１０月２８日〜１１月３日のドイツのニュース
１０月２８日（月）
秋の嵐で死者多数
（ベルリン）今年初めて秋の嵐が発生した。最大時速150キロの突風が吹き、ヨー
ロッパではおよそ30人が死亡し、50人以上が負傷した。被害を受けたのは英国、
オランダ、ベルギー、フランス、ポーランド、オーストリアである。全土が大被害
を受けた。多くの道路が倒木により寸断された。建物も屋根が吹き飛ばされるなど
の被害を受けた。飛行機と鉄道の便もあちこちで不通になった。物質的な被害は数
百万オイロと見積もられている。
その他のニュース
プーチン テロリストに報復を行なうと脅し
（モスクワ）暴力で終わりを迎えたモスクワの人質事件から2日、
露大統領プーチンはテロ組織に大規模な措置をとると脅した。ロシ
アが大量殺戮兵器で脅かされた場合、テロ行為に同じ手段で報復す
る、と閣議後彼は語った。特殊部隊が土曜日にモスクワのミュージ
カル劇場に突入した際、どんなガスを使用したかは明らかにしない
ままだった。人質の死者117人のうち115人はガスによるものであ
る。解放された約7百人のうち、約400人が今なお入院している。
45人の犠牲者はなお危篤である。月曜日政府は、死亡した117人
の犠牲者の国による追悼式を指示した。多くの人がチェチェン人テ
ロリストによる事件の被害者の礼拝と追悼式に参加した。独政府 チェチェン問題の政治的解決を要請
（ベルリン）モスクワでの人質事件のため、連邦政府はロシアに再
びチェチェン紛争の政治的解決を要求した。この問題は11月中旬に
ブリュッセルで開かれるEU・露首脳会談で、プーチンと話し合わな
ければならない、と政府報道官は発表した。同じような見解を外務
省も発表した。同時にチェチェン人亡命者と人権擁護団体の会議
が、コペンハーゲンで開かれることを歓迎した。プーチンはこの会
議に強く反対しており、デンマークに対し、中止を要求した。外務
省代表は、意見の自由にかんがみて、このような会議を中止さえる
ことは出来ない、との声明を発表した。しかしプーチンは抗議をす
ることで、コペンハーゲンで予定されていたEU・露首脳会談をブリ
ュッセルに場所を移して行なうことを認めさせた。外相 EU集会でEUのさらなる民主化を支持
（ブリュッセル）連邦外相フィッシャーは初めてEU改革集会に出席
し、EUにさらに民主主義を広めることに賛成した。彼は、特にEU
議会の監督権の拡充に賛成した。これは今までは加盟各国の政府が
指名してきたEU委員会の議長団を、今後は選挙で選ぶことも含ん
でいる。これに先立ち同集会の議長デスタンは初めて、ヨーロッパ
憲法の枠組みを案として提示した。同集会は来年EUの全面的な改革
の提案を行うことにしている。
１０月２９日（火）
シュレーダー 改革を進める方針
（ベルリン）連邦首相ゲアハルト シュレーダーは、支出削減を進める必要がある
一方、改革を促進していくことを市民に約束した。選挙後初めての連邦議会での政
府声明の中で彼は、厳しい干渉を含む政府の支出削減策を擁護した。国家財政の安
定化は必ず行なわなければならず、これには犠牲と改革を伴う、最重要の課題は、
労働市場、健康保険制度と年金制度の改革である、と述べた。外交分野では彼は、
チェチェンとイラクの紛争の政治的な解決を求めた。米国との関係をシュレーダー
は、外務大臣ヨシュカ フィッシャー同様、重要なものである、と評した。キリス
ト教民主同盟党首アンゲラ メルケルは、シュレーダーが有権者を裏切った、と非
難した。
その他のニュース
メレマン 連邦議会の委員になれず
（ベルリン）自由民主党はメレマン時代に終止符を打つ方針のよう
である。同党の連邦議会議員団は、元副党首である彼に、同議会の
委員会に席を与えることを拒否した。メレマンは合わせて4つの委
員会で仕事をしたい、としていた。一方次期ノルトライン・ヴェス
トファーレン州同党首フラッハは、メレマンが作ったイスラエルを
批判するビラに関して過ちを犯したことを認めた。彼女は、このビ
ラを配付するのを中止させることは出来なかったが、党首ヴェスタ
ーヴェレに十分早くこの情報を伝えなかった、と述べた。イスラエル国防相 シャローンに総選挙を要求
（エルサレム）イスラエルの政府はますます危機に陥っている。労
働党党首で国防相ベン・エリエゼルは、首相シャローンに総選挙の
日程を決めるよう要請した。報道によれば、労働党所属の大臣8人
は、水曜の予算に関する国会の議決が行なわれる直前に辞任するこ
とを決意した、とのことである。同党は、パレスチナ人居住地域の
ユダヤ人入植地に対する補助金の交付を中止するよう求めている。
同党は、この資金を社会福祉上必要な部門にむけるべきだ、として
いる。シャローンは労働党が予算否決をした場合に、極右政党との
連立を検討している。パレスチナ議会 アラファトの新内閣を承認
（ラマラ）パレスチナ議会は、大統領アラファトの新内閣を多数の
賛成で承認した。内閣は2つの大臣を削減し、新閣僚はわずかであ
る。国際的な評価では、改革派と目される人物はいない。これによ
り最近国内からも強い反発を受けていたアラファトは、自分の立場
を強化することになった。一方、イスラエルは政府と入植者のあつ
れきが強まっている。西ヨルダンランドのナブルス近くの小入植地
チャワット ジラードから撤退を決めた直後、入植者数十人が同地
に戻り、壊された家の再建を始めた。ナブルス近くではイスラエル
兵が、いくつかの自殺攻撃の黒幕と目されるハマスの幹部を殺害し
た。
１０月３０日（水）
イスラエル連立政権崩壊
（エルサレム）イスラエルの連立政権は崩壊した。国防大臣ベンジャミン ベン
エリエゼル、外務大臣シモン ペレス、その他労働党所属の大臣は辞任届けを出し
た。首相アリエル シャローンのリクード派との対立で、労働党はユダヤ人入植者
に対する資金注入を中止し、その資金を社会福祉のために振り向けるよう求めてい
たが、この要求を貫くことが出来なくなっていた。国会は第1回読会で、問題の国
家予算案を右派の小政党の賛成を得て可決した。シャローンは、大連立が崩壊して
も政権を維持する意欲を強調した。
その他のニュース
デンマーク 露政府に対しサカエフ引き渡しに明確な証拠を要求
（コペンハーゲン）デンマーク政府は、逮捕されたチェチェン人の
代表アハメド サカエフをロシアに引き渡すかどうかは、はっきり
した証拠を提示するかどうかにかかっている、と述べた。ロシアで
彼に死刑が言い渡される可能性があるのであれば、引き渡しはあり
得ない、と法務大臣エスパーセンは述べた。サカエフは、モスクワ
の人質事件の計画に参加していたとされるため、ロシアの要求で逮
捕されていた。ロシア政府は、彼が1996年から9年にかけてのチ
ェチェンでのテロ攻撃の協力も行なった、と非難している。ロシア
政府からは承認されていないチェチェン大統領マシャドフの代理人
は、コペンハーゲンで開かれている国際チェチェン会議に出席して
いる。ロシアの大臣 使用したガスの詳細を発表
（モスクワ）数日間に渡って国際的な批判を受け、ロシア当局はよ
うやく、モスクワの人質事件を終わらせるために使用したガスに関
する情報を公表した。厚生大臣シェフチェンコは、フェンタニール
誘導体の混合物が使用され、それ以上の禁止化学物質を含む武器は
使用されなかった、と述べた。フェンタニールは迅速に作用するア
ヘン類似の物質で、モルヒネの約200倍の強さを持ち、医療用に麻
酔薬として使用される。一方ミュンヘンでは、専門医がドイツ人の
人質2人の血液の中から、ハロセインという麻酔ガスを検出した。
ミュージカル劇場に特殊部隊が土曜日突入した際には、119人の死
者が出たが、そのほとんど全員がガスによって死亡していた。ブッシュ イラク決議案を武器査察団長と検討
（ワシントン）米国大統領ブッシュは、国連武器査察団ブリックス
と、計画中のイラクの武器監督について話し合った。大統領府での
会談では主として、新たな武器管理での義務が守られない場合、イ
ラクに軍事的手段を取ると威嚇することを内容とする米国の決議案
が取り上げられた。ブリックスには、国際原子力エネルギー機関会
長モハメド アル バラデイが同行していた。一方国連安保理は、
イラク新決議に関する審議を非公開で再開した。
１０月３１日（木）
イタリアで地震 死者発生
（ローマ）警察によれば、イタリア中部で発生した地震で、倒壊した学校の建物の
残骸の中から5人目の子供の遺体が収容された。これにより、死者の数は少なくと
も7人になった。約50人の子供が今なお行方不明である。学校の建物の崩壊は、ロ
ーマの南東約200キロにあるモリーセ地区の小さな村で起こった。地震の強さはマ
グニチュード5.4であった。少なくとも2千人が住まいを失った。またこの地震と
同時に、シチリアのエトナでもマグニチュード3.4の地震が観測された。この火山
は数日前に噴火したが、その後は落ち着いている。
その他のニュース
イスラエル 右傾化の方向へ
（エルサレム）首相シャローンが率いる大連立が崩壊し、イスラエ
ルの政治は右傾化するものと見られる。元参謀総長モファズは木曜
日、シャローンによる国防大臣への任命を受諾した。モファズはパ
レスチナ大統領アラファトの国外追放を強く求めていた。シャロー
ンは労働党の連立離脱から、120議席の議会のうち55議席しか持
たない少数与党での運営を行っている。連立の可能性があるのは、
極右組織「国民連合 我々の家イスラエル」と合わせて8人の議員
を有する1人会派である。パレスチナ指導部は、シャローンの右派
政権を、この地域全体に対する脅威である、と呼んでいる。外相 金曜日にニュー ヨーク入り
（ニュー ヨーク、ワシントン）独外相フィッシャーは金曜日、国
連事務総長アナンと会談を行う。この会談では、安保理でのイラク
問題に関する議論を中心に話し合う。彼はすでに米外相パウエルと
ワシントンで会談し、独米関係の修復を行なうことで合意してい
る。両者はイラク政策での立場の違いがまだあるものの、両国政府
の緊張関係は徐々に取り去ることが出来るだろう、と語った。パウ
エルは、米国の軍事行動の自由を制約するような、安保理のイラク
政策を米国は入れるつもりはない、と強調した。シュミットの支出削減案 大きな抗議を呼ぶ
（ベルリン）厚生大臣シュミットの支出削減案は、保健産業の議会
活動家から強い抵抗を受けた。医師、健康保険、病院、医薬品製造
業、薬局は木曜日激しい非難を浴びせた。キリスト教民主、社会同
盟は開示宣誓を行なうよう求めた。第3次産業労働組合ver.diは、
病院に対するゼロ回答を拒否した。シュミットは健康保険組合に対
し、来年分の払込金の値上げを禁じる一方、30ないし35オイロの
負担を軽減することにしている。そのため、医者と病院に対する支
出は2002年の水準に凍結されることになる。これにより、健康保
険組合は11億オイロの負担減となり、製薬業界は14億オイロの値
引きを行なうことになる。
１１月１日（金）
イタリア中部でまた大地震
（ローマ）イタリア中部のモリセで、マグニチュード5.3の大地震が発生した。木
曜日に地震で学校が倒壊したサン ジュリアーノ ディ プグリアでは、人々が混
乱して戸外に飛び出した。少なくとも10人が落下して来た石で負傷した。イタリ
アの民間人保護を担当する官庁は、住民に対し、人口約1,200人のこの村から退去
するよう命じた。当局によれば、この村では木曜日の地震で、合わせて29人が死
亡していた。村の学校では屋根が倒壊して、子供26人と女性教員1人が死亡した。
救助隊は35人を崩れた建物したから救出した。イタリアでの報道によれば、この
建物は老朽化していた可能性があり、しばらく前に許可なく建て増ししていたよう
だ、とのことである。首相シルヴィオ ベルルスコーニは調査を命じた。検察も調
査に乗り出した。
その他のニュース
外相 イラク決議がまもなく出されると期待
（ニュー ヨーク）外相フィッシャーは、対イラク戦争を回避でき
るだろう、との希望を述べた。国連事務総長アナンとの会談後彼
は、来週には国連安保理のイラク武器査察団の再入国に関する決議
が行なわれるだろう、と語った。そうすれば、イラク政府が査察団
の無条件入国を許可することで、戦争を回避出来るかどうかは同国
政府に委ねられる、とも語った。それに先立ちフィッシャーはニュ
ー ヨークのユダヤ人反中傷連盟で演説し、イラクに対する軍事攻
撃をドイツが拒否していることを擁護した。彼はイスラエル支持を
明言した。米国 イラク決議の新提案を予告
（ニュー ヨーク）独外相フィッシャー同様、米国も国連安保理が
来週にはイラク決議を決定するだろうと見ている。米国の国連大使
の報道官は、米国は露仏政府の異議に応えて、今までの案を再検討
する方針で、文書は月曜か火曜に、国連安保理に正式に提出する、
と述べた。イラクが武器査察団に協力しない場合の措置が、今まで
議論の的になっていた。シャローン ネタニヤフに外相就任を打診
（エルサレム）イスラエル首相で、リクード派の首領シャローン
は、党内の競争相手ネタニヤフに外相就任を打診し、ネタニヤフは
日曜日までの考慮期間を求めた、とのことである。労働党が連立を
離脱し、と外相ペレスを含む同党の閣僚が辞任したため、シャロー
ンは過半数の議席を持つ新政府を作るべく努力している。彼は極右
の「国民連合」との交渉を行なう方針である。同時に彼は、政府の
方針は変わらない、と強調している。
１１月２日（土）
イタリア全土 地震の犠牲者を追悼
（ローマ）イタリア全土で土曜日、モリーゼ地区の地震の犠牲者29人の追悼が行
なわれた。同国政府は全土に半旗を掲げるよう命じた。イタリア大統領カルロ ア
ゼグリオ キャンピーはサン ジュリアーノ ディ プグリアで日曜日に行なわれ
る予定の埋葬式に出席する意向である。同村では倒壊した学校で犠牲になった26
人の子供を含む死者全員の追悼が行なわれている。この地震は木曜日ローマの南東
200キロのこの地域で起こり、多くの家が倒壊した。その後金曜日と土曜日にも余
震が起こり、住民を混乱させた。多くの人が屋外で夜を過ごした。一方検察当局
は、なぜ学校が倒壊したのかを解明する調査を開始した。1953年に建設されて数
年前に増築された建物には、顕著な欠陥があることが指摘できる、と報じられてい
る。
その他のニュース
ドイツ軍特殊部隊の戦闘範囲拡大
（ベルリン）アフガニスタンにいるドイツ特別攻撃隊は、テロ組織
アル カイダに対する戦闘任務を拡大することになった。新聞報道
によれば約百人の特殊部隊は今後、前面にたって出撃することにな
る。国防相シュトゥルックは、国防軍が任務を拡大することを認め
た。今まで特殊部隊は、米軍と協力した場合にのみ出撃し、主とし
て調査及び敵の監視活動を行っていた、とのことである。また今回
初めて米国とは独立して作戦を行う地域も持つことになる、とも報
じられた。イスラエル 暗殺された首相ラビンの追悼
（テル アヴィヴ）10万人以上のイスラエル人がテル アヴィヴ
で7年前に暗殺されたイスラエル首相ラビンの追悼集会に参加した。
集会は1995年11月4日にラビンがユダヤ人急進派に銃撃を受け倒
れた広場で行われた。会場では、元米大統領クリントン、エジプト
大統領ムバラク、ヨルダン国王アブドゥラからのヴィデオが流され
た。最近の近東での暴力を目にし、勇気を失うことなく、和平にむ
けたラビンの道を進むよう呼びかけた。ニーダーザクセンの企業 リビアの毒ガス工場に輸出
（リューネブルク）ニーダーザクセン州のツェレの企業が、3年前
リビアの毒ガス工場ラブタに技術供与を行なった疑いが起きてい
る。この報道をリューネブルクの検察も認めている。司法の情報に
よれば、この企業からは、供与の許可を得るため、虚偽の輸出先が
届け出られていた、とのことである。
１１月３日（日）
トルコの政権交代確実に
（アンカラ）トルコでは新議会が選ばれた。第1回の中間集計によれば、政権交代
が行なわれる。元イスタンブール市長レセップ タイイプ エルドアン率いるイス
ラム穏健派公正と発展党が、最も多くの票を集め、絶対多数に達しそうである。こ
の次に、社会民主主義者デニツ バイカルの共和国民党が続いている模様である。
一方今まで連立政権を構成した3党はすべて10%条項にかかり、議員を送ることが
出来ないものと見られる。
監視団は日曜日に前倒しして行なわれた選挙では、いくつかの事件が発生したと報
告しており、クルド人の政治家は選挙妨害があった、と語った。有権者は4100万
人であった。
その他のニュース
ネタニヤフ 外相就任に条件をつける
（エルサレム）イスラエル政府の危機を回避するため、元首相ネタ
ニヤフは条件つきで外相に就任する準備がある。首相シャローンが
選挙を早期に実施することに賛成することを条件に、この提案を受
け入れた、と報道官が日曜日発表した。シャローンの回答はまだ出
ていない、とのことである。これは党内の競争相手であるネタニヤ
フと3日間で2度目の話し合いであった。政権を守るため、シャロ
ーンは右派政党国民統一党と幹部との会談も開始した。クウェート アラブ系テレヴィ局アル ジャジーラの事務所閉鎖
（クウェート市）クウェート政府はアラブ系のテレヴィ局アル ジ
ャジーラの事務所を閉鎖した。その理由として、同国に関する報道
に専門性と中立性が欠けている、と政府筋は発表した。カタールに
本拠がある同テレヴィ局はアラブ世界で最も人気があるテレヴィ局
の一つである。とくに米国のアフガニスタンでの戦争に関する報道
と、イスラム急進派ビン ラディンのヴィデオによる発表を放送し
たことで有名になった。アフガニスタン 憲法委員会任命
（カブール）アフガニスタンでは、同国の新憲法を作成する委員が
任命された。大統領カルザイは、自分の代理人シャラニが委員長を
務め、来年までに案を提出することになっている、と語った。一方
政府は高級官僚約20人を解任した。これは主として、汚職と麻薬
密輸の責任をとらせたものである、とカルザイの報道官は発表し
た。さらに政府は、約25年ぶりにカブールの夜間外出禁止措置を
廃止した。