10月15日〜21日のオーストリアのニュース



10月15日(月)

     国外ニュース

支出削減で危機から脱出できるか? 突然の方針転換

国際通貨基金は、危機が起きた場合には、負債に苦しむ国々に対す
る最重要避難所である。数十年前から複数のヨーロッパの債務国が
EUと国際通貨基金の「保護」下にある。他に道がないように見える
場合に初めて、国際通貨基金に頼る。そしてそれには十分な理由が
ある。国際通貨基金は、巨額の負債を行なうための条件として、常
に厳しい支出削減計画を求めている。しかし国際通貨基金は、専門
家にとっては物議の元となる長年にわたるこの基本方針を放棄し、
過大な支出削減を行わないように、と警告した。過大な支出削減を
行えば、債務危機は決定的な影響を与えるかもしれない、とのこと
である。

     国内ニュース

フェクターは予算案を提出 支出削減目標を高く掲げる

火曜日の予算演説を前に、明らかになっていることがある。自ら掲
げた目標に、財務大臣フェクター(国民党)は到達できないだろ
う、ということである。特に必要な銀行支援の規模を、財務相は過
小評価していた。さらに専門家は、修正された数字に関しても、楽
観的な景気動向の推測から、スイスとの租税協定でもたらされる不
確実な巨額資金まで、なお多くの疑問点がある、と指摘している。
それによれば、創造的で未来を指し示すような方向性は、あまり期
待できない。そうなればこれらの問題は、直ちに回答が求められ
る、と批判的な人たちは見ている。




10月16日(火)

     国外ニュース

EU首脳会談を前に独仏は対立路線

EU首脳会談を2日語に控え、フランスとドイツでは、改革の意志よ
りは、対立の意欲が感じられる。両国は2つの中心的な問題、オイ
ロ債権と銀行の共同監視の問題で、対立路線にある。この2つの問
題は、ドイツ政府にとっては手を染めてはならないものであり、火
曜日には再び明瞭にそのことが表明された。それに対しフランス
は、EUをオイロ危機から救い出すために、これらの必要性を主張し
ている。

     国内ニュース

フェクターの予算案に専門家は構造改革を望む

負債は来年には最高額に達する。その後は借金の山はゆっくり、し
かし再び小さくなる予定である。国会での予算を巡る議論はまだ始
まっていないが、専門家は火曜日に早くも、予算案の中に(手を入
れるべき)工事現場を指摘した。高等調査研究所所長コイシュニク
は、年金と社会給付制度の改革を中心に、修正を要請した。オース
トリア経済研究所のシュランツェンシュタラーは、病院などの構造
改革強化と、税制の改革を求めた。




10月17日(水)

     国外ニュース

イデオロギーではなく実績 中国共産党は影響力を確保

現中国大統領胡錦濤は昨年すでに、共産党内部の汚職と国民の人心
が離れたことに、警告を発していた。党と国家の権力交代を完成さ
せる党大会を前に、共産党はいくつかの事件の渦中にあり、ぐらつ
いている。しかし党は今なお、中心的な位置を確保しているように
見える。かつての有力者薄熙来のような妨害要因に対しては、厳し
い措置が執られている。国民が党員であることの利益も相変わらず
続いており、党は今なお「職業上の成功に対する一種の喜びの集
団」を保証している。

     国内ニュース

来年の予算 野党は暗い予想を描く

財務大臣マリーア フェクター(国民党)の国家予算案は、野党各
党から細かい反論を受けた。社会民主党と国民党は、オーストリア
は相変わらずよい道を歩いていると見ているが、緑の党、自由党、
未来同盟は水曜日の議論で、一致して政府と先日発表された予算案
を攻撃した。野党は高い負債の割合を批判し、行政改革で目につく
怠慢を批判した。自由党は歴史上最悪の債務状況を指摘し、未来同
盟党首ブーハーは、フェクターを「納税者の悪夢」と呼んだ。




10月18日(木)

     国外ニュース

活動家によれば「シリア人数万人が行方不明」

シリア政府と反乱勢力の戦闘は、収まることなく続いている。しか
しこれと並行して政府はさらなる作戦をとる可能性が高い。人権活
動家によれば、紛争が始まってから、2万8千人が「行方不明」とな
っている。他の情報源によれば、8万人が姿を消した。これは政府
側が反乱勢力の予備軍を、直接的に片付けた可能性があり、その家
族に何が起きたかは不確実ながら、反政府の人々の批判的な声を黙
らせている、と述べている。

     国内ニュース

金属産業の集団労働契約の交渉は合意の兆し

機械および金属産業の集団労働契約に関する交渉は4度目の話し合
いが行なわれ、大きな動きがあった。使用者側の交渉役シュミット
・シュミッツフェルデンは、話し合いの休憩中に「よい雰囲気」で
あり、両者の側に「問題のよりよい理解」が生じている、と述べ
た。両者は金曜日にも決着に達するかもしれない、と記者会見で述
べた。ただし彼は、いくつかの点でまだ隔たりがあるとしたが、そ
の詳細については述べなかった。今日の意見の歩み寄りに基づい
て、次回の交渉団の中では最終的な合意が提案される可能性もあ
る、とも語った。従業員代表のウィマー(製造業労働組合Pro-Ge)
とプロイアー(民間企業労働組合GPA)は、話し合いの雰囲気を賞
賛したが、交渉の行方には大きな障害がいくつかある、との懸念を
表明した。




10月19日(金)

     国外ニュース

ベイルートでの凶行 レバノン政府は圧力にさらされる

レバノンの警察秘密情報部長がベイルートで暗殺され、同国は震撼
している。同国の反シリアの反政府勢力は、この犯行の裏にシリア
政府がいる、と見ている。この組織は手始めとして、金曜日夜に、
レバノンの閣僚全員と、秘密情報部長の死の責任があるとされる首
相ミーカーティーの辞任を求めた。市内の数カ所で抗議活動が起き
た。以前の内戦を戦っていた組織相互の緊張が、再び高まるのでは
ないか、と懸念されている。

     国内ニュース

土地登記簿の手数料に関する新たな規則

不動産の贈与と相続および事業所の譲渡には、抜本的にお金がかか
るようになる。その原因は、統一価格の算出基盤が、販売価格に基
づいて変えられるためである。これにより土地登記簿への登記料
は、数倍に値上がりすることになる。激しい批判を受けて、担当す
る法務大臣カール(国民党)は、再検討していた。彼女の新しい提
案は、より近い親等の場合の遺産と贈与を例外とするものである。
企業に対しても、この優遇措置は取られることになる。




10月20日(土)

     国外ニュース

ギリシアは財務の高官をすべて解任する方針

まだ続いている債務危機との戦いで、ギリシアは前例のない急進的
な方針を、財務当局に対して取る計画である。土曜日に噂となった
法案によれば、財務、税関、脱税調査の部局長以上の官僚全員を、
職務から解任し、取り替えるというものである。後継には、任期の
ついた者だけを採用する計画である。

     国内ニュース

フェクターの税制計画 所得税を減税する方針

財務大臣マリーア フェクター(国民党)は、税制改革計画を具体
化した。日刊紙「クリール」とのインタヴューで彼女は、最低税率
を36.5%から25%に引き下げる、と述べた。さらに子供1人につ
き、7千オイロの非課税額が導入されル、とのことである。この改
革は2013年国民議会の選挙前に実施される。社会民主党が何度も
要求している財産税については、彼女は「経済的に意味がない」と
述べた。




10月21日(日)

     国外ニュース

ロムニーとオバマ 選挙に向け肉弾戦の日々

米国では大統領選挙戦は、多くの伝統と変えられない規則に縛られ
た政治領域であり、大統領オバマと対立候補ロムニーも、これに従
っている。泣き叫ぶ赤ん坊を撫でることから、焼いた巨大なソーセ
ージを人前で食べる技術に至るまでが、その一覧に載っている。
「体の押しつけ」は、投票してくれそうな有権者と出会った時に、
候補者が日々行なう肉弾戦を表わす的確で飾りのない政治用語であ
る。候補者にとってとは異なり、見ている人には「体の押しつけ
(握手攻勢)は、米国の選挙戦のきわめて面白い一コマである。

     国内ニュース

兵役義務 ダラボスに対する軍内部からの新たな批判

兵役義務の賛否を決める議論は、国民の祝日とウィーンの英雄広場
での伝統的な軍の展示会を数日後に控え、激しさを増している。昨
日は軍内部の文書が発表されたが、これは国防大臣ダラボス(社会
民主党)に対して、職業軍の経費の点で大きな異議を突きつけてい
る。それによれば、今まで国防省が発表している倍の経費がかか
り、年1億オイロ以上になる、というものである。ダラボスの算出
では、多くの費用が考慮に入れられていないだけである。ダラボス
はこの批判を「職業軍反対派が数字をもてあそんだものだ」と批判
している。



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