2月4日〜10日のドイツのニュース



2月4日(月)と5日(火)


お休みです。




2月6日(水)

フランスは3月にマリからの部隊撤退を開始する方針

フランス政府の発表によれば、マリ北部のイスラーム教徒反乱勢力
は、ますます抵抗を強めている。国防大臣ジャン・イヴ ル ドリ
アンは、兵士が解放された都市の周辺で巡回を開始してから、戦闘
をいとわないジハード組織との衝突が増えており、ガオ地域に残留
した反乱勢力は、ミサイルを発射した、と述べた。フランスがマリ
での軍事活動を開始してから4週間ほどの時点で、ル ドリアンは
初めて犠牲者の数を発表した。1月11日以降の空爆と戦闘で、数百
人のイスラーム教徒が殺害された。フランス側の死者はヘリコプタ
ー操縦士1名である。外務大臣ローラン ファビウスによれば、3月
にはフランスは西アフリカのマリから段階的に部隊の撤退を開始す
る方針である。現在マリには約4千人のフランス兵が駐留してい
る。西アフリカ諸国経済共同体ECOWASの部隊が、フランス軍の後
を受けることになっている。

     その他のニュース

チュニジア野党の重要政治家が暗殺されたことを受け抗議活動

チュニジアの野党の有力政治家ベライドが暗殺されたことを受け、
同国の複数の都市で抗議活動が行われた。メッズーナ市では、与党
イスラーム教のアンナハダ党の事務所が放火され、カフサでは同党
の事務室が襲われた。左派的な野党民主愛国者党の議長であるベラ
イドは、自宅前で数発の銃弾で殺された。ベライドは、現政権の厳
しい批判家と目されている。首相ジェバリは、この行動を非難し、
政治的な暗殺である、と述べた。北アフリカのチュニジアでは、
2年前にいわゆるアラブの春が始まり、その後隣国に拡大してい
た。チュニジアは現在、イスラーム教徒が中心の政権に率いられて
いる。

ドイツの銀行家に対するより厳しい規則

連邦政府はドイツの銀行に対する規制を押し進めている。内閣は、
銀行が独自の責任で行なう投機的な取引から、貯蓄を区別しする法
案を可決した。その他に銀行と保険会社の経営陣には、きわめて危
険性の高い取引を行なって、自分の会社を苦境に陥らせた場合に
は、懲役刑が科される可能性がある。さらに連邦金融業監視調査局
BaFinは、いわゆる銀行契約を作り、税金を投入することなく、複
雑かつ大きく危機に取り込まれた銀行の事後処理を容易に行なえる
ようになる。今までは疑わしい取引があった場合に、銀行業界はほ
とんど刑罰を恐れる必要がなかった。この法案がこの任期中に法制
化されるかどうかは疑わしい。社会民主党と緑の党が、連邦参議院
で過半数を持っているため、連邦政府のこの計画が成立するには十
分ではない。

連邦教育大臣は博士号剥奪後も辞任しない意向

連邦教育相シャヴァーンは、博士号の剥奪後も辞任しない方針であ
る。南アフリカ訪問中の彼女は、デュッセルドルフ大学による学問
上の成果の剥奪に、法的な措置をとる、と述べた。同大は、彼女の
学術論文の中に剽窃があったとして、火曜日に博士号を剥奪してい
た。担当する人文学部委員会は、全体の印象から見て、言葉の借用
が多数に上りまた構造にかかわっており、脚注と参考文献一覧の書
名が示されておらず、シャヴァーンは彼女の1980年のこの論文の
中で、計画的かつ意図的に、実際には自分では作り上げなかった思
想上の業績を提出していた、と判断した。57歳のシャヴァーンに対
する政治的な圧力は強まっている。野党は、彼女は教育・研究大臣
としてはもはや信頼できないので、支持できない、と見ている。シ
ャヴァーンは連邦首相メルケルの信任が厚い人物と目されている。




2月7日(木)

チュニスでは再び騒乱

チュニジアでは、野党の主要な政治家ショクリ ベライドが暗殺さ
れた後、2日続けて騒乱が起きた。首都チュニスでは、警察はデモ
隊に対して催涙ガスを使用した。群衆は「国民は体制の転覆を望ん
でいる」と唱えた。デモは南部のカフサでも行なわれた。こうした
抗議活動を組織したのは野党「国民戦線」で、これは水曜日に何者
かに殺害された野党の政治家ベライドが属していたのと同じ左翼政
党の連合体である。暗殺後には全国で抗議活動が起き、一部では激
しい騒乱が始まった。首相ハマディ ジェバリはこれに対して、専
門家による政府の樹立で応える、と予告した。ただしこの措置は、
イスラーム教のアンナハダ党の抵抗にあって失敗する恐れがある。
野党勢力が全面ストライキを呼びかけたことを受け、弁護士と裁判
官は、全土に同盟ストに入った。チュニス近郊のマンドウバ大学の
教員たちも、ストを行なった。フランスは治安面の事情から、チュ
ニジアにあるすべてのフランス人学校を、少なくとも土曜日までは
閉鎖した。

     その他のニュース

イランは核をめぐる直接対話に関する米国の申し入れを拒否

西側と核をめぐって対立しているイランの、宗教界の最高指導者ア
ヤトッラー アリ ハメネイは、米国との直接対話を拒絶した。彼
はインターネット上の自分のサイトで声明を発表し、米国がイラン
を制裁し続けている限り、対話を行なうことはない、と記した。こ
のような提案にイランは惑わされることはない、とのハメネイの言
葉を引用した。彼の言葉は、憲法上はイランのあらゆる政治的観点
で、最終的なものである。大統領アフマディネジャド、外相サーレ
ヒも、米国副大統領バイデンの直接対話の申し入れに対して、おそ
らくは米国およびEUからの制裁を弱めるために、慎重ながらそれに
応える容易がある、と発表していた。この制裁はイランを経済危機
に追い込んでいる。しかしイランには、問題の核計画を中止する用
意はない。

EU首脳会談は国家予算をめぐる対立解消を目指す

11月の首脳会談が不調に終わったことを受け、EU加盟27箇国の首
脳がブリュッセルで、EUの複数年の予算をめぐる対立を調停するた
めの新たな試みに取り組んでいる。EU委員会は2014年から20年に
かけて、1兆オイロ以上の予算を求めており、これはドイツの他の
EU諸国はあまりに多額すぎる、として拒否している。EU評議会議長
ファン ロンパウは会議の冒頭で、新たな妥協案を提示する方針で
あるが、それを取りまとめようとさらに努力を続けている。対立点
は、実質的支払い国、つまり補助金の形で受け取っているよりも、
多くの資金をEUに支払っている国々の間での公平な負担の分担であ
る。ドイツ政府は既に、いかなる場合にもドイツは、今後7年間で
EUにこれ以上の金額を支払うよう準備せざるを得ない、と予告して
いる。この交渉では、EUの巨額の資金を、個々の政治分野、例えば
農業支援、研究、貧しい地域の支援等にどのように分割するかも話
し合われる。

オバマは無人偵察機投入に関する機密文書を公開

米大統領オバマは予想に反して、問題となっている米国の無人偵察
機に関する機密文書を、米国議会に提出する方針である。閣僚の一
人が、大統領は司法省にこれに関する指示を出した、と述べた。こ
れはオバマはおそらく、問題のこの武器に関する先の新聞報道に応
えたものである。無人の軍用機いわゆる「ミツバチ」の投入は、米
軍と秘密情報部のテロとの戦いでの軍備に必ず伴うようになってい
る。米国は過去10年で無人偵察機の使用で、外国の領土で、遠隔操
作によって、ほぼ3千人を殺害した。法的に見た事態が不透明であ
り、民間人の死者がおそらく多くに上っているため、オバマ政権に
対して、武装した無人偵察機を投入するための内規を公表するよう
に、との圧力が過去数ヶ月強まっている。




2月8日(金)

EU加盟諸国は予算をめぐる妥協することで合意

EU加盟諸国は、ブリュッセルでの首脳会談で、新たな財政計画に合
意した。各国首脳は基本的に、議長へルマン ファン ロンパウの
提案に従った。妥協した条項には、総額9千6百億オイロのEU財政
計画の責務と、実質的な支払額としては9,080億オイロを超える金
額、および12兆オイロの安全確保のための緩衝資金が含まれてい
る。EU委員会は2014年から20年の予算としては、1丁オイロを要
求したが、多くの国家がこれはあまりに巨額すぎるとして拒否して
いた。争点となったのは、財政機の全体の額の他、農業や研究など
様々な予算上の費目に対する資金の配分であった。これより前に、
ファン ロンパウが、ドイツ首相アンゲラ メルケル、フランス大
統領フランソワ オランド、英国首相デイヴィッド キャメロンら
と集中的に話し合った。この予算には、今後ヨーロッパ議会の賛成
が必要であるが、マルティン シュルツは、既に拒否すると予告し
ている。彼は、520億オイロの赤字があると、信頼できる政策を実
行できない、と述べた。

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数万人がベライドの葬儀に出席

数万人のチュニジア人が、暗殺された野党の指導者ベライドの埋葬
に参加した。彼らは政権を担当するイスラーム教徒たちが、ベライ
ドの死を引き起こした、と声を合わせて叫んだ。葬儀と並行して、
衝突が発生した。警察は催涙ガスを使用した。チュニジアの首都チ
ュニスの中心部でも、警官が数十人のデモ隊に対して、催涙ガスで
対処した。48歳のベライドは水曜日に自宅前で、数発の銃弾を受け
て死亡していた。その後全国的に抗議活動が行われ、暴力的な衝突
が起きた。犠牲者の家族と野党勢力の一部は、政権を持つイスラー
ム教徒のアンナハダ党が、ベライドの死に責任がある、としてい
た。全面ストが金曜日に各地で行なわれ、同国の機能は麻痺した。
銀行、国情、商店は閉まったままである。労働組合UGTTと複数の
野党が、ストへの参加を呼びかけていた。

北東マリの都市テサリットが奪還される

フランスとチャドの兵士が、戦略上重要なマリ北部の都市テサリッ
トに到達した。フランス外務省公報は、部隊が武装したイスラーム
教徒の最後の拠点にある空港を制圧した、と述べた。同市はアルジ
ェリアとの国境から90キロ足らずのところにある。木曜日夕刻には
フランスとチャドの部隊が、キダルと手サリットの間にあるアゲル
ホック市を管理下においていた。数日前から、アゲルホックとテサ
リット周辺の地域は、フランス軍の空爆の目標であった。フランス
は1月11日にマリに軍事的に介入し、他のアフリカ諸国の兵士と協
力して、同国北部を支配下に収めていたイスラーム教徒を攻撃して
いた。

イラクでは連続攻撃後多くの死者が発生

イラクでは連続攻撃が行なわれ、警察の情報によれば、少なくとも
26人が死亡した。爆発物が、シーア派が多くすむ各地域の市場で爆
発した。首都バグダードだけで、2件の爆発があった。詳細はまだ
発表されていない。イラクでは先に、攻撃が発生していた。その多
くが、急進派イスラーム教徒アル カーイダのイラク支部によるも
のである。この組織は同国のスンナ派に対し、シーア派の首相マリ
キが率いる政府に抵抗する武装活動に参加するように、呼びかけて
いた。




2月9日(土)

連邦教育大臣シャヴァーンは辞任

剽窃事件で批判にさらされている連邦教育大臣アネッテ シャヴァ
ーンは辞任する。連邦首相アンゲラ メルケルは、シャヴァーンの
辞任は残念であると述べ、彼女ははっきりした特徴のある教育大臣
である、と評価した。デュッセルフォルフ大学は、彼女の博士号を
剥奪したが、それは彼女が1980年に執筆した博士論文に、意図的
に明らかにしない形で、多くの引用を行ない、使用した文献を上げ
なかったためである、とした。シャヴァーンは彼女の博士号の剥奪
を、法的に異議を唱える方針である。彼女は手抜かりがあったこと
は認めたが、意図的な剽窃であったこは否定した。新連邦教育大臣
としてシャヴァーンの後継者になるのは、ニーダーザクセン州教育
大臣ヨハナ ヴァンカである。

     その他のニュース

吹雪が米国東岸を麻痺させる

激しい吹雪が、米国北東部で大きな障害を生んでいる。数十万人の
米国人が、電気なしでやって行かなければならない。救護所は、初
めて死亡の事例を報告している。マサチューセッツ州では、原子炉
が停止した。ニュー ヨーク州のロング アイランド島では、数百
の自動車が雪に閉じ込められた。ニュー ヨークおよびその周辺の
3つの空港、ボストン、プロヴィデンス、ポートランドの空港での
航空機の離着陸は、一時的に中止となった。鉄道交通も吹雪の巻き
添えになって、麻痺した。ボストンでは車の運転禁止が科された。
百万都市ニュー ヨーク市長ブルームバーグは、住民に家から出な
いように呼びかけた。

アサドは内閣を改造

シリア大統領アサドは、内閣のいくつかの閣僚を交代させた。国営
通信者Sanaは、労働省と社会福祉省の2つの官庁が、新たに作られ
た、と報じた。その他に建設大臣、公務員大臣、農業大臣、石油お
よび天然資源庁大臣、財務大臣の5人を新たに指名した。内閣改造
の理由は公表されていない。シリアの経済は、2年ほど前から続く
アサドの支配に反対する反乱のために、地に落ちている。金曜日に
は政府は、野党に対して前提条件なしで対話を行なう、と約束して
いた。対話に向けた扉は開かれている、と情報相スビはテレヴィで
述べた。

エジプトではYouTubeが遮断される

エジプトではインターネット上のYouTubeが、反イスラーム教的な
内容を広めているとして、1箇月間閉鎖される、とのことである。
カイロの裁判所は判決で、あるエジプト人が米国で制作した映像を
取り上げた。この映像では預言者ムハンマドが色男の同性愛者とし
て侮辱されている。この禁止は、この映像を公開する他のインター
ネット上にある別のサイトにも適用される。裁判所は、このページ
を閉鎖するように、とのエジプト政府の決定に対して裁判を起こし
た弁護士の立論に賛成した。これ以前の裁判では、この映像に対す
る7人の責任者が、別のエジプトの裁判所での欠席裁判で、死刑が
言い渡されていた。




2月10日(日)

チュニジア危機は深まる

チュニジアの国内政治の危機の最中、大統領モンセフ マルズーキ
率いる世俗政党が、連立政権から離脱した。同党「共和国会議」
は、政権を握るイスラーム教政党アンナハダ党の危機管理に関する
不満と、首相ハマディ ジェバリが求めた内閣改造をめぐる対立
が、離脱の理由である、と発表した。この措置は、チュニジアの政
治危機を深刻化させる可能性がある。アンナハダ党は日曜日に、内
閣改造を協議する方針であった。保守派は中道のジェバリの提案を
拒否している。

     その他のニュース

国際マリ派遣部隊の駐留は数年続く可能性

連邦国防相デ メズィエール(キリスト教民主同盟)は、マリの国
際部隊の活動は数年間続く可能性がある、と見ている。彼は新聞の
インタヴューで、情勢安定のために、外国兵が必要な期間は1年な
のか、3年なのか、明言できる人はいない、と述べた。また彼は、
マリでドイツ国防軍が戦闘活動を行う可能性を、改めて否定した。
イスラーム教徒反乱勢力がマリ軍とフランス軍によって、ティンブ
クトゥ追放されてからほぼ2週間、オアシスの都市である同市で
は、大規模な墓地が発見された。通信社の報道によれば、犠牲者は
アラブ人商人のようだ、とのことである。フランス軍とマリ軍は、
北部へ侵攻しており、1月28日には戦闘をすることなくティンブク
トゥを占領していた。その直後に住民はアラブ人の商店を襲った。
住民たちはこのアラブ人たちが、数ヶ月に渡るイスラーム教徒によ
る同市の占拠期間中に、アラブ人と結託していた、と非難した。

米国将軍ダンフォードがISAFの指揮を引き継ぐ

米国の将軍ダンフォードが、NATOが主導する国際アフガニスタン
保護部隊ISAFの最高指揮権を引き継いだ。厳重な警備が引かれた
カブールの同軍の本部での式典で、前任の将軍アレンは、19箇月の
在任を終えた。ダンフォードの主な任務は、外国部隊が中心となっ
ている軍の2014年末までの撤退を組織化することである。アフガ
ニスタン大統領カルザイは、招待を受けたもののこの引継式典には
出席しなかった。アレンの任期中には、治安の任務の多くが、アフ
ガニスタン警察と軍に委ねられた。彼は今後はヨーロッパのNATO
軍の最高指揮権を引き継ぐことになっている。

核をめぐる対立でイランは西側からの圧力を批判

イランは核をめぐる西側との対立で、強硬姿勢を貫いているが、西
側がイランに対して科した経済制裁を破棄するのであれば、対話を
行なう用意が原則的にはあるとの方向を示した。大統領アフマディ
ネジャドは、イスラーム教革命34年を記念するテヘランでの大規模
集会で、イランは今日、西側が望むと望まないとにかかわらず、核
技術を持つ国であり、米国政府と2国間交渉で核計画の内容的な側
面について話し合うのは、米国がイランに対する行動を抜本的に修
正してからである、と述べた。また対話はお互いを尊重し、同じ権
限を持っている場合にのみ行なわれ得るものであって、経済制裁の
圧力の元では行なえない、とも語った。米国は先に繰り返して、イ
ラン政府と問題の核計画をめぐる直接対話を行なう用意がある、と
発表すると同時に、先週半ばには、さらなる制裁を実行に移す、と
も述べていた。イラン政府が全国各地で主催している1979年のイ
スラーム教革命の記念式典には、数十万人のイラン人が出席した。




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