３月２８日〜４月３日のオーストリアのニュース
３月２８日（月）
国外ニュース
イスラエルは撤退計画に関する国民投票を実施せず
イスラエル国会は月曜日、問題となっている首相アリエル シャロ
ーンの撤退計画に関する国民投票を実施しないことを決めた。かな
り長時間にわたる議論の末、120人の議員のうち72人が国民投票
に関する法案に反対し、39人が賛成した。その他の議員は保留な
いし欠席した。これによって、夏に計画されている撤退実施の前に
立ちはだかっていた最後の障害である国会の決定が得られた。シャ
ローンの計画は、ガザ地区の21箇所のユダヤ人入植地すべてを明
け渡し、この地域の軍隊の撤退、および西ヨルダンランドの4つの
入植地からの立ち退きを含んでいる。この撤退計画は昨年、イスラ
エル連立政府を崩壊させ、リクードおよび労働党との協力態勢の確
立を産み出した。
国内ニュース
シュトラーヒェはメルツァー除名に反対する提案を行なう方針
自由党は火曜日に連邦同党の幹部会議を行なうが、それを前に緊張
が高まっている。ウィーン同党主ハインツ・クリスティアン シュ
トラーヒェは、計画されているアンドレアス メルツァーの党除名
を実行に移さないことに賛成する見込みである。シュトラーヒェ
は、メルツァーに対する除名提案の審理停止あるいは延期を申し入
れる、と予告した。一方メルツァー自身は、自由党の今後が楽観視
できるものではない、と考えているただし彼は、以前の発言をひる
がえして、自由党が政権に残ることに賛成している。また自由党事
務長ウーウェ ショイヒは、メルツァーを連邦同党から除名するこ
とを昨日強く主張し、自由党の全ての勢力が連帯するように訴え
た。
３月２９日（火）
国外ニュース
国連の腐敗疑惑でアナンの容疑は晴れる
中立の捜査陣は昨日の報告の中で、国連事務総長コフィ アナンは
国連のイラク支援計画「食糧代として石油購入」に関連して、過誤
や間違いを犯した、と非難した。特にアナンは彼の息子コジョがイ
ラク計画に参加しているスイス企業のために行なった活動によっ
て、利害が衝突する可能性を誤って判断した、とされている。ただ
し、米国の発券銀行総裁ポール ヴォルカーが指揮をとったこのイ
ラク計画の調査を担当する委員会のこの2回目の報告でも、アナン
は、汚職を行なった可能性はない、とされた。アナンは自分の潔白
に安堵して「私はずっと調査が法律違反の容疑を晴らしてくれるこ
とを望み、そしてそう信じていた」と述べた。
国内ニュース
国民党会派は春の非公開会議開催
国民党の国会会派は水曜日1日かけてアイゼンシュタットで春の非
公開会議を行なう。連邦首相ウォルフガング シュッセル（国民
党）と会派長ウィルヘルム モルテラーの報告が予定されている。
会議の主要な争点は、特に労働と安全保障が取り上げられる。その
他、内務大臣リーゼ プロコプの法律案が現在審議されている亡命
権問題が議論される。さらに行動計画には、最近3分の2の賛成を
必要とするとの要件の撤廃をめぐって激しい議論となった教育分野
も問題となる。それと並行して、自由党問題も取り上げられる可能
性もある。
３月３０日（水）
国外ニュース
チェコの連立政府は崩壊
チェコでは社会党と自由党が首相スタニスラフ グロスのもとで連
立していたが、これが崩壊した。水曜日キリスト教民主党は社会民
主党のグロスの不動産疑惑のため、2002年から続いていた連立か
ら撤退することを決定した。第3の連立相手である自由党がどのよ
うな決定を下すかとは無関係に、グロスは国会での多数を失うこと
になり、金曜日にも行なわれる不信任投票で敗北することを懸念せ
ざるをえなくなっている。グロスがこの投票を乗り切った場合に
は、2006年の通常の選挙まで、少数政権を維持する方針である。
これには共産党の支持が必要である。
国内ニュース
国境通過問題でEU交通委員がティロールを訪問
EU新交通委員ジャック バローは木曜日初めてオーストリアを訪
問する。ティロール州でバローは、副首相で交通大臣のフーバート
ゴルバッハ（自由党）および同州首相ヘルウィッヒ ファン シ
ュター（国民党）との会談を行なう。この会談では主として、ブレ
ナー峠の通行問題につて話し合う。EU委員会は、ブレナー峠の通
行料金の値下げを主張している。オーストリアはこれによって、ト
ラックの通行量がさらに増えることを懸念している。昨年はEUは
ブレナー峠の通行量をめぐって、オーストリアを相手取って協定違
反の訴訟手続きを開始した。しかしオーストリアは料金表の改定に
よって通行料金の「最大限の維持」を達成する方針である。その
他、オーストリアはこの通行料金を値上げしなければ、ブレナー峠
の鉄道用トンネル新設のために利用できる資金が少なくなりすぎ
る、と警告している。バローは会議直前の新聞のインタヴューで、
妥協の提案を行なう、と約束し、トンネル建設のためにEUが追加
の資金を検討している、と述べた。
３月３１日（木）
国外ニュース
ウルフォウィッツが世界銀行新総裁に
元米国国防大臣代理のポール ウルフォウィッツが、世界銀行の新
総裁に就任する。同銀行の執行評議会は木曜日ワシントンで長時間
の議論を行なった後、61歳のウルフォウィッツを全員一致で総裁
に選んだ。彼は6月1日に、10年間この職にあって退職するジェイ
ムズ ウルフェンソーンの後継者となる。2週間前に米国政府がウ
ルフォウィッツの名をあげたとき、世界は疑問にとらわれた。政治
家や、世界銀行と協力関係にあるさまざまな支援組織の代表は、大
統領ジョージ W. ブッシュの腹心であるウルフォウィッツは、世界
銀行を米国の政策の支柱にする可能性がある、との懸念を述べてい
た。彼は危険な体制を持つ地域に対する米国の予防攻撃戦略の発案
者として知られている。
国内ニュース
国民評議会は予算審議を前に激しいやりとり
国会は木曜日、金曜日に始まる予算審議に向け、言葉での激しいや
りとりを行なった。教育予算に関する議論だけでなく、政府の政策
の行き詰まりに対する緊急質問でも、特に対立している国民党と社
会民主党がお互いに衝突した。社会民主党は教育問題をめぐる議論
で法律案を提出した。それによれば、授業料の免除や宗教の授業の
存続が、3分の2の賛成を必要とする条件が廃止される予定である
にもかかわらず、憲法に追加されることになる。国民党はこれを拒
否している。一方連立与党の国民党と自由党は、学校改革を受け入
れている。それによれば教育関係法改正のときには3分の2の賛成
が必要であるが、その条項の廃止を政府に求めている。その他、さ
まざまな学校を持つ制度の維持、日中の子供の世話の仕方に関して
両親の選択の自由を認めること、宗教の授業の存続が求められてい
る。
４月１日（金）
国外ニュース
チェコではグロス政権がさらに崩壊する可能性
社会民主党CSSDのスタニスラフ グロスが率いるチェコ政府はさ
らに崩壊する。連立相手の右派自由主義の自由連合US-DEUは昨日
午後、「最善の解決」として内閣の辞職を求めた。政府が自らの意
志で辞任しないのであれば、US-DEU所属の閣僚は辞任する、これ
はプラハで開かれた緊急会議での決定である、との声明を出した。
グロスは不動産疑惑で混迷状況に陥っている。US-DEUの決定は、
同党の国会議員が国会で不信任動議に反対投票を行なったわずか数
時間後に下された。同党は内閣に3人の閣僚、法務大臣兼副首相パ
ヴェル ネメッチ、国防大臣カレル キューヌル、情報大臣ウラデ
ィミール ムリナルを送っている。ただしムリナルは、共産党が支
持している内閣にとどまる気はない、として辞任を独自に予告し
た。水曜日にはキリスト教民主同盟は連立から離脱した。金曜日に
行なわれた不信任投票は、共産党KSCMが保留したため、可決には
至らなかった。
国内ニュース
メルツァー 自由党の危機は「カスパーレ芝居」
EU議会議員アンドレアス メルツァーの党からの除名をめぐる対
立で、自由党内部の論調はますます厳しくなっている。除名をめぐ
る議論は「人形道化芝居」でしかない、「手仕事の教師」ウルスラ
ハオプナーの無邪気さは冒険的であるし、除名には効力がない、
とメルツァーは述べた。同党主ハオプナーは、この措置を擁護し、
今後の党幹部の人事をまもなく定める方針である、と予告した。メ
ルツァーの今後の政治生命がどうなるかは自分にはわからない、と
述べた。
４月２日（土）
国外ニュース
ジンバブエでは3分の2がムガベを支持
ジンバブエの国会議員選挙で、大統領ロバート ムガベ率いる与党
ZANU党は、憲法改正に必要な3分の2の多数派を集めた。昨日首都
ハラレでは選挙の集計結果が発表され、同党は選挙で与えられる議
席120のうち78議席を獲得した。ムガベはあわせて150議席のう
ち、残りの30議席を自分で任命するので、3分の2の多数派にな
る。木曜日に行なわれた選挙では、操作が行なわれたとの非難が暗
い影を投げかけている。公式最終結果では、野党民主的変化運動
WDCが41議席を獲得し、もう1議席は2月にムガベによって解任さ
れた元情報大臣ジョナサン モヨが得た。MDC党首モーガン ツヴ
ァンギライは、政府が選挙で不正を行なった、と改めて非難した。
25年前から大統領を務めている81歳のムガベは、この非難を退
け、野党に大規模な抗議活動を行なわないように、と警告した。報
道関係者が、いつ引退するのか、と質問すると「100歳になった
ら」と答えた。ツヴァンギライは、自分の政党の委員会での話し合
いの後、今後の対策に関しては控えめな発言をした。前日彼は、選
挙結果に対する法的措置を断念する、と発表していたが、これは予
定されている大規模な抗議行動を行なうとの観測を産み出してい
た。
国内ニュース
世論調査「自由党は分裂すれば存続の危機」
党の執行部と方針をめぐり数週間にわたって議論を繰り広げてきた
自由党は、約3週間後の党大会で、幹部の後退を行なう方針であ
る。対立が調停されず、実質的に党が2つの陣営に分裂することに
なれば、自由党の今後の政治力に致命的な影響を及ぼす、と政治家
は見ている。つまり片方あるいは両方ともの陣営が、2006年の選
挙を乗り越えられるかどうかという問題が発生しかねない、と考え
ている。
４月３日（日）
国外ニュース
チェコ首相は信任投票を実施
チェコ首相スタニスラフ グロスは、キリスト教民主党が連立政権
から離脱したため、現在は少数派政権を率いているが、国会で信任
投票を実施する方針である。このように社会民主党は昨日プラハで
発表した。これに先立ち副首相マルティン ヤーンは、グロスが信
任投票を行なわないのであれば、辞任する、と威嚇していた。不動
産疑惑で圧力を受けているグロスは、金曜日には自由主義政党ODS
が国会に提出した不信任案を、共産党の間接的な支援で乗り切って
いた。グロスが信任投票を実施するなら、彼は絶対多数、つまり共
産党陣営からの積極的な賛成が必要である。前の投票では、共産党
は保留することで、グロス政権を救済していた。グロスが共産党に
頼っていることで、連立政府内部に緊張が産み出された。幾人かの
閣僚はすでに辞任を予告している。社会民主党と自由連合からなる
グロス政権は、キリスト教民主同盟の政権離脱後、国会の200議席
のうち30議席しか持っていない。共産党は41議席を持っている。
国内ニュース
オリンピック誘致に関する世論調査でザルツブルクは二分
ザルツブルクに2014年のオリンピックを誘致する活動に関する州
全体を対象とした世論調査で、同州は大きく二つに分かれている。
同州では賛成する人が極めて高いが、ザルツブルク市ではオリンピ
ック開催に反対する人の数が61%にのぼっている。この世論調査の
結果は州と市の政策を拘束するものではない。