11月15日〜21日のオーストリアのニュース



11月15日(月)

     国外ニュース

上海の高層ビル火災で42人が死亡

死者42人。これが上海の高層ビル火災の震撼すべき結果である。
この建物では、原因不明の火災が発生し、炎は改修作業中の足場か
ら急速に燃え広がった。当初は死者8人と言われていたが、消防が
数時間に渡って、火災を消し止めようと活動した後、この火災の規
模全体が明らかになった。犠牲者の捜索はまだ続いている。

     国内ニュース

イスライロフ事件でピルツはウィーンのテロ組織を探る

イスライロフ殺人事件の裁判開始を翌日に控え、緑の党の治安問題
の担当者ピルツは、チェチェーニア大統領カディロフが、正真正銘
のテロ組織をウィーンで活動させている、と非難した。ピルツはこ
の非難の根拠として、数回に渡ってウィーンで攻撃犯に襲われた非
政府組織の代表を例に挙げた。イスライロフ殺害で、カディロフが
自ら関与したということは、憲法に基づく人権のためのヨーロッパ
中央施設ECCHRの事務長と、イスライロフの家族の弁護士ナジャ
 ローレンツも確信している。




11月16日(火)

     国外ニュース

EUはアイルランドに緊急計画を押しつける

たとえアイルランドが頑固な態度を取っても、EUは譲歩せず、危機
に陥った同国に緊急計画を押しつけようとしている。大規模な支援
計画が、アイルランドの協力をもとに、EUと国際通貨基金によって
取りまとめられることになっている。非常の場合は、この計画に基
づいて資金を通常より早急に支払うことができる。これによりアイ
ルランド首相カウエンは火曜日に、アイルランドは支援を求めるつ
もりはない、と改めて強調した。同国はEUの政治家を絶望させてい
る。彼らはオイロの安定が脅かされる、と恐れている。

     国内ニュース

オーストリアは国外追放に関するヨーロッパ裁判所の判断を無視

ヨーロッパ裁判所EGMRは人権擁護のために、ギリシアへの追放中
止を求めているが、オーストリアはこれに従わない。ただし多くの
場合には「自己入国の権限」を行使するので、国際的には「ダブリ
ンII」協定に基づいて、ギリシア政府が担当する件ではあるが、オ
ーストリアでは亡命申請として扱われる。これに関する決定はヨー
ロッパ裁判所も関連している、と内務省報道官は昨日APA通信の質
問に答えた。ギリシアが難民に適切な亡命手続きのための条件を取
っていないため、この議論は数ヶ月前から続いている。憲法裁判所
は10月末に、亡命希望者の女性1人をギリシアへの引き渡しを、憲
法違反として拒否し、庇護に値する人々の引き渡し前には、オース
トリア当局が、ギリシアの関係者と個々の保護の約束をするよう求
めていた。




11月17日(水)

     国外ニュース

アイルランドがEUの支援を拒む理由 EU各国は歪んだ競争と判断

アイルランドは記録的な負債を抱えているにもかかわらず、EUから
緊急に経済支援を受けるのをためらっている。木の葉以後いは政治
的な計算がある。同国がこの資金を受け取ると、EU内部の比較で、
最低の水準である12.5%の法人税の最低税率が廃止されかねない。
この優遇税制が外国企業の誘致の目玉であり、他の加盟国にとって
は競争の点から言って、目の上のたん瘤である。アイルランド以外
のEU加盟国は、多国籍企業の利益と税金を得ようとして競い合って
いる。

     国内ニュース

支出削減計画で大幅な対立 調査報告期間が終了

水曜日に政府が作成した予算関連法案の調査期間が終了した。関係
法案の中には、2011年に向けて大小の政府の支出削減計画が含まれ
ている。これに合わせて、多くの批判が起きている。特に家族に対
する支出の削減計画は、広い範囲からの抵抗にあっている。各省庁
も支出削減の措置で、お互いを批判しあっている。そして異例なこ
とに、オーストリアからではなく、南アフリカ大使館が態度を表明
した。同大使館は飛行機の搭乗券に対する高額の課税は、出張や観
光に打撃を与える、と述べた。




11月18日(木)

     国外ニュース

首脳会談を前にリスボンは警戒を強化

金曜日と土曜日に、ポルトガルではNATO加盟28カ国の首脳会談が
始まる。これを前に広範な安全対策が取られている。境界は再び封
鎖され、人に対する監視が強められた。首都リスボン上空の飛行は
制限されたが、航空運輸の遅れは折り込み済みである。厳格な措置
にもかかわらず、既に数百のNATO反対派がポルトガルに滞在して
いる。土曜日には大がかりなデモが予告されている。首脳会談の会
場は、あらかじめ厳重に立ち入りが禁止されている。

     国内ニュース

科学大臣カールは研究の計画を擁護

科学大臣カール(国民党)は、大学外の研究機関に対する支出削減
を計画しているが、これがさらに混乱を招いている。国民評議会で
はカールが木曜日に、これらの研究所を大学に併合させるために、
金融支援を含む計画を擁護していていた。彼女はこれらの研究施設
の評価を行うことは拒否し、研究所の質を調査するのはあまりに高
価につく、と述べた。該当する研究所は、「オーストリア科学会
議」として合併し、大学との併合には意味がないと考えるならその
理由を呈示した。この言葉の選択では穏健過ぎる、と批判するもの
もいる。




11月19日(金)

     国外ニュース

NATO首脳会談は新たな戦略を可決 ミサイル共同迎撃態勢を取る

NATO加盟諸国は、リスボンで金曜日に開かれた首脳会談で、今後
10年の新たな戦略で合意した。事務長ラスムセンは金曜日の夕刻
にこれを発表した。NATOはこの新しい戦略で、国際テロ、大量殺
戮兵器の拡大、インターネットを用いた攻撃などの危険に対処す
る。今までのNATOの戦略は、1999年に策定されたものであっ
た。今まで激しく議論されていたミサイル迎撃問題でも、合意が成
立した。NATOは新たな戦略をたて、核兵器を持たない世界を目標
とする、とラスムセンは述べた。

     国内ニュース

教員問題での議論 国民党と社民党は対立

国民党所属の州首相が提案し、国民党党首のプレルも支持している
教育の権限のあり方が、連立相手の社会民主党の混乱を生んでい
る。教育大臣シュミート(社会民主党)は、この計画はすべての実
践に関する責任を、州に委ねており、「教育改革すべての終わり」
である、と見ている。ザルツブルク州首相ブルクシュタラー(社会
民主党)は、プレルと国民党所属の州首相との共同記者会見にいら
だちを表明した。彼女は「テレヴィ向けの演出」である、と述べ
た。首相ファイマン(社会民主党)は金曜日夕方に、自分は今後も
「連邦の立場」に立つ、と発表した。




11月20日(土)

     国外ニュース

歴史的歩み寄り ロシアはNATOにとって脅威ではない

リスボンでのNATO首脳会談では、土曜日に長い間敵対していると
の烙印を押されていたロシアとの関係が、新たな始まりを迎えた。
NATO事務長ラスムセンは加盟26ヶ国の首脳と、ロシア大統領メド
ヴェージェフとの会談後に、「私たちはあまりに長いあいだつきま
とわれていた幻を追い払った」と述べた。「安全にはまだ多くの課
題」があるが、過去とは異なり、もはや「相互に対する危険はな
い」とも彼は述べた。「しばらく以前に生じた困難」は克服できた
と見ているメドヴェージェフも、これを確認した。

     国内ニュース

首相の発言にもかかわらず教員問題で社民党と国民党は対立

連邦首相ファイマン(社会民主党)は、解決の見込みがない状態な
ので、教員問題の担当に関してこれ以上発言するのを止める方針
で、土曜日には国民党が急かしている「担当を州に移す」ことをめ
ぐる話し合いを中止するように求めた。この議論を止めさせられる
かどうかは、まだわからない。新聞報道によれば、国民党党首で副
首相のプレルは、この問題は自分にとっては全く決着がついておら
ず、社会民主党が話し合いを避けている、と非難している、と社会
民主党党首のファイマンに伝えた、とのことである。このほかにも
今もなお、この問題を話し合う用意があるする声がたくさん上がっ
ていた。




11月21日(日)

     国外ニュース

EUは救済の傘を広げる アイルランド支援でオイロを安定化

アイルランド大蔵大臣レニハンが、EUの支援の申し出を受けたい、
と述べたことを受けて、日曜日にはEU加盟各国の大蔵大臣の電話
が忙しく鳴り響いた。夕刻には各国の蔵相が、基本的には危機に揺
れるアイルランドに対して、巨額の支援対策を取ることで合意が成
立した。迅速な支援を取る目標は、オイロの安定化を図ることであ
る。アイルランドの法人税が安いことに関しては、この支援にどの
ような条件が付けられるかはまだ未定である。

     国内ニュース

緊縮予算で労組は「制度の変化」を求める

オーストリア労働組合連合会長フォークラーはテレヴィ番組で、国
の富の分配をより公正にするよう、強く求めた。政府のたてている
緊縮予算を念頭に置いて彼は、家族ではなく、平均的な持ち家を持
つ人を除いた大きな財産を持つ人の負担を増やすことを求める意見
を述べた。フォークラーは、「制度の転換」が時機を失した、とも
述べた。国民党にとっては、労組会長のこの発言は中途半端である
が、社会民主党は内容全体に渡って、彼の意見に同調している。




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