11月26日〜12月2日のドイツのニュース

11月26日(月)

米地上部隊 カンダハル近郊に着陸

(カブール)米国はアフガニスタン戦争で過去最大の地上軍を投入した。海兵隊の
歩兵数百人が、タリバン最後の拠点南部カンダハルの近くに着陸した。北部同盟の
部隊は町まで7キロに迫っている。また米国空軍機がタリバンの拠点に対する大規
模な攻撃を開始した。急進派の指導者ウサマ ビン ラディンとタリバンの長ムッ
ラー モハメド オマルはカンダハルあるいはその周辺にいると見られている。一
方タリバンは、米軍と北部同盟軍からカンダハルを最後まで防衛する、戦闘を行な
わずに明け渡すことはない、と予告している。
北部同盟は北部のクンドゥス市を完全に制圧した、と発表した。

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国防軍の反テロ派兵 開始

(ラムシュタイン)反テロの国際的な戦いの枠組みの中での国防軍
の派遣が始まった。第1機となるトランスアル型輸送機が、プファ
ルツ地方の米軍基地ラムシュタインから、トルコのNATOの基地イ
ンシルリクへ向けて飛びたった。同地で米軍が軍事物資及び支援物
資を受け取り、アフガニスタンと周辺国へ輸送する。ドイツとトル
コ間をあわせて3機の輸送機が、取り合えず2ヶ月の予定で往復する。

アフガニスタン会議を前に非公式会談

(ボン)ボン近郊のペータースベルクでのアフガニスタン会議が正
式に始まるのを翌日に控えて、国連はアフガニスタンの各派代表と
の第1回予備交渉を行なった。国連全権ブラヒミニは参加した4つの
組織の代表に、できるだけ早く争いと意見の違いを乗り越えるよう
求め、この会議ではアフガニスタン暫定政権の基盤作りをすること
が優先される、と述べた。この会議は国連によって召集されるもの
で、ドイツは単なる開催国である。全部でアフガニスタンの組織4
つの代表がこの会議には参加する。北部同盟の他、元国王ザヒル 
シャー、アフガニスタン亡命政府が到着している。タリバンは参加
しない。

米国 イラクに武器捜査官を受け入れるよう要求

(ワシントン)米大統領ブッシュはイラク大統領サッダーム フセ
インに、同国は国連武器調査官を受け入れよと、はっきりと警告し
た。彼は、イラクで大量殺戮兵器を開発していないことを証明する
ためにはこれ以外の方法はない、と語った。また、これを拒否した
場合にどんな結果が起るかは、サッダーム フセインが知ることに
なるだろう、とブッシュは語った。さらに付け加えて、テロのため
に大量殺戮兵器を製造するものは、その責任をとることになる、と
も語った。イラクの武器製造は1998年12月以来国連の査察を受け
ていない。イラクはその時点で査察を拒否している。


11月27日(火)

アフガニスタン会議 最初の成果

(ボン)国連がボン近郊のペータースベルクで開いているアフガニスタン会議は、
火曜日は今後に期待を持たせる始まり方をした。話し合いの始まりに、暫定政府結
成の時間的な問題で参加者が合意した。今後3ないし6ヶ月間、暫定政府は同国のか
じ取りを行なうことになる。その後春には拡大民族会議を開き、暫定政府の方針を
後押しすることにしている。ドイツ外務大臣ヨシュカ フィッシャーは、この会議
の参加者に対し、平和と中立的なアフガニスタン建設の好機を逃さないように、と
呼びかけていた。フィッシャーは再建のための支援を行なうことを予定しており、
そのための条件として同国が安定的な政権を作り、人権を尊重することを挙げてい
る。

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タリバン捕虜の反乱 鎮圧

(カブール)米国の空からの大規模な支援を受けて、北部同盟はマ
ザリシャリフのタリバンの捕虜の蜂起を、発生後3日で鎮圧した。
英米軍特殊部隊が収容所攻撃に参加した、と米国では報じられてい
る。タリバン兵数名がまだ抵抗を続けている。この蜂起では600人
ほどの外国人傭兵が死亡した模様である。アフガニスタン南部で米
国はさらに海兵隊をタリバンの最後の拠点カンダハルの近くに集結
させて、潜伏していると思われる急進派ビン ラディンの行方を捜
索している。米軍の橋頭堡建設開始後、初めての戦闘が起った。現
地の報道では、約5千人のパシュトゥン人がパキスタンとの国境の
町スピン ボルダックを占拠し、部族間で衝突が起こっている、と
報じた。またタリバン敗走後、略奪事件が起っている、とも伝えら
れている。

イラク 国連による査察再開拒否

(バグダッド)イラクは米国が求めている国連武器調査員の再受け
入れを拒否した。イラク政府報道官は、同国はこのような脅迫を受
け入れることはない、まずイラク上空の飛行禁止空域が廃止し、善
意を示さなければならない、と発表した。米大統領ブッシュは同国
大統領サッダームに、調査員の受け入れを求め、これ以外の方法で
は大量殺戮兵器を開発していないことは証明できない、と語ってい
た。米外務省報道官バウチャーは、これが拒否された場合、イラク
に対して軍事攻撃を行なう可能性があると発表していた。

アフラ攻撃で死者4人

(エルサレム)イスラエルの町アフラでパレスチナ人の攻撃があり、
イスラエル人が銃撃を受け死亡した。これで死者の数は4人となっ
た。治安維持軍が射殺した犯人2人も含まれている。この2人はアフ
ラ中心部の人通りの多い広場で、数分間に渡って通行人と商店に向
けて無差別に発砲した。パレスチナ人の組織イスラム聖戦が犯行声
明を出した。ガザ地区ではユダヤ人入植者を乗せたバス内でパレス
チナの軍人が発砲し、イスラエル人女性1人が死亡した。これらの
攻撃で、米国使節バーンズとツィニーによる近東外交に暗雲がたれ
込めた。


11月28日(水)

アフガニスタン会議 細部で進展

(ボン)ボン近郊のペータースベルクでのアフガニスタン会議で、北部同盟は元国
王ザヒル シャーと権力を分け合うことに基本的に合意した。このことは両者が認
めている。米国はこの決定を良い現われであると評している。国連は、この暫定政
府はすべての民族を代表し、15人ほどで構成する、との計画をたてている。国内
の安全維持のために多国籍平和軍の派遣に関しては対立がある。北部同盟の代表ジ
ュニス カヌニは、外国軍の駐留には原則的に反対していないが、その条件として
包括的な和平協定が前提である、としている。細かい問題がたくさんあるため、当
初の楽観的予想に反して会議が早く終わるかどうか、疑問視する向きが出ている。

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タリバン兵大量虐殺が報じられる

(カンダハル)米国の戦闘爆撃機は、タリバンの最後の拠点カンダ
ハルを再び大規模に爆撃した。タリバンの指導者オマルと急進派の
指導者ビン ラディンが隠れていると見られる2つの建物も攻撃を
受けた。一方タリバン兵160人がパシュトゥン人によって殺害され
た、と報道じられた。パシュトゥン人の司令官が、処刑はタクテー
 ポルの戦いで先週行なわれた、その場にいた米兵は、この処刑に
抗議したが受け入れられなかった、と発表した。米国側は、マザリ
シャリフ近郊での捕虜となった反乱軍の鎮圧で、CIAの局員も死亡
したことを明らかにしたが、その状況については公表されていない。

イラクとの戦争開始に欧州 疑問を呈する

(ベルリン)ドイツ政府とEUは、反テロの戦いをイラクにも拡大す
ることには「極めて大きな疑問」を持っている。外相フィッシャー
は国会で、EUはこれには大きな留保をつけている、と明言した。彼
のこの2002年の外務省予算に関する発言は、米国は反テロ活動の
一環としてイラクへも軍を派遣することができる、との報告に反対
するものである。

テロの容疑者 逮捕

(カールスルーエ)米国での9月11日のテロ攻撃に関連して、ハン
ブルクでモロッコ人1人が逮捕された。連邦検事総長ネームの発表
では、これは27歳の学生で、犯行を直接支援した疑いがかけられて
おり、数年間この事件の黒幕と目される人物と密接に連絡をとって
いた。その中には飛行機を乗っ取って自爆テロを行なった3人も含
まれている。


11月29日(木)

アフガニスタン会議進展

(ボン)ボン近郊のペータースベルクで開かれているアフガニスタン会議で、参加
者は合意に近づいた。いくつかの使節の代表は、同国の政治の将来についての会談
で進展が見られた、と語った。交渉に参加している2大勢力の立場はお互いにかな
り近づいている、と国連報道官アーメド ファウジも発表した。アフガニスタンの
大部分を支配下に収めた北部同盟は、国際保安軍の派遣に合意する、と発表した。
北部同盟と元国王モハメド ザヒル シャーを中心とするいわゆるローマ・グルー
プは原則的に国会創設に合意した。ただし細部は今後話し合われなければならない。

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米国 アフガニスタンに軍事基地増設を計画

(カブール)米国はアフガニスタンに軍事基地を増設する方針だ、
と米軍司令官フランクスは発表した。海兵隊はカンダハルの南100
キロの地点に基地の建設を開始していた。この基地には900人ほど
が駐留している。カンダハルはクンドゥス陥落後、タリバンの最後
の拠点である。米空軍は木曜日もカンダハルへの爆撃を続けた。住
民は10月の開戦以来最大の爆撃であった、と語っている。

北イスラエルで攻撃、3人が死亡

(エルサレム)北イスラエルのバス爆破事件で、3人が死亡し、少
なくとも7人が負傷した、と報じられている。目撃者によれば、爆
風でバスは2つにちぎれた。警察は、急進派のパレスチナ人による
自爆テロである、と見ている。イスラエル首相シャローンはこの攻
撃の数時間前、米国訪問を直後に控えて、暴力の行使をやめるよう
訴えたばかりであった。

イエメンでドイツ人誘拐される

(サヌア)イエメンで武装した兵士がドイツ人実業家を誘拐した。
数人の男がこの46歳の男性を首都サヌアの自宅から拉致した。誘拐
は、イエメン大統領サレーが公式訪問でドイツに到着した数時間後
に行なわれた。会談後連邦首相シュレーダーは、暴力を用いずこの
事件を解決することに賛成した。サレーは支援を約束した。その他
2人は、国際テロと闘う反テロ同盟を支持することで意見が一致し
た。


11月30日(金)

アフガニスタン会談 行き詰まりを見せる

(ボン)ボン近郊のペータースベルクでのアフガニスタン会議は、暗礁に乗り上げ
た。元国王ザヒル シャーの報道官によれば、北部同盟は交渉の10日間の中断を
求めているが、この要求を押し通すことはできなかった。また、主として権力と役
職の配分をめぐって激しい戦いが繰り広げられ、今のところ集中して審議が行なわ
れている、とのことである。国連の代表は、北部同盟の代表による会議の延期の要
求が拒否されたことを認めている。カブールでは北部同盟の指導者で同国の名目上
の大統領ブルハヌディン ラバニが、会議の参加者が作成した候補者名簿の承認を
拒否していた。ラバニは、この会議では人事の決定は行なわない、との声明を出し
ていた。

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カンダハルのタリバン 降伏を検討か

(ワシントン)米国側の情報によれば、タリバンはカンダハルで反
政府勢力と降伏について話し合っている。米軍筋によれば、カンダ
ハル攻略のため地上軍が今までで最大の攻撃をかけているが、同市
に何人のタリバン兵がいるかは不明である。米国防相ラムズフェル
ドは、米国は同市に潜伏しているタリバンの指導者オマルに恩赦あ
るいは自由な国外退去を保証する、との解決策を受けいれることは
ないし、アル カイダの隊員にも同様の措置を取ることはない、と
強調した。一方米国大統領府はアフガニスタンへ和平部隊を近々派
遣することはない、との見通しを発表した。同国の情勢はきわめて
危険である、と報道官は語った。

開発援助大臣 アフガニスタン支援で国際協力に賛成

(ベルリン)独経済発展大臣ヴィークツォレック・ツオイル(社会
民主党)はアフガニスタン支援で国際協力を進めることに賛成した。
彼女は、先進国が、国連経済発展機構と世界銀行の理解を得られる
ような計画で合意することが最優先である、と語った。一方ジュネ
ーヴの国連難民支援局は、同国情勢が不安定なため、援助組織はタ
リバンが放棄した地域での活動を全面的に再開するには支障がある、
と発表した。世界食料機構は、改めて同国に飢餓が広がっており、
約750万人が緊急に食料を必要としている、と警告した。

カブールのゲーテ・インスティテュート 活動再開の方針

(ベルリン)ゲーテ・インスティテュートはアフガニスタンの支部
をできるだけ早く再開する方針である。これに関する提案を12月
11日に外相フィッシャーに行なうと、退任することになっている
所長ホフマンは発表した。その他、イラン、アルジェリア、キュー
バ、中国に新たな支部を設けることになっている。ホフマンは連邦
政府の支出削減策を厳しく批判し、1994年以来、32ヶ所のゲーテ
・インスティテュートの閉鎖を拒否していた。現在世界76ヶ国で
128の支部が活動を行なっている。


12月1日(土)

アフガニスタン会議 暫定政権で基本的に合意

(ボン)アフガニスタンに新たな政治秩序を作るための国連の会議は、各国からの
大きな圧力を受け、暫定政権作りで基本的に合意した。アフガニスタンの4者の代
表は、ボン近郊のペータースベルクで目下、人事面での構成と外国人による平和部
隊を受け入れるかどうかの問題を話し合っている。交渉は月曜日までは続けられる
可能性がある、と報道されている。米国はタリバンの最後の拠点カンダハルへの空
爆を続けている。タリバンの指導者ムッラー モハメド オマルは最後の一兵まで
戦いを継続するよう呼びかけた。

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ベルリン社民党 3党連立政権を成立させる方針

(ベルリン)社会民主党は、ベルリンで緑の党、自由民主党との連
立政権作りが瓦解しないよう努力を行なっている。ベルリン党首シ
ュトリーダーは、両党を日曜日午後の会談に招いた。緑の党が最終
的に6つの点が交渉の対象にならない、と発表した後、連立協議は
暗礁に乗り上げていた。この6点には、オリンピック誘致と市の高
速道路建設反対が含まれている。交渉は中断していた。

ネオナチ ベルリンでデモ

(ベルリン)警察の警備を受け、約3,500人の極右政党国家民主党
NPDの支持者がベルリンで、第2次世界大戦中のドイツ国防軍の犯
罪行為の展覧会に抗議するデモを行ない、一部は暴力を行使した。
当初の計画を変更して、ユダヤの刻印が残るショイネン区を行進す
ることは取り止めた。ショイネン区では左派および中立派のデモ反
対派と警察が激しい衝突を行なっていた。

医薬品市場の改革に専門家賛成

(ベルリン)保険制度の専門家協議会は、医薬品市場の抜本的な改
革に賛成した。これによって20から30億マルクの支出が削減され
ることが見込まれている。特に処方箋が必要でない医薬品市場を自
由化し、医薬品の通信販売を認めることが提案されていた。


12月2日(日)

アラファト 非常事態を宣言

(ラマラ)エルサレムとハイファで起ったテロ攻撃に対応してパレスチナ大統領ヤ
セル アラファトは西ヨルダンランドとガザ地区で非常事態を宣言した。イスラエ
ル軍は既にパレスチナ人居住区を封鎖している。港町ハイファでは日曜日に路線バ
スで爆弾が破裂し、警察の情報によれば少なくとも15人が死亡した。土曜日には
エルサレムの歩行者天国で2回の自爆テロが起こり、鋲の入った爆弾が破裂し10人
が死亡した。約150人が怪我をし、生命の危険がある人もいる。

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ペレス 交渉の中止を発表

(エルサレム)イスラエル外相ペレスは外国の大使を前に、テロ攻
撃が起きた今、暴力行使の中止を求める時期は過ぎた、と発言した。
イスラエルはもはやパレスチナが出す声明に満足するつもりはない、
パレスチナ大統領アラファトは、テロ組織を破壊するために有効な
手段をとらねばならない、とも語った。エルサレムとハイファの攻
撃は世界各国から非難されており、アラファトの権威に対する非難
が表明されている。米大統領ブッシュとイスラエル首相シャローン
は会談を行なったが、詳細は明らかにされなかった。

アフガニスタン会議 暫定政府で論争

(ボン)国際的な圧力の下、アフガニスタン会議の参加者は、和平
協定の草案の細部のつめの論争を行なっている。問題の中心は暫定
政府の構成である。国連報道官ファウジは、北部同盟と亡命グルー
プ3つの間で、大臣をどのように割り振るかで、意見の一致が見ら
れていない、と発表した。西側外交官の情報によれば、首相候補と
してハミド カルサイの名前が挙がっている。彼はパシュトゥン人
の指導者で、現在カンダハルでタリバンとの戦いに加わっている。
北部同盟の改革派は、大統領ラバニの支持者と対決する姿勢を明確
にしていた。もう一つの争点は多国籍軍の派遣に関するものである。

カンダハル攻撃強化

(カブール)アフガニスタンでは、タリバンの拠点カンダハルに対
する軍事攻勢が、ますます強くなっている。パシュトゥン人の反タ
リバン部隊は、同市まで数キロに迫っている、と発表している。別
のパシュトゥン人の部隊は、飛行場の一部を支配した、と発表した。
米軍による誤爆の報道が増えている。AIP通信は、少なくとも40人
の一般市民が死亡した、と伝えている。国連によれば、毎日数千人
がカンダハルからパキスタンへ流出している。米国は、タリバンの
指導者オマルとアル カイダのテロリストはカンダハルに留まって
いる、と予想している。


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