3月11日〜3月19日のオーストリアのニュース



3月11日(土)

     国外ニュース

ミラノで自治派が警察と市街戦

経済の世界規模化に反対する勢力は土曜日、ミラノで警察と市街戦
を行なった。釘の入った爆弾によって警官9人が負傷した。デモ隊
からは少なくとも45人が逮捕された。多くが覆面をかぶった約3百
人の左派の経済の世界規模化への反対派は、ミラノの商店街で自動
車や建物に放火した。彼らはこの行動で、ネオファシストが行なっ
ている選挙戦に対する怒りをぶちまけようとした。「三色の炎」と
いう名称の右派組織が、首相シルヴィオ ベルルスコーニの中道右
派陣営と連合して4月の国会議員選挙に候補者を送る。今回の暴動
は2001年以降イタリアで最も激しいものである。このときは、ベ
ルルスコーニ政権が成立した直後のジェノバG8首脳会談の時のも
で、反対派の1人が死亡した。

     国内ニュース

村落名標問題でハイダーは憲法裁判所の陰謀であると非難

ケルンテン州首相イエルク ハイダー(未来同盟)は土曜日、憲法
裁判所長官カール コリネクを厳しく攻撃し、ブライブルクの2カ
国語による村落名標について「共謀して行なわれた無責任な行為」
であると述べた。彼は、憲法裁判所はまるで政党であるかのような
行動を取っている、と非難した。「シュタンダルト」紙は、年金を
受給しているフェルカーマルクト郡長アウクスト ムーリが、憲法
裁判所とその長官の命令に従う形で調整と話し合いを行なう、と述
べたと報道したが、ハイダーのこの発言はこの報道に応えたもので
ある。




3月13日(日)

     最新ニュース

遺体解剖によればミロシェヴィッチは心筋梗塞で死亡

ユーゴスラヴィア元大統領スロボダン ミロシェヴィッチは、心筋
梗塞で死亡した。これは日曜夜にデン ハーグで発表された検死報
告書に記載されている。

     国外ニュース

イラクでは襲撃事件で死者30人を越える

バグダードでは、前後して起こるように計画された自動車爆弾によ
る攻撃が3件発生した。警察によれば少なくとも36人が死亡、百人
以上が負傷した。この自動車爆弾はシーア派が主として住むサドル
 シティにある2カ所の市場出発生し、爆弾は他に1つ発見され処
理された、と警察は発表した。「遺体の一部はばらばらになってお
り、精確な犠牲者数はわからないが、多数が死亡した」と爆発現場
にいた目撃者は述べた。負傷者の多くが運び込まれた病院では、混
乱した状況が続いている。負傷者は床や担架の上に置かれている。

     国内ニュース

ウェルターセービューネ劇場「物議をかもす約束が明らかに」

ケルンテン州クラーゲンフルトのウェルターセービューネ劇場事件
をめぐって、問題をはらんだ約束が行なわれていたため、混乱を招
く可能性がある。財政の元専門担当官で州首相代理カール プファ
イフェンベルガー(当時自由党)、元執行部長ベルンハルト サペ
チュニヒおよび支配人に相当するレナート ツァネルスは、お互い
に公の場では非難しあうことなく、お互いをほめあうということで
合意していた。州議会の調査委員会は、この件を今後究明すること
にしている。




3月13日(月)

     国外ニュース

ミロシェヴィッチの妻に対する逮捕命令は撤回

ベオグラードの検察官は、死亡したユーゴスラヴィア元大統領スロ
ボダン ミロシェヴィッチの妻に対する逮捕命令を失効させること
に賛成した、と放送局B92は、検察官代理ミラ イリッチの言葉と
して報じた。これは、ミラ マルコヴィッチは、ベオグラードで職
権乱用の容疑で行なわれている裁判を回避するために、3年前から
モスクワに住んでいるが、夫の葬儀に出席するためにセルビアに戻
ることができることを意味している。この葬儀は木曜日あるいは金
曜日に行なわれる。またミロシェヴィッチの心筋梗塞の原因は、完
全には解明されていない。おそらく彼は間違った薬を服用したもの
と見られている。ただしなぜこの薬を飲んだのかは不明である。

     国内ニュース

精鋭向け大学問題で工業連合は委員会を任命

工業連合は月曜夜、マリア グギング(ニーダーエスターライヒ
州)の精鋭向け大学の新設計画に向け、「国際委員会」の委員を発
表した。教育大臣エリサベト ゲーラー(国民党)との申し合わせ
で設置されたこの委員会には、長い間イスラエルのワイツマン研究
所所長を務めたハイム ハラリ、チューリヒのスイス工業大学学長
オーラフ キューブラー、ドイツのマックス・プランク研究所長フ
ーバート マルクルが選ばれた。議長はハラリが務める。この委員
会は「オーストリア科学技術研究所」の運営基盤と今後の日程、予
算、既に存在する高等研究所との協力関係、研究者の給与の支払い
方について検討することになっている。




3月14日(火)

     国外ニュース

ハリリ暗殺事件の捜査は「予想より早く進行」

火曜日に公表された国連の報告書によれば、昨年起きたレバノン元
首相ラフィク ハリリに対する爆弾攻撃に関する捜査は、「予想よ
り早く」進んでいる。ベルギーの主席捜査官セルジュ ブラメルツ
は、この情勢に関する報告書の中で、捜査の状況には満足してい
る、シリアとの協力体制一つをとっても改善が見られる、と述べ
た。ブラメルツは最近、ドイツ人のデトレフ メーリスから捜査を
引き継いだばかりである。ただしブラメルツは詳細について深入り
することは避けた。ハリリ襲撃後の22人の死者の1人の身元はまだ
分かっておらず、この男がテロリストの一員であった疑いがある、
と報告書には記されている。シリアは、この暗殺に関与していた、
と非難されている。

     国内ニュース

自由党と未来同盟の対立

自由主義陣営に属しながら対立しあっている自由党と未来同盟の間
の意見は、火曜日のテレヴィの討論番組の中で、明確になった。自
由党の行政監察委員エーワルト シュタッドラーと未来同盟連邦広
報ウーウェ ショイヒが論戦をはったが、両者は無言ではすまなか
った。シュタッドラーは特に、最近自由党から脱退した国会議員ヘ
ーレネ パトリク・パーブレの発言に関しては何も言及することは
できなかった。パトリク・パーブレは巨額の賠償裁判をあえて行な
うことはなく、「シュタドラーを訴えると威嚇した場合には、誰か
がびくびくすることがありうる」との意見を述べていた。シュタッ
ドラーは、パトリク・パーブレは誇張して話している、と述べた。
一方ショイヒは彼女を擁護し、最近の成り行きから分かるのは、自
由党と未来同盟が底なしの分裂状態にある、ということだ、と述べ
た。




3月15日(水)

     国外ニュース

国連人権新評議会結成 米国は反対

国連総会は水曜日に、新しい人権評議会の設置を決定した。これは
47カ国が参加し、今までジュネーヴに本部のあった国連人権委員
会の代わりになるものである。この委員会では過去数年、繰り返し
人権をみずから侵害ないしは無視しているスーダンのような国々が
代表を送っていた。新たな人権評議会の創設は、既に国連事務総長
コフィ アナンが作成した改革計画の核心部分であった。人権の監
視人として、新たな国連人権評議会が、加盟国の人権侵害を弾劾す
ることになっている。この評議会に170カ国が賛成した。反対した
のは米国を含め4カ国だけであった。米国が反対した理由は、この
規定では人権擁護に消極的な国々を同評議会に参加させない措置が
十分講じられていない、ということであった。

     国内ニュース

政府は最高裁の改革を計画

首相府は憲法裁判所と行政裁判所の改革を計画している、と日刊紙
「ザルツブルク通信」が報じている。憲法裁判所長官カール コリ
ネクと行政裁判所長官クレメンス ヤーブローナーは、この計画を
批判した。この法案は、憲法裁判所と行政裁判所の権限と審議に
「大きな介入」をするものである、とヤーブローナーは述べた。ま
た彼は、現在の法律を最高裁への相談を行なわないまま提案するこ
とは、習慣を無視したものである、と批判した。現在の規定では、
憲法裁判所は法律の検討手続きを行なう場合、関係官庁に対し、裁
判所の態度表明を行なう時期を自由に設定できる。新たな法律で
は、官庁はいかなる場合でも10週間のうちに態度表明を行なうこ
とになっている。




3月16日(木)

     国外ニュース

ハマースは緊急の場合には単独で政権を取る

急進派パレスチナ人組織ハマースは、必要があれば連立を組むこと
なく、単独で来週に政権の人事を発表する方針である、とハマース
の広報が木曜夜に発表した。これまで5日間にわたって他のパレス
チナ人会派との政権協議が行なわれていたが、成果を上げていなか
った。1月に行なわれた選挙で勝利をしたハマースは、他の組織と
ともに広い範囲からなる連立政権を作ろうとしていたが、協力体制
を作り上げるために一つの会派にまとまることはできなかった、と
広報サミ アブ スフリは述べた。ハマースはパレスチナ大統領マ
ハムード アッバスのファタハに、最終決定を発表するまで数時間
の猶予を与えたが、来週初めには大統領に、政府と大臣を伝える、
とも発表した。障害となっているのは、現在イスラエルとの間で結
ばれている協定をどのようにするか、という点であった。ハマース
はユダヤ人国家の破壊を指示し、イスラエルの承認を拒んでいた。

     国内ニュース

プラターは軍のイマーム任命を検討

国防大臣ギュンター プラター(国民党)は、軍にイスラーム教徒
の聖職者を置くことを検討している、と広報ミヒャエラ フーバー
が発表した。兵役義務従事者の3.5%がイスラーム教徒であるため、
国防省はこれを検討している。軍にイマームを置くことは、各宗教
の公平な取り扱いという点で必要である、と広報は述べた。現在の
ところ連邦国軍にはカトリックとプロテスタントの聖職者が置かれ
ている。フーバーは現在のところ、国防省およびオーストリのアイ
スラーム教徒の代表との交渉が計画されている、とも述べた。




3月17日(金)

     国外ニュース

ベラルーシ大統領ルカシェンコは野党を威嚇

ベラルーシ大統領選挙を前に、現大統領アレクサンデル ルカシェ
ンコは、野党に対して好戦的な言葉を用いて、抵抗しないように警
告し、暴力を行使すると威嚇した。反対派の野党は「カモのヒナ同
様、ただちに首を折る。ベラルーシではクーデタも、組織の暴力的
な奪取も、道路や広場の占拠も行なわせない」と述べた。彼のこの
言葉は、野党指導者アレクサンデル ミリンケヴィッチの要求に関
する発言と見られる。ミリンケヴィッチは支持者に対して、日曜日
の投票後には大規模な選挙の不正に抗議をするべく、デモを行なう
ように呼びかけていた。

     国内ニュース

連邦大統領フィッシャーはサウジ・アラビア訪問に出発

連邦大統領ハインツ フィッシャーは、5日間の予定でペルシャ湾
岸を訪問する。これはサウジ・アラビアとアラブ首長国連邦の公式
訪問である。両国はアラブ諸国の中でオーストリアのもっとも重要
な貿易相手国である。フィッシャーに同行するのは夫人のほか、国
防大臣ギュンター プラター(国民党)と厚生大臣マリア ラオホ
・カラット(国民党)および経済会議議長クリストフ ライトルを
含む経済界の代表である。この訪問は、近東の情勢が緊迫した状況
の中、オーストリアがEU評議会議長を務める期間中に行なわれ
る。政治会談の議題は、近東問題、イランの核計画に関する対立と
イラク情勢である。




3月18日(土)

     国外ニュース

ベラルーシの大統領選挙は不安な雰囲気の中で実施

威圧と不安の中、7百万人のベラルーシ国民は、大統領選挙を日曜
日に行なう。12年前から独裁的な支配を行なっている現職のアレ
クサンデル ルカシェンコは3期目を目指している。野党の候補者
の中では、物理学教授アレクサンデル ミリンケヴィッチが最も有
力である。治安部隊と反政府勢力が暴力的な衝突を起こす懸念が持
たれている。野党の支持者は日曜日午後首都ミンスクで大規模な抗
議集会を計画しているが、ルカシェンコは暴力を行使する、と威嚇
している。選挙戦では野党は激しい妨害を受けた。EUと米国は、
情勢を極めて憂慮している。

     国内ニュース

2012年から運転免許証は期限つきに

EU統一の運転免許証の導入をめぐって、長年にわたって駆け引き
が行なわれていたが、決着がついた。2012年からこの免許証が使
われ、これは有効期限つきのものとなる。現在オーストリアでは医
療目的で管理するために、期限つきの証明書が使用できるし、また
することになっているが、新免許証への切り替えには、官僚側の手
続きのため10年から15年かかる。交通大臣フーバート ゴルバッ
ハ(未来同盟)はこれについて何も知らない、と主張した。この問
題については、彼はしばらく前に賛成である、と述べたばかりであ
った。




3月19日(日)

     国外ニュース

ベラルーシでは選挙の無効を訴えて一万人がデモ

ベラルーシの大統領選挙後、当局の威嚇にもかかわらず、数千人の
人が現大統領ルカシェンコの圧勝とされたことに抗議した。野党の
最有力候補アレクサンデル ミリンケヴィッチは、この選挙は茶番
であり、「新たに真正の選挙」を行なうように求めた。有権者に対
する調査と一部の開票結果で、12年間に渡って独裁的な政治を行
ってきたアレクサンデル ルカシェンコが、投票の80%以上を得
た、とされた後、彼は支持者に対して平和的な抗議を行なうように
呼びかけた。市中心部で平和的な集会が行なわれた際には、警察は
介入を行なわなかった。この選挙では、学生寮に住む人たちが金曜
日の内に投票を行なうように強制された等の、規則違反が多く行な
われている。「ヨーロッパ最後の独裁者」ルカシェンコは、報道界
と野党に対して、あらかじめ威嚇を行なっていた。

     国内ニュース

オーストリアの競争力はEUで第三位

2005年にオーストリアは、EU加盟国の競争力では、第三位に躍進
した。これはデンマークとスウェーデンに続くものである。これは
EU委員会の委託を受けたロンドンの「ヨーロッパ改革研究所CER」
の新たな調査を「クリール」紙が報じたものである。これはEU加
盟国が競争力向上にどれぐらい成功したかを評価する調査である。
またこれは世界的な競争相手である米国とアジアとの遅れを取り戻
すべく設定されたリスボン目標を達成するために、最も重要な指標
である、と見られている。同紙によれば、女性の活動、エネルギー
効率、学校卒業率でオーストリアは最高の評価を受けている。一
方、高齢者および京都議定書に基づく温室効果ガス削減では後れを
取っている、とのことである。




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