ち、フィッシャーはカイロを訪問
し、イスラエルとパレスティナが今一度、占領地域の今後に関する
対立を和らげるよう呼びかけていた。フィッシャーはエジプト外相
アーメド マヘールとの会談後、武力衝突が終わらなければ、米上
院議員ミッチェルの和平計画を実行に移し、和平交渉の再開に向け
た相互の信頼回復は出来ない、と語った。フィッシャーは水曜日に
はアラファトとの会談が予定している。

労組 社会福祉政策批判

(ベルリン)社会民主党副党首代理シャルピングの社会福祉事業に
関する計画は、労働組合の批判を浴びている。ドイツ労働総同盟副
会長エンゲレン・ケーファーは、国は、生きていくために最低限必
要なものを国民に与えるという義務を免れている、とは考えられな
い、と語った。シャルピングは使用者連合の会長フントの支持を取
りつけている。提供された職業教育や職場を拒否するのであれば、
今までより強い制裁を受けなければならない、とフントは語ってい
た。


8月21日(火)

外相フィッシャー アラファトと会談

(エルサレム)イスラエル外務大臣シモン ペレスとパレスティナ大統領ヤセル 
アラファトは近東紛争解決の道を探るべく会談の準備を進めている、とアラファト
はドイツ外相ヨシュカ フィッシャーとの会談後ラマラで発表した。アラファトは
会談場所をベルリンにしよう、と提案した。ペレスは会談の開催に賛成している。
フィッシャーは、そのためには首相アリエル シャローンの支援も必要である、と
見ている。フィッシャーは火曜日に再びアラファトと面会し、ペレスによる休戦計
画について意見を交換することになっている。

     その他のニュース

NATO マケドニア派兵を基本的に決定

(ブリュッセル)マケドニアのアルバニア人反乱勢力の自主的な武
装放棄にむけ3,500人のNATO軍の派遣は目前に迫っている。NATO
司令部では、水曜日正午までに加盟19ヶ国から異議が出されなけれ
ば、部隊を派遣する、と発表した。NATO欧州最高司令官である米
国将軍ラルストンが、バルカン情勢を報告した後、派兵が基本的に
決定された。彼は、今がこの長期に渡って計画された作戦を行なう
のに適している時期だ、と語った。また、危険はあるが甘受できる
範囲であり、情勢がより安定するのを待っていると、危険が高まる
恐れがある、とも語った。NATO先遣隊は、本部設置のために、既
に現地に到着している。

独軍 マケドニア派兵は微妙な情勢

(ベルリン)連邦政府は、国防軍のマケドニア派遣に多数が賛成す
るかどうか、不安視している。社会民主党内で批判的な立場を取る
フリーゼは、火曜日、来週派遣に反対の投票を行なうつもりだ、と
語った。彼は、道党内で約30人の国会議員が同調すると見ている。
緑の党では7人の国会議員が反対の意志を示している。キリスト教
民主、社会同盟の共同会派長メルツは、国防軍に対しより多くの資
金を出すことを条件に、賛成する、と改めて語った。さらに彼は、
自主的に放棄された武器を回収する以外の仕事をNATOが命じるよ
う、求めている。一方社会民主党議員団長シュトゥルックは、連邦
議会で必要な過半数を獲得できる、と見ている。

首相 チェコのEU早期加盟を予想

(プラハ)首相シュレーダーはチェコは最有力のEU加盟候補国であ
ると見ている。チェコ首相ゼマンとの会談後彼は、2004年に同国
はEUに加盟するだろう、との確信を語った。会談前に彼はフォルク
スヴァーゲン社が買収したムラダ ボレスラフのスコダ製作所を訪
問し、この投資は過去10年間のドイツとチェコの協力関係の見本
となるものだ、と語った。またスコダ・フォルクスヴァーゲンは東
欧の企業の近代化を成功させるための見本でもある、とも語った。


8月22日(水)

NATO マケドニア派兵決定

(ブリュッセル)マケドニア政府軍とアルバニア人反乱勢力の衝突が始まって6ヶ
月、NATOは反乱勢力側の武装解除のための部隊派遣を開始した。ドイツ兵500名
もこの作戦に参加するかどうかは、来週水曜日に連邦議会の特別会で決定さる。
NATO事務長ジョージ ロバートソンはブリュッセルで、ドイツ国会が、大量殺戮
を阻止する今回の作戦に反対するとは考えていない、と語った。NATOの決定を受
け、総勢3,500人の兵士が1ヶ月間にわたりマケドニアに駐留し、アルバニア人反
乱勢力UCKの武器を回収することになっている。フランス兵185名からなる第1陣
は既にスコピエ入りした。

     その他のニュース

外相 ユダヤ人入植中止に賛成

(エルサレム)外相フィッシャーは近東訪問の最後に、パレスティ
ナ人居住区にユダヤ人の入植地を建設するのは中止するべきだ、と
発言した。イスラエル国会議長アヴラハム ブルクとの会談で彼は、
大量の流血を止められるのは、入植地建設中止とテロの撲滅だけで
ある、と語った。パレスティナ人居住区で暴力事件が起ったため、
フィッシャーの会談には暗雲がたれ込めた。西ヨルダンランドでは
イスラエル兵が爆弾犯と見られる4人を射殺した。ガザ地区では軍
がパレスティナ警察の建物を破壊した。

首相 右翼との闘いを呼びかける

(ドレスデン)連邦首相シュレーダーは東部各州訪問中に、あらゆ
る形態の極右と戦うよう呼びかけた。ザクセン州のゼプニッツで彼
は、ネオナチは東部だけの問題ではなく、ドイツ全土の、また国外
でも問題になっている、と語った。ゼプニッツは昨年、ドイツ人と
イラク人の家族が、息子をネオナチに殺されたと訴えたため、大き
く取り上げられた町である。その後の調査で、この6歳の子供はプ
ールで溺れたことがわかっている。シュレーダーは、ゼプニッツ市
はこの事件の報道で不公平な取り扱いを受けた、と語った。

コロンビア軍 人質のドイツ人解放

(ボゴタ)コロンビアで誘拐されたドイツ人リロイは5日後、解放
された。コロンビア軍特殊部隊が、左翼反政府組織国民解放軍ELN
の手から彼を解放した。リロイは土曜日、カルダス州のボゴタとメ
デリンを結ぶ道路で車から連れ去られた。一方1ヶ月前、左翼反政
府組織FARCに誘拐されたドイツ人3人の行方はまだわかっていない。


8月23日(木)

首相 マケドニア派兵で野党に譲歩を求める

(ベルリン)連邦首相ゲアハルト シュレーダーは、野党キリスト教民主同盟、キ
リスト教社会同盟に対し、NATO軍のマケドニア派遣にドイツが参加するとの内閣
の決定に賛成するよう求めた。派兵を行なわなければマケドニア内戦の終結は望め
ず、事態が緊迫すれば、現在必要と見積もられている以上の額をドイツ政府が支出
しなければならない、と彼は語った。キリスト教民主、社会同盟会派長フリードリ
ヒ メルツは、国防軍の予算を増額しないのであれば、同会派は賛成することはあ
りえない、と語った。
内閣は500人までのドイツ兵を、アルバニア人反乱勢力の自主的武装放棄のための
NATOマケドニア派遣部隊に参加させることを決めていた。派遣には水曜日に開か
れる特別会での連邦議会の議決が必要である。

     その他のニュース

NATO軍派遣決定翌日のマケドニア状況

(スコピエ)マケドニア紛争地域にはさらにNATO軍兵士が到着した。
総勢3,500人の軍隊が10ないし14日駐留する。作戦の任務は、アル
バニア人反乱勢力UCKの武器を回収することである。NATO事務長ロ
バートソンは、兵士を戦闘が起る可能性のある地域には入れない、
と語った。一方、露大統領プーチンはこの派兵を疑問視し、反乱勢
力が本当に武器を放棄するか疑わしい、とウクライナ訪問中に語っ
ている。

野党キリスト教民主、社会同盟 移民政策に反対

(ベルリン)キリスト教民主同盟、キリスト教社会同盟は、共同声
明の中で、内相シリーの移民計画を拒否した。バイエルン州内相ベ
ックマンは、シリー案は論外で、とくに労働のための移民の規定に
関する提案は寛容すぎる、と語った。また移民がドイツに溶け込む
ための費用の問題が棚上げされている、とも指摘した。キリスト教
民主同盟移住委員会議長ミュラーは、シリー案には欺瞞がある、と
語った。両党の拒否の態度は自由民主党と民主社会党の厳しい批判
を受けている。自由民主党事務長ピーパーは、キリスト教民主同盟
を、選挙戦略上法案の可決を遅らせようとしている、との理由で非
難した。

リポバイ問題

(ベルリン)コレステロール値を下げるリポバイ問題に関連して、
厚生大臣シュミットは患者用の医薬品証明書の早期導入を計画して
いる。これは、患者が使用した医薬品を可能な限り記載するチップ
で、医者や薬剤師に正しい治療履歴を提供する。一方バイアー社は、
リポバイを日本市場からも引き上げる、と発表した。バイアー社の
株は、値下がりから反発した。米国では、世界各地で死者を出す原
因となったリポバイを作ったバイアー社を相手取った集団訴訟が2
週間前から起こされている。


8月24日(金)

ロイナ疑惑で逮捕者

(ウィーン)オーストリア内務省によれば、ロイナ社の賄賂疑惑で同国で逮捕され
ているドイツ人実業家ディーター ホルツァーは、保釈金と負担を支払うことで、
再び釈放された。70万マルク相当の保釈金の支払いが指示された。ホルツァーに
国際拘留状を求めているフランス司法当局は、彼の引き渡しを要求する方針である。
ホルツァーは、フランスの石油会社エルフ アキテーヌ社のために、東ドイツのロ
イナ精油所購入に際して、資金洗浄を行なった疑いが持たれている。世界各地で活
動している彼の銀行口座には約8千万マルクが流れ込んでいた、とのことである。

     その他のニュース

首相 EU拡大で好機が到来すると強調

(マルクトレートヴィッツ)首相シュレーダーは夏の東部訪問の最
後に、EUの東方拡大は、全欧州に平和と繁栄を実現する好機である、
と発言した。チェコ首相ゼマンと一緒に、シュレーダーは東部とチ
ェコ訪問の最後の一日に、バイエルン、ボヘミア、ザクセンの接す
るこの町を訪問した。

NATOとアルバニア人反乱勢力 武器の回収で合意

(スコピエ)マケドニアのNATO軍はアルバニア人反乱勢力と、放
棄する武器の数に関して合意した、とNATO司令官ランゲは発表し
たが、具体的な数については言及しなかった。マケドニアの通信員
によれば、3千から6千の武器が回収される模様である。その他ラ
ンゲは、停戦を維持するために、対立点を解決する話し合いが行な
われた、と語った。独外相フィッシャーは、ドイツ兵のマケドニア
派遣に関して、参加しなければ、ドイツはオフサイドの位置に置か
れることになる、と語って、野党の支持を取りつける努力を行なっ
た。一方連邦議会では国防軍派遣に過半数が賛成する見通しである。

コシュトゥニツァ セルビア政府に対する不信任案を拒否

(ベオグラード)ユーゴ大統領コシュトゥニツァは、セルビア国会
が提出したジンジッチ政権に対する不信任動議を拒否した。彼は、
選挙の早期実施につながるので、このような投票には反対である、
と語った。コシュトゥニツァの政党セルビア民主党は、一週間前、
犯罪と汚職に対する取り組みが不十分であるとして、政府から閣僚
をひき上げると発表していた。同党はまず議会で不信任決議を行な
う、と圧力をかけていた。


8月25日(土)

近東和平交渉に暗雲

(エルサレム)重大な事件が起こり、近東に和平を実現するための努力に再び暗雲
が立ちこめた。2人のパレスティナ人が、ガザ地区でイスラエル軍を襲い、兵士3
人を殺害した。犯人2人は攻撃をした際に死亡した。イスラエル軍はガザ地区南部
を完全に封鎖した。イスラエル側は、パレスティナ首脳部にこの襲撃事件の責任が
ある、としている。監視団によれば、この事件のためパレスティナ大統領ヤセル 
アラファトとイスラエル外相シモン ペレスが早期に会談を行なう可能性は低まっ
た。アメリカ大統領ジョージ ブッシュはテキサスで、パレスティナ人がテロを行
なわないよう強く求めた。

     その他のニュース

キリスト教民主同盟党首 マケドニア派兵を拒否

(スコピエ、ベルリン)NATOの兵士は、アルバニア人反乱勢力の
武装解除の計画を実行するため、必要な準備を開始した。来週には
反乱勢力側の兵士は、マケドニア北部の15箇所で約3,000の武器
を引き渡すことになっている。NATO軍の派遣は30日以内に終了す
ることになっている。ドイツ国防軍がこの作戦に参加するかどうか
はまだ未定である。キリスト教民主同盟党首メルケルは、相変わら
ず派兵には批判的である。緑の党のベーアは、同党の過半数は国会
で賛成投票をすると思う、と語った。

放棄する武器の数 議論の的に

(スコピエ)マケドニアのNATO軍と同国政府は武器回収開始2日前
になっても、回収する武器の数で対立している。NATOは3,500を
回収する方針であるが、政府は反乱勢力は8万の武器を持っている、
と語っている。一方NATO軍兵数百人がマケドニアに到着した。あわ
せて5千人ほどの部隊が駐留する。一方いわゆるアルバニア国民解
放軍の兵士は、マケドニアからコソヴォに撤退している模様である。
和平維持軍KFORの米軍兵士は52名の反乱勢力の兵士を拘禁した、と
発表した。

チェチェンで爆破事件 3人死亡

(モスクワ)チェチェンの都市グデルメスの市で爆破事件が起こり、
3人が死亡、11人が怪我をした。犠牲者はこの町の住人である、と
報道されている。死者の中には10歳の子供も含まれている。市の広
場の近くには、カリーニングラードの警察部隊が駐留している。チ
ェチェン反乱勢力による犯行と見られている。彼らは数日間、カフ
カス共和国に駐留していたロシア兵に対する攻撃を強めていた。


8月26日(日)

近東 血の週末

(ガザ市)最近で最も激しい流血の週末となった近東では、10人が死亡した。イ
スラエルとパレスティナの間では和平の努力が行われていたが、これによって再び
紛争が激化した。ガザ地区の軍事拠点とエルサレム近郊の入植者の家族に対するパ
レスティナ側の攻撃で死者が出たことに対する報復として、イスラエル空軍機がガ
ザ地区と西ヨルダンランドのパレスティナ警察の建物数ヶ所を攻撃した。北部では
パレスティナ人がイスラエル人運転手に発砲した。日曜日午後、イスラエル軍ヘリ
が再び西ヨルダンランドのパレスティナ警察の派出所を攻撃した。

     その他のニュース

マケドニア情勢緊迫

(スコピエ)マケドニアでは、NATO軍によるアルバニア人反乱勢
力の武装解除を翌日に控え、爆弾事件で情勢が緊迫している。テト
ヴォ近郊のホテルを何者かが爆破し、マケドニア衛兵2人が死亡し
た。一方マケドニア政府とNATOは回収する武器の数をめぐって対
立し続けいてる。首相ゲオルギエフスキは10万を主張していが、
NATO側は3,300を主張している。

キリスト教民主同盟 マケドニア派兵で議論

(ミュンヘン)ドイツ国防軍をマケドニアに派遣する問題に関して、
キリスト教民主同盟の外交問題の専門家ラーマースは、連邦議会で
同党の過半数が賛成するとの期待を述べた。彼は、軍の財政状況が
不十分だからといって、同党が派兵に反対する理由としては十分で
はなく、このままではドイツに対するNATOの信頼感が疑われかね
ない、と語った。同党首メルケルと国会の会派長メルツは、派兵賛
成の条件として軍予算の上積みを挙げている。

赤十字 「現代の避難所」と面会

(カブール)赤十字国際委員会の代表が、捕えれれている援助組織
「現代の避難所」の8人の外国人協力者と、アフガニスタンで面会
した。独外務省報道官は、赤十字の協力者はドイツ人4人を含む捕
虜と短時間ながら話し合うことができた。捕虜は女性6人、男性2人
で、男女別に捉えられているが、健康状態はよい、とのことである
。また、パキスタンのイスラマバードのタリバン指導部は、現地で
足止めをくっている独、豪、米の外交使節団にアフガニスタンへの
ヴィザを発給する、と約束した、とのことである。捕虜はキリスト
教の布教を行なった容疑がかけれられており、イスラム急進派の同
国では死刑が言い渡される可能性もある。


今日のニュースへ

過去のニュース(目次)へ inserted by FC2 system