6月9日〜15日のオーストリアのニュース



6月9日(月)

     国外ニュース

EU加盟各国は労働時間をめぐる対立で妥協

EU加盟各国は、長年にわたって最長の労働時間と、時間労働者の
雇用条件の同等化をめぐって対立してきたが、この問題で譲歩し
た。加盟27カ国の労働大臣は、月曜夜にルクセンブルクで、共通
の規則で合意した。これによれば、被雇用者は一定の条件のもと
で、1週間あたり60ないし65時間働くことが認められる。今まで
EUでは1週間あたりの最高労働時間は48時間とされていた。時間
労働者も、正社員と法律上はおおむね同じ扱いを受けることにな
る。英国は国内で例外規定をもうけているため、これには加わって
こなかった。英国の企業は柔軟な労働時間を取っているため、高い
追加収入を得てきたが、さらに追加の雇用も生んできた、と述べて
いた。フランスとヨーロッパ労働組合は、EUの規則の柔軟化に反
対していた。

     国内ニュース

BIA局長クロイトナーは調査委員会で発言

内務省疑惑の調査委員会は、サッカーのヨーロッパ選手権期間中も
休みを取らない。同委員会は今週、2件のつながりのある会議を行
なう。国会議員たちは、第一の議題「内務省の権力乱用」と取り組
む。もっとも重要な証人は、問題の内務案件局BIA局長マルティン
 クロイトナーである。彼に対する質問は主として、同局の労働と
経済銀行疑惑に対する捜査である。社会民主党は、同局が元内務大
臣リーゼ プロコプ(国民党)によって、同党の利益になるような
道具となっていたのではないか、との疑惑を持っている。同局の捜
査情報は、クロイトナーのほかにも、彼の内務省の上司ヘルムート
 プルガーにも渡されていた、とのことである。明日には大蔵省、
同局が2006年の選挙で、大蔵省の道具となっていた可能性につい
て、調査が行なわれる。




6月10日(火)

     国外ニュース

米大統領府「ブルド会談は2001年以降最も成功した首脳会談」

米国大統領府は、ブルドで行なわれたEU・米国首脳会談は、
2001年以降にEUの幹部と行なった米国大統領の会談では「おそら
くもっとも成果の上がった」会談であった、と評価した。米国大統
領ジョージ W. ブッシュの任期中にこれまで行なわれた会談では、
これほど多くの議題で、合意に達したことはなかった、と米国安全
保障顧問スティーヴン ハドリーは昨日述べた。両者は、今までの
意見の違いを乗り越えることに成功した、とハドリーは述べ、キュ
ーバに対する共通の態度を取りまとめたことなどを挙げた。キュー
バの関係が進展するかどうかは、政治犯の釈放と、人権の擁護にか
かっている、とEUは述べている、とのことである。気候温暖化との
戦いでは、意見の隔たりが大きいものの、多くの合意が得られた、
とも彼は述べた。ブッシュの退任のヨーロッパ訪問の一環として、
まずドイツに向かっている。ドイツでは首相アンゲラ メルケルの
出迎えを受ける。

     国内ニュース

ツァーノンはファン シュターの後継者となる意向

ティロール州の閣僚エリサベト ツァーノンは、州首相に「当然」
立候補する方針である。火曜日夜のテレヴィ番組の中で彼女は、オ
ーストリア労働者職員同盟の会議で、州議会選挙後には賛成多数
で、内務大臣ギュンター プラター(国民党)を、ヘルウィヒ フ
ァン シュターの後任の州首相にする、との決定が下されたことを
認めた。「多分そのようになるでしょう。しかし私は賛成したわけ
ではありません」と述べた。最終的には異なる結果となり、ファン
 シュターが農民連合および経済連合の支持を受けて、当分持ちこ
たえる可能性がある、と見ている。彼女は、早期に決着をつけるの
は間違いである、と考えている。また彼女は、ファン シュターの
後継者選びでは、自分とプラターだけが候補であるわけではない、
とも見ている。




6月11日(水

     国外ニュース

EU改革条約はアイルランドの国民投票を前に緊迫

アイルランドの約3百万人の有権者が木曜日に、EU改革に関するリ
スボン条約について投票を行なう。アイルランドは、EU加盟27カ
国のうち、国民が直接この条約の批准を行なう唯一の国である。投
票が行なわれるのは現地時間の7時から22時で、開票は金曜日の
9時に始まる。最初の集計予想は、午前遅くに予定されている。最
新の世論調査では、この国民投票の結果はぎりぎりになりそうであ
る。反対派、賛成派が、拮抗しており、質問を受けた人の約2割が
まだ決断を下していない。一方フィンランドとギリシアの国会は、
EU改革条約を批准した。

     国内ニュース

ツィルクはグーセンバオアーを社民党党首から解任するのに賛成

ウィーン市の元市長ヘルムート ツィルクは、連邦首相で社会民主
党党首のアルフレート グーセンバオアーの解任に賛成した。テレ
ヴィ番組のインタヴューで、ツィルクは昨日午後、グーセンバオア
ーには指導力が不足している、と非難した。連邦首相は連邦政府を
率いることができなければならないのに、今はいろいろな問題で騒
ぎまくるニワトリ小屋と同じようになっている、と述べた。また基
盤整備大臣ウェルナー ファイマン(社会民主党)は、社会民主党
は危機的状況にあることを認め、人事をめぐってでなく、内容をめ
ぐって議論するように求めた。




6月12日(木)

     国外ニュース

アイルランドではEU改革条約の国民投票

ヨーロッパ全体の目がアイルランドに注がれている。約3百万人の
同国国民が、EU改革条約に関する決定を下す。島国である同国の
投票は、最後に来て盛り上がっていた。選挙戦の最終日まで、熱の
こもった活動と、緊急声明が出された。賛成派は、アイルランドの
EU内部での役割が弱まることがないように、と警告している。反
対派はこれは、より良い取り引きをまとめる「歴史的な好機」であ
る、と見ている。世論調査によれば、投票結果はどちらになるかわ
からない。

     国内ニュース

カンプッシュに関する報告書で激しい対立

クリポ社の元社長ヘルウィヒ ハイディンガーは、カンプッシュ裁
判に関する調査報告書で、自らの正しさが認められた、と見てい
る。この報告書の中では、手違いがあったことが認められている
が、ナターシャ カンプッシュの尋問記録が公開されなかったこと
も批判されている。ハイディンガーは、自分自身は公表するように
何度も求めた、と述べた。この報告書は事件の「もみ消し」があっ
たと明言していないが、これにより国民党会派の調査委員会での役
員ヘルムート クーカッカが登場することになる。「情報の隠匿の
名人」であるとの自分に対する非難は、最終報告書で誤りであるこ
とが証明される、ともハイディンガーは述べた。




6月13日(金)〜14日(土)

休みです。



6月15日(日)

     国外ニュース

スレブレニッツァの虐殺でオランダに対する裁判が始まる

デン ハーグの民事裁判所で、スレブレニッツァの虐殺と関連し
て、ボスニア人がオランダを相手取って起こした裁判が月曜日に始
まる。原告は、オランダの国連軍兵士が、家族をセルビア軍の暴力
行為から守らなかった、と非難している。ボスニア戦争(1992年
から5年)の間、1995年7月にセルビア軍が侵攻し、約8千人のイ
スラーム教徒が殺されるまで、スレブレニッツァは、国連軍の保護
下にあった。この虐殺のため、国連戦争犯罪裁判所は、関与した者
に対する裁判数件を行なっている。オランダ政府は2002年に、国
連軍兵士は、自衛のための武装しか持っていなかったので、同市の
警備は同国の兵士には「成し遂げられない」任務であった、と述べ
ていた。

     国内ニュース

同性愛者の結婚ではプレルは国民党の反対派に勝利したと判断

明日審査期限が切れる同性愛者の結婚に関する提案は、国民党所属
の環境大臣ヨーセフ プレルは、同党内の「強い抵抗」に対しても
勝利した、と見ている。「私は国民党の肯定的な勢力ととみに、こ
の運動を実際に前に進めてきた」とAPA通信に彼は述べた。このよ
うな配偶関係をどの官庁で受け付けるか、という問題は、「重大な
問題に祭り上げられて」きたが、国民党にとって「中心的な問題で
はない」と述べてた。問題は、戸籍役場あるいは管区長事務所のい
ずれにするか、である。「私は個人的な意見を述べてきたが、よい
合意点に達することができている」と戸籍役場を支持していた彼は
述べた。「私たちは、態度声明と社会民主党の話し合いがどんな結
論になるかを見守るつもりだ」と述べた。一方緑の党はこの提案
を、平等が達成されていない、と批判している。またカトリック教
会は、これを厳しく拒否している。




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