5月9日〜5月15日のオーストリアのニュース



5月9日(月)

     国外ニュース

ベルリンのホロコースト記念施設の落成式挙行

2年間にわたる建設期間を経て、火曜日午後ベルリンのホロコース
ト記念施設の落成式が行なわれる。これは殺害されたヨーロッパの
ユダヤ人を追悼するものである。米国の建築家ピーター アイゼン
マンの設計によるこの建築は、2,711トンのコンクリートと地下の
にある「情報保管所」からなるものである。ここではナチによるユ
ダヤ人迫害が、個人の運命に基づいて明示されている。ブランデン
ブルク門の南にあるこの記念施設で行なわれる式典では、ドイツ連
邦議会議長ウォルフガング ティールゼが演説を行なう。連邦首相
ゲアハルト シュレーダー(社会民主党)、連邦参議院議長プラツ
ェック(社会民主党)、連邦大統領ホルスト ケーラーおよび国会
議員、大使、ユダヤ人世界評議会の代表が出席する。

     国内ニュース

閣議は新亡命法の規定を承認

火曜日には閣議は新亡命法の規定を承認する。特に、強制退去のた
めの拘禁の強化が行なわれ、この拘禁は今後は2年間のうち8カ月
間課すことができるようになる。今までは最大で6ヶ月間であっ
た。ハンガーストライキの際に強制的に栄養補給することも可能に
なる。また不法入国を手引きした者や、偽装結婚や偽装養子縁組み
を行なう者に対する罰も強化される。この2つをめぐる裁判では個
人の法的地位が大きく考慮される。特に問題となっているのは心に
傷を負った難民の対処である。今後彼らは、他のEU加盟国がこの
受け入れて続きを取り、出国後旅行を続けられることを医療面で保
証する場合は、国外退去になる。また最長20日間の入国許可手続
きの間、亡命希望者の移動は制限される。




5月10日(火)

     国外ニュース

ベルリンのホロコースト記念施設開会式挙行

ドイツでは火曜日、ベルリンのホロコースト中央記念施設で開会式
が行なわれた。この式典にはドイツ大統領ホルスト ケーラー、連
邦首相ゲアハルト シュレーダー、連邦議会議長ウォルフガング 
ティールゼが出席した。この記念施設は、ナチの元権力中枢部で、
戦後荒れるままに任されていた首相府のすぐとなりにある。この記
念碑は「ナチドイツの恐ろしい犯罪」を記憶にとどめるためのもの
である、とティールゼは述べた。

     国内ニュース

国民評議会はEU憲法を批准

国民評議会は今日の会議で、EU憲法を批准する。これに必要な3分
の2の賛成は問題なく得られる。見たところ、自由党の国会議員バ
ルバラ ローセンクランツだけが、この条約案に賛成することを拒
否している。この憲法によって、EU共通の外交および安全保障政
策の分野すべてで、協力を強化することになり、2014年からは欧
州委員会が縮小され、欧州評議会の常任の議長職が作られることに
なる。これが発効するためには、すべてのEU加盟諸国で批准され
ねばならない。まもなく国民投票が行なわれるフランスとオランダ
では、この憲法が批准されるかどうか危うい状況である。オースト
リアでは批准は5月にも連邦評議会での投票で完了するが、これに
も3分の2の賛成が必要である。




5月11日(水)

     国外ニュース

欧州法廷でオジャラン事件の判決がでる模様

ストラスブールの欧州人権裁判所は木曜日に、トルコで拘留された
クルド労働党党首アブドゥラ オジャランの裁判の判決を言い渡
す。一般的には、この判決はオジャランに対するトルコでの新たな
訴訟手続きをとるよう求めるものになる、と見られている。彼は6
年以上前から独房に入れられており、兵士数百人によって監視され
ている。トルコ政府にとって、新たな裁判を拒否すれば、EU加盟
を進める上でこれは大きな負担になるものであるのは明らかである
が、民族主義者たちは、政府がヨーロッパに遠慮することがないよ
うに、と求めている。オジャランをめぐって新たな対立が強まっ
て、軍とクルド人労働党の間で戦闘が再開されるかも知れない。ト
ルコ警察は、オジャランを1999年2月にケニアで逮捕し、トルコ
に連れてきていた。収容所のある島イムラリで1週間過ごした後よ
うやく、オジャランは弁護士と面会することが許された。

     国内ニュース

国民評議会はEU憲法に賛成

国民評議会は水曜日、ヨーロッパをめざすはっきりした方針と、
EU新憲法を明確に認める決断を下した。国会では反対1票で、EU
憲法の批准を決定した。これによりオーストリア側からは、新たな
条約への道が開かれたことになる。国民投票をめぐる最後の会議の
議論は背後に後退した。最近オーストリア未来連合党首イエルク 
ハイダーが、国民投票実施を要求したが、同党の会派がこれを拒否
していた。また昨日は、オーストリアの隣国スロヴァキア国会も賛
成多数で、EU憲法に賛成していた。




5月12日(木)

     国外ニュース

イスラエル軍幹部はイランの核施設を攻撃すると威嚇

イスラエル軍参謀本部長モシェ ヤアロンは木曜午後、間接的な表
現ながら、イランの各施設に対する攻撃を行なう、と威嚇した。
「イスラエルは、脅威に応えるために常に手段を持っている。私は
イランに対して行使された圧力が効果を発することを期待してい
る」とヤアロンは軍報そうで述べた。ただし彼は、イスラエルがど
のような意向を持っているかについてより詳しい情報は発表しなか
った。イラン政府は核計画に関連する対立で、核兵器流出防止条約
から脱退する、と威嚇していた。同国は原子力発電は完全に平和目
的のものである、と主張している。米国とEUは、同国は平和的な利
用を口実に、秘密裡に核兵器を製造する努力をしている可能性があ
る、との懸念を持っている。

     国内ニュース

ゴルバッハは政界からの引退を準備中との報道

オーストリア未来同盟の執行部長で副首相フーバート ゴルバッハ
は、政界からの引退の準備をしている、と「フォアアルルベルク通
信」紙は報じている。それによれば2003年2月から連邦政府で交
通大臣を務めているゴルバッハは、民間企業に移り、関連団体シル
フレッタ ノーヴァを持つ観光会社の経営者ワルター クラオスの
所に移る方針である。クラオスもゴルバッハも同紙に対して、彼ら
は2006年から共同で事業を行なう方針であることを認めた。クラ
オスは新たに設立する持ち株会社の取締役にゴルバッハを就任させ
る見通しである。ゴルバッハ自身はクラオスと同社で重要な役割を
引き受けることで基本的に合意をしている、と述べた。ただし任期
が終わるまでは、ゴルバッハは政府に留まる方針である。




5月13日(金)

     国外ニュース

EUは新オイロ硬貨を計画

オイロ使用国12カ国の大蔵大臣は、EU加盟国拡大に合わせてオイ
ロ硬貨を新たなものに取り替える必要がある、ということで合意し
た、とオイロ使用国会議議長のルクセンブルク蔵相で首相のジャン
・クロード ユンカーが昨日午後ルクセンブルクで発表した。オイ
ロ硬貨は現在表側は、オイロ使用国のそれぞれ希望にしたがって、
国ごとに模様を決めている。それに対し裏側はすべてのオイロ使用
国で共通で、EUの古い地図の形であり、新たなEU加盟国は含まれ
ていない。遅くとも新規加盟国がオイロを導入するまでに、共通の
裏側のも負うは新しいものにしなければならないが、いつそれを実
施するかは述べることができない、とユンカーは述べた。EU新加
盟国のうちいくつかは約5年後にオイロを導入したいとしている。
その際には地図以外の模様にする可能性もあり、新たにオイロを導
入した国々が尊重される硬貨を作るという原則を定めることにな
る、とユンカーは述べた。

     国内ニュース

ハオプナーは「瓦礫の女性」に300オイロを支出

第2次世界大戦後のオーストリア再建にあたって、その功績に対す
る感謝の表現として、60周年の記念である今年、いわゆる「瓦礫
の女性」は300オイロを受け取る、と社会福祉大臣ウルスラ ハオ
プナー(オーストリア未来連合)が昨日のテレヴィ番組で述べた。
ただしこれはすべての女性ではなく、自分の年金を全くあるいはわ
ずかしか受け取っていない、1930年までに生まれ、1950年まで
に子供をもった女性に対するものである。その番組によれば、その
数は55,000人である。この財源は社会福祉予算の組み替えによっ
て調達する。ただし大蔵大臣カール・ハインツ グラサーがこの計
画に賛成しなければならない、とのことである。




5月14日(土)

     国外ニュース

イランとの核をめぐる対立は「最後の試み」に

イラン政府は、EUとの間で核対立をめぐり新たな交渉を行なう、
と予告した。両者は、ここ数ヶ月前から隘路に陥っていた対立を取
り除く最後の試みを行なう意向である、と昨日イランの交渉団の広
報フセイン ムサウィナンは述べた。一方国営通信IRNAは、イラ
ン国会は政府に日曜の会議で、会談を打ち切らせる意向であり、日
曜の国会では、この問題が最重要課題として取り扱われるが、多数
を占める保守派は政府に対して、暫定的に停止しているウラン濃縮
を再開し、原発の燃料を作り出すことを求める方針である、と報じ
ている。国会議員の間では、もう余裕はない、との意見が出てい
る。EU側は、イランがウラン濃縮を再開するのであれば、交渉を
中断する、と威嚇している。

     国内ニュース

国家条約署名の50周年記念日

ウィーンのオーバー ベルヴェデーレで式典を行ない、宮殿庭園で
国民の祭が行なわれて、オーストリア共和国は国家条約署名の50
周年を今日祝う。ロシア外務大臣セルゲイ ラフロフとフランス外
務大臣ミシェル バルニエ、英国の欧州大臣ダグラス アレクサン
ダーが出席する。米国からは共和党の元上院議員がやってくる。こ
の式典ではほかに連邦内統領ハインツ フィッシャーと連邦首相ウ
ォルフガング シュッセルが演説を行なう。1955年5月15日に
は、連合国4ヶ国ソ連、米国、英国、フランスとオーストリアの外
務大臣が、オーストリアが完全な主権を回復することを定めた条約
に署名した。この署名式が最高潮を迎えたのは、外相レオポルドフ
 フィグルが宮殿のバルコニーからこの条約を発表した時であっ
た。




5月15日(日)

     国外ニュース

イラクで多数の遺体を発見

イラクでは昨日あわせて36人の遺体が見つかった。バグダード北
部の住宅地では昨日午後、12人の遺体が見つかった、とイラク内
務省の広報は発表した。遺体のうち8つは後ろ手に縛られており、
目には目隠しがされていた。午前中には東部の街区サドル シティ
で、13人の遺体が発見された。さらにバグダードの南約40キロの
イスカンダリヤ市では11人の遺体が見つかり、病院の話では全員
数日前に射殺された、とのことである。土曜日にはラマディ近郊で
10人の遺体が発見されていた。一方、テロの指導者アブ ムサブ
 エル ザルカウィが重傷を負った、との情報がある。医者の話に
よれば、彼は大量に出血し、病院にやってきたが、緊急の手当を受
けた後、姿を消した、とのことである。

     国内ニュース

ゴルバッハは自分は「賞味期限切れ」の大臣ではないと見る

副首相フーバート ゴルバッハ(オーストリア未来連合)は、次回
選挙後の自分の人生設計が公にされたことで混乱が生じるとは思っ
ていない。おそらく産業界入りするにもかかわらず、彼は自分が賞
味期限切れ出はない、と思っている。自分が次期政府に入ることを
今の段階で述べるとすれば、それは不遜なことである、とゴルバッ
ハは昨日述べた。他の政治家と違って、政界から引退しても、自分
は安楽椅子に腰かける人間ではなく、生活保障を受けられるわけで
もない、と語った。



今日のニュースへ

過去のニュース(目次)へ inserted by FC2 system