11月4日〜10日のドイツのニュース



11月4日(月)

ムルシの裁判は開始直後に延期

失脚したエジプト大統領モハメド ムルシに対する裁判は、開始直
後に、1月8日まで延期された。エジプトで初めて自由選挙で選ばれ
た大統領である彼は、裁判所を承認せず、また弁護士に代弁させる
ことも望んでいない。裁判所の建物の前では、イスラーム教徒であ
る彼の支持者と反対派が衝突を起こした。ムルシとイスラーム教徒
兄弟団に属する14人の被告は、暴力行使をそそのかした容疑で、責
任を問われている。彼らには、昨年12月にデモ隊に死者が出たこと
に共同責任がある、との容疑が持たれている。ムルシおよび同時に
訴えられた人々は、有罪判決が出れば、終身拘留ないしは死刑が言
い渡される可能性がある。

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イランでは米国を敵視する抗議活動

テヘランの米国大使館襲撃の34周年記念日に、イランでは数千人が
米国に反対するデモを行なった。両国の間では最近歩み寄りに向け
て事態が進展しているにもかかわらず、過去数年よりも多くの人が
この集会に参加した。保守派組織が帯びかけたこの抗議行動は、イ
スラエルにも向けられている。報道機関によれば、イスラーム教徒
のバシジ民兵の首領ナクヒディなど、保守派の要人がこの集会に参
加した。先には米国との緊張緩和が明らかになってきていた。穏健
派と目されるロウハニが、6月に大統領に選ばれた後、西側との関
係を改善し、核をめぐる対立の解決を目指すとの方向を示してい
た。9月にはロウハニと米国大統領オバマとの歴史的な電話会談が
行われた。

ロシアの国家主義者が反外国人の抗議活動

数千人の超国家主義者がモスクワおよびその他のロシアの都市で、
移民に対して抗議した。彼らは入国条件を強化し、「ロシアをロシ
ア人に」と唱えた。一部は黒い覆面をかぶった急進右派の集会は、
国家統一の記念日をきっかけに開かれた。警察は参加者は8千人、
主催者は2万人と発表した。人権活動家たちは、この行動は多民族
国家ロシアに於ける、人種問題を拡大する、と批判した。彼らは中
央アジアおよびカフカス出身の労働者を狩り立てることになる、と
述べた。3週間前には、若いロシア人がアゼルバイジャン人によっ
て殺害されたことで、モスクワでは外国人を敵視する暴動が起きて
いた。ロシアのインターファクス通信社は、モスクワでの集会に際
して、およそ30人の参加者が逮捕された。5千人の治安部隊が出動
した。

EUはコソヴォ地方選挙での暴力を非難

EUはコソヴォ地方選挙で、急進派セルビア人による残忍な暴力事件
を非難した。EU外務委員アシュトンの広報はブリュッセルで、これ
以外の点では投票は整然と信仰した、と述べた。ドイツ連邦政府
は、日曜日の突発的な暴力事件のせいで、この地域における「理性
と調整が導く方向性」が維持できなくなる、と発表した。首相メル
ケルの広報はベルリンで、これがセルビアとその一部をなしていた
共和国の間の「正常化への道の重要かつ勇気ある一歩」である、と
述べた。北部の都市ミトロヴィッツァでは、覆面をしたセルビア人
急進派が、投票所を襲撃し、有権者を殴り倒し、投票箱を破壊し
た。投票の順番を待っていた市民たちは、催涙ガスを投げつけられ
た。NATOが指揮する国際保護部隊KFORは、ミトロヴィッツァだけ
でなく、ツヴェキャンにも出動しなければならなかった、その後兵
士は、投票用紙を北部から首都プリシュティナへ輸送するのを警護
した、と発表した。




11月5日(火)

ヴェスターヴェレは英国大使を外務省に呼ぶ

連邦外務大臣グイド ヴェスターヴェレは、新たなスパイ疑惑が浮
上したこと受け、ベルリン駐留の英国大使を外務省に呼んだ。外交
業務を行なう室内からの通話の盗聴は国際法違反の行為にあたる、
と外交官サイモン マクドナルドに指摘した、と外務省広報はその
後に発表した。米国大使ジョン エマーソンとは異なり、マクドナ
ルドは公式に出頭させられてはいない。ロンドンの新聞「インディ
ペンデント」は、秘密情報部GCHQは、ベルリンの英国大使館の屋内
で聴音施設を動かしている、と報じていた。

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EU委員会は景気後退が終了すると予想

オイロ使用地域の経済は来年1.1%成長する、とEU委員会は見積もっ
ている。EU経済委員レーンは、これによりヨーロッパは景気後退を
克服し、オイロ使用地域の新たな負債借り入れは、差し引きの結果
減少する、と述べた。ただしEU委員会は、秋の景気予想の中で、フ
ランスとスペインは負債を制御できない、と非難している。EU委員
会は、今年はまだ経済実績は0.4%の減少を予想している。またこの
予想によれば、失業は来年相変わらず12.2%で変化していない。

IMF、EU、欧州中央銀行の3極のギリシア訪問に抗議活動

ギリシア政府の支出削減政策が原因となって、ギリシアの国家公務
員たちは、再びストライキを行なうと予告した。彼らは水曜日には
24時間ストを行なう方針である。官庁、学校、博物館や美術館は休
業する。そのほか航空管制官労働組合もストライキを数時間行なう
方針なので、結構が予想されている。この新たな抗議活動は、EU、
国際通貨基金、ヨーロッパ中央銀行からなる「3極」の訪問に合わ
せて行なわれる。3極の代表は、ギリシア政府の改革および支出削
減の努力を調査することになっている。諸外国の資金提供者は、ギ
リシアが今年は、25億ないしは29億オイロの国家予算の不足と発表
するのではないか、と懸念しており、さらなる支出削減を求めてい
る。これに対してギリシア政府は歳入不足は5億オイロに過ぎない
と見積もっており、改革および脱税対策で歳入不足を解消する方針
である。首相サマラスは、給与や年金のこれ以上の発言はいかなる
ことがあっても行わなわない、としている。

シリア和平会議への招待で合意が成立

シリア平和会議の準備で、招待書簡の文言で合意が成立した模様で
ある。米国とロシアの代表と国連特使ブラヒミは、ジュネーヴで合
意に達した、とdpa通信は交渉関係者の話として伝えている。しか
しその日程は相変わらず未定である。この会議は、シリア内戦を終
わらせるために、政府と反政府勢力が交渉の席に着くものである。
ただし反政府勢力組織の中には、参加しない意向である。そのほか
反政府勢力は、大統領アサドの人を求めているが、アサドはこれを
拒否している。アサドの同盟国イランが招待されるかどうかも問題
である。ロシアは賛成しているが、米国はイラン政府が国連安全保
障理事会で合意したシリアの政界変動という目標を支援する場合に
のみ、交渉の席に着くことを認める方針である。




11月6日(水)

連邦政府はスノウデンのモスクワでの事情聴取を検討

連邦議会の秘密情報部監視委員会は、米国秘密情報部に対するスパ
イ疑惑に関して、改めて協議をした。連邦内務大臣ハンス・ペータ
ー フリードリヒ(キリスト教社会同盟)は、委員会の特別会議後
に、米国秘密情報部元職員エドワード スノウデンは政治的に弾圧
されていないため、ドイツに亡命する権利を持っていない、との連
邦政府の立場は変わらない、と述べた。同委員会議長トーマス オ
パーマン(社会民主党)は、NSAの秘密を暴露したスノウデンを困
難な状況に追い込むことなく、モスクワで事情聴取できるかどう
か、連邦議会は検討するように求められている、と説明した。また
オパーマンは、スノウデンが事後に引き渡しされる可能性が完全に
排除できないのであれば、ドイツに招くことはできない、とも語っ
た。先週モスクワでスノウデンと話し合った国会議員ハンス・クリ
スティアン シュトレーベレは、緑の党を代表して、情報提供者の
ドイツへの受け入れを改めて要請し、彼の報告がなければ、連邦首
相アンゲラ メルケルの携帯電話が、今日もなお盗聴されていただ
ろう、と述べた。

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詐欺容疑のイスラエル元外相には無罪判決

元イスラエル外相リーバーマンは、エルサレムの裁判所から、汚職
容疑の裁判で、無罪判決を受けた。裁判官たちは全員一致で、保守
派の政治家に対する容疑を放棄する、との決定を下した。これによ
り、極右政党「我が家イスラエル」党首である彼が、政治の舞台に
復帰する道が開かれた。55歳の彼は昨年、ある大使の任命に関連し
て、詐欺と職権乱用があったとの彼に対する容疑が高まったことを
受け、職を辞していた。リーバーマンの政党は、首相ネタニヤフの
右派的なリクード党と共に、選挙連合を続けている。ネタニヤフは
裁判の間中、外相職を同盟関係にあるリーバーマンのために空けて
置いた。リーバーマンは、パレスチナ人との和平交渉を厳しく批判
する人物と見られている。

エジプトの上級裁判所はイスラーム教徒兄弟団禁止を確認

エジプト司法は、イスラーム教徒兄弟団の撤回を求める緊急の申し
立てを拒否した。首都カイロの裁判所は、この申し立てを許容でき
ない、と判断した、と公の中東通信社が伝えている。それによれ
ば、9月末に第一審で課された禁止に対する異議は、今後も迅速手
続きなしで扱えることになる。9月23日には裁判所は、失脚した大
統領ムルシのイスラーム教徒兄弟団の活動全体を禁止し、その所有
物を差し押さえさせた。この禁止はこのイスラーム教徒組織の下部
組織全てに適用される。ムルシが7月上旬にエジプト軍により失脚
した後、当局はイスラーム教徒兄弟団に対して、厳しい措置をとっ
ていた。当局はカイロでの抗議の野営地を暴力を用いて解散させ、
多くの幹部を逮捕した。ムルシ自身も権力を失って以来、秘密の場
所に留め置かれていた。月曜日から彼は裁判を受けている。

海洋裁判所は逮捕されたグリーンピース活動家の審理を行なう

ハンブルクの国際海洋法裁判所は、グリーンピースの船「北極の夜
明け」とロシアで逮捕された環境保護派と通信員30人の事件の審理
を行っている。この砕氷船がその旗を掲げているオランダが、同船
とその乗組員の釈放を求めてこの裁判所に訴えていた。ロシアはこ
の審理には参加しておらず、同裁判所が担当することを否認してい
る。モスクワでグリーンピースの活動家は、モスクワ川をゴムボー
トで連邦政府の建物に向けて進み、同志の釈放を求めて抗議してい
た。9月中旬にロシア当局は「北極の夜明け」を北海で押収し、そ
の乗組員を逮捕した。グリーンピースは、乗組員は国営企業ガスプ
ロム社の石油産出施設に対して、平和的に抗議していた、と述べて
いるが、ロシア司法は当初、彼らは海賊であると非難していたが、
その後「不法行為」容疑に切り替えていた。




11月7日(木)

アラファトの死の鑑定書が新たな疑問を投げかける

パレスチナ大統領ヤセル アラファトの死因を調査するスイスの専
門家たちは、PLOの設立者でもある彼が、放射性物質ポロニウム210
を含む毒物で死亡したことを、認めるつもりも否定するつもりもな
い。ローザンヌ大学病院の放射線物理学研究所の専門家たちは、
108頁に及ぶ鑑定書を公表し、毒殺であるとの決定的な証拠はな
い、と強調した。彼らはアラファトの遺骨と衣服の一部を調査し、
その中に高いポロニウムの値を検出していた。同研究所長フランソ
ワ ボシュは、確実なことを言うためには、遙かに多くの情報が必
要であり、この分析は時に困難であったのは、アラファトの死と調
査開始の間に8年間が流れていたためである、と述べた。従って専
門家たちは、アラファトの死の謎解きを終えることはできなかっ
た。
毒殺されたとすればその主な容疑者はイスラエルである、と多くの
パレスチナ人は見ている。ただしパレスチナ人の中の有力な対立者
にも、年老いたアラファトを殺害する意志があった、と疑われてい
る。

     その他のニュース

ムッラー ファズルッラーがパキスタンのタリバーンの新首領に

女子生徒ユサフザイが襲撃されて1年と少し経ったが、パキスタン
のタリバーンはこの犯行をひき起こした指揮官を、彼らの新指導者
に指名した。評議会は、スワット渓谷出身のファズルッラーを、上
部機構の新たな首領に指名した、とタリバーンの広報は発表した。
今までタリバーンの指導者を務めていたメスフードは、先週政府と
の間で予定されていた和平交渉の直前に、米国の無人機による攻撃
で殺害されていた。タリバーンはこの会談を今ははっきり拒否して
いる。ファズルッラーのタリバーン組織は、2012年10月のユサフザ
イを襲撃したと発表し、諸外国に恐怖をまき散らしていた。当時
15歳だった彼女は、狙って頭部を銃撃され重傷を負ったが生き延び
ていた。彼女はそれ以来、世界各地で少女教育のために全力を挙げ
ている。現在彼女は英国のバーミンガムで暮らしている。

ヨーロッパ中央銀行は基準金利を過去最低に引き下げる

ヨーロッパ中央銀行は、オイロ使用地域の基準金利を突然記録的に
低い0.25%に引き下げた。同銀はフランクフルト アム マインで
評議会を開いた後、これを発表した。金融市場では先日、投資家の
中にはこの措置がとられると予測している者もいた。同銀のこの措
置は、オイロ使用17箇国の物価上昇が最近鈍くなっていることに対
処するものである。10月の物価上昇率は0.7%となり、同銀の目標値
を大きく下回っている。同銀は2%以下の物価上昇率の場合、価格は
安定していることになる、と述べた。金利引き下げ後、ドイツ株式
指数DAXは、記録的に高い9143に上昇した。これに対しオイロは大
きく下落した。

ケリーは外交の被害を押さえ込もうと努力

米国秘密情報部がドイツ国内でも大規模な盗聴を行なっていること
が暴露されたのを受け、米国外相ケリーは、ドイツ人を懐柔しよう
と努力している。彼は、両国関係に緊張があることを認めた。「ビ
ルト」紙のインタヴューの中でケリーは、盗聴事件を早急に調査す
ると約束し、ドイツが国際的に果たしている指導的な役割を賞賛
し、ドイツは米国の最も強力な友人であり、最重要同盟国の一つで
ある、と述べた。米国の告発者スノウデンの信頼厚い英国の記者ハ
リソンは、現在ドイツに滞在している。彼女はここからスノウデン
の自由に向けた戦いと、米国秘密情報計画との戦いを継続するつも
りだ、と発表した。31歳の彼女は、インターネット上で暴露するウ
ェッブサイトを公開しているウィキリークスの職員である。




11月8日(金)

イランとのジュネーヴ核交渉で意見の歩み寄りが見られるきざし

問題のイランの核計画に関する話し合いで、動きが生じている。米
国外務大臣ジョン ケリーは、イスラエルからジュネーヴに飛び、
そこで国連で拒否権を持つ五大国とドイツが、イスラーム教共和国
イランとの話し合いを行なう。ドイツ外務大臣グイド ヴェスター
ヴェレと、フランス外務大臣ローラン ファビウスも、この会議へ
出席すると予告している。ベルリンからは、この話し合いは「重要
な時点にある」と述べた。ロシア外務大臣セルゲイ ラヴロフは、
合意に向けた行程表を作る可能性がある、と見ている。イラン外務
大臣モハンマド ジャヴァード ザリーフは木曜日に、進展があっ
たと述べた。米国政府は、イランが諸外国の懸念に対して、「具体
的で検証可能な対策」を取ることに合意すれば、諸外国による制裁
を穏健な形に緩める、と約束していた。諸外国はイランに対して数
年前から、核計画を軍事的に利用しないことを、はっきりわかる形
で保障するよう迫っている。

     その他のニュース

ドイツの輸出業は記録的な輸出超過を達成

ドイツの輸出超過は9月に新たな記録を更新した。輸出額は輸入額
を204億オイロ上回った。連邦統計局の発表によれば、過去最高の
輸出超過は2008年6月の198億オイロであった。9月には輸出が前月
比で3.6%増加して947億オイロだったのに対し、輸入は0.3%減少し
て743億オイロとなった。ドイツ製品に対する需要は、全ての重要
な地域で上昇している。輸出が最も強く伸びているのは、EU各国に
対してである。米国財務省は数日前に、ドイツが輸出産業に力を注
いでいることを批判したばかりであった。

格付け会社がフランス国債の信用性を引き下げる

格付け会社スタンダード&プアーズ社は、フランスの信用力を再び
引き下げた。同社は国債の信用状態をを1段階引き下げ、AAにし
た。同社はその理由として、フランスは財政的な余力を失い、改革
を実施する状況にないことを挙げ、これは相変わらずの高い失業率
が続いていることからもわかる、としている。9月には失業率は
10.9%であった。同社はこの見込みは「安定」している、と評価し
た。これにより当面さらなる引き下げはおこなわれそうにない。財
相モスコヴィチはこの批判を退け、政府は過去18ヶ月間広い範囲で
改革を成し遂げている、と述べた。火曜日にはEU委員会がフランス
に対し、まずまずの状況であることを示すように求めたばかりであ
った。2014年にはフランスはわずかに0.9%の経済成長を達成する、
とされているが、これはドイツの半分である。

欧州の大企業は気候破壊の賠償金をよりたくさん支払うことに

ヨーロッパの大企業は、気候に悪影響を与える温暖化ガスの排出に
対して、より多くの金を支払うことになる。EU加盟28箇国の政府代
表はブリュッセルに集まり、数ヶ月にわたる議論の末、EUガス排出
取引の制度改革を可決した。この計画には、2019年と20年のいわゆ
る汚染権を市場から、9億オイロで取得することが含まれている。
この排出権不足のため、その他の取引できる許可の価格は上昇する
ことになる。そのためこれは、大企業がより環境に優しく持続可能
な技術に投資するきっかけとなる。ただしこの改革には異論もあ
り、ヨーロッパ議会のキリスト教民主主義および自由主義陣営から
などの批判的な立場からは、大企業の計画立案の安全性を破壊しか
ねない市場に対する許されざる介入である、との声もある。ドイツ
環境相アルトマイアーは、対し委員会のこの決定を歓迎し、これに
よりEUはワルシャワでの気候会議を直後に控え、気候保護にEUが前
向きであるとの方向性を呈示した、と述べた。




11月9日(土)

フィリピンでは台風「ハイヤン」で少なくとも1,200人が死亡

巨大台風「ハイヤン」は、フィリピンでおそらく少なくとも1千2百
人の命を奪った。被災地域からの最新情報によれば、マニラの赤十
字は、レイテ州の大都市タルコバンだけで1千人の死者が出てお
り、そのほかサマル州では2百人が死亡した。この台風は直径6百キ
ロの大きさで、きわめて激しい雨と数メートルにわたる潮波で、複
数の都市や村落を破壊した。「ハイヤン」はおそらく、かつて同国
に上陸したなかで最も強力な嵐である。その間にこの嵐は、南シナ
海を西へ、ヴェトナムの方向に進んだ。20万人のヴェトナム人が、
安全な仮宿泊所に移動することになっている。数十万人の兵士が、
緊急出動態勢を整えた。

     その他のニュース

イランとの核協議では大きな障害が残る

イランと核を巡るジュネーヴ会議では、相変わらず巨大な対立点が
あり、協定成立の妨げになっている。フランス外相ファビウスと英
国外相ヘイグは、ムッラー率いる政権との合意は確実に得られるわ
けではない、と説明した。ファビウスは、イランの核兵器性能能力
をどのように削ぎたいか、意見はまだ一致していないと指摘し、こ
れはプルトニウムも軍事目的で製造できるアラクの重水炉のことを
指している、と述べた。そのほか、イランが保有する20%まで濃縮
されたウランの在庫を、危険性の低い濃縮率である5%へ持って行く
にはどのようにすればよいか、も解決されねばならない、とも語っ
た。ジュネーヴでは、約10年前からくすぶっている核を巡る対立
を、少なくとも短期だけでも解決するための、中間的な協定が話し
合われている。制裁緩和の見返りとして、イラン政府はそのウラン
濃縮計画の一部を中止するかもしれない。

中国共産党は経済改革を協議

中国共産党中央委員会は、4日間の会議を行っているが、その中心
議題は今後10年間の経済の方針である。同意委員会の376人の委員
は北京で、重要な個々の改革を抜本的な修正なしに可決した。専門
家たちは、たとえば金融部門、経済の自由化、出稼ぎ労働者、農家
の権利拡大などの改革が行われる、と見ている。共産党は秘密会議
を開いており、首都北京は厳重な安全対策が取られている。

シリア反政府勢力は和平会議への参加を協議

シリアの分裂した亡命野党は、ジュネーヴで開かれる予定の国際和
平会議に参加するかどうかを決める協議に集まった。トルコのイス
タンブルでの会議では、そのために重要な予備的決定が下される。
急進派イスラーム教徒組織の圧力を受け、シリア国民連合SNCは、
権力者アサド政権をまじえた交渉に参加することを事前に拒否して
いた。同連合広報は、他方この会合に参加するようにとの諸外国の
「強い」圧力が反政府陣営にかかっていることを認めた。今回ジュ
ネーヴ会議が開かれれば、シリアに関する2度目の和平会議であ
る。これは今年中に始めることになっている。呼びかけているのは
米国とロシアである。




11月10日(日)

フィリピンでは台風の死者が1万人を越える

警察の集計によれば、巨大台風「ハイヤン」により、フィリピンの
レイテ州では、少なくとも1万人が死亡し、生活基盤の7割から8割
が破壊され、高波が沿岸地帯全体を洗い流した。犠牲者の多くは大
量の水により溺死し、この水が津波のように多くの残骸と友に内陸
へ流れ込んだ。この台風は金曜日に、時速3百キロ以上の風力で、
東南アジアの島国であるフィリピン上空を通り過ぎ、同国を今まで
に襲った最も強力な台風の一つである。またこの台風はヴェトナム
へと進路を取っており、個々では今までに60万人の充員が安全な場
所に移された。ただし「ハイヤン」の力は弱まり、専門家の予想に
よれば、月曜日には熱帯低気圧になってヴェトナム本土に達する。

     その他のニュース

イランの核計画に関する交渉は合意が成立せず

ジュネーヴではイランの核計画に関する交渉が、土曜日夜に行われ
たが、合意に達することなく終了した。この交渉には、国連で拒否
権を持つ五大国とドイツの外相の他、EU外務委員アシュトンとイラ
ン外相ザリーフも出席している。この交渉では、イラン政府が原子
力の利用を制限する見返りに、イランに対する諸外国の制裁を緩和
することが取り上げられている。一方イラン大統領ロウハニは、同
国にはウラン濃縮をする権利がある、と強調した。国際法に基づく
原子力の利用は、「越えてはならない一線」であり、交渉でこの一
線を越えることは許されない、とロウハニはテヘランの議会で述べ
た。木曜日に会議が始まった時、一部には成果をあげられるとの楽
観主義が残っていた。次の会議は11月20日に開かれる。

サウジ・アラビアでは移民の暴動で2人が死亡

サウジ・アラビアの首都リヤドの貧しい地域では、不法移民が暴動
を起こし、2人が死亡、70人ほどが負傷した。警察の発表では、移
民が夜間にマンフハフ街区で、地元民と外国人を石と刃物で襲い、
治安部隊がこれに介入した。560人以上が逮捕された、とのことで
ある。この暴動は、サウジ・アラビア当局が外国人不法労働者に対
して、最近の厳しい措置を取ったことで発生した。1週間前に黙認
の期間が終わり、警察は正式の旅券を持たない数千人の外国人労働
者を追放のための収容所に入れた。南アジア、アフリカ、イエメン
からの安い労働者がその中心である。石油が豊かなサウジ・アラビ
アでは、全住民が2千7百万人で、およそ9百万人が移民である。

ヨーロッパのラビたちが新たな反ユダヤ主義が起きていると警告

ヨーロッパ ラビ会議CERは、ヨーロッパに新たな反ユダヤ主義が
起きている、と警告した。ドイッチェ ヴェレのインタヴューの中
で同会議議長ゴルトシュミットが、「変種となり形を変えたウィル
ス」であり、昨年ドイツで起きた割礼をめぐる議論を、その例とし
てあげた。割礼はユダヤ教の骨格をなすもので、この議論での多く
の発言要求は、人種差別的で、反ユダヤ的であった、とも彼は述べ
た。さらに彼は、ヨーロッパ各国に、近東および北アフリカ出身の
イスラーム教徒の移民が増えていることに、宗教行為の制限で対応
することがないように、と警告した。ゴルトシュミットは、ベルリ
ンで開かれた約2百人のヨーロッパ在住のラビの集会で、この見解
を表明した。彼らは火曜日までに、主として宗教的理由で離婚を拒
絶する夫を持つユダヤ人女性の権利保護と、魂への配慮の状況に取
り組む方針である。ベルリンでこの集会が行われるのは初めてであ
る。




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