9月24日〜30日のドイツのニュース

9月24日(月)

米国 テロリストの資産を凍結する方針

(ワシントン)米国大統領ジョージ W. ブッシュは、同国内にあるテロリスト組織
とその支援者の資産を凍結するよう命令した。その措置は27の個人、組織、企業
に対してのものである。その中にはニュー ヨークとワシントンの攻撃の黒幕とし
て行方を追求されているウサマ ビン ラディンも含まれている。その他に、テロ
リストと取引きのある外国政府、銀行は米国内の資産の差し押さえを受けることを
覚悟しなければならない、とされている。一方米国はアフガニスタンにいると見ら
れているビン ラディンと対決する同盟を広げる努力をしている。米軍代表はイス
ラマバードで、パキスタン首脳と協力体制について話し合った。カザフスタンとウ
クライナは軍事攻撃を支援することを約束した。タジキスタンは軍に緊急警戒待機
態勢をとらせている。

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タリバン 米国に湾岸地域からの撤退を求める

(イスラマバード)アフガニスタンのイスラム急進派政府は、米国
との対決姿勢を強め、湾岸地域から米国が撤退するよう求めた。タ
リバンの指導者ムッラーモハマド オマルは、カンダハルで態度表
明を行ない、ビン ラディンや自分を殺害しても、米国はこの危機
から解放されることはない、30万人の兵士を追加動員している、と
発表した。ロシアの情報によれば、ビン ラディンはアフガニスタ
ンとパキスタンの国境近くに潜伏しており、パキスタンのイスラム
教徒に米国との「聖戦」に参加するよう呼びかけている模様である。

ロシア 支援物資輸送のため領空を解放

(モスクワ)露大統領プーチンは、米国がテロ組織を攻撃する際に
はロシアの領空を支援物資輸送のために通過させる、と発表した。
その他、アフガニスタンの反政府勢力に武器を輸送して、武装を充
実させ、国際的に承認されたアフガニスタンとの協力関係を強化し
て行く、とも語った。さらにロシアは秘密情報部と協力して、国際
テロ組織との闘いに加わって行く、と語った。一方アフガニスタン
北部では反政府勢力北部連合が戦闘を強化しており、サリ バサル
の町を占拠した模様である。

パキスタン 在アフガニスタン大使を退去させる

(イスラマバード、カブール)パキスタン外務省は、アフガニスタ
ンの首都に駐在している大使館員全員をひきあげた、と発表した。
外交関係を断絶したかどうかは明らかにされなかった。アフガニス
タンを支配しているタリバン民兵は、カンダハルの国連事務所を占
拠し、外部との連絡が取れないようにした。また国連筋によれば、
タリバンは国連の食糧支援で貯蔵されている1,400トンの食糧を押
収した、とのことである。


9月25日(火)

プーチン 世界規模の安保体制を要求

(ベルリン)ドイツ大統領ヨハネス ラオは、国際平和とヨーロッパ安定にロシア
は重要な役割を果たす、と強調した。ベルヴュー宮殿での歓迎夕食会で彼は、ロシ
ア大統領ウラジミール プーチンに、ロシアがヨーロッパと協力態勢をとることが
ドイツの政治の重要な目標であり、またロシアはEUとNATOの東方拡大を好機とし
て利用すべきである、と語った。午後にはプーチンは連邦議会で演説し、米国攻撃
の結果、ロシアを含め世界規模で、新たな安全保証体制を構築するよう求めた。
これに先立ちドイツ首相ゲアハルト シュレーダーはプーチンと会談し、安全保障
問題で協力態勢を強めて行くことで合意した。

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首相とムバラク 近東紛争解決を緊急課題と認識

(ベルリン)独大統領シュレーダーとエジプト大統領ムバラクは、
テロ行為との闘いが勝利を収めるためには、近東紛争の解決が欠か
せない、との共通理解に達した。会談後シュレーダーは、近東和平
会談を緊急に進める必要がある、と発言した。ムバラクは米国とEU
にこの紛争解決の努力を急ぐよう訴えた。

アフガニスタン 外交的に孤立

(リャド)アフガニスタンは支持を失い、国際的にほぼ完全に孤立
した。アラブ首長国連邦に続き、サウジアラビアもイスラム急進派
タリバン政権と断交した。一方パキスタンは外交関係を維持すると
強調しており、米国と同盟する諸国に、アフガニスタンの反政府勢
力を支持しないよう、警告した。サウジアラビアはタリバンが、テ
ロリストに庇護を与えないよう、努力してきたが、これが上手くい
かなかったため、あらゆる関係を断った、と発表した。

G7各国 テロリストの資金源を断つ方針

(ワシントン)主要工業国7ヶ国G7は、テロ組織の資金源を全面的
に立つ方針である。蔵相が電話会談を行なって、テロ組織に関連す
る全世界の銀行口座や資産を封鎖することで合意した。新聞報道に
よれば、ドイツだけで13の口座の270万マルクが凍結された。G7
蔵相は、今回の事件で米国の景気回復は遅れるだろう、との見通し
を発表した。


9月26日(水)

NATO マケドニアに新全権派遣を決定

(ブリュッセル)NATO理事会は、ドイツ主導でマケドニアに新たに全権を派遣す
ることを基本的に決定した。今までのところ、マケドニア政府と意見が一致せず、
派遣命令が実施されていなかった。NATO事務長ジョージ ロバートソンは、「黄
色い狐」という名称のこの使節の実際の派遣はまだ先であるが、NATOは同国が恒
久的な平和への道を歩むのを支援することを決めている、と語った。NATOは期限
を設けずに千人以上からなる部隊を送り込もうとしているが、マケドニア政府は年
末までの期限付きで、600人の入国を許可する方針である、とNATOは発表した。

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外相 アラファト・ペレス会談を歓迎

(ベルリン、ワシントン)独外相フィッシャーはパレスチナ大統領
アラファトとイスラエル外相ペレスの会談を歓迎した。両者は出来
るだけ早く、安全保障上の協力態勢を具体的に作らなければならな
い、関係者全員が、現在の比較的落ち着いた状況をさらに安定した
ものにするよう求める、と彼は語った。また米国は双方の住民に、
和平の機会を逃さないよう訴えた。ペレスとアラファトは、相互の
信頼を形成するための対策をとることで合意していた。2人は安保
問題で協力を行なう方針で、停戦の実施に向けて努力を行なうこと
にしている。1週間以内には両者は会談を行なう意向である。

米国 当面はNATOの軍事支援を求めず

(ブリュッセル)テロ攻撃に対する復讐で、米国は当面NATOの軍
事支援を求めない、と国防副長官ウルフォウィッツは語った。彼は、
米国は長期的な反テロの広報活動と、全世界の団結を求めており、
軍事行動は全行動の一部にすぎない、と彼は強調した。一方NATO
事務長のロバートソンは、NATO第5条集団的自衛の項目を適用す
るためには、米国が事件の黒幕が誰かを証明する必要はなく、米国
政府が外国からの攻撃が組織的に行なわれた、と発表するだけで十
分だ、と語った。独国防相シャルピングは、自分の持つ情報では、
外国からの攻撃の可能性が高まっている、と語った。

首相とハタミ テロとの共同戦線で合意

(ベルリン)独首相シュレーダーはイラン大統領ハタミとの電話会
談を行ない、テロ対策を話し合った。政府筋によれば、ハタミは同
国も諸外国と共にテロ組織と戦って行く準備を進めている、と強調
した。以前同国政府からは、米国主導の反テロ連合に参加する意志
はない、との情報が流れていた。同国の宗教上の最高指導者アヤト
ラ アリ ハメネイはテレヴィ番組で、米国がアフガニスタンを軍
事攻撃することを糾弾していた。


9月27日(木)

スイスの殺人鬼 14人を殺害

(ベルン)警官の服を着た殺人鬼がスイスのツーク州議会で14人を射殺、その他
に少なくとも10人が怪我をした。その後犯人は自らを撃った。当局の情報によれ
ば、死者の中には州政府の閣僚3人が含まれている、とのことである。犯人は57
歳で、議会に侵入し、議員を罵った。その後発砲し、手榴弾を投げつけた。犯行
は、犯人が申し立てた苦情を州政府が拒否したことに関係していると見られてい
る。

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国会 マケドニア派兵を可決

(ベルリン)連邦議会は過半数の賛成で、NATO軍のマケドニア派
兵への国防軍の参加を承認した。この派兵は「琥珀の狐」作戦に関
連するもので、ドイツ軍が初めてNATO連合軍の指揮をとることに
なる。この作戦はさしあたり3ヶ月の期限付きである。議会では
528人が賛成、40人が反対、10人が棄権した。民主社会党は以前
から反対を表明していた。連立与党からも棄権者が出たが、反対者
はいなかった。現在行なわれている国防軍のマケドニア派兵に関す
る投票と異なり、連立与党は単独で過半数を得た。約千人規模の部
隊が、国際監視団が干渉を受けないよう、警護することになってい
る。

アルバニア人反乱軍 解散

(スコピエ)マケドニアのアルバニア人反乱勢力軍UCKは解散し、
兵士はすべて民間人に戻るように求めた、と軍の代表アリ アーメ
ティは発表した。反乱勢力は今年の始めからマケドニア軍と戦いを
続けてきた。同国のすべての民族を代表する政党の間で和平条約が
締結された後、反乱勢力軍は武装解除と解散に賛成し、NATOに武
器を渡していた。

連邦参議院 反テロ法案を可決

(ベルリン)連邦参議院は政府の反テロ法案を基本的に支持した。
連邦政府が提案していたテロ行為との戦いを進めるための対策を定
める法案では、社団に関する法律で定められている宗教団体の特権
の剥奪が目指されている。さらに将来的には、海外のテロリスト組
織に参加した場合にも処罰できることになっている。治安確保のた
めに空港従業員の再調査を行なうとの提案はあまり支持されなかっ
た。この後、この法案は連邦議会にまわされる。


9月28日(金)

パキスタンによる仲介 失敗

(イスラマバード)パキスタン使節団は金曜日、アフガニスタンで仲介を行なお
うとしたが失敗した。使節団の1人は、タリバンの指導者ムッラー モハメド 
オマルに、テロリストの中心人物と目されているウサマ ビン ラディンを引き
渡巣よう説得することに失敗した、と語った。同使節団はカンダハルからパキス
タンに戻った。一方パキスタンではイスラム原理主義者が再び軍の権力者ペルヴ
ェズ ムシャラフと、彼が米国を支援することに対し抗議活動を行なった。米国
での報道によれば、既に英米の精鋭部隊がアフガニスタンに到着し、ビン ラデ
ィンの捜索の準備をしている、とのことである。

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ブッシュ タリバンとの闘いに不退転の決意

(ワシントン)米大統領ブッシュは、アフガニスタンのタリバン政
権との闘いで妥協はしない、と言明した。テロ攻撃の支援者と黒幕
の追求は進行中であり、同国政府はテロリストを世界から根絶する
決意を固めている、とヨルダン王アブドゥラとの会談後語った。ま
たブッシュはサウジ・アラビアが同国から米軍機がアフガニスタン
攻撃のために離陸することを許可したことを歓迎した。王アブドゥ
ラは、テロリストはアラブのモスレムの信念を代表しているわけで
はなく、ヨルダンはこの苦境にあって、米国の側に立っている、と
語った。

インティファーダ記念日で再び死者

(エルサレム)パレスチナのイスラエルに対する武装蜂起の記念日
の金曜、占領地区で3人が死亡した。この西ヨルダンランドでの銃
撃戦にもかかわらず、両者は安保会談を行なった。パレスチナ側の
情報では、イスラエルは24時間以内にパレスチナ人居住区の封鎖
解除の第1段階を行なうことを約束した。ロシア外相イワノフは双
方が、緊張緩和の道を進み、急進派に譲歩しないよう、鼓舞した。

伊首相 発言が誤解されたと語る

(ローマ)イタリア首相ベルルスコーニは金曜、自分の西側文明が
イスラム文明より優位にあると発言したとされる件で、謝罪した。
自分の発言は文脈から切り離されて、誤解された、と国会で彼は語
った。彼の発言は主としてイスラム世界で批判にさらされていた。
EUおよびドイツ連邦政府はこの発言から距離をとっていた。アラブ
連盟の事務長アムル ムサはベルルスコーニに、発言を撤回するか
謝罪するよう要求していた。


9月29日(土)

ブッシュ 改めてテロとの戦いを呼びかける

(ワシントン)米国大統領ジョージ W. ブッシュは世界に向けてテロと戦うよう
改めて呼びかけた。ラジオの演説で彼は、米国はテロリストがどこに隠れようとも、
断固たる行動をとる、と語った。また、軍事的、外交的、経済的、法的などあらゆ
る手段を使う、とも断言した。米国はイスラム過激派ウサマ ビン ラディンとそ
の組織エル カイダがニュー ヨークとワシントンに対する攻撃の黒幕である、と
推測している。
夜の間に国連安全保障理事会は、米国が提案していた包括的な反テロ決議を全会一
致で承認した。この決議では、テロリストと目されている人物の資産を凍結するこ
とを求め、国際社会に、攻撃に責任ある人物をかくまうことがないよう訴えた。

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タリバン 外国軍部隊はアフガニスタンに到着していないと発表

(カブール)アラブのテレヴィ局エル ジャシラは、近代兵器と地
図を持った米国の特殊部隊の兵士5人が、イランとの国境近くでタ
リバンに捕らえられた、と報じたが、アフガニスタンのタリバン政
権は、この報道を否定した。タリバンは、この地域には外国兵はお
らず、完全にタリバンの管理下にある、と発表した。米国から正式
発表はないが、米国のテレヴィ各局は国防省の情報として、この報
道は誤りである、と伝えている。

アフガニスタン反政府勢力 反タリバンで結束

(ローマ)アフガニスタンの反政府勢力北部同盟の代表はイタリア
に集まり、イスラム急進派タリバン政府に対する措置を話し合った。
参加者によれば、この会合の目的は、同国の後継政府はどのような
形になるかを話し合うことである。イタリアに追放中の元国王モハ
メド サヒル シャーとの会談も計画されていた。元国王はタリバ
ンを追放する勢力を束ねる努力を以前から行なっている。彼は86歳
で、数日前からアフガニスタンの様々な勢力の代表者とローマで現
状について話し合いを行なってきた。

アフガニスタンに食糧支援

(イスラマバード)米国に対する攻撃が行なわれてから初めて、国
連はアフガニスタンに対して食糧支援を行なった。世界食料計画
WFPの情報によれば、パキスタンのペシャワールからカブールへ
200トンの小麦をのせたトラックが出発し、今後も輸送を計画して
いる。一方米国はパキスタンに経済援助7500万ドルの追加を申し
出た。疲弊した経済の再建と、同国にいるアフガニスタン難民のた
めにこの資金は使われることになっている。


9月30日(日)

タリバン ビン ラディンをかくまい続ける

(イスラマバード)アフガニスタンのタリバン政権は、行方を追求されている急進
派ウサマ ビン ラディンをかくまい続けている。在パキスタンのタリバン大使ア
ブドゥル サラム サイフズは、ビン ラディンの行方を知っているのは治安軍だ
けである、と語った。アフガニスタン政府は、米国が要求しているビン ラディン
の引き渡しを、イスラムの伝統的な滞在権を盾に拒否している。米国国防相ドナル
ド ラムズフェルドは、ビン ラディンを管理下においている、とのタリバン側の
声明の真偽を疑っている。
「ワシントン ポスト」紙によれば、CIAにはビン ラディンの滞在場所に関する
矛盾した情報が入ってきている、とのことである。チェチェン、パキスタン、ソマ
リアなどに逃亡した、との情報もあるが、まだアフガニスタンの山岳地帯に潜伏し
ている、との見方をとるものが多い。

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アフガニスタン反政府勢力 連合政府結成を計画

(ローマ)米国の攻撃するのに備えて、アフガニスタンの反政府勢
力は結集している。ローマで開かれた会合で、米国議会の代表は、
反政府勢力の代表者と同国元国王モハメド サヒル シャーと面会
した。これには武力を備えたいわゆる北部同盟も含まれている。米
国側は、会談はアフガニスタンの民主化を進めるために行なわれた、
と語った。米国側の情報によれば、元国王はタリバンの参加をも拒
否しなかった。タリバンの指導者ムッラー モハメド オマルは、
元国王をかつぐ新政府を作ることがないように、と警告し、タリバ
ンは新アフガニスタン政府と闘う、と語った。

ブレア ビン ラディンが有罪の証拠を発見と発言

(ロンドン)英国首相ブレアは、ビン ラディンが米国のテロ攻撃
に責任があることを示す明白な証拠を持っているが、証拠の一部は
国防上の理由から公開できない、と発言した。また彼は、アフガニ
スタンを支配するタリバンに対し、ビン ラディンを即時引き渡す
よう再び要求した。その他、亡命受け入れの条件を強化し、英国内
のテロリストと目される人物の引き渡して続きを迅速に行なう、と
語った。

ドイツでテロリスト容疑者3人逮捕

(ワシントン)米国の捜査陣は、米国のテロ攻撃の計画がたてられ
たのはドイツであった、との見方を強めている。「ワシントン ポ
スト」紙によれば、FBIはドイツの捜査陣を倍に増やすことにして
いる。ヴィースバーデンではイスラムテロリスト組織の隊員と見ら
れる3人が逮捕された。連邦検事局の情報では、米国攻撃との関連
は今のところ不明である。


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